ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569843100

感想・レビュー・書評

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  • ウイグル自治区、そして中国の近代史を何もしらない状態で読み始めたので結構キツかった。歴史が入り組んでるのと、実際起こっていると信じたくないような内容で。転生先の異世界ですか?と言いたくなるような描写に、目を背けたくなるけど、まずはきちんと知ることが大事だと思うので、読めてよかった。

  • いても立ってもいられなくなる。自分の身をもって確かめ、更に行動したい。

  • 中国では読めない本、福島香織の本という事で購入。ウイグルの歴史や判りづらい中央アジアよ西域の諸民族の歴史はこの本を読んでも判りづらいので別途勉強しないといかん。第一章、二章はまとまっていて入門書としてわかりやすい内容だった。もう少し地図や写真や年表で説明して欲しかった。

  • 82ページまで読み、残りは流し読み。序章と第一章では新疆ウィグルの「再教育施設」による迫害を記載。日々のすべてを監視され、人権を収奪された監獄社会であることがよくわかる。しかし残念ながら、再教育施設の実態は間接的な情報に終わっている。▼最後のあとがきで、われわれ日本人がどうすべきか、悩まされる問題を書いており、考えさせられる。▼(以下はメモ)中国にとって新疆ウィグルは「一袋一路」の要の土地となる。米国における中東と同じように国際社会のパワーバランスを査収する要衝の地だ。米中新冷戦構造の中で両国とも譲れないテーマである。周りのイスラム国家は一帯一路の果実を得るために、中国のイスラム弾圧に目をつぶっている。現実は債務返済が濃事実上不可能で借金漬けの中国植民地の状況だ。サウジアラビアにとって中国は石油を買ってくれるお客様。一帯一路を支持している。「日本は中国に侵略されるという恐怖は感じないのですか。中国人民共和国は建国後まもなく東トルキスタンとチベットの土地を奪い、その土地の人々を従属させ、伝統や文化を破壊し続けているのですよ」。

  • 東2法経図・6F開架:316.8A/F84u//K

  •  著者自身による現地や日本留学生の取材と、RFA等の国外メディア報道まとめ、新疆の歴史、とバランスよくまとまっている。庶民のみならず体制内著名人までに及ぶウイグル人への、そんなことでと驚くような理由による拘束、収容所送り、拷問、死刑などの数々の迫害が挙げられている。
     折しもあの7.5事件からちょうど10年。これも含めたこの頃の事件は、組織的な独立運動というよりは庶民の怒りの爆発の面が強かったと著者は指摘する。2010年以降はウイグル人による暴力事件は増加。そして習近平政権下での「監獄社会」(本書より)となる、という流れである。

  • amazon 2019.8.21400

  • 中国は巨大な国家であり、世界の至る所に経済の力で影響を及ぼしている。かつて日本が高度成長期に飛躍的に経済が拡大し、何度かの好景気を経ながら世界のトップを覗った頃を更に上回るスピードで経済が巨大化していく。13億人を抱えユーラシア大陸の東に広大な土地を持つ中国。近年では一帯一路構想の元、世界規模で更に影響力を伸ばして行こうとしている。更に中国側から日本を上半分に見た「逆さ地図」を見てわかる様に、広大な太平洋を目指す上では、日本が邪魔な位置に見える。特に台湾や沖縄は日本本土を避けて太平洋へ抜ける上での最良の立地となる。船舶が沖縄で燃料補給しながら更に西の東南アジアや東の太平洋に埋蔵される海底資源を採りに行けることは中国にとっては大きな利点だ。最早、眼前には浮かんでいる日本の姿を飛び越え、アメリカを意識して軍事力強化を図っている。
    その様な中国の光が当たるオモテ側の発展とは逆に影に当たる問題、それがウイグル族やチベット族などの自治区の問題である。既に世界中を駆け巡るニュースでも、多くの書籍でも、これら中国の一部になっている民族浄化の国家戦略は世界中から多くの批判を受けている。新疆ウイグル自治区に存在する強制収容所紛いの施設に放り込まれた住人が、リンチや共産党国家思想を無理やり叩き込まれ、進行するイスラムや自分達の言葉さえ禁じられた世界だ。
    かつて太平洋戦争に負けて、戦勝国アメリカが日本を長期に渡り間接統治(実質直接統治の状態だが)をしていた。もしその際に日本語を喋っただけで牢屋にぶち込まれ、君が代を口ずさむことも、おばあちゃんから教わった日本の民謡すらも全て禁じられ、英語以外の会話を禁じられたとする。勿論、お正月も七五三もお盆も伝統的な日本の行事は禁止、ハロウィンやクリスマスなどキリスト教的な行事以外はできず、日本食を作ることさえ禁じられたら。今、ウイグル自治区は正にその様な状態にある。徹底的な共産党教育が行われ、幼い頃から中国共産党として生きていく事を強いられる。そして年老いた真のウイグルを知る世代がやがていなくなる頃には、顔はまだ堀の深いウイグル人の面影をかろうじて残しながらも(漢民族との交配が国家的に進められる)いつかはウイグル人そのもの、文化、歴史は地球上から消し去られる。これが中国が行なっている民族浄化の実態なのだろう。様々な書籍でその壮絶な経験が語られ、世界中が批判している内容全てが偽りとも思えず、またかつてのナチスドイツがユダヤ人に対して実施してきた歴史もあるから、共産党が絶対的な権力を持ち、領土拡大に熱心な中国の姿を見ているとほぼ間違いないことだと思われる。
    筆者は日本人はこの問題に対しての意識が低く、どこか遠い世界の出来事として関わり合いを持とうとしないことを危惧する。そして日本人としてできることは何か、1人のジャーナリスト以前の人として提案をしている。先ずはこういった書籍を見て実態を知ること、そして虐げられる民族のために何ができるかを考え始める必要がある。
    中国が真の世界の覇者になれるとすれば、こうした非人道的な手を使わずとも、あらゆる民族の人権を尊重した形で共に発展していける様なやり方を知らなければならない。こうした力による押さえつけや、暴力的な進め方は、益々世界から中国批判の壁を強固にするだけであり、いつかは反撃を喰らうであろう。だからいつまで経っても覇者にはなれず、火種ばかりを抱えた危うい国家から抜け出すことは出来ない。
    習近平が毛沢東や胡錦濤に続く偉大な指導者になるには、それくらいの手腕がないと永続的な中国発展は訪れず、いずれは類を見ない超高齢社会として経済力は徐々に低下し、世界から見捨てられる様な気がしてならない。

  • 中国政府のウイグル支配により、ウイグル人たちは再教育施設送りに怯え、表現の自由を規制され、宗教をとりあげられている。
    東トルキスタンの国が元は一つの民族だったのに、中国政府の一帯一路圧力により、ウイグル人をテロ組織と認めてしまうような状態。外構政治のやり方が極悪非道すぎる。

  • 20年前は平和だったんだね…
    平和は簡単に失われる…

    そして、国際社会から注目されるか否かも、大国の思惑に左右される…
    弱者は苦しいね…

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著者プロフィール

ジャーナリスト、中国ウォッチャー、文筆家。
1967年、奈良市生まれ。大阪大学文学部卒業後、1991年、産経新聞社に入社。上海復旦大学に業務留学後、香港支局長、中国総局(北京)駐在記者、政治部記者などを経て2009年に退社。以降はフリージャーナリストとして月刊誌、週刊誌に寄稿。ラジオ、テレビでのコメンテーターも務める。
著書に、『習近平 最後の戦い』(徳間書店)、『台湾に何が起きているのか』『ウイグル人に何が起きているのか』(以上、PHP新書)、『習近平王朝の危険な野望』(さくら舎)、『孔子を捨てた国』(飛鳥新社)など多数。
ウェブマガジン「福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップス)」を連載中。

「2023年 『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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