戦火の馬

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566024182

作品紹介・あらすじ

私の名はジョーイ。愛する少年との穏やかな農場暮らしを後にして、最前線に送られてきた。そこで眼にした光景は…。私は駆ける、戦場を。愛する少年との再会を信じて、駆け抜ける。

感想・レビュー・書評

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  • 第一次世界大戦を舞台とした作品で、スティーブン・スピルバーグ監督が映画化したことでも有名。
    本国イギリスでは舞台化もされたとのこと。

    そんな本作の主人公は馬のジョーイ、そうです、馬が語り手となり、飼い主であるアルバートと共に農場で暮らすシーンから始まります。

    戦争がジョーイとアルバートを引き裂き、ジョーイは軍馬として戦地へ。

    過酷な戦地での体験。

    戦争は多くの人々のみならず、動物達をも巻き込む残虐な行為。

    アルバートはジョーイとの約束を果たすため軍に志願し戦地へ赴く。

    ジョーイは無事にアルバートと再会出来るのか?

    <あらすじ>
    ジョーイは農場でアルバートと出会い、深い絆で結ばれるが、戦争が始まり軍馬に売られてしまう。ジョーイはイギリス軍、ドイツ軍、フランスの農家など様々な人々と出会いながら戦場を生き抜く。一方、アルバートも軍に志願し、ジョーイを探しに行く。戦争が終わり、二人は奇跡的に再会するが、ジョーイは競売にかけられることになる。アルバートはジョーイを買い戻そうとするが、高額で落札されてしまう。しかし、落札者はジョーイとアルバートの絆に感動し、ジョーイを手放すのだった。

    本の概要

    内容(「BOOK」データベースより)

    私の名はジョーイ。愛する少年との穏やかな農場暮らしを後にして、最前線に送られてきた。そこで眼にした光景は…。私は駆ける、戦場を。愛する少年との再会を信じて、駆け抜ける。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    モーパーゴ,マイケル
    1943年、イギリスのハートフォード州生まれ。ロンドン大学キングズ・カレッジ卒業。小学校教師を経て作家となり、とりわけ児童文学作品を数多く発表。この分野で、現代イギリスを代表する作家としての地位を確立している。2003~2005年桂冠児童文学作家

    佐藤/見果夢
    1951年、神奈川県生まれ。明治大学文学部卒業。公立図書館に勤務ののち、絵本や児童文学の翻訳にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 次から次へと劇的な展開で、着地点はあざとささえ感じるほど実に上手くいっている。
    まるでアメリカ映画のようではないかと思って読んでいたら、とうに映画化されていた(笑)
    2012年に公開されたスピルバーグ監督の【War Horse】という作品らしい。
    知らないことは山のようにあるものだ。

    そして、あざとさを感じながらも先が気になって読み進めてしまうのは、やはり面白いからだ。
    飲んだくれの農夫に競り落とされたサラブレッドの運命。
    ジョーイと名付けられ、農夫の息子であるアルバートの自慢の馬となる。
    しかし牧歌的な交流の場面は、長くは続かない。
    第一次大戦がはじまり、軍馬として召集され戦線へ。
    そこで出会った様々なひとと馬と。そして過酷な戦いと。
    ジョーイは再びアルバートと巡り合えるのか。
    どこかで再会を信じてはいても、そこまでの道のりは容易ではない。

    馬の視点から語ることで情緒的になりすぎず、かといって冷淡すぎることもない。
    むしろ、敵も味方もなく公平に見ている馬の視点はとても新鮮で、それでよけいに
    戦争の愚かしさが際立つようになっている。
    登場人物の中には、善人もいればそうでもない人もいて、平等に訪れる「死」は、
    情け容赦なく描かれる。
    それは、戦線でジョーイの支えだったもう一頭の馬にしても同じ。
    人が死ぬ場面よりも、この場面の方がぐっと胸に迫るのは、馬の目線で描ききっているからだろう。

    ひとと馬の交流の部分が楽しいだけに、戦争の悲惨さがより浮かび上がる。
    (有刺鉄線に絡む場面では、泣けた。あと、エミリーという少女の哀れさも)
    読書感想文もきっと書きやすいだろう。
    テーマも把握しやすく、アルバートと同世代にあたる中高生にはたぶん私も薦めてしまうかも。

    • nejidonさん
      vilureefさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      おお、この映画をご覧になったのですか。
      そして、辛い描写だったので...
      vilureefさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      おお、この映画をご覧になったのですか。
      そして、辛い描写だったのですね。
      うーむ、映画のほうは情緒的に作ってあるという意見がありますが、
      そのあたりが辛く感じられたのかもしれませんね。
      本書は、辛くはないです(笑)。
      馬を通して語る戦記物なので、決して楽しいだけではありませんが、
      映像よりは文章の方が柔らかいのでしょうね。
      過剰な思い入れもなく、突き放しもせず、ちょうど良いスタンスかと思います。

      ええ?ミュージカルもあったのですか?!
      馬の中に人が入ったのかなぁ(笑)。

      2015/08/14
    • mkt99さん
      nejidonさん、こんにちわ。(^o^)/

      自分も映画で観ました。
      えええっ!というほどにこんなにも都合が良いものかというストーリ...
      nejidonさん、こんにちわ。(^o^)/

      自分も映画で観ました。
      えええっ!というほどにこんなにも都合が良いものかというストーリーだったと記憶しています。
      ちょっと「物語」し過ぎているところが、物語に浸れない理由のような気がしました。

      アメリカ人ってこうゆうの好きなのかなって思ってしまいました。(^_^;
      2015/08/15
    • nejidonさん
      mkt99さん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      おお、やはりこの映画をご覧になったのですね。
      本で読んでもかなり出来すぎ...
      mkt99さん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      おお、やはりこの映画をご覧になったのですね。
      本で読んでもかなり出来すぎなので、映画化となると少々興ざめかもしれません。
      この原作を読んでから映画は、たぶん、見ません、ワタクシは。

      アメリカ人て、こういうのが好き・・なのかもしれませんよ(笑)
      Amazonで星五つだしファンの方も多そうなのでタイトルは伏せますが、
      アメリカ映画離れの元になった作品というのが、私にはあります。
      反面、真摯に作ってる作品もあるんですけどね。
      となると、ここはやはり時代劇ですか(大笑い)!

      2015/08/17
  • 戦争に駆り出された馬の目線で語られる戦時下の日々。平穏な日に救われてほっとした後に過酷な状況に落とされ、読んでいても心が振り回されました。軍馬がこのように扱われていたことを初めて知り、異国の地で馬も人も故郷に帰ることを願いながら死んでいったことが本当にやるせない。

  • 第一次世界大戦で、独軍と戦った英軍兵士の百万人ちかくが戦死、徴用された軍馬の二百万頭が銃弾や大砲に倒れ、ぬかるみにつかり、病気になって死んだ。 そして終戦後、英国政府は生き残った馬を本国に輸送せずに、食肉用としてフランスの肉屋に競り落とさせた。この心ない人間の愚行に憤りを覚えたイギリスの児童文学作家マイケル・パーゴが、駿馬<ジョ-イ>の目をとおして語った、人間と馬との熱き魂の物語。 スピルバ-グ監督の映画「戦火の馬」が記憶に新しい感動篇。

  • 馬と人の心の交流、戦争の酷さ、人間の愚かさと温かさ。
    戦火を生き抜いた、生き抜けなかった人々や馬についての物語。
    翻訳も読みやすくて、映像が浮かびやすくてよかった。

  • 映画良かったから原作読みたいのに、全体評価低すぎでは?

  • 第一次世界大戦直前のイギリス。サラブレットの血を引く子馬が、ある農家に買われていった。その子馬はジョーイと名付けられ、農家の息子アルバートが愛情こめて育てた。しかし父親は借金返済のため、ジョーイを軍隊に売り払うのだった。

    馬のジョーイの視点で語られる戦争の物語。騎兵隊としてフランスの戦地へと赴き、戦いの渦に巻き込まれ、混乱の中ある時はドイツ軍の荷馬車引きとなり、ある時はフランス農家の世話になり、ある時は激しい戦火のもと命からがら逃げることとなる。
    そんな時にジョーイのそばには、ジョーイを気にする人が必ずいてくれた。ジョーイの美しさや強さに惹かれた人が。
    しかし戦争はそんな人との別れを予告なくもたらす。愛してくれた人との別れ、苦楽を共にした人との別れ、共に助け合った仲間との別れ。どの別れも不意に訪れ、感傷に浸る余裕もなく次々に戦争の嵐が襲いかかります。
    馬のジョーイの目を通して書かれるためか、それらの別れは実に淡白なものです。しかし実際に戦中での人の生き死にや別れは、そんなものだったのかも知れません。

    物語終盤に訪れるジョーイに大きな運命。希望へと繋がるラストシーン。悲惨さとは対極の終焉を迎えることにより、より一層戦争の過酷さや冷徹さが浮き彫りとなるのかも知れません。

  • 第一次世界大戦直前のイギリスから物語が始まります。
    物語の語り手(主人公)は馬のジョーイ。彼は母親から引き離されて農場に買い取られますが、アルバートという少年と出会い、愛情をかけられて育ちます。
    しかし、戦争の波がイギリスの片田舎にも押し寄せ、ジョーイは軍馬として供出されフランスの戦場へと運ばれます。
    イギリス軍の軍馬からドイツ軍の捕虜となり、ドイツ軍の軍馬として戦場で荷馬車を引くようになるジョーイ。
    馬に親切にしてくれる人もいれば、その余裕もない人もおり、またその人の善悪にかかわらず戦争という状況は無慈悲に人の命を奪っていきます。

    ストーリー展開に「甘さ」はほとんどなく、「戦争」という大きな力に振り回される兵隊たちと、彼らに翻弄される「馬」の視点から当時の状況を垣間見ることができ、生きることの大切さ、平和の価値を改めて考えさせてくれる作品です。

    物語の終盤では「救い」もあり、読後感も穏やかではありますが、やはり戦争の悲惨さをかみしめさせられました。

  • 読みながら アメリカのテレビドラマ 「コンバット」をおもいだした。
     児童書という括りもあるだろうが、やはり、欧米の戦記ものは明るいな~。
     悲惨さもやるせなさも もちろん盛り込むけれど、最後はハッピーエンド。

  • 戦争の記憶を共有するために

    違和感あり
    終戦後に馬をフランスにのこして帰ること
    戦争の悲惨さを伝える方法はいろいろあるが
    馬が主人公の一人称の語りはなじめなかった

    東郷は運のいい男ですから
    乃木大将の言葉を思い出す

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著者プロフィール

1943年英国ハートフォードシャー生まれ。ウィットブレッド賞、スマーティーズ賞、チルドレンズ・ブック賞など、数々の賞を受賞。作品に『ゾウと旅した戦争の冬』『シャングリラをあとにして』『ミミとまいごの赤ちゃんドラゴン』『図書館にいたユニコーン』(以上、徳間書店)、『戦火の馬』『走れ、風のように』(ともに評論社)他多数。

「2023年 『西の果ての白馬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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