衣更月家の一族 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
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本棚登録 : 174
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562047710

感想・レビュー・書評

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  • 2012.3.16.初、並、帯なし、ミステリーリーグ
    2013.1.28.白子BF

  • 「鬼畜の家」で興味を抱き、二作目に挑んだ深木章子作品。
    この作品ではイヤミスっぽさは消え、どちらかといえばスタンダードな推理小説の趣。
    いわゆる連作短編形式のミステリーで、いくつかのエピソードが最後でピタっと繋が
    るタイプ。

    鬼畜で登場した私立探偵、榊原が連続登板。この作品では榊原の心情描写が殆ど無く、
    早くも動きだけで魅せる名優に変貌。性格的には東野圭吾作品に登場する加賀恭一郎
    タイプで、彼の一挙手一投足がかなり魅力的。純粋なミステリーというジャンルでも
    充分通用するキャラクター。

    組み立てが良く出来ていて、さっくり読める良質のミステリーであることは間違い無
    いのだが、鬼畜の読了後に感じたインパクトには少し及ばない気が。あちらには紛う
    こと無き悪意という劇薬的なスパイスがあったから、この感想も致し方無いのかな?

    ただ、ミステリー作家としての深木章子には大きな才能を感じるのも事実。
    次回作での更なる充実振りを期待しときます!

  • 誰に感情移入しても、どうなんんだろうなあ、
    と思わせられる登場人物。
    きっと何かがあるはず、と読むもそれぞれの物語として進んで行く。
    そこから繋がる真相、
    あれがないとどういう風に繋がってるのか分からなかったわ〜。
    誰に、と書いたけど、
    実際妹にも姉にも宝くじの方の関係も借金両親の方も、
    人間関係って複雑で恐ろしいもんだよなあ、
    と考えてしまうような。
    元恋人だけが救いのようでした。
    完全犯罪を起こし得る人間はなかなかいないんだろうなあ。
    結局頭がいいのか何なのか?って計画者達。
    一瞬探偵も実は?なんて勘ぐっちゃったけど。
    面白かった。

  • この作者は法学部出身の元弁護士。60歳過ぎから執筆活動を開始したというが、作者の年齢を感じさせない。単純な事件と思われたその裏には、刑事も気づかない衣更月家一族の人間模様が見え隠れする。私立探偵榊原の名推理が事件の謎を解いていく。

  •  妹を追ってきた妹の旦那に姉が殺されてしまった「廣田家の殺人」。宝くじで3億円当たった男にうまくなりすましたにも関わらず、誰かに殺されてしまった「楠原家の殺人」。そして、ヤクザに弱みを握られ謎の運び屋をやらされたあげく、謎の女を殺させられた(!?)「鷹尾家の殺人」。何の関係もなさそうな3つの事件だったが、ただ一人、私立探偵の榊原聡だけにはある繋がりが見えていた。

     前知識無しに読めば、最初は短編集かと思う程、3つの話につながりは見えない。が、最終章で知られざる繋がりが榊原の推理によって明かされる。しかしその関係はかなり複雑なため、だんだん嫌になってななめ読みになってしまった(^^;これを説明するには○○○が一番ということは作者もわかっているらしく、物語後半の292ページで初めて図解されるのだが・・・できたら最初からこれを知りたかったとすら思ってしまった。でもそれだと、3つの事件がつながっていると知った時の驚きが演出できないしなぁ。

     今回の探偵役になんとなく覚えがあるなぁと思ったら、前作の「鬼畜の家」にも出てきていた。警察関係者もこの私立探偵自体に興味をもっているような記述があったし、これから先、シリーズ化されてこの榊原の人となりも掘り下げられていきそうな雰囲気もあり。

  • 廣田家・楠原家・鷹尾家それぞれで起こった殺人事件。全く関係がないと思われた3つの事件が最後に一つの事実に結びついていく。最後の章で明かされていく繋がりが見事で、面白かった。こんな一族嫌すぎる…。

  • 少し面白い趣向のストーリー仕立てで、まぁまぁ面白かった。けど、元刑事の私立探偵榊原が、できすぎかな^^;

  • 最初は1つ1つ異なった短編集として読んでいたが、最後の章であんなに見事につながるとは、意外と言うか、凄いと言うか…無理矢理まとめてしまっている感じも否めないが、文章も読みやすく、一気に読める。

  • 前作の「鬼畜の家」があまりにも完成度が高かったので期待したのですが、ちょっと奇をてらいすぎた感が無きにしも非ず。とは言え、そこいらの凡百ミステリーよりははるかに面白くてオススメです。

  • 一見、関係なさそうな三つの事件の裏には、実は・・・
    理路整然としていて、破綻は無いのだけれど、何だか面倒くさい話だな。
    人間のイヤらしいトコを描いている割には、品が良すぎる感じがした。

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著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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