風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488443139

作品紹介・あらすじ

夏祭りにやって来た、裏染天馬と柚乃たち風ヶ丘高校の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物してもお釣りに五十円玉が含まれるのはなぜ? 名作『競作五十円玉二十枚の謎』をモチーフに挑んだ表題作ほか、天馬の妹の華麗な謎解きも収録した全五編。“若き平成のエラリー・クイーン”が日常の謎に挑戦。人気イラストレーター・田中寛崇による新規書き下ろし扉絵つき。

感想・レビュー・書評

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  • 探偵・裏染天馬シリーズ第3弾
    5篇の短編+おまけ
    学園での様々な謎に裏染天馬の推理が冴える。謎解きもしっかりしていて、ちゃんとわからなかった。
    そして、みんなの学園生活を感じられて楽しい。高校生してるわ~

    特に面白かったのは
    「針宮理恵子のサードインパクト」
    針宮さん可愛いわ〜。早乙女君とのその後が気になる

    「その花瓶にご注意を」
    裏染鏡華ちゃんの推理。鏡華ちゃんのキャラが良い。鏡花ちゃんと姫毬ちゃんのやりとりが可愛いわ〜

    おまけを読んで、さらに裏染天馬のことが気になるわ〜

  • 読みたかった本。裏染天馬シリーズ短編集。体育館水族館の長編読んでなくても大丈夫。みんな美形過ぎ頭良過ぎとかはさておき、論理的な謎解きを楽しめる学園物。『風ヶ丘五十円玉祭り』のシチュエーションや『針宮理恵子〜』の不器用さが愛しい。

  • 裏染天馬シリーズ第3弾。
    今度は天馬、他1名が日常の謎の解決に挑む。

    なんと言っても時間軸の密度とこれまでの作品とのオーバーラップ具合にテンションが上がる。
    第一話は『体育館の殺人』の2週間後(6月下旬から7月上旬くらいか)、第二話は『水族館の殺人』の10日後(体育館の殺人が8月前半だったので8月中旬)。
    そして夏休み中の話題が2話続き、最後は次作『図書館の殺人』の1日前(9月10日)。

    こんなに短期間の設定で展開されていくシリーズものなんて読んだことがない。
    『体育館の殺人』と『水族館の殺人』の時間軸ですら”近いな”と思ったのに、まさかこの作品達の間に5話もねじ込んでくるなんて。
    ある意味この学園生活の終わりが見えず、喜ばしい。

    そして館ものの間を縫うようなストーリーの中で補強される登場人物達のキャラ設定。
    裏染、柚乃、早苗、向坂の主役陣はもとより、針宮、梶原等名脇役達のキャラ補強にも余念がなく、このシリーズの世界観を確固たるものにしている。

    ただ、トリックやミステリとしてはやはり小粒揃いだったかな。
    日常の謎系はえてしてその周辺を楽しむものだと思っているので、それ自体はそんなもんだと思っているが、やはりこのシリーズの目玉、「読者への挑戦状」ありの長編の方が天馬の頭脳がひときわ輝くと思う。

    タイトル作品のモチーフとなっている『競作 五十円玉二十枚の謎』も若竹七海さん発のリドルストーリーとのことで気になったなぁ。

  • 裏染天馬シリーズ2作目『水族館の殺人』と3作目『図書館の殺人』をつなぐ短編集。

    『図書館の殺人』を読む前に本作を挟む方が良いと思うのは、短編集の最後となる「その花瓶にご注意を」の中で、図書館で事件が起きた同時間帯に裏染天馬と異なるある人物が推理を披露していたことが分かるからである。

    ここから感想ですが、やっぱりこのシリーズ作品は面白い!!どハマリしてます(笑)
    裏染天馬は本作では4編の謎を解き明かし、最後の1編は別の人物による推理ですが、前作の『水族館の殺人』を読み終えた上で本作を読むことで、より登場人物それぞれの個性と日常が分かり、まるで読者も現場に居合わせたクラスメイト如く、没入感に浸れる展開でした。
    特に裏染天馬と袴田柚乃の掛け合いが、ギャグ漫画を読んでいるのかと錯覚するほどに楽しく、何度かクスッとニヤリとしてしまいました。(このご時世、マスク下の表情が周りにバレなくて助かりますわ(笑))

    さてさて、いよいよシリーズ4作目の『図書館の殺人』を読み始めようと思いつつ、裏染天馬シリーズロスに怯える今日この頃。。。

  • 裏染天馬シリーズ第3作。
    今回は、日常の謎を集めた短編集。

    何気ない要素をもとに論理を組み立て、意外な真相を導き出す作風に、短編集は合う。

    学食の外に放置された食器の謎。
    五十円玉でお釣りを渡すお祭りの謎。
    いつの間にか割られた花瓶の謎。

    などなど、謎設定も変わっていて、おもしろかった。

    シリーズのキャラクターの個性を楽しめる話。

  • ミステリー書評
    読書レベル 初級
    ボリューム 250頁
    ストーリー ★★★★
    読みやすさ ★★★★★
    トリック  ★★★
    伏線・展開 ★★★
    知識・教養 ★★★
    読後の余韻 ★★★★★
    一言感想:殺人なしのミステリが好な方、青崎有吾著の裏染&袴田シリーズが好きな方にオススメの5編+『おまけ』からなる短編集です。

    今回は、ラブコメ要素が強過ぎるくらいのミステリです。殺人事件も起こらずに、のほほん気分なミステリなので気楽に読めます。特に本のタイトルにもなっている「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」が私の好みでしたが、『おまけ』に登場する人物がスペシャル過ぎてこれも大満足でした(笑。

  • シリーズ第三弾。

    “日常の謎”系の連作五話&“おまけ”が収録されている短編集となっております。

    このシリーズは、ロジカルな謎解きに重きをおいているので、日常の謎とは相性バッチリなはず!と思っていたんですよね~。
    まさに、その魅力が凝縮されている一冊かと思います。

    学食の外に放置された丼の謎を解く、第一話「もう一色選べる丼」。
    夏祭りの屋台で、どの店もお釣りが50円玉ばかりなのはこれ如何に・・?第二話(表題作「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」。
    彼氏の早乙女君を心配する、針宮さんの不器用な心情が瑞々しい第三話「針宮理恵子のサードインパクト」。
    演劇部OBが体験した、抱き合った少女二人の消失とは・・?第四話「天使たちの残暑見舞い」。
    天馬の妹・鏡華が、花瓶を割った人物を追求する第五話「その花瓶にご注意を」。
    ・・・第一話から第四話は天馬のキレキレのロジックを堪能できますし、第五話は鏡華と仙堂警部の娘(!)・姫毬さんとのやり取りを楽しみながら、鏡華の切れ味鋭い謎解きっぷりを見せてもらえます。
    個人的には、“おまけ”の「世界一居心地の悪いサウナ」が大好きで、終始ニヤニヤしながら読んでいました。
    何だかんだで“似た者同士”の二人のやり取りが面白すぎます~ww、
    “彼”が“世界で一番会いたくない相手”ってのも気になるところですよね。

    各キャラクターそれぞれ味があって魅力的なのですが、“裏染ファミリー”が一歩抜きんでている感じです(こうなってくるとオカンが気になります)。
    ところで、いつになく“百合の香り”が芳しい本書ですが、第四話で柚乃と早苗がやらされていた検証現場を鏡華が目撃したら悶絶しただろうな・・と、ほくそ笑んだ私でした。

    あと、これは希望なのですが、針宮さんと早乙女くんの“水族館デート”の話が読みたいです!
    それで、デート中に事件(謎)が起こって何故か居合わせた天馬が解決・・みたいな“水族館のほにゃらら~丸美水族館アゲイン~”的な話を、青崎さん是非よろしくお願いします~♪

    • 111108さん
      あやごぜさん
      私も針宮さんと早乙女くんのお付き合い見守りたいです♡
      〝水族館のほにゃらら〜丸美水族館アゲイン〜“読みたい!
      あやごぜさん
      私も針宮さんと早乙女くんのお付き合い見守りたいです♡
      〝水族館のほにゃらら〜丸美水族館アゲイン〜“読みたい!
      2023/12/11
    • あやごぜさん
      111108さん。コメントありがとうございます♪

      針宮さんと早乙女くんは、不器用で甘酸っぱくて、キュンキュンしながら見守りたくなっちゃ...
      111108さん。コメントありがとうございます♪

      針宮さんと早乙女くんは、不器用で甘酸っぱくて、キュンキュンしながら見守りたくなっちゃうカップルですよね(´艸`*)
      せっかく天馬から丸美水族館のパスポート貰った(押し付けられた?)ことですし、デートの話(勿論謎解きあり)是非読みたいですよね~(^^♪
      2023/12/12
  • 風ヶ丘高校のチャーミングな面々が活躍する短編集、裏染天馬シリーズの第三弾。
    どの作品も人物の魅力が出ていて面白いっ! 裏染天馬シリーズを読んでいる人は必読の一冊です。

    ■もう一色選べる丼 ★3
    裏染天馬と袴田妹のやり取りはどんなことでも楽しいですね。
    犯人の行動ですが、自分も似たようなことをやってしまったことがあります。ごめんなさい…

    ■風ヶ丘五十円玉祭りの謎 ★5
    夏祭りの描写や、登場人物がガヤガヤしている雑多な雰囲気が超素敵。意外性のある結末もGOOD!

    ■針宮理恵子のサードインパクト ★5
    いい年にもかかわらず、思わずキュンとしてしまいました… 二人を応援したくなりました。裏染天馬の優しさも甘酸っぱく、本編のムードを盛り上げています。

    ■天使たちの残暑見舞い ★4
    女子のみなさまがBLを好む理由が少し理解できた気がしました。確かにこの雰囲気はドキドキする。真相を当てる推理も見事でまとまった短編です。

    ■その花瓶にご注意を ★3
    ロジカルにトリックを解いていくさまがお見事。緋天学園の二人も利発で可愛らしく描かれています。

    全編通して、青春があふれ出る世界観がとっても素敵。懐かしいあの頃に戻りたい人におすすめの作品です。

  • 裏染天馬シリーズ第三弾は日常の謎系の短編集。長編二作からの短編集なので、ちょっと箸休めかな、と思ったらこちらもかなり面白かった!

    「もう一色選べる丼」は学食の食堂に返却されず、外に置きっぱなしにされ、なおかつ半分しか食べられていない丼の謎をめぐる短編。

    シャーロック・ホームズはワトソンと初めて出会ったとき、握手をするなりワトソンが海外に行っていたことを言い当て、その理由を述べました。

    裏染の推理もそれを彷彿とさせます。わずかな痕跡から食器を残していった生徒の特徴を絞り込んでいき、それに加えてのロジックで、遂に一人の生徒にまでたどり着く構成はお見事の一言!

    『体育館の殺人』『水族館の殺人』と、ロジックに相当なこだわりを見せてきたこのシリーズですが、短編集の『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』でも、そのこだわりは健在です。

    表題作「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」は、祭りの屋台のお釣りがなぜか50円玉ばかり。さらに調べていくと、少年が屋台の店主にお釣りを50円玉にしてほしい、と頼み回った、という謎をめぐる話。

    不可解な謎と、ある意味納得のいく意外な動機がこれもまた上手い。シリーズのキャラもわちゃわちゃと登場して、その賑やかさも良かったです。

    「針宮理恵子のサードインパクト」は、作中随一の甘酸っぱさ。
    不良ぽく、口調も乱暴な理恵子とその後輩の華奢な吹奏楽部部員の早乙女。一応付き合っている二人ですが、早乙女が部活内でいじめられている、と思われる状況に理恵子は遭遇してしまい……

    理恵子の一人称の語りと思考のもどかしさや、照れくささであったり、その青臭さが「いいなあ」と思ってしまう短編でした。

    不良少女のギャップというか、女の子らしさというか、好きな人にはたまらないこと請け合いじゃないかなあ。そしてこの短編での裏染が、ある意味これまでで一番主人公らしかったかも(笑)

    「天使たちの残暑見舞い」は教室から忽然と消えた二人の女子生徒の謎。
    耽美な雰囲気もあり、そして大仕掛けもありの短編。この耽美な雰囲気も好きな人にはたまらないはず。

    「その花瓶にご注意を」は裏染の妹の鏡華が主人公。
    花瓶を割った犯人との推理対決。天馬は名探偵らしいというか、解決シーンになると淀みなく一気に推理披露し、事件を解決するイメージなのですが、鏡華は犯人の反論や矛盾を指摘されつつも、粘り強くその穴を埋めて、犯人を仕留める推理という感じ。

    各短編と比較しての、天馬と鏡華の推理の過程の違いも面白かったし、もちろんロジックもしっかりしている。普段は猫を被ってる鏡華の暴走と、ワトソン役である同級生の姫鞠のやり取りも、他のキャラたちに負けず劣らず面白かった。

    そして、最後に収録されているおまけの「世界一の居心地の悪いサウナ」
    この短さでもロジックを放り込んでくるあたりは流石だな、と思ったのですが、登場する二人の関係性や、セリフからのも今後気になるところでした。
    でもまあ、この二人「同じ穴のムジナなんだな」と思ったりもしたのだけれど(笑)

    青崎さんの長編のがっつり推理にページを使う本格ミステリも好きですが、この短編集のような気軽に読めるロジックのミステリも、キャラの魅力も相まってとても良かったと思います。
    長編だけでなく、この路線でもどんどん作品を発表してほしいなあ。

  • 風ヶ丘高校では日々、謎に満ちた出来事が起こる。放課後の教室で抱き合う女子高生たちの謎。食堂裏の片付け忘れられたトンカツ弁当の謎。どの屋台で買い物してもお釣りにご十円玉が含まれる謎。学食や教室、放課後や夏休みを舞台に、不思議に満ちた学園生活を描く連作短編集。

    高校生の日常に焦点を当てた “裏染天馬”シリーズ初の短編集。この短編集では殺人事件は一切起こらず、高校生の日常で起こるちょっとした謎を、探偵 裏染の持ち前の推理力で明らかにしていく。というお話。

    ただ、数少ないヒントと状況証拠を分析して、丁寧にロジックを紡いていく様子は圧巻で、ミステリの醍醐味が凝縮された五篇の短編たちは非常に満足度は高めでございました。

    また本作では、普段、”裏染天馬”シリーズで脇役とされるキャラに焦点が当てられたスピンオフ的な作品でもあり、“体育館の殺人”、”水族館の殺人”と読んできた僕からしたら、いろんな登場人物の普段では見ることの出来ない一面を盗み見することもできて、そちらの点でも満足です。

    “風ヶ丘五十円玉祭りの謎"を読む上で注意点を挙げるとすれば...本作だけを読むとなると楽しみが半減する可能性が高いので、本作を最大限に楽しむには、シリーズ一作目の”体育館の殺人”から順に読むことをおすすめします。

    またノベライズ的な趣が強くて、キャラクター性を楽しみたい!という方には”裏染天馬"シリーズは非常におすすめです。(ミステリ要素も十分面白いので心配無用です)

    興味があれば、ぜひ、手に取ってみてくださいね。

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著者プロフィール

★小説家/推理作家。“平成のエラリー・クイーン”の異名をとる、本格ミステリ界の若きエース! 代表作に『体育館の殺人』『図書館の殺人』『ノッキンオン・ロックドドア』など。

「2018年 『ネメシス ♯40』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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