勉強するのは何のため?―僕らの「答え」のつくり方

著者 :
  • 日本評論社
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535563292

感想・レビュー・書評

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  • シンプルにタイトルに惹かれて読もうと思った。将来教員となろうと考えているので生徒からこのような質問があったときに、生徒が納得できるような回答がしたいと思い読んだ。
    本書の答えとして「自由になるための力を養うために勉強が必要である」とのことだった。ここで言う自由とは出来るだけ納得して出来るなら満足して生きたいように生きられているという実感を得られることで、ここで言う力とは知識や技術、教養と学ぶ力、考え方なので考え方で重要となるのが自由相互承認が大切である。
    ケンカ=だめ、危ないと考えがちだったか、ケンカから学ぶことが多くあるとこがわかった。また、一般解を求めることが大切であることがわかった。

  • それは自由のため。
    精神的に、1人の人間として自分の人生を選びとっていくため。
    その土台を築くのが公教育としての学校。
    教育を行う1人の人間として、読んでおいてよかった。問いのマジックにとらわれずに、自分なりの解を持つことがいかに大切か。
    150年変わらない学校も少しずつだか、変わりつつある。これからも子どもの自由のため、時代に合わせて、多様な方法を模索していきたい。

  • 「何のために勉強するの?」この問いは、教員にとって避けられないテーマになると思い、購入した。これまでの自分にとっては、「自由になるため」という答えを持っていた自分との違いを知ることができればと思って。

    著者にとっても「自由になる」ということが勉強の意味だという。「生きたいように生きたい」想いを叶えるための力(武器)をつけることこそが勉強することの本質的な意味だと気づいた。
    一方で、「絶対的な正解」にこだわりすぎている自分にも気づいた。大事なことは「自分なり」を見つけること。そしてそれを「納得解」という形に持っていくことであった。「自由の相互承認」を高められる学校という場で、納得解を作り出す意義は大きい。納得解は時間がかかるけど、第三のアイデアとして、より建設的な答えに近づき、かつ、「誰かを想う」気持ちが育まれるから。

    答えを作るために、「一般化のワナ」と「問い方のマジック」に引っかかることなく、「自分なりの答え」を見つけて、それを強固に固めていくことに取り組んでいきたい。答えのない問いが多い世の中だからこそ、生徒たちには「納得解」を通して「お互いの自由」を認め合える関係性を伝えていきたい。

  • 勉強するのは何のため?
    という絶対解を求めて読もうとしてたこと自体が愚かだったと気づかされた本でした。
    哲学の本でした。

  • 読みやすい。中高生向けということになっているようだが、むしろ18歳以上の人に向いているように思われる(だいたい小学生向けとして出版されている本は中高生以上に向いているような気がする。中高生向けの本も同様に)。
    学ぶのは自由を得るため、学校に行くのは「自由の相互承認」をするためと著者は結論づける。「多様性」という言葉が話題になって久しいが、「自由の相互承認」とは「多様性を認めること」と言い換えられるだろう。
    最後の項目が特に「中高生向けというより、教育者や中高生の保護者向けでは?」と思わせる内容だった。

  • とても分かりやすい文章で、ちゃんと納得できる答えが示されていた
    さりげなくリビングに置いておいたけれど、残念ながら高一の息子と中一の娘にはササらなかったようで未読
    たまには「哲学する」のも良いものなんだけどなぁ~
    というのは大人になった今だから言えるのかもしれません

    • QAZさん
      これは良い本を紹介いただきました。読んでみます。^^
      これは良い本を紹介いただきました。読んでみます。^^
      2020/03/28
  • 勉強は自由に生きるためにあるという考えはある程度納得できる。自由の相互承認の考えも読んでいる間は納得できる。しかし、現場の教師にとっては、数値化出来る「学力」を求められ現実と理解の狭間て悩まされる。
    教師の1つの物差しで子どもを押し測らないように、気を付けようと思うきっかけとなった。

    時間をあけて、また読みたいと思った。

  • 【概略】
     「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」「これに意味、あるんですか?」「なんで学校に行かないといけないの?」・・・自らも口にしたこと、あるかも知れないし、自身の子供に尋ねられることもあるかも知れない。こんな「正解」のない問いに対して考えを巡らせて、哲学のエッセンスを交えながら、「納得解」を探していく好奇心をくすぐる、または育む機会を与えてくれる一冊。

    2019年12月21日 読了
    【書評】
     やはり年が明けた1月の講演準備のために購入して(Kindle版)すぐ入浴中に読み始めた。もう、お風呂場から出られなかった、読み終わるまで(笑)なんか色々と、鱗が剥がれ落ちた感覚、目だけじゃなくて体中から。
     自分も含めて、ここ最近は、どうしても「正解」を探してしまう、自分の判断を是非で振り返ってしまう、そして起きた失敗に汲々としてしまう、だから余裕がなくなってしまう、などという悪循環に陥っているような気がする。だから「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」という問いについても、どうしても「正解」を求める(考える)姿勢になってしまう。まずはそこから離れてみるということ、大事だね。
     この本は、著者が哲学を専攻しているため、哲学者としての観点からこの「なんで・・・」を紐解いてくれてる。正直、「哲学」=「堅苦しい」=「難解」なイメージを勝手に作ってしまっていた、自分は。なんというか、「座禅を組んで宇宙合一」みたいな(笑)だから世俗にまみれた自分とは縁のない世界と思っていた。けど、違うんだね。ニーチェの恋に落ちた話なんて、親近感めっちゃ湧く(笑)
     本書では「納得解」「一般化のワナ」「問い方のマジック」「ニヒリズム」「神は死んだ」(←ここら辺はニーチェだよね)「学力という言葉」「自由の相互承認(本書における「自由」の定義がある)」あたりがキーワードとなって進むのだけど、そこを哲学の要素を踏まえ、小気味よく展開してくれる。
     最高に大きな鱗が目から落ちたのは「なんで勉強しなきゃいけないの?」→「自分はどういう時に勉強する意味を感じられるのだろう?」→「条件整備」という流れを見た時。勉強ができる人はできる人で、できない人はできない人で、それぞれこの「なんで勉強しなきゃいけないの?」って横たわるんだよね。この辺りを本当に明解に紐解いてくれる。もちろん、「正解」という形じゃないよ。「納得させてくれる」という言い方が正しいね。
     12月に入って、あおぞら高等学院さんで生徒さん達を前に話をさせてもらった時、また過去にも高校生を前に話をさせてもらった時、この本に出会っていたらもうちょっと違った表現で話を展開できていたかも。逆に言えば、これから同様の機会を与えてもらった時が凄く楽しみ。
     喜餅・人生のバイブル10冊(和書編)、入れ替えだ(笑)

  • Kindle Unlimitedにて読了。

    私にとっては文句なしの良書でした。書籍で購入する予定。
    まず、哲学というとっつきにくい分野をとても分かりやすく説明してあります。そして、あらゆる分野の問題において、意見が二極化しやすい(正しいか正しくないか、賛成か反対か等…)のはどうしてか。哲学とはこういうものだよ、と丁寧に説明してあり、小学校高学年くらいからなら十分理解出来る内容だと思います。

    どうして勉強をするの?どうして学校に行かないといけないの?
    私自身、何度も疑問に思ったけれども納得する答えが見つからずモヤモヤしたまま大人になりました。
    この本を読むと、そのモヤモヤに少し光が射します。そして自分で考えることが大事なんだ、と思わせてくれると思います。

    学生の人にも、お子さんを持つ親御さんにもオススメです。

  • 哲学的に勉強するのは何のためなのか、学校とはどうあるべきなのかを考えていく本。

    「一般化のわな」「問いのわな」
    「自分なりの正解」「自由の相互承認」

    ブログでの紹介を見て、図書館で借りた本。

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著者プロフィール

哲学者・教育学者。1980年生まれ。熊本大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育学)。早稲田大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程修了。専攻は哲学・教育学。経済産業省「産業構造審議会」委員、熊本市教育委員のほか、全国の多くの自治体・学校等のアドバイザーを歴任。著書に『学問としての教育学』(日本評論社)、『「自由」はいかに可能か』(NHK出版)、『どのような教育が「よい」教育か』(講談社選書メチエ)、『勉強するのは何のため?』(日本評論社)、『はじめての哲学的思考』(ちくまプリマ―新書)、『「学校」をつくり直す』(河出新書)、『教育の力』(講談社現代新書)、『子どもの頃から哲学者』(大和書房)など多数。

「2022年 『子どもたちに民主主義を教えよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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