螢 (幻冬舎文庫 ま 3-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410350

感想・レビュー・書評

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  • 視点人物を誤認させる叙述トリック。登場人物の1人が途中から全く登場しなくなり、はっきりいってバレバレ。

    しかし、その後ろには、逆叙述トリックともいうべきもう一つのトリックが隠されていた。

    視点人物の誤認に関するヒントを文中に分かりやすく散りばめ、わざと読者に気付かせる。勝ち誇って読んでいくと、最後にもう一つのトリックにやられる。
    そんな作者の意図を感じる。

  • いわゆるクローズド・サークルもので好みのシチュエーションだが、序盤から中程まであまり入り込めなかった。事件が次々に起きるわけではなく、盛り上がりに欠ける展開だからだろう。しかも、奥歯にものが挟まっているみたいな違和感。

    しかし最後まで読んでみれば、感じていた違和感の正体も、入り込めなかった理由もわかる。あぁ、叙述トリックってこんな使い方もあるのかと。正直驚いた。そして、自ら築き上げた作品をぶち壊すかのようなラスト。

    本書のレビューで「叙述自体もう古い。だいたい人物描写ができていない」とか書いている人がいるのを見た。おそらくこういう「最後の数ページのために存在する本」が嫌いなのだろう。確かにそういう人には勧められない。純粋に騙されるのがお好きな方はぜひ。

  • 読み始めからずっと違和感があった。何か、読む側の視点が定まらないというか・・・。今、ここに誰がいるんだっけ?このしゃべってるの誰?という基本的なことを見失いやすいため、興味が続かない。
    それも叙述トリックのせいだった、というのは最後に分かるのですが、それも驚きというより、分かりづらいなあ、という感想しか持てなかった。

    トリックを分かった上でもう一度読むと、全然違う見え方がするだろうな、とは思うが、謎解きや犯人の動機が特にたいしたことないので、そんな気力も湧かない。

    面白いミステリーを読みたい!と思い、自分なりに調べてこの本を選んだが、少なくとも個人的には全く合わなかった。

  • かつて天才ピアニストが所有し、残酷な事件が起こった場所・ファイアフライ館。その館を所有するOBに誘われ、大学のサークル・アキリーズの面々は館に訪れる。一年前、連続殺人犯によって殺された元メンバーの対馬つぐみへの想いを綴りながら、物語は思いもよらない方向に進んでいく。


    とにかく二回読まなきゃいけない本ですね。初回と再読とでは書かれている内容がびっくりするほど異なっている。
    物語の仕掛けは一言で言えば叙述トリックなのですが、仕込まれてるのが一つではなく二つなところ、そしてそのうちの一つが犯人の特定と密接に関連しているのが本当にすごい!随所で見られる「対馬つぐみ。女神」とか「ブラック・プリンスならぬブラッド・プリンス」みたいな中二っぽい言い回しにはいちいちうおっとなりましたが、面白かった。
    そういや登場人物のイニシャルが全部そろっていて(K・KとかS・Sになっている)、千鶴だけ仲間はずれなところから何らかが仕掛けてあると読み取ることも出来る、と友人が言ってましたが、そんなの確実に気付くはずがないだろ!と思いましたww
    あと、個人的にあのラストは好きではないです。

  • 仕掛けが面白かった!
    千鶴が女性だと知ってるのは語り手だけなんだろうな、というのは他のメンバーが何も気にせず体に触れたりしてるからそうなのかなという予感があり。
    長崎が途中から影薄すぎていないものみたいな扱いになってるからたぶん犯人なんだろうと思ってたけどまさか最初から語り手が諫早じゃなく長崎だったとは全く気付かず。やられた~という感じ。それを知った上で頭から読み返したら「体脂肪率は怖くて知らない。」という台詞も確かに自分で言うことはあってもあまり他人には使わないなぁなど色々気付きがあって面白い。

    あと登場人物のイニシャルの文字が千鶴以外全て苗字と名前で一緒なのは最初に気付いたので、これがどう物語に絡んで来るんだろう…!?とわくわくしていたが思ったより関係なかった 笑
    「松浦将之」という偽名を使っていたという伏線だったのかな。

    始まりから終わり方まで綾辻行人の館シリーズと雰囲気が似すぎていて絶対意識してるなと思ったが調べたらやっぱりそうだった。
    個人的には館シリーズに引けを取らないくらい楽しめました。島原と千鶴の一回生コンビ可愛かった。

  •  館×クローズドサークルという本格ミステリーの様相のようで叙述トリックという仕掛けは何となく分かったものの、ファイアフライ館の不気味な仕掛けやクラシックと螢、そしてファイアフライ館の因果などがストーリーを引き立てていて面白かった。ラストは麻耶雄嵩節炸裂といった終わり方だった。それにしても土砂崩れで七人の遺体が発見されたという記述があったけど、生き残った一人は誰だったんだろう…?

  • 館に閉じ込められた殺人という超ベタな設定!叙述トリックとしては凝っているが逆に読者たる小生の頭が悪すぎて、そこまで意外性はなかった。
    どちらかというと演奏の音や殺人鬼ジョージの正体といった怖い要素が強い。特に最後のエピローグは強烈で忘れられない。
    地名に因んだ人名が覚えやすく平戸さんのキャラクターが親しみやすいのも好き。

  • ミステリーらしく伏線回収もめっちゃ良かった。
    だけどラストがええ、、、!?っていう感じ

  • 読んでいて、ところどころ違和感が有るものの、完全に騙された。もう一度、読み返したくなる。
    しっかり驚かされたので評価は高め。

  • 麻耶雄嵩作品にしては正統派な印象。
    読者に仕掛ける叙述トリックと作品内のキャラクターに仕掛ける逆叙述トリック。
    誰が生き残ったんだろう。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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