衣更月家の一族 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.40
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本棚登録 : 174
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562047710

感想・レビュー・書評

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  • 深木章子作品は「鬼畜の家」に続いて2作目だが、今回は短編のような4つのストーリーが実は全て繋がっているという話で、ミステリー作品として非常に緻密に構成されていると思います。深木章子の作風は精密機械のように話の筋としておかしな部分が無く、トリックや犯行の動機なども完璧なのですが、逆に完璧すぎて遊びの部分がないため、そういう意味で若干面白みに欠けるところがありますね。ミステリーの王道とも言える作品です!

  • 一見まったく関連のなさそうな3件の事件。
    姉が妹の夫を殺した「廣田家の殺人」
    3億円の宝くじが当たったことから端を発した「楠原家の殺人」
    階段降り口近くで口論する両親を思わず突き落とした「鷹尾家の殺人」
    しかしある男の登場により、事件は驚くべき構図をみせる。

    という、深木さんの第2作目。
    やっぱ元弁護士さんって、いろいろなモノを見てきたんだろうなぁ。
    と思わずにはいられない作品。

    それぞれの事件がそれなりに楽しめて、なおかつ長編としても高い完成度。
    人間の厭~なところがかなり描かれているのに楽しめるのは、刑事さんのツッコミのおかげかな。
    読者の感覚に一番近いのが刑事さんだったような。

    最終章で謎解きが始まるとあまりの複雑さに、久しぶりに思わずアレを作ってしまいました。
    が、すぐその後で挿入されていたので、やっぱりね。と。
    コレが出てくる作品って久しぶり。冒頭にないのがミソだわね。

    いやぁ面白かった。次も期待しちゃうな。

  • (No.12-29) ミステリです。

    内容紹介を、表紙裏から転載します。
    『「すぐ来てください!姉が・・・・、私の夫に殺されたんです」
    凶器の花瓶には通報者の夫の指紋が付着、その夫は逃走中・・・。
    これを捕まえれば万事解決、当初は単純な事件と思われたのだが、数日後に男が出頭、そこから思わぬ展開を見せ始める・・・。』

    「鬼畜の家」で、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した深木章子さんの作品です。やっぱりかなりぐちゃぐちゃな関係の人達ばかり出てきます。
    最初の殺人事件が解決したのかどうか微妙なところで全く別な話になってしまい、え~これがちゃんと繋がるのかな?と気になって仕方ありません。
    そうしたらまたまったく別の話に・・・。上手いなあ、読者の気をそらせないこの展開!

    でもたくさんの登場人物がバラバラ出てきて、名前を覚えきれないし関係が分からなくなりそうだわ。
    最初に登場人物表でもあればそれを見ながら読めるのに。いっそ人物表を作成しようかなあ、と思った頃、なんと登場人物の一人が他の人に説明するために関係者の相関図を作ってくれました。
    なんて良いタイミング!そうだよね、最初にこれがあると興ざめな部分が出来てしまうから、隠してたのね。ますます作者に感心しました。

    どろどろで身勝手な動機の殺人事件の話ですが、なぜか読後感は悪くなかったです。
    読み出したらやめれない、面白いミステリです。お勧め!!

    これが「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」受賞後、第一作なのかな?
    とても面白かったので、受賞した力は本物だと思いました。

  • よかった。
    三つの事件が描かれ、何が起こっているのか…
    ラストに明かされるのは…

  • 一見ありふれていそうで単純な三つの事件。しかしその背後には何か不審なものが潜み、やがてそれらが繋がっていく形式のミステリ。どの事件もさほど凄惨でもなくインパクトもないのに、少しずつ謎が残されていて。それらがラストで一気に明かされるのは、圧巻。
    まさかあれがすべての事件の発端だったとは……! 恐ろしいのは、人間の欲望。ひそかに丑の刻参りをしていたあの人も恐ろしいし。体面取り繕ってさぞ家庭円満のように装うあの人も常軌を逸しているし。人間の嫌な部分をこれでもかというほど突きつけられた感じで。だけど当然、そんな人間ばかりではないとほっとさせられる部分もありました。

  • 2012/03/26読了

  • 前作『鬼畜の家』に引き続きこちらも傑作。仕掛けそのものもだけど、何よりその見せ方に唸らされる。思わせぶりなプロローグに続き語られる、一見無関係な三つの”単純な”殺人。それらが一つに繋がり、隠された真の構図が明らかになってゆくさまが圧巻。緻密に張り巡らされた伏線の回収も見事。

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著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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