「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044220

感想・レビュー・書評

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  • 共同親権

  • 育児休暇、手当の国際比較などのデータはとても参考になったが、統計的にあらゆる結論を導き出していくのは、どれも単調で少し飽きてくる。そうなんだけどだから何、という内容が多い。

  • 家族に関して調べたのデータを解説する本
    自分でも述べているが、そこまで新しい発見などはあまりない、でも裏付けがあることが大事。
    新しい知見はないが、「どのような分析をすればバイアスを回避し結論を言えるようなデータを集められるのか」という視点は参考になる。

    少子化①子育てによる暗黙の損失②家庭分業の利益の低下
    幼児教育の成果は消えやすい、貧しい家庭の引き上げが効果のメイン。
    日本は制度上は育休が恵まれている。給料の割合で出るので育休の充実は貧富の差の拡大につながる。
    共同親権により、養育費の受け取れる確率の上昇

  • 367.3||Ya

  • 筆者が書いている通り、当たり前と思われることをデータで検証することは大切だと思う。データ分析の仕方や示唆の出し方について学ぶ必要性を感じた。

  • 本書は気鋭の労働経済学者による、サントリー学芸賞受賞作である。

    副題に、データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実とあるが、「真実」とはいえ、これは、「巷のあやしい言い伝えや、噂話よりは真実に近い」というのが正確であると思われる。

    実際に、著者もデータ分析の解釈については、慎重に判断をした上で解説をしている。

    もっとも、本書を通じて巷のデータ分析や、そもそものデータが「結構あやしい」かもしれないという可能性に気づくだろう。

    分かりやすく刺激的なデータと、データ分析に惑わされずに「家族の幸せ」を選択していくために、有用な本である。

    個人的には、伊藤公一郎(2016)『データ分析の力』光文社新書と合わせて読むとより良いと思う。本書により「データ分析そのもの」を理解することで、『「家族の幸せ」の経済学』が、どれほど意味のあるものなのか、より深く理解できるようになるはずだ。

    筆者が36頁で述べているように「当たり前」をデータできちんと確認しておくことはとても重要である。

    ではまず、私が特に面白く感じたデータをここで紹介しておきたいと思う。

    「図表1-4:出会いのきっかけ」である。これは、第15回(2015年)出生動向基本調査を基にしている。

    多い順に並べると、
    1.友人・兄弟姉妹を通じて(30.8%)
    2.職場や仕事で(28.2%)
    3.学校で(11.7%)
    4.街なかや旅先で(5.7%)
    5.サークル・クラブ・習い事で(4.8%)
    6.アルバイトで(3.8%)
    7.幼なじみ・隣人(1.6%)
    8.お見合い(6.4%)
    となる。

    どうだろうか。街なかや旅先で、というのは個人的にロマンチックだなぁと思うが、おおよそ予想通りといったところか。
    晩婚化、未婚化が進む現代であるが、ほとんどが恋愛結婚に分類される。

    出会いのきっかけ別に、どれだけ関係が続いているかを見るのも面白そうだ。

    次に、子供をもうけることを念頭に置く人々にとっては重要なデータ分析結果も紹介されている。

    それは、「出生体重が重いほど、出生時の健康状態は良く、生後1年間の生存率も高い(80頁)」ということだけでなく、「出生体重が10%増えると、20歳時点でのIQは0.06高く、高校卒業率は1%上がり、所得も1%増える(80-81頁)」というものである。

    つまり、妊娠した女性が健康で、無理することなく出産まで過ごせる環境を構築することが、子供の幸せにとって重要であるということが示されている。

    これは、「社会的にも幸せ」なことである。妊娠さんが、忙しく働いたり、不摂生をすれば、赤ちゃんかわ健康に産まれる可能性が低下するのは、当然であるから、妊娠さんには、社会的にも配慮しなければならないということだ。

    母乳育児のメリットや、帝王切開のデメリットについても、非常に重要だが、詳しくは触れない。結論からすると、「母乳育児はできるならすべき」、帝王切開は「避けれるなら避けるべき」ということになる。

    加えて、「しつけ」において「叩く」のはNGであるということの根拠も示されている。つまり、なぜ体罰はいけないのか?ということだ。

    本書によれば、「親が体罰を行うことで、自分の葛藤や問題を暴力によって解決してよいという誤ったメッセージを伝えることになってしまうため」である。

    体罰により育てられた子供は、他の子供に乱暴しがちで、問題行動を起こしやすくなるという、日本の研究結果もあるようだ。

    このようにみると、やはり「子育て」において大切なのは「母の選択する権利の尊重」と「周りのサポート」であると言えるだろう。

    さらに、本書では今述べた「周りのサポート」に当たる内容だが「子育てのプロ」としての保育士さんにスポットが当てられている。

    本書の言葉を借りると「子供にとって育つ環境はとても重要であるけれど、育児をするのは必ずしもお母さんである必要はない」のである。

    認可保育所がより信頼できるのはもちろんだが、本書では、日本の保育所の質の高さに言及した上で、家事に仕事に忙しいお母さんが「無理なく」子育てをするために、保育士さんに頼り、安心して家事や仕事をすることを勧めている。

    一方で、保育所の質にはバラツキがあるため、質の良い保育所がこれまで以上にふえるべきであること、待機児童問題の解消を優先すべきこと等も主張している。

    筆者が説くように、幼児教育の充実には大変なお金がかかるが、その成果は犯罪の減少に見られるように、「社会全体に薄く広く」受け取られるため、その費用を「税金によって薄く広く」負担することは妥当である(215頁)。

    個人的には、ここがポイントだと思っていて、経済学用語では、「幼児教育に正の外部性がある」とも言えるが、このように、幼児教育の充実は、「家族にとって」だけでなく「社会にとって」も重要なことなのである。そして、このことを「社会が認めなければ」前には進まないと強く思うのである。

    煎じ詰めていえば、
    「人間にしっかり投資をする社会」を構築してこそ、「家族の幸せ」が実現できるのではないだろうか。

    本書は、とりわけ、未来のお父さん、お母さん、先生にオススメしたい。

  • 統計学的に正しい事実なんだろうけど、出生体重と将来の偏差値、収入は比例するみたいなこと書いてあった。娘を早産低体重で生んだ自分としてはとても落ち込む内容。帝王切開についても似たような記述あったけど、該当の人が読んだら傷つくだろうなと思った。

  • 個人的に「イクメンの経済学」はためになった。元々感じていたとおり、客観的合理性の観点からは、育休取得には良し悪しある(むしろキャリアにはマイナス?)との調査結果。
    何でも理屈で納得したがる男子にはオススメできる本かと思う。
    とはいえ、自分の幸せは自分にしか決められないので、こういうものも参考にしつつ、悩みながら前に進んでいきたい。

  • 結婚、出産、育児、保育園、離婚についての「常識」に対し、アカデミックに分析した内容です。

    家族がテーマだと、感情論になりがちです。きわめて私的な世界です。合理的だとか科学的に信頼できるなど優位性があることも、分かっているけどあえてそれを選択しないというケースは多いかと思います。

    だとしても、「何となく」で語られてきたテーマを、学術的な立場で白黒つけてくれた本書は、たいへん意義があります。

    明確な根拠がないまま、昔から言われている通りにしているのもおかしな話。一方、科学的に正しいことを知り、その上で、それを選択しないという考えは「あり」だと思います。

    なお、タイトルから、子育て真っ最中の方の関心を引くかと思いますが、本書は、「我が子に与える教育」の話ではなくて、社会としてどのような政策がコストに優れ、適切なのか、という内容です。

    「子育てが仕事のスキルアップにつながる」は、同感です。1人でも多くの父親が、このことに気づいて積極的に育児に参加してくれることを願います。

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著者プロフィール

東京大学大学院経済学研究科教授

「2021年 『子育て支援の経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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