サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226729

感想・レビュー・書評

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  • 科学は自らの無知を前提に発展。
    それが大航海時代の原動力に。

    科学がどの道を進むかは、イデオロギーと政治と経済の力に影響される。

    科学によって、富の総量は変わらないという思い込みが覆され、科学と資本主義は深く結びつきながら発展した。
    偉大な探検も、背景には投資家の援助があった。

    利用できる資源は増え続けている。

    幸福は、客観的条件と主観的な期待との相関関係によって決まる。

  • この本のキーワードである「虚構」というものがどのようにサピエンスの歴史に関与してきたかということが具体的に知ることができました。
     サピエンスは共同主観的現実を生み出し多くの人々と協力してきたことを知り、このような虚構による秩序が現在の社会を構築し発展してきたのだと思いました。
     中でも衝撃を受けたのは宗教は帝国の正当性を担保するものに過ぎないということです。宗教によって想像上の秩序が強固になり多くの人を結びつけることが可能になったということが印象に残りました。

    人類がどのように科学を進歩させていったのかそのプロセスや思想を知ることができた。
     印象的だったところは資本主義について述べている箇所だ。現在私たちが生きる世界の多くの国が今日も資本主義を維持するのは、私たちが将来の成長を信じさらなる発展を期待しているからではないかと思った。
     また幸福についても考えさせられた。幸福を掴むヒントは仏教の考え、すなわちブッタの教えの中にあるのかもしれないと思った。

  • 自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?(P265)

    人類への警鐘、含蓄そして今後の示唆に富む素晴らしい良書でした。

    出家したくなりました笑

  • (上巻より)

    とにかく面白かったが、感想をいくつか。

    文化が矛盾を内包している、とする説明で、
    中世ヨーロッパの貴族がキリスト教と騎士道の両方を信じていたというのは、
    失笑できるが、
    現代ではそれが、「自由と平等」だと指摘されると笑えない。

    グローバルな社会への道は必然的な結果と書かれているが、
    このコロナ禍の世界を著者はどうみているのだろうか。
    分断された状況は一時的なものだと考えているのだろうか。

    日本の西欧化の成功(ある意味での)については、中国や他のアジア諸国と異なり、
    西洋と機械や装置だけでなく、社会や政治機構やその思想を受け入れたからだと
    書かれていた。
    それはその通りなのだが、それだけではない気がする。

    「資本主義」が新しい宗教であり、経済成長を信じているとすれば、
    バブル崩壊後、デフレ・スパイラルが実在した日本は、
    その信者ではないのだろうか。

    ネアンデルタール人を絶滅に追いやったのか、
    それともただ生存競争に勝っただけなのかは不明だが、
    カインがネアンデルタール人でアベルが私たちなのだろうか。

    気になったのは図26.
    古代中国の文字が貝が貨幣を現しているという見本だったが、
    それがどの漢字に当てはまるのかわからない文字があって、気になった。

    一番笑えたのは、図6。
    サピエンスが遺伝子や生物学的限界を超えた「認知革命」の例として、
    繁殖や子育てをしないアルファオス(ボス猿)の例えとして、
    ローマ教皇の写真を載せるのは反則だ。

  • 「貨幣・国家・宗教」という人類の進歩を加速させた3大要素。これらは全て“虚構=フィクション”である。
    認知革命によって、うそ(虚構)を信じる力を手に入れたホモ・サピエンス。虚構を信じる力でここまで進化したと言える。
    現在生きている社会の全ては虚構でしかない。
    相互信用が成り立っているからこそ、現在の社会は成立している。
    ある日突然、世界中の人が事実しか信じれなくなったとしたら。貨幣という相互信用の象徴も、国家というコミュニティも、宗教も。全てが価値を失う。その後の世界はどうなるのだろうか。
    想像してみると、、、少しだけワクワクする。

    何を信じて生きているのか?
    あなたが価値があると信じているものは、本当に価値があるのか?
    そのもの本来の価値とは?

    私たちホモ・サピエンスは、認知革命・農業革命・科学革命という三大革命を経て、大幅な進歩を遂げた。しかし、それが他の種(人類種含む)や個々のサピエンスの幸せや苦しみにどのような影響を与えただろうか。
    そして、「私たちが直面している真の疑問は、『私たちは何になりたいのか?』ではなく、『私たちは何を望みたいのか』かもしれない。」

    歴史を知るのは、現在の私たちの状況は必然的なものではなく、想像しているよりもずっと多くの可能性があったことを理解するため。
    読書をするのは、自分の先入観や固定概念、常識を覆され、視野が広がり、新しい目で物事を眺められるようになるため。

    自分の頭で考えることをやめるな!

  • 上下巻とも共感・納得できるバランス感覚(認識、並べ方)で大変面白かったです。あくまで今の自分という立ち位置ありきで、過去から学ぶという事は、状況も範囲も視点も異なるのだから安易には重ねられないという事実こそ含め、だし、前提の思い込みや知らず定義を一方に偏らせてしまう事がいかに多いか…という、日々感じていた不安に寄り添ってくれる内容だったので。漠然と感じていたもの達を整然と整理して頂けて、有り難い。想像と(必要性に応じた)虚構のめまぐるしさは不可逆性でもあると思われ、それらを、ヒト・己の傲慢さを噛み締めながら、ただ今を生きる事への着地、に思い馳せ読了。ボリュームには苦戦しましたが、がっぷり向き合うのも良い体験でした。

  • 2021年1月
    もやもやしていたものが、当たり前ではない、正しくないかもしれない、ということに気づかされると、なんだか癒される。変な話だが癒しを求めてこの本を読んだ。

    「消費して社会貢献!」みたいなことを言われるが、金持ちはお金を投資に、庶民はお金を消費に(お金の行き先は結局、金持ちのふところ)、という社会的分業に巻き込まれてしまっている恐ろしさ。

  • いゃ〜!わかり易く感動的で衝撃的で面白い素晴らしい本でした。
    人間の歴史が始まってから現在、人間はこれからどこへ向かうのか?
    考えさせられる。
    印象に残った文章
    ⒈ 歴史のダイナミクスは人類の境遇を向上させることに向けられてはいない。
    ⒉ 金儲けを追求する実業家がいなかったら、コロンブスはアメリカに到達しなかっただろうし、ジェイムズ・クックはオーストラリアにたどり着かなかっただろう。
    ⒊ 生産利益は生産増加のために再投資されなくてはならない。
    ⒋ ヨーロッパ帝国主義こそが資本主義の信用制度を創出したのだ。
    ⒌ 間もなくこの人道支援団体は、成長と利益を真の目的とする営利事業になった。
    ⒍ 純粋に科学的な視点から言えば、人生にはまったく何の意味もない。人類は、目的も持たずにやみくもに展開する進化の過程の所産だ。私たちの行動は、神による宇宙の究極の計画の一部などではなく、もし明朝、地球という惑星が吹き飛んだとしても、おそらく宇宙は何事もなかったように続いていくだろう。
    ⒎ 自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?

  • 幸福の指標は人それぞれ備えつけられた空調システムみたいなもの。
    10段階あれば7出せる人もいるし、5までしか出ない人もいる。
    5までしか出せない人は宝くじの当選で一時的に7まで上がったとしても、ほどなくして5に戻る

    →幸福度はコントロールできない

    未来はもっと豊かになる(これこそ一貫して主張されているサピエンスの虚構)ことを前提に投資がなされ、パイが広がり、利益を再投資に回すというフィードバックループが資本主義の根幹をなし、社会を豊かにした。
    ただし、このループは富裕者が利益を再投資に回すとことを前提としている。
    (アダムスミスの国富論)

  • 下巻は中盤の科学、国家、資本主義あたりのところが面白かった。上巻の感想に書いた通り、序盤はヨーロッパの歴史についての前提知識が無いと理解が結構難しい気がする。
    科学、帝国、資本のポジティブフィードバックループにより人類の歴史が加速した。科学が発展したのは人類が無知を自覚し、知識の空白を埋めようと冒険や実験に挑戦したからだという。今では当たり前に思えるが、それ以前は宗教の始祖などがこの世の全てを既に知っており、教典に書かれていることが全てだと思われていた。
    また、科学が発展することで世界は進展しているという考えが一般的になり、信用が生まれ、資金の調達が容易になった。それ以前は世界は進展しているという見方はなく、むしろ世界は衰退していると思われていた。
    家畜の動物たちの話を読むと複雑な気持ちになった。牛、豚、ひよこ、鶏たち。ベジタリアンにはなれないけれど、せめて今後感謝をして食べたい。
    終盤のサピエンスの未来についての話はゾッとした。医学の進歩は希望でもあるけど、パンドラの箱を開ける可能性もあるということだ。

  • 上巻から引き続き、没頭して読んだ。
    繰り返し、読みたい名著。

  • <結論>
    戦争もほとんどなくなり、個人が尊重される時代になったが我々は幸せなのか?
    ホモサピエンスを凌駕する生命体が現れる可能性に直面し、我々はこれからどう生きていけばいいのか?

    <概要>
    宗教とは?
    →本来神の役割は人間と動物の仲立ち
    500年前 【科学革命】
    →我々は何も知らないという無知の自覚
    500年以上前は、聖書が全て。神々のいた時代が最高潮であり、進歩することはないと考えていた
    科学が進歩し、どんな問題も克服できると考え出した
    空白の地図で、探究心が刺激された
    近代に入り、将来に対する信用が出来たことから経済は大幅に成長した
    第二次世界大戦以降、征服・併合を目的とした戦争はなくなった
    核兵器の誕生により、戦争より平和の利益が増大。交易が盛んになり、独立国家ではなく他国に依存する国家が増えることにより戦争が衰退
    ホモサピエンスに手を加えすぎて、私たちがもはやホモサピエンスではなくなるかもしれない
    我々は今幸せなのか?
    生物工学・サイボーグ工学・非有機的生命体のいずれかがホモサピエンスに大きな影響を及ぼす

    <感想>
    科学が発達するにつれて、ホモサピエンスをまとめ上げた宗教の立ち位置が揺らいでいくと感じた。民主主義や資本主義のイデオロギーが正しいのかは今は分からない。ただ戦争が殆どなくなり、個人が尊重される時代になったことは人間が過去の過ちを認め、学んだ結果だと思う。少なくとも不憫な思いをして死にゆく人は明らかに減ったのだから。

  • 仏陀の悟り
    心はたとえ何を経験しようとも、渇愛をもってそれに応じ、渇愛はつねに不満を伴う

    渇愛しない人は苦しみようがない

    一神教の第一原理は「神は存在する。神は私に何を欲するのか?」

    仏教の第一原理は「苦しみは存在する。それからどう逃れるか?」

    資本と政治の固い結束が債権市場に影響を及ぼす例、1821年 ギリシャ人がオスマン帝国に反乱を起こす、ロンドンの資本家たちはこの戦いが勝機になると読み、ギリシャ独立債を発行させる。ギリシャは独立を勝ち取った暁には利息をつけて償還すると約束する。

    反乱軍の敗戦が濃厚になると、独立債保有者は財産を失う危機に瀕する。彼らの利益は国家の利益でもあり、イギリスは多国籍艦隊を組織し、1827年にナヴァリノの海戦でオスマン帝国の主力の小艦隊を撃滅。

    数世紀にわたる支配から、ギリシャはついに自由になったが、新生国家にはとても償還できないほどの巨額の債務がついてきた。

    ギリシャ経済はその後何十年も、イギリスの債権者に担保にとられていた。

    ナヴァリノの海戦後、イギリスの資本家はリスクの高い海外の取引に以前より進んで投資した。もし海外の債務者が借金の返済を拒んだら、女王陛下の軍隊が彼らの資金を取り戻してくれることがわかったからだ。

    今もエリート層と大衆の間には分業がある。中世のヨーロッパでは、貴族階級の人々は派手に散財して贅沢したのに対して、農民たちはわずかなお金も無駄にせず、質素に暮らした。今日、状況は逆転した。豊かな人々は最新の注意を払って資産や投資を管理しているのに対し、裕福ではない人々は本当は必要ない自動車やテレビを買って借金に陥る。

    資本主義と消費主義の価値体系は表裏一体であり、二つの戒律が合わさったものだ。富める者の至高の戒律は「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ。

    ニーチェの言葉
    あなたに生きる理由があるのならば、どのような生き方にもたいてい耐えられる。有意義な人生は、困難のただ中にあってさえもきわめて満足いくものであるのに対して、無意味な人生とは、どれだけ快適な環境に囲まれていても厳しい試練に他ならない。

    純粋に科学的な視点から言えば、人生にはまったく何の意味もない。人類は、目的も持たずにやみくもに展開する進化の過程の所産(しょさん)だ。

    人々が自分の人生に認める意義は、いかなるものもたんなる妄想だ。妄想に取り憑かれているのだ。

  • 面白かった

  • 人類史の決定版。めちゃくちゃ面白い。長いけど、1章30分くらいで読めるので、1日1章という感じで、章ごとに少しずつ読み進めていくとよいと思います。

  • アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』や伊藤計劃『ハーモニー』は、人類が個々の意識を捨てて、それまでとは別物に成り果てる世界を描くSFだ。ハラリさんの予感はそれを思わせる。「科学が進もうとしている方向」に対して「私たちは何を望みたいのか?」を問うべきだとハラリさんは言う。幸福?どうもそうではないらしい。だってそんなもん、セロトニンが多めに分泌できるような薬でどうにでもなるし、人によって生得的に上限決まってるんだし、そもそも永続性がないし。「科学は人類の幸福に寄与する」あるいは「科学が人間を滅ぼす」と単純化して議論できたのは20世紀のお話。事態はもっと先に進んでる。例えば「非死」が庶民にも手の届くものになって、曽孫や玄孫と遊べる日が来たとしても、彼らと私に何ら心理的な共通点がなくて途方にくれることになるんだったら、私は「非死」も人間の進化もいらないなぁ。楽しくなさそうだもの。やっぱり、例えばクリスマスプレゼントにリカちゃんもらったらキャッキャしてほしいし、田植えの時には頼んでもないのに肩まで泥につかって顰蹙買ってみたりしてほしいし。そういうつまんない事柄の集積で私の楽しい人生は出来上がっているので、「それはもう過去のものになりました。来年からは別物として生きてください」って宣言されるのは、「死ね」って言われるのと大差なかろうな、と。結局のところ、相当悲惨な人生を送っているのでない限り、今日と大差ない明日が来ると思い込んでいられることを「幸福」と感じている人が大部分なんではないのかな、とこのコロナの状況を見ていても思うので、科学に何を望みたいか、と問われると心底、答えに詰まってしまう。だって、探求と改変こそが科学の正体なのだから。「無知の自覚」に駆動されて「地図の余白」を消すことこそが、科学における進歩なのだから。

  • ・純粋に科学的な視点から言えば、人生にはまったく何の意味もない。人類は、目的も持たずにやみくもに展開する進化の過程の所産だ
    ・人々が自分の人生に認める意義は、いかなるものもたんなる妄想にすぎない
    ・私たちは新たな特異点に急速に近づいているのかもしれない。その時点では、私、あなた、男性、女性、愛、憎しみといった、私たちの世界に意義を与えているものいっさいが、意味を持たなくなる。何であれその時点以降に起こることは、私たちにとって無意味なのだ

  • 科学革命を含め人間の進化が全て人間の信仰、想像力と密接に関わっていることがわかった。上下通して人類の繁栄の歴史を見てきて、最後の章の幸福と豊かさについての章が1番興味深かった。この本を読む前から社会が発展しすぎて逆に不幸になっているのではないかと感じていたので、それが言語化された感じでスッキリした。何をもって幸せな人生だと感じるんだろう、自分にとっての幸せは何だろうということを考えた。今帰省していて、とても感じるのは家に人がいるのが幸せだなあということだ。一人暮らしも快適だが、将来的には家庭を持ちたいなあと強く感じた。僕たち子供のために働いてくれる親に感謝するとともに、自分の成長以外にもそういった仕事のモチベーションもあるんだなあと考えた。仕事が自分の中では幸福度に大きく関係すると考えたが、ほかが充実していてこその仕事という位置づけの方が、人間として自然なのかもしれない。そう考えると、趣味がハッキリといえなかったり、暇な時間の使い方が下手なのは不幸なことなのかもしれない。また教育が好きだが、それをどう仕事にするかということも最近考えている。仕事にしない方がいいのかもしれないとさえ思っている。私は子供と関わるのが好きだ。では子供にどうなって欲しいのか、幸せになる力を育んで欲しいのかもしれない。別に勉強ができることだけがいいことではないと思っているし、幸せならそれでいい。私自身は勉強を通して新しいことを知るのが楽しいから勉強をしている。それもいろんな分野について広く浅く知る方が多分好きだ。でもその知識を子供に教えることに意味はあるのか?ある程度は知識を持っていて欲しい。なぜなら無知だと騙されるからだ。自分でしっかりと判断できる人になって欲しい。主体的に学ぶ子供を育てるためには自分が学びを楽しんでいる姿を発信するのがいいのかもしれない。

  • 上巻より更に話は興味の対象外に向かう。
    面白い人には面白いのでしょうが。
    上巻、下巻を通しての一貫性が希薄なのかな。

  • 読書時間はかかりますが、読み応えある本でした。ユバルノアハラリさん自身がイスラム出身でいながら、「宗教は虚構だ!」と言うところが面白く、人間はどこから来て、どこへ向かうのか。と言う問いが、今後の世界は考えていかないといけないのではないかと、気付かされた本でした。

  • 『内容はすごいが、読み切るには根気が必要』

    ■読了時間 3時間19分
    ■この本をオススメする人
     ・人類史や文明史、宗教史に興味のある方
     ・遠い過去にロマンを感じる方
    ■感想
     上下巻とも読みました。科学改革が人類にもたらしたものなど目から鱗の記述もあり、いまだかつてない人類史の考察に、とてもロマンを感じました。内容については多くの方が記載しているとおり間違いなく良書ですので、私はこの本の読みやすさについてレビューしたいと思います。
    まず一言で表現すると、とてもヘビーです。ホリエモンの著書の中で本書を薦めていたので、何かしらの学びがあると確信して私は最後まで読み進めましたが、文字がぎっしりで、難解な部分もあり、読みづらく、何気なく手に取って読み進めるにはハードルが高い本です。読書初心者には間違いなく向きません。一言一句読むのは大変なので、途中でくじけそうな方は斜め読みで、全体の内容をざっと把握するほうが良いと思います。気になる記述の箇所はぜひ読み込んでください。本書をかみ砕いて解説した本があれば読んでみたいです。

  • いやー、上下ともに読み終えて、長かったし、難しかったけど、我らホモ·サピエンスについて生物学や心理学、社会学、歴史など、さまざまな観点から述べられていて、面白かった。
    ホモ·サピエンスの歴史が今後も続くとは限らないし、どうなるかもわからないけれど、分かっていることは、惑星の資源や我々自身の倫理観などの制約を抱えながらも、我々が新たな特異点に向けて動き出しているということ。
    その流れを止めることはできず、唯一私たちが試みられるのは、科学が進もうとしている方向に影響を与えること。そして、私たちが直面している真の疑問は、「私たちは何になりたいのか」ではなく、「私たちは何を望みたいのか」かもしれない。と著者は述べる。

  • 上巻の認知革命。農業革命と比較すると失速感否めない。

  • 長かった~。難しかった~。科学の進歩が人々に、未来は今より良くなる、と信じさせて、投資という概念が生まれたというのは面白かった。

  • 読み終わりたくないと思って1ページ1ページ読みました。

  • 上巻で「認知革命」「農業革命」を述べて、人類がいかにお互いの信用関係を前提とした神話に基づいた共同生命体として活動することで共同作業を行い、他の生命体を凌駕してきたかを説明してきましたが、下巻では主に「科学革命」に主眼を置いて、共同体として発展した人類の一部(西洋主要国)が、科学を通じた爆発的な生産性・軍事力の向上により、今日の西洋的価値観(資本主義、帝国主義、市場経済等)を全世界的に広めていったかを包み隠さず述べている。(まさに帝国主義は先住民の大量虐殺の歴史でもある。)

    結局は、日本自体もこの西洋主要国のアジア地域の植民地化政策の延長線上にて戦争へ巻き込まれ、敗戦し、半植民地化となったと言っても過言ではない。(パクス・アメリカーナの構築と多大なる資金援助)

    そうして人類は科学革命前の1700年頃には人口7億人程度であったが、1900年までには倍増して16億人、今日の2020年にはさらに4倍の70億人に達し、なお増え続けている。人類はこうして生態系を征服し、地球も手中に治めかけている訳だが、果たして本当にこの先の人口増加(需要増加)に地球の資源が追いつけるかは未知数である。少なくとも、気温上昇が続けば海面上昇や海温上昇により、一部の地域で計り知れない損失を被ると思われるが、大きな問題であるのが被害レベルが地域によって異なるという事がこの問題を難しくしている。(放置していても特に大きな問題とならない国は積極的な改善はしないであろう。特にコロナがさらにその傾向を促進してしまう)

    科学技術によってかなりのものを手にしてきた人類だが、経済発展により手に入れたものは何なのか?資本史上主義の行き着く先に我々の望んでいるものが見つかるのだろうか?

    AI技術や生命工学の高度な発展により、どこまでの有機物が生命と言われるのか怪しい時代に突入していく。XーMENの様な超能力的なサイボーグが当たり前となる時代が来るのはそう遠くないと思われる。そんな中で人類の存在意義や我々が何を信じて望んでいく、まさに新しい「神話」をどう作り上げていくかの大きな分岐点に立たされているということに気付かされる大変貴重な著書であった。

  • 下巻は、時代でいうと中世ごろから始まり、現代、または未来について書かれている。もっとも、時代について明確に区別されているわけではない。

    「文明」というものが多様であり多くのことを含んでいるため、読みやすいがある程度の複雑さがある。

    幸福について書かれた章では、筆者はいつの世も人は幸福というものを十分に感じることはなく、ゆえに幸福を追い求めると言いたかったのだろう。「文明は人間を幸福にしたのか」というタイトルからも理解できる。

    サピエンスの終わりについては筆者は明確にしていない。誰にも予測ができないということだろう。

  • やっとこさ下巻読み終わりました。上巻と同じ形で現代までの歴史を辿ってきます。以下、私が特に気になった文を書き留めます。

    ・信用は未来が今より良くなっているという前提に立っている。今より悪くなる前提では信用は生まれない。

    ・資本主義は、富を蓄えた人が再投資することが前提になっている。

    ・自由主義が行き過ぎると、一部の強欲な人々によって利益だけが優先される世の中になり、一部の人間の人権や尊厳は無視される。

    ・どんな種類の質量もエネルギーに変換できるという発見により、人類はエネルギー不足に陥ることは無い。

    ・ホモ・サピエンスが繁栄した理由は、想像力による。想像力で作り上げた虚構、例えば宗教、国家、国民、企業、法制度、人権、平等などを信用することで繁栄した。

    想像力によって虚構を作り上げることができたことが、繁栄の元とは斬新な切り口でした。

  • 上巻の人類誕生に至るミステリーとロマンは心躍る展開。下巻は少し中だれしたかと思ったが、超人類に至る議論では、今の我々の足元がグラグラと不安になる怒涛の展開。(私が生きているうちには心配ないが…子供は?孫は?)

  • また読みたい本。
    最後の怒涛の流れ、これまで述べられた虚構や科学は全てここに帰結するんだと衝撃だった。

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著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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