希望が死んだ夜に (文春文庫 あ 78-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 222
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913649

感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしい作家さんに出会ってしまった………!!!
    めちゃくちゃよかったです!!!

    平置きされてたので偶々手に取った、初めましての天祢涼さん。
    メフィスト賞作家さんとは知りませんでした。
    (ぜひデビュー作も読んでみたい!)

    とある洋館で首をつった女子中学生の遺体とそこから逃げ出した女子中学生。
    彼女は殺したと言うけど動機が不明て黙秘を貫く半落ち状態。
    生活安全課仲田さんシリーズらしいのだけど、あまり仲田さんが活躍してるイメージはないです。これこのシリーズの一作目??私が逃してるだけかな??

    読み始めたときと読了後では全く印象が違う!
    とにかく丁寧に描かれるのに次々と新たな真相が明かされるし、最後にえ!と思わされるし、結末がさらにびっくらこいた。

    なんと切ない物語だろう。

    貧困家庭から抜け出すのは本人の努力が足りないからだ→努力する余裕はあったんだろうって展開がなんともハッとさせられたし、そしてなんとも悲しい。

    自分の頃は〜とか昔は〜とか海外では〜とか、割とみんな好きな比較だし私も使いがちではある気がする。
    けど、それに何の意味があるのだろう。
    本当にその現状を見ているのか?薄っぺらなうわべだけを見て知った顔で言葉を発してないか?
    そんなことを考えさせられる話でした。

    まさに社会派ミステリー。しっかりミステリー部分もあってよき。

    ああー!めちゃくちゃよかった。
    これだから読書はやめられない…と思わせてくれる本。
    次作も積んでるので読んでみようと思います。




    @手持ち本

  • 主人公たちに友情が芽生えていく過程が微笑ましく、でも2人の置かれている現実が厳しすぎた。
    周りの大人が気づいて何かしてあげられていたら結末は違ったかもしれない。

  • ミステリというより社会派的な作品だと思う。貧困や生活保護、なんて重い作品なんだろう。

  • 先の読めない展開でどんどん引き込まれていき、ラストは衝撃の連続。あっという間に読んでしまった。
    貧困問題をテーマとしているが、そこにミステリーの要素もあり読み応えがすごかった。
    大人に振り回され、必死に生きる子どもがいるのだ。もがいてもがいて行き着いた先が絶望・・・。二人を救えるタイミング、いくつかあったよね?彼女たちの周りにいる大人がダメすぎる。誰にも救われなかった二人の末路に胸が締め付けられる。
    読み終えたあとにタイトルの意味が重くのしかかってくる。希望=ネガとのぞみ。深いな・・・

  • 結末が只々切なかった。
    中学生にこんな窮屈な思いをさせる貧困問題は自分が想像してるものよりもっと重く悲しいものだと感じた。

  • 子どもの貧困について書かれている本で、両手にトカレフも良かったけれどこっちも良い。
    こういうときの子どもって無力で、大人の被害者なんだなって。自分を取り巻く世界はとても小さいのに、子どもにとっての世界はその取り巻く世界が全てになる

    のぞみとネガの、キラキラした青春が眩しく、だからこその絶望が深い
    物語の後半、特に第4章は、もうずっと泣いてた

    こんなにも絶望が深いのに、作者は希望を願ってる2人の名前を、希望に代えて

  • 日本のどこかにこういう世界があるのかな…いや流石にないかな…と思いを馳せずにはいられない重苦しいプロット。だけど推理や娯楽のためではない生々しさが刺激的で一気に読んでしまった。
    結末が分かっているだけに、途中、希望が見えてもホッとできず、感情が振り回される。主人公達が皆、根は常識人であることが更に無力感を煽る。
    ラストの真相に、大人の感情が入ってきてしまった点だけが残念。最後まで大人は端役(元凶ではあるが)でいてほしかった。

    ありきたりの設定、舞台のミステリーに飽きた方におすすめ。
    また再読したい一冊。

  • 中学生の冬野ネガは同級生殺害を認めるものの、動機については黙秘した。一見自殺とも思える現場で頑なに少女は殺人を主張する。
    十二月六日、冬の廃墟での夜、彼女たちに何があったのか。子供の貧困問題をテーマに少女たちの希望と破滅を描いた社会派小説。

     創作の世界ぐらい希望を持ちたいと思うんですけどね。タイトル通りの内容です。
    貧しい中学生の主張する希望のない未来を生きる価値。それに対して健全に子供時代を過ごしてきた大人たちに説き伏せるようなアンサーは出ない。きっと日々読書に時間を費やせるような読者自身も冬野ネガにかける言葉は見つからないだろう。そして冬野ネガすら至らなかった裏の真相、それぞれの当事者しか分からない複雑な思惑がラストにミステリーへと昇華した。

  • ネガの母親が生活保護の相談している時の認知の歪み方が興味深かった
    「ケーキの切れない非行少年たち」で話が正しく入っていかない人の事が紹介されていたのを思い出した

    生活保護が必要な人は受けるべきだが確かにプライドが邪魔をしそう
    自分も必要になった時に抵抗なく申請ができるかと問われたら難しいかもしれない
    そういう問題があるって認知しておけてよかった

  • 読む手が止まらず、一気読みしました。
    表紙から青春ミステリーと思ってたら、社会の「貧困問題」がテーマでした。主人公である刑事から見た現在と、被疑者である中学生から見た過去の2つの視点で話は進んでいきます。

    首吊り遺体のある現場から逃走するところを捕まった少女A。「同級生を殺した」と証言する少女Aこと冬野ネガだが、その動機を頑なに話そうとしない。何故ネガは殆ど接点のない同級生の少女を殺したのか。
    主人公である真壁警部補は少年犯罪に詳しい女性巡査部長とコンビを組み、事件の真相を探っていく。

    読み終わった後の後味は、正直重く、苦しいです。親子2世代に渡って抜け出せない貧困、世間の生活保護受給者への批判、貧困から抜け出す努力すらできない子供……制度1つで簡単に解決できない問題が次々と浮かび上がってきます。
    ネガの気持ちを想像すると、涙が止まりませんでした。誰かのためにここまで強い決意ができる少女だったなんて、最初に抱いたおどおどしているネガのイメージからは想像もできませんでした。家が貧乏ではなくて、普通に友達がいれば、本来はあんな性格だったのかなと思います。

    ネガだけでなく、登場人物の人物像もコロコロ変わっていくのが生々しくて面白かったです。人は色んな顔を持っていますし、自分では何気なく言った言葉が人を傷つけていたりする。
    この本に登場する大人は巡査部長を除いてデリカシーがないというか、想像力が足りなさ過ぎですね(笑)だから出世と世話になった上司のことしか頭になかった主人公の成長には素直に感動しました。人に寄り添い想像することを覚えた主人公は、きっといい刑事になります。

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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