螢 (幻冬舎文庫 ま 3-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2219
感想 : 247
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410350

感想・レビュー・書評

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  • ほとんど登場しない(ように見える)人物がいたり、自分をボクと呼ぶ女性がいたり、明らかに何かが怪しいが、それでも読み進めていくことになり、最後に騙されたことに気づく。読者はもちろん、作中の人物まで騙されているトリックがあり面白い。後日再読したくなる作品。

  • 明らかになっていく真相に驚かされた。一番大きなトリックには途中で気付いてしまったので、ここ衝撃の台詞ですよ!ってとこでその気分を味わえなくて残念なような、自慢気なような。細かい違和感はやっぱり何となく納得しながら読んじゃうなぁ。あとになって、あの違和感はそのせいかーと読み返すのも、こういう作品の醍醐味。結構好きな登場人物が残念なことになり、しかも最後の最後で…。憂鬱な気分になりました。でも面白かった!

  • 初麻耶雄嵩作品。

    館モノに非常に重要な、「雰囲気」は出てたんじゃないでしょうか。



    ※ネタバレ↓


    所謂どんでん返しがある叙述トリック系作品として有名ですが、
    実はこの作品を読む前にレビューなどを幸運にも全く聞かず、純粋に読むことが出来ました。
    しかし、僕は作者の意図とは反して罠にはハマることが出来ませんでした。

    この作品の趣旨というか狙いとしては、視点をあやふやにして、視点を長崎視点の三人称ではなく、諫早視点の三人称だという風に誤認させることにあったんだと思います。
    ですが、僕は最初から長崎視点で読んでいたので、最後の真相を披露された時も何も感じませんでした。
    最初からわかってることじゃないか。という感じで。


    今にして思えば、一人称を諫早としても読めるような構造になっているなあと、
    関心するのですが、引っかからなかった分やはり感動は薄いですね……。もったいない。
    というか、松浦と諫早の二人で話してるシーンでバレそうなものですが……。
    実は危ない綱渡り的な場面だったんですね。


    あ、でも、松浦が女性であるという真相を、なんと読者の側に知らせるという逆叙述トリックには驚きました。斬新ですね。
    そしてそれがトリックの証拠にもつながってくると。

    麻耶雄嵩さんは変わった作家です。

  • 仕掛けられてるトリックに感心する。
    普通の叙述トリックではなく逆になってる。
    トリックが明かされると倒叙ミステリーの様になる。自分でも何を言ってるか分からんけど。
    読んでいる分にはややこしくないけど、読み終わるとややこしい。
    読後に色々語りたくなる。その意味では今敏のパーフェクトブルーみたいな。

    最序盤から語り手を長崎に固定してしまってた事が悔やまれる。
    語り手が曖昧なのが不満で、最初の数十ページを何度も読んで長崎で落ち着いてしまった。
    あわよくば終盤の風呂場のシーンで驚愕できたかもしれないのに。
    ベットに横になり優しく囁きかけるシーンの違和感が半端ないので多分無理だったけど。

    タカタカタを全部口に出して読んだせいか、最終盤は恐ろしくなってしまった。からのエピローグがもう怖い。

    解説を大胆要約すると、
    『トリックのための登場人物、行動、描写は、人工性の極みのような小説だが、その中で会話し泣き笑うのは生きている「人間」で、そんな齟齬に魅惑的な戦慄が宿ってる。』
    と書いてあるが、がっつり戦慄けた。

  • 館、クローズドサークル、過去に連続殺人。
    そそられる文言が続きます。
    中村某を思い起こさせる館でした。
    面白く読めました。

  • 麻耶雄嵩。オカルト探検サークルがかつて惨劇の起きた山間の屋敷に合宿に訪れる。そこで本物の殺人が起こる。
    クローズドサークルもので二人の探偵役の推理合戦で話が進む。しかし本作品の肝は作者の叙述トリックで、初めてこの作者の作品を読んだ自分は読みながら違和感があったものの騙された。ただストーリーよりも作者のテクニックを愉しむ作品なので合わない人には合わないと思う。

  • 2つの叙述トリック、どちらも気づけなかった
    影薄いやついるな、誰だっけ?と思う人はいたが、疑問に思わなかった
    読者が女とは知っているが、登場人物は男だと思っているパターンの叙述トリックも初めてだった(綾辻行人に似たようなのはあった気がする)
    ただ、閉ざされた館もので過去の事件などとの関連性など面白かった
    あと、いつものオカルトチックな作風と違い、サークルとか身近な設定だった
    最後がちょっと後味悪くスッキリしないところがあったのが残念だった

  • ミステリーにおいて唯一性を目指すのは難しい。このトリックもあのトリックもどこかの誰かの手垢がついている。だからこそミステリは先細りなテーマであると言われがちだ。

    その中でも唯一性を目指している作品で、自身を持ってそれを売りにできる作品。

    ミステリーをたくさん読めば、評価すべき点が分かるが一方で分かりやすい描写が少なくとっつきづらく感じる部分が多いので『たくさんミステリを読んでいます!!』と言う人以外にはお勧めできない。

  • 単行本で読了。気をつけながら読んでいたし、違和感も感じていたのに、やられた。ラストに謎が残るので、答えが知りたい。

  • まぁまぁ長かったわりにはこんなもんか、といった感じ。
    前半はワクワクしたが、後半になるにつれ
    なんだかなと思いました。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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