- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488105082
感想・レビュー・書評
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久々に再読。ミス・マープルがデビューした短編集。
一人ずつ自分しか結末を知らない事件を話して、他のみんなで真相を推理することになったところ、作家、画家、牧師、弁護士、元警視総監というメンバーの中で、いつも真相を言い当てるのは意外にも村の老嬢のミス・マープルだった‥
13の短編が入っており、覚えていたのは半分くらい。古めかしいけどやはり面白い。
昔は良さがわからなかったマープルのキャラも、今読むといい感じ。
ベストは「火曜ナイトクラブ」、「血に染まった敷石」、「青いジェラニウム」。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◆ お風呂でミステリ ◆
・・・ 第四回 「ミス・マープルと13の謎」 ・・・
ポワロとパーカー・パイン氏を出したら、ミス・マープルを出さないわけにはいかないでしょう。
ミス・マープルの短編集「ミス・マープルと13の謎」は、これまた東京創元推理文庫がおすすめです。
翻訳がうまいんだ。
文字の書体デザインとサイズをいい加減変えてくれないかなぁ、とホント、思うよ。ほとんどの読者はもう老眼なんだからさ!
これの半分は“火曜クラブ”といって、みんなで夕御飯を食べたあと、のんびり一人ずつ謎のある話をし、あれこれいいあったあと、ミス・マープルがみごとに真相を言い当てる、という形式になっています。
そのメンバーの一人に警視総監のヘンリー・クリザリング卿がいてミス・マープルにすっかり感心し、あちこちの長編のなかで、現場の警部に、あのかたに話を聞きたまえ、などといってくれて応援してくれるわけですね。
語り口がうまいのですらすら読めるうえに、一つ一つ工夫を凝らしていて、隙のない、できのいい仕上がりの短編集なんです。
クリスティーはトリックの女王、みたいにいわれてるけど、こういうの読むと、とにかく文章がうまい、構成がうまい、という小説の名手だったんだなぁ、というのがわかるね。
読みごたえがあるのに楽に読めますよ。
2017年06月27日 -
ものすごく久しぶりに本を読み終わった。
短編で読みやすいです。こんなとこで語れるようなそんなネタ、みんなよう持っとるな。わたしも色々な経験せないかんな。 -
「アガサ・クリスティー」の『ミス・マープルと13の謎』を読みました。
「ミス・マープル」モノは『パディントン発4時50分』以来ですね。
記念すべき「ミス・マープル」の初登場作品です。
1932年に刊行された短編集で、以下の十三編から構成されています。
■火曜ナイトクラブ
- The Tuesday Night Club
■アスターテの祠
- The Idol House of Astarte
■金塊
- Ingots of Gold
■血に染まった敷石
- The Bloodstained Pavement
■動機対機会
- Motive v Opportunity
■聖ペテロの指の跡
- The Thumb Mark of St Peter
■青いジェラニウム
- The Blue Geranium
■お相手役
- The Companion
■四人の容疑者
- The Four Suspects
■クリスマスの悲劇
- A Christmas Tragedy
■死の草
- The Herb of Death
■バンガロー事件
- The Affair at the Bungalow
■溺死
- Death by Drowning
十三篇のうち十二編は過去に起こった事件(そのうちのひとつは計画しただけで実行されていない事件でしたが… )で、最後の「溺死」だけがリアルタイムに起こっている事件を描いた物語でした。
物語を語る人物だけが結末を知っている、過去に起こった事件を紹介して「ミス・マープル」が難なく事実を言い当てるという趣向も、それはそれでイイのですが、、、
やはりリアルタイムに起こっている事件を解決する作品の方が楽しめましたね。
「クリスティ」作品は、長篇も読み応えがあってイイですが、短編もイイですね。
特に「ミス・マープル」モノは、短編が似合っている感じがします。 -
子供の頃から何度か読んでいてトリックもだいぶ覚えているのだが、実家の本棚で見つけて再読。今読むと「人間性が共通しているから謎が解ける」と言うのはちょっと考えさせられる。
ちなみに我が家の本は時を経て今登録されている画像と装丁も異なる。古びた本になっており味が出て物語と雰囲気がマッチしてるかも。 -
ポワロばかり読んでいたので、(失礼だけど)箸休め的にミスマープルを読んだ。
いやー、アガサクリスティはやっぱり面白い。
ただの推理好きな老嬢であるはずなく、人間性の考察に優れた、性善説に流されないシビアな視点を持った婦人だった。ここまで人間の内面に深く入って見渡せる人は、結局人に興味があって人好きなんだろうな。アガサ女史自身もそうなのでは。
残酷な事実や結果でも(この時代は殺人は必ず絞首刑っぽいし)、言葉は辛辣でも、どこか温かい余韻が残る。だって人間だもの、と。
マープルは短編の方がエッジが効いてそうだけど、また読んでみよう。ポワロシリーズもまだ半分以上未読だし、こりゃ大変だ! -
職場の同僚からお借りした、多分初めて読むクリスティです。
面白かったです。
ミス・マープル、セント・メリー・ミード村から出たことが無いらしいですが、人間性の考察から事件の真相に辿り着くのがすごいです。どんな頭の中なんだろう。
「ほかの女に頭があがらないようなことをしてはいけません。たとえそのときはあなたの味方だと思ってもね」というミス・マープルの言葉はきもに命じようと思いました。
殺人を犯す人間性…よく分からなかったことが、この本を読んで少しはっとなった気がします。普通に見える人があちら側にいく。。 -
やっぱりクリスティは面白い。
僕は、今までポワロは、全点読んだけど、
マープルをきちんと読んだのは始めて。
マープルは、詮索好きの老嬢という
イメージだったが、
実際には、上品で優しいおばあちゃん。
伏線も短編の中に、無理無く隠されていて、
なるほどと思わされる。
常に、身近に怒ったことを引き合いに、
謎解きをしてしまう。
これは、長編も読まなくては!
しかし、クリスティは、
会話構成で話を作るのが上手い。 -
読み返してみると気づくような、伏線のさりげなさがすごいし、ミス・マープルの人物造形も実に魅力的。翻訳ものなので仕方がないが、不自然に挿入せざるを得なかった訳注でキーポイントが示されてしまうのは残念。
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最初の六篇が特に好きな作品。
前後で趣が違う物の、ミスマープルは白髪のお婆様といった印象は変わらない。
犯人というよりも、人への慈しみを感じる人物。
ポアロと違い、短編でこそ活躍する老婦人。村という小さな社会と、それ以外の社会を退避させながら推理する姿は唯の安楽椅子探偵よりも好意を持てる。
読むたびに、クリスティの憧れではあるがなれない姿なのではと思ってしまう。