- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309226729
感想・レビュー・書評
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「貨幣・国家・宗教」という人類の進歩を加速させた3大要素。これらは全て“虚構=フィクション”である。
認知革命によって、うそ(虚構)を信じる力を手に入れたホモ・サピエンス。虚構を信じる力でここまで進化したと言える。
現在生きている社会の全ては虚構でしかない。
相互信用が成り立っているからこそ、現在の社会は成立している。
ある日突然、世界中の人が事実しか信じれなくなったとしたら。貨幣という相互信用の象徴も、国家というコミュニティも、宗教も。全てが価値を失う。その後の世界はどうなるのだろうか。
想像してみると、、、少しだけワクワクする。
何を信じて生きているのか?
あなたが価値があると信じているものは、本当に価値があるのか?
そのもの本来の価値とは?
私たちホモ・サピエンスは、認知革命・農業革命・科学革命という三大革命を経て、大幅な進歩を遂げた。しかし、それが他の種(人類種含む)や個々のサピエンスの幸せや苦しみにどのような影響を与えただろうか。
そして、「私たちが直面している真の疑問は、『私たちは何になりたいのか?』ではなく、『私たちは何を望みたいのか』かもしれない。」
歴史を知るのは、現在の私たちの状況は必然的なものではなく、想像しているよりもずっと多くの可能性があったことを理解するため。
読書をするのは、自分の先入観や固定概念、常識を覆され、視野が広がり、新しい目で物事を眺められるようになるため。
自分の頭で考えることをやめるな! -
上下巻とも共感・納得できるバランス感覚(認識、並べ方)で大変面白かったです。あくまで今の自分という立ち位置ありきで、過去から学ぶという事は、状況も範囲も視点も異なるのだから安易には重ねられないという事実こそ含め、だし、前提の思い込みや知らず定義を一方に偏らせてしまう事がいかに多いか…という、日々感じていた不安に寄り添ってくれる内容だったので。漠然と感じていたもの達を整然と整理して頂けて、有り難い。想像と(必要性に応じた)虚構のめまぐるしさは不可逆性でもあると思われ、それらを、ヒト・己の傲慢さを噛み締めながら、ただ今を生きる事への着地、に思い馳せ読了。ボリュームには苦戦しましたが、がっぷり向き合うのも良い体験でした。
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2021年1月
もやもやしていたものが、当たり前ではない、正しくないかもしれない、ということに気づかされると、なんだか癒される。変な話だが癒しを求めてこの本を読んだ。
「消費して社会貢献!」みたいなことを言われるが、金持ちはお金を投資に、庶民はお金を消費に(お金の行き先は結局、金持ちのふところ)、という社会的分業に巻き込まれてしまっている恐ろしさ。 -
いゃ〜!わかり易く感動的で衝撃的で面白い素晴らしい本でした。
人間の歴史が始まってから現在、人間はこれからどこへ向かうのか?
考えさせられる。
印象に残った文章
⒈ 歴史のダイナミクスは人類の境遇を向上させることに向けられてはいない。
⒉ 金儲けを追求する実業家がいなかったら、コロンブスはアメリカに到達しなかっただろうし、ジェイムズ・クックはオーストラリアにたどり着かなかっただろう。
⒊ 生産利益は生産増加のために再投資されなくてはならない。
⒋ ヨーロッパ帝国主義こそが資本主義の信用制度を創出したのだ。
⒌ 間もなくこの人道支援団体は、成長と利益を真の目的とする営利事業になった。
⒍ 純粋に科学的な視点から言えば、人生にはまったく何の意味もない。人類は、目的も持たずにやみくもに展開する進化の過程の所産だ。私たちの行動は、神による宇宙の究極の計画の一部などではなく、もし明朝、地球という惑星が吹き飛んだとしても、おそらく宇宙は何事もなかったように続いていくだろう。
⒎ 自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか? -
幸福の指標は人それぞれ備えつけられた空調システムみたいなもの。
10段階あれば7出せる人もいるし、5までしか出ない人もいる。
5までしか出せない人は宝くじの当選で一時的に7まで上がったとしても、ほどなくして5に戻る
→幸福度はコントロールできない
未来はもっと豊かになる(これこそ一貫して主張されているサピエンスの虚構)ことを前提に投資がなされ、パイが広がり、利益を再投資に回すというフィードバックループが資本主義の根幹をなし、社会を豊かにした。
ただし、このループは富裕者が利益を再投資に回すとことを前提としている。
(アダムスミスの国富論) -
上巻から引き続き、没頭して読んだ。
繰り返し、読みたい名著。 -
<結論>
戦争もほとんどなくなり、個人が尊重される時代になったが我々は幸せなのか?
ホモサピエンスを凌駕する生命体が現れる可能性に直面し、我々はこれからどう生きていけばいいのか?
<概要>
宗教とは?
→本来神の役割は人間と動物の仲立ち
500年前 【科学革命】
→我々は何も知らないという無知の自覚
500年以上前は、聖書が全て。神々のいた時代が最高潮であり、進歩することはないと考えていた
科学が進歩し、どんな問題も克服できると考え出した
空白の地図で、探究心が刺激された
近代に入り、将来に対する信用が出来たことから経済は大幅に成長した
第二次世界大戦以降、征服・併合を目的とした戦争はなくなった
核兵器の誕生により、戦争より平和の利益が増大。交易が盛んになり、独立国家ではなく他国に依存する国家が増えることにより戦争が衰退
ホモサピエンスに手を加えすぎて、私たちがもはやホモサピエンスではなくなるかもしれない
我々は今幸せなのか?
生物工学・サイボーグ工学・非有機的生命体のいずれかがホモサピエンスに大きな影響を及ぼす
<感想>
科学が発達するにつれて、ホモサピエンスをまとめ上げた宗教の立ち位置が揺らいでいくと感じた。民主主義や資本主義のイデオロギーが正しいのかは今は分からない。ただ戦争が殆どなくなり、個人が尊重される時代になったことは人間が過去の過ちを認め、学んだ結果だと思う。少なくとも不憫な思いをして死にゆく人は明らかに減ったのだから。 -
仏陀の悟り
心はたとえ何を経験しようとも、渇愛をもってそれに応じ、渇愛はつねに不満を伴う
渇愛しない人は苦しみようがない
一神教の第一原理は「神は存在する。神は私に何を欲するのか?」
仏教の第一原理は「苦しみは存在する。それからどう逃れるか?」
資本と政治の固い結束が債権市場に影響を及ぼす例、1821年 ギリシャ人がオスマン帝国に反乱を起こす、ロンドンの資本家たちはこの戦いが勝機になると読み、ギリシャ独立債を発行させる。ギリシャは独立を勝ち取った暁には利息をつけて償還すると約束する。
反乱軍の敗戦が濃厚になると、独立債保有者は財産を失う危機に瀕する。彼らの利益は国家の利益でもあり、イギリスは多国籍艦隊を組織し、1827年にナヴァリノの海戦でオスマン帝国の主力の小艦隊を撃滅。
数世紀にわたる支配から、ギリシャはついに自由になったが、新生国家にはとても償還できないほどの巨額の債務がついてきた。
ギリシャ経済はその後何十年も、イギリスの債権者に担保にとられていた。
ナヴァリノの海戦後、イギリスの資本家はリスクの高い海外の取引に以前より進んで投資した。もし海外の債務者が借金の返済を拒んだら、女王陛下の軍隊が彼らの資金を取り戻してくれることがわかったからだ。
今もエリート層と大衆の間には分業がある。中世のヨーロッパでは、貴族階級の人々は派手に散財して贅沢したのに対して、農民たちはわずかなお金も無駄にせず、質素に暮らした。今日、状況は逆転した。豊かな人々は最新の注意を払って資産や投資を管理しているのに対し、裕福ではない人々は本当は必要ない自動車やテレビを買って借金に陥る。
資本主義と消費主義の価値体系は表裏一体であり、二つの戒律が合わさったものだ。富める者の至高の戒律は「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ。
ニーチェの言葉
あなたに生きる理由があるのならば、どのような生き方にもたいてい耐えられる。有意義な人生は、困難のただ中にあってさえもきわめて満足いくものであるのに対して、無意味な人生とは、どれだけ快適な環境に囲まれていても厳しい試練に他ならない。
純粋に科学的な視点から言えば、人生にはまったく何の意味もない。人類は、目的も持たずにやみくもに展開する進化の過程の所産(しょさん)だ。
人々が自分の人生に認める意義は、いかなるものもたんなる妄想だ。妄想に取り憑かれているのだ。 -
面白かった
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人類史の決定版。めちゃくちゃ面白い。長いけど、1章30分くらいで読めるので、1日1章という感じで、章ごとに少しずつ読み進めていくとよいと思います。
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アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』や伊藤計劃『ハーモニー』は、人類が個々の意識を捨てて、それまでとは別物に成り果てる世界を描くSFだ。ハラリさんの予感はそれを思わせる。「科学が進もうとしている方向」に対して「私たちは何を望みたいのか?」を問うべきだとハラリさんは言う。幸福?どうもそうではないらしい。だってそんなもん、セロトニンが多めに分泌できるような薬でどうにでもなるし、人によって生得的に上限決まってるんだし、そもそも永続性がないし。「科学は人類の幸福に寄与する」あるいは「科学が人間を滅ぼす」と単純化して議論できたのは20世紀のお話。事態はもっと先に進んでる。例えば「非死」が庶民にも手の届くものになって、曽孫や玄孫と遊べる日が来たとしても、彼らと私に何ら心理的な共通点がなくて途方にくれることになるんだったら、私は「非死」も人間の進化もいらないなぁ。楽しくなさそうだもの。やっぱり、例えばクリスマスプレゼントにリカちゃんもらったらキャッキャしてほしいし、田植えの時には頼んでもないのに肩まで泥につかって顰蹙買ってみたりしてほしいし。そういうつまんない事柄の集積で私の楽しい人生は出来上がっているので、「それはもう過去のものになりました。来年からは別物として生きてください」って宣言されるのは、「死ね」って言われるのと大差なかろうな、と。結局のところ、相当悲惨な人生を送っているのでない限り、今日と大差ない明日が来ると思い込んでいられることを「幸福」と感じている人が大部分なんではないのかな、とこのコロナの状況を見ていても思うので、科学に何を望みたいか、と問われると心底、答えに詰まってしまう。だって、探求と改変こそが科学の正体なのだから。「無知の自覚」に駆動されて「地図の余白」を消すことこそが、科学における進歩なのだから。
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・純粋に科学的な視点から言えば、人生にはまったく何の意味もない。人類は、目的も持たずにやみくもに展開する進化の過程の所産だ
・人々が自分の人生に認める意義は、いかなるものもたんなる妄想にすぎない
・私たちは新たな特異点に急速に近づいているのかもしれない。その時点では、私、あなた、男性、女性、愛、憎しみといった、私たちの世界に意義を与えているものいっさいが、意味を持たなくなる。何であれその時点以降に起こることは、私たちにとって無意味なのだ -
科学革命を含め人間の進化が全て人間の信仰、想像力と密接に関わっていることがわかった。上下通して人類の繁栄の歴史を見てきて、最後の章の幸福と豊かさについての章が1番興味深かった。この本を読む前から社会が発展しすぎて逆に不幸になっているのではないかと感じていたので、それが言語化された感じでスッキリした。何をもって幸せな人生だと感じるんだろう、自分にとっての幸せは何だろうということを考えた。今帰省していて、とても感じるのは家に人がいるのが幸せだなあということだ。一人暮らしも快適だが、将来的には家庭を持ちたいなあと強く感じた。僕たち子供のために働いてくれる親に感謝するとともに、自分の成長以外にもそういった仕事のモチベーションもあるんだなあと考えた。仕事が自分の中では幸福度に大きく関係すると考えたが、ほかが充実していてこその仕事という位置づけの方が、人間として自然なのかもしれない。そう考えると、趣味がハッキリといえなかったり、暇な時間の使い方が下手なのは不幸なことなのかもしれない。また教育が好きだが、それをどう仕事にするかということも最近考えている。仕事にしない方がいいのかもしれないとさえ思っている。私は子供と関わるのが好きだ。では子供にどうなって欲しいのか、幸せになる力を育んで欲しいのかもしれない。別に勉強ができることだけがいいことではないと思っているし、幸せならそれでいい。私自身は勉強を通して新しいことを知るのが楽しいから勉強をしている。それもいろんな分野について広く浅く知る方が多分好きだ。でもその知識を子供に教えることに意味はあるのか?ある程度は知識を持っていて欲しい。なぜなら無知だと騙されるからだ。自分でしっかりと判断できる人になって欲しい。主体的に学ぶ子供を育てるためには自分が学びを楽しんでいる姿を発信するのがいいのかもしれない。
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上巻より更に話は興味の対象外に向かう。
面白い人には面白いのでしょうが。
上巻、下巻を通しての一貫性が希薄なのかな。 -
読書時間はかかりますが、読み応えある本でした。ユバルノアハラリさん自身がイスラム出身でいながら、「宗教は虚構だ!」と言うところが面白く、人間はどこから来て、どこへ向かうのか。と言う問いが、今後の世界は考えていかないといけないのではないかと、気付かされた本でした。
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『内容はすごいが、読み切るには根気が必要』
■読了時間 3時間19分
■この本をオススメする人
・人類史や文明史、宗教史に興味のある方
・遠い過去にロマンを感じる方
■感想
上下巻とも読みました。科学改革が人類にもたらしたものなど目から鱗の記述もあり、いまだかつてない人類史の考察に、とてもロマンを感じました。内容については多くの方が記載しているとおり間違いなく良書ですので、私はこの本の読みやすさについてレビューしたいと思います。
まず一言で表現すると、とてもヘビーです。ホリエモンの著書の中で本書を薦めていたので、何かしらの学びがあると確信して私は最後まで読み進めましたが、文字がぎっしりで、難解な部分もあり、読みづらく、何気なく手に取って読み進めるにはハードルが高い本です。読書初心者には間違いなく向きません。一言一句読むのは大変なので、途中でくじけそうな方は斜め読みで、全体の内容をざっと把握するほうが良いと思います。気になる記述の箇所はぜひ読み込んでください。本書をかみ砕いて解説した本があれば読んでみたいです。 -
上巻の認知革命。農業革命と比較すると失速感否めない。
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長かった~。難しかった~。科学の進歩が人々に、未来は今より良くなる、と信じさせて、投資という概念が生まれたというのは面白かった。
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読み終わりたくないと思って1ページ1ページ読みました。
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下巻は、時代でいうと中世ごろから始まり、現代、または未来について書かれている。もっとも、時代について明確に区別されているわけではない。
「文明」というものが多様であり多くのことを含んでいるため、読みやすいがある程度の複雑さがある。
幸福について書かれた章では、筆者はいつの世も人は幸福というものを十分に感じることはなく、ゆえに幸福を追い求めると言いたかったのだろう。「文明は人間を幸福にしたのか」というタイトルからも理解できる。
サピエンスの終わりについては筆者は明確にしていない。誰にも予測ができないということだろう。 -
やっとこさ下巻読み終わりました。上巻と同じ形で現代までの歴史を辿ってきます。以下、私が特に気になった文を書き留めます。
・信用は未来が今より良くなっているという前提に立っている。今より悪くなる前提では信用は生まれない。
・資本主義は、富を蓄えた人が再投資することが前提になっている。
・自由主義が行き過ぎると、一部の強欲な人々によって利益だけが優先される世の中になり、一部の人間の人権や尊厳は無視される。
・どんな種類の質量もエネルギーに変換できるという発見により、人類はエネルギー不足に陥ることは無い。
・ホモ・サピエンスが繁栄した理由は、想像力による。想像力で作り上げた虚構、例えば宗教、国家、国民、企業、法制度、人権、平等などを信用することで繁栄した。
想像力によって虚構を作り上げることができたことが、繁栄の元とは斬新な切り口でした。 -
上巻の人類誕生に至るミステリーとロマンは心躍る展開。下巻は少し中だれしたかと思ったが、超人類に至る議論では、今の我々の足元がグラグラと不安になる怒涛の展開。(私が生きているうちには心配ないが…子供は?孫は?)
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また読みたい本。
最後の怒涛の流れ、これまで述べられた虚構や科学は全てここに帰結するんだと衝撃だった。