第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334961886

感想・レビュー・書評

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  • 前著ティッピングポイント、邦訳「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」が面白かったので手に取った。

    瞬時に下した判断は、慎重に時間をかけて下した結論と比べて決して見劣りしない。
    適応性無意識と言うらしい。脳が瞬時に結論を導き出してくれる。常に専門情報をインプットしておくとそのレベルは上がりそうだ。

    但し、第一感の判断を言語化して表現するには訓練を要する。マヨネーズやコーラの各社の微妙な味の差を言語で表現する料理のプロ等の様に常日ごろ自分の興味と情熱をそそぐ何かについて表現する努力が求められる。逆に、素人が無理に言語化しようとすると記憶が捻じ曲がる可能性がある。市場調査では今までに存在しない新商品の体感を素人にヒアリングする時に気を付けたい。消費者は本当にそのモニターしている製品が嫌いなのか、それともまだ慣れていないのか、新商品との未来を想像できなければそもそも評価・表現できないものを、その場のセリフをそのまま間に受けると落とし穴にはまるかもしれない。マーケティングには心の行間を読み取り、プロとしての美意識や判断が必要になりそうだ。

    また第一感の弱点は、環境に左右されやすい点。
    偏見ですぐに判断が歪んでしまうし、ストレスがあっても判断が狂うし、時間が無さ過ぎても判断を間違えてしまう。

    これはハロー効果が一定の効果があることとも解釈できる。
    例えばある人に対して第一印象、外観が良い方が信頼感があるように評価したり能力がある様に評価をしてしまう効果のこと。

  • 影響力の武器の続編。
    ナポレオンの言葉はよくわかります。

  • 美術の贋作を見抜いたり離婚しそうな夫婦を見抜くのに綿密な調査や分析がなくても人間の直感で案外当たるものだ.ということを書いた本.事例が豊富.

    じゃあ応用する(第一感をいい方向にはたらからせる)子にはどうしたらいい?と考えるが,膨大な経験を積むしかないように見える.ハンターハンターのクラピカの念修行的な.
    ”どうやら私たちは自分の得意なこと,いつも気にかけていることに関しては,経験と情熱で第一印象の質を高めていけるらしい”

    至った第1感に論理的説得力を付与するのが能塚椎野と同様,第1感を身につけること自体も体系を確立することは難しく経験主義,帰納的アプローチを取るしかないみたいだ.

    ・断片的な情報による直感的な意思決定は実は役に立つ
     美術品の真贋判定
     あるゲームにおける攻略法への気づき
     夫婦の未来を数分の会話で見分ける
     医者がシンプルな質問事項である病の有無を判定する
    ・それとは反対の情報を可能な限り集め整理した情報が前者に劣ることもある.
     軍事演習(意思決定システムvs直感司令官)
    ・情報を集めれば集めるほど良いとは限らない.
    ・その道のプロでも大衆の反応を読めるとは限らない
      ある音楽家のプロデュース

    ・口では合理的説明な難しい直感的判断が大衆の意思決定を変えうる 感覚転移
     マーガリンのプロデュース,味や食感といった製品そのものの質ではなく色や包装に着目し支持を獲得:感覚転移
     専門家に不評だった椅子が市場に出て徐々に評価されキャズム超え

    “市場調査には問題がある.よくない製品となじみがないだけの製品の違いを捉えられない場合が多いからだ”
    →質が悪いことと,馴染みがないことという対比は使えそう.
    →革新的テック企業やブロックチェーン・暗号資産業界に対する認知にも説明できそう.


    ====================

    カード巡り実験結果
    認識よりも早く直感的に危機察知

    意識的な働き 経験に学び、情報を蓄積し、整理、ら論理的

    無意識的働き 手のひらに発汗、時間がかからない
    →"適応性無意識"

    ”輪切り”ー>直感的判断の材料となる.断片的な情報

    ★”私たちは、判断の質はそれに費やした時間と努力に比例すると信じてきた"

    直感的アプローチで正解に気づけない理由
    ・科学を信じやすい
    ・こうであってほしいという願望が混じっている


    15分の夫婦の会話ー>1秒ごとに夫婦間の感情をスコアリングー>15年後の夫婦を予想できた.
    ジョン・ゴットマン

    戦争中のモールス信号の傍受
    暗号化された信号内容そのものではなく各担当が無意識に出してしまう信号の癖(信号長やリズム)から「誰が」通信しているか割り出し通信兵の数やシフトの推定にまで発展.筆跡鑑定
    →OSINTだ.

    夫婦の中を見極める顕著なサイン
    防衛,はぐらかし,批判,軽蔑. 特に軽蔑.

    医療訴訟ー>
    医療ミスの有無や診察の質ではなく医師の患者への接し方(声の調子など)によって訴訟の有無が分かれる

    プライミング実験ー>事前に見聞きしたことがその後の判断や行動に影響を与えること
    ・人種を意識させるだけでテストのスコアが低下
    ・落ち着き,忍耐や我慢を肯定する言葉を浴びることでその後の待つ動作の時間が実際に伸びる.

    前頭葉腹内側部を損傷した人に対する実験ー>”輪切り”が働かないー>ある意思決定に些末なメリットでメリットを挙げてノロノロと検討.
    (意思決定の筋が悪い人やができない人,ノロノロとした人への悪口に使えそう…)
    ー>直感的判断が我々の日常生活を支えている.システム2の思考だけでは良く生きていけない.
    ー>婚活イベントのペアをどんどん入れ替えて様々なパートナー候補と喋らせるのも.”瞬時の判断”機能を使うイベント.

    ”輪切り”の負の側面ー>見た目で人を判断してしまう.
    アメリカ第29代大統領ハーディング

    P91
    “人種や性別といった事柄に対する人の態度には二段階あるということだ.ひとつは意識的な態度,〜,無意識的な態度”
    →第一印象を捜査するという月並みな答えしかないが、人は見た目に騙されるという悲しい現実。意識的には平等・公平に人を扱うマインドを持っていたとしても無意識には。
    "第一印象は経験と環境から生まれる"
    "常にマイノリティと接し、一緒にいてうちとけられるようになり、彼らの文化のよい面に親しむ"
    →第1感が働くのを否定せずいい方に作用する経験を積む

    「感覚転移」:パッケージ(見た目)が品定めに影響
    “客は美味しいアイスクリームには金を出す.チョコチップが大きくなった場合と同じように,丸い容器に入っているほうがきっとおいしいに違いないと消費者は考える”

    ききジャムー>専門家と大学生で似たような結果になった.しかし評価の理由を書かせたら大学生側がダメダメに.
    ー>プロとアマチュア巻の「自分の考えを知る,表現する能力」の違い
      プロの方が第一印象を的確な語彙で再現できる.

    表情を作る筋肉と自律神経の動き
    →感情があって表情ができるだけでなく、表情が感情を想起する→顔色を読む、マインドリーディング

    自閉症患者 人を認識するときにものを認識するときと同じ脳領域が活発になる→人はただのモノ。目線を合わせる意味がわからない

  • たぶん、ほとんどの人が知ってた、っていうと思う。
    経験則からくる直感の話。
    人の表情とか仕草から判別している、もしくはそれまで培った経験と知識を無意識の内にデータベース化して結論を導き出していると。
    そういった意味では鍛えることができるし、逆に自閉症の人は人の顔色を読むことができないので難しいというのも興味深かった。

  • 読んで外れのない作家のひとりが書いた本作も、興味深い事例が扱われている。
    第4章「瞬時の判断力」では、米国史上最強の知的リソースが与えらえた青軍と実績ベースの赤軍によって、どちらが勝つかの予行演習が行われた。その結果は・・軍司令部の思惑とは逆に赤軍が勝ったのだが、実際に本戦に採用されたのは青軍だった。
    また、犯人を目撃した人物の記憶は、(自分の)言葉で安易に書き換えられる(特徴を言葉にした瞬間、記憶はその言葉に引きずられ変容する)という事実を、警察や裁判所は知っているのだろうか?
    第6章「心を読む力」では、4人の警察官が挙動不審な黒人を41発もの銃弾で射殺した。その原因は、先入観と勘違い、さらには被害者がどもり癖のある黒人だったことも輪をかけた。その後、パトロールは警官の一人乗車が主流になった。
    その他にも、マインドリーディングやクラッシック楽団の女性奏者受難の話、専門家の瞬間的違和感による贋作を見破る確率の高さ、ブラインドテストの限界など面白い話題がてんこ盛りです。
    全集中でお勧めします。

    著者:1963年イギリス生まれ。
    カナダ・トロント大学トリニティカレッジ卒。
    『ワシントン・ポスト』紙のビジネス、サイエンス担当記者を経て、現在は雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターとして活躍中。邦訳には『天才!』『ニューヨーカー傑作選』ほかがある。
    ある製品やメッセージが突然、爆発的に売れたり広まったりする仕組みを膨大な調査とユニークなフレームワークによって解き明かした最初の著書『ティッピング・ポイント』(邦題『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』)、人間は、長時間考えてたどり着いた結論よりも、最初の直感やひらめきによって、物事の本質を見抜くという仮説を検証した2冊めの著書『ブリンク』(邦題『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』)は、いずれも世界で200万部を超える大ベストセラーになっている。

  • 面白かった

  • 直感は必ずしも正しくないということ、プロの直感は感覚によるものではなく、長年のトレーニングから生まれたものであるという話。

  • 直感は意外と正しいし、かつ養えるものという話。時間をかけたり、言語化することで正しかったものを間違えてしまうというのは面白い。また、時間がないと「自閉症」になり、情報を処理できずに誤った直感が働くというのは悲しい現実だと思う。話の趣旨は面白いが、文体は若干あきる。

  • 人間の無意識さの性質、判断においておこりうる事象の理解を進められる1冊。

    「Adaptive unconscious/適応力無意識の力」
    ・人は無意識のうちに素晴らしい判断を下す能力を持っている。
    綿密に時間のかかる理性的な分析と同じ位に、瞬間のひらめきには大きな意味がある。このことを認めてこそ、私たちは自分自身を、そしてそのそして自分の行動よりよく理解できる。
    ・審美的な判断よりも科学的な議論のほうがずっと客観的だと信じてきたが、そうではなかった。
    ・しかし無意識の判断の全てが正しいと言う保証は無い。体内コンピューターがいつでも正しい判断を下すと限らないのだ。時として、直感的なひらめき「第1感」を曇らせる何かが存在する。早く目玉商品が欲しいとか、初恋の相手だとかと言う類の事情である。そうだとすれば、第1感を信じて良い場合と信じてはいけない場合を区別する事は可能なのか。どんな時に体感は曇るのか、どんな時に体内コンピュータは来るのか曇るのかを理解することが重要。
    ・また、第1感は養うことができ、自由に操れる。

    第一章:輪切りの力
    ちょっとの情報で本質をつかむ
    ・人間の関係性に関しては、4つの感情に注目すれば良い。防衛、はぐらかし、批判、軽蔑である。その中でも軽蔑の感情が最も重要である。

    第二章:無意識の扉の奥
    理由はわからないでも感じる。
    ・瞬時の判断や瞬間的の日は閉じた扉の奥で起きる。どうも何が判断の根拠になったのか説明しようとしても正確にはできない。

    第3章:見た目の罠
    第一印象は経験と環境から生まれる。つまり第一印象を構成する経験を変えれば、第一印象を生む輪切りの方法を変えられるのだ。瞬間的なひらめき「第1感」のパワーを認め、結果はさておき第一印象が日々の生活に及ぼす影響力を認めるからには、そうしたパワーを管理し操作するために積極的にに行動する必要がある。

    第4章:瞬間の判断力
    論理的思考が洞察力を損なう
    ①正しく判断するには熟考と直感的な思考のバランスが必要だ。
    ②優れた判断には情報の節約が欠かせない。正しく判断下すには情報の編集が必要。選択肢が多すぎると、無意識の情報能力を超えて、麻痺してしまう。瞬間の判断を瞬時に下せるのは、情報が少ないからだ。瞬間の情報を邪魔したくなければ、情報を減らすことだ。
    第5章:プロの勘と大衆の反応

    「感覚転移」
    消費者がスーパーやデパートで製品を買うとき、製品のパッケージに対して抱いた感覚や印象を、知らず知らず製品そのものに転移ことである。
    要するに無意識のレベルでほとんどの人がパッケージと製品を区別しないと考えた。消費者にとって製品のパッケージと中身は一体なのだ。
    マーガリンの例として、白ではなく黄色にし、当時高品質の印であったアルミ箔で包んだ。消費者に良いと言われて訳ではないが、間接的に尋ね、本当の動機を理解した。
    コカコーラ、ペプシのケースでも同じことが言える。試飲調査の結果を重視しすぎただけではなく、ブランド名を伏せて飲み比べさせる「ブラインドテスト」の調査方法そのものが的外れだった。従来のコークがブラインドテストで負けたことなど気にするべきではなかったし、ペプシがブラインドテストで勝ちながら市場で勝ってなかったことにも驚くには当たらない。なぜなら実際にはコークの名を伏せて飲むことなどないからだ。コークを飲むときはブランド、イメージ、缶、見間違えようのない赤いロゴといった無意識の連想全て、コークの味の感覚に転移させるからである。
    コカコーラの失敗は、ペプシにシェアを奪われた原因が全て製品にあると考えた点にある。効果やペプシの売れ行きは、ブランドイメージに左右されやすい。彼らはそこ見落として、製品そのものを変える事しか考えなかった。一方、ペプシは若者に狙いを定め、マイケルジャクソンのイメージキャラクターに使って、イメージアップを図った。もちろんシーンでは甘い製品が好まれるわけだが、消費者は試飲によって購入する製品を決めたりしない。コカコーラの問題は白衣を着た研究者たちの力が強すぎたところにある。

    ・革新的製品は市場調査になじまない
    良くない製品となじみがないだけの製品の違いを捉えられない場合が多い。消費者がまだ見慣れないため当の理由で言語化できないことが多い。
    第一印象を再現できるプロ、訓練されていて言語化できるプロと、言語化するように訓練されていない消費者たちの違いは理解しておくべき。

    第6章:心を読む力
    以下の場合のように正しい判断ができなくなる状況を理解し、無意識を訓練するのが重要である。
    興奮すると相手の心が読めなくなる。
    人は時間がないと先入観に引きづられる。感覚という現実の証拠に頼るのをやめて、融通の効かないシステム、ステレオタイプに頼る。
    「仕切り越しのオーディション」女性だとわかっていたら採用されなかった、情報をシャットアウトした最初の二秒がやはり重要なのだ。

  • 読み終わるのに時間がかかった本。
    結局、何が伝えたいのかがわからない。

    第1感が正しいこともあるけれど、
    極限状態なると、それも怪しい。

    実例を列挙して書いてあるけれども、
    アメリカの話でピンと来ない。

    アメリカの警察官の実例がいくつも
    出てきたけれど、これを読むと、
    アメリカには住みたくないと思った。

    そんなことが伝えたい本質ではないと
    思うのだけど、ただ座っていただけで、
    勘違いされて、銃で撃たれるとか、
    絶対にイヤだなぁと思った。

    この本に書かれた研究、それぞれは、
    素晴らしい研究だと思えるのに、
    本になったら、その研究の素晴らしさが
    薄れてしまっているのが、もったいない。

    視覚情報について書いてある部分、
    表情が精神に与える影響、
    自閉症の人が見ている世界についての
    記述が印象に残った。

    ただ、伝えたかった本質はなんなのかが、
    わからない。

    ブクログのレビューをいくつか読んでみたけど、
    人それぞれ、書いていることが違うので、
    読んだ人も、内容が掴みきれなかったのではないかと
    推測する。

    良いことが書いてあるのに、印象に残らないのは、
    ちょっと残念な感じがする。

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著者プロフィール

1963年イギリス生まれ。
カナダ・トロント大学トリニティカレッジ卒。
『ワシントン・ポスト』紙のビジネス、サイエンス担当記者を経て、現在は雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターとして活躍中。邦訳には『天才!』『ニューヨーカー傑作選』ほかがある。

ある製品やメッセージが突然、爆発的に売れたり広まったりする仕組みを膨大な調査とユニークなフレームワークによって解き明かした最初の著書『ティッピング・ポイント』(邦題『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』)、人間は、長時間考えてたどり着いた結論よりも、最初の直感やひらめきによって、物事の本質を見抜くという仮説を検証した2冊めの著書『ブリンク』(邦題『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』)は、いずれも世界で200万部を超える大ベストセラーになっている。

「2014年 『逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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