- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635140140
感想・レビュー・書評
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これから山登りをしようと思い(今夏富士山初挑戦)、まずは様々なグッズを買い揃えうきうきしている中で本書を読んでみた。
2009年夏に起こったトムラウシ山遭難事故についての検証本ではあるが、3.11を経た現在では「防災」「自然の脅威から命を守る」という視点も加味して読むことができるのではと感じた。そのような意味を含めて本書の試みや問いは貴重。
構成は以下のとおり。
生還者への聞き取りや、事故調査報告書を参照しドキュメンタリー風に構成した【1章:大量遭難】
生き残ったガイドの一人が後悔とともに語る【2章:証言】
遭難事故が起こった当日の気象状況の検証【3章:気象遭難】
亡くなった方の死因は低体温症であった—低体温症についての医師による考察【4章:低体温症】
どうしたら事故が防げるか、運動生理学の見地からの提言【5章:運動生理学】
4章5章は特に私のような初心者にとっては目からうろこの情報が多く、登山準備の参考として役立てたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読んだ日は怖くて眠れなかった
低体温症、凍死は眠るように亡くなるのかと思っていたら
気がおかしくなってしまうなんて怖すぎる -
ガイド3名で参加者15人のほとんどが60歳以上という時点で、有事にはとても対応しきれないのではと感じる。自分だったら、参加者が全員20代だったとしても、かなり躊躇すると思う。
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2009年に北海道大雪山系で起こった大量遭難事件。
その原因を探る一冊。
ツアー登山が増え、自立していない人たち、旅行客が山の中まで増えているいま、山に入る人には一読して欲しい一冊。 -
2009年の夏、北海道大雪山系でおこった登山史上に残る大遭難事故のノンフィクション。今年まったく同じルートを歩こうとしているので、とても勉強になった。遭難事故というのは、ただ一つの明確な要因によって起こるものではなく、準備・計画段階も含めた小さなミスや不運が積み重なり、ジワジワと窮地へと追い込まれていくものだということが、当事者への丹念な取材から実感できた。「いっそのこと死んだ方がラクだったのに・・・」と語る生還したサブガイドへのインタビュー(第二章)も生々しく、痛ましい。
山の実力は、悪条件下で窮地に追い込まれた時にこそ試される。『成功の理由はよくわからないが、失敗の理由ははっきりしている』とよくいわれるが、遭難事例について詳しく知ることは、登山力の向上に欠かせないものだと思った。 -
遭難のドキュメンタリー、証言、気象、低体温症、運動生理学、ツアー登山の6章構成。
1章は聞き取りを中心に遭難の過程を再現。記憶の曖昧さを加味し、事実と思われる事象を積み重ねていく中で起きる遭難はうすら寒さを覚える。
5章では登山中の必要カロリーの算出式を提示。この式は平坦地での消費カロリーが低く出るし、休息時間にザック重量が関係するとも思えないので、一般化するには疑問を感じるが、登山での目安の算出には使えそう。
ガイド責任論や自己責任論等に傾くことなく淡々と記録していく姿勢。 -
夏山登山史上最悪の遭難事故であるトムラウシ山遭難事故を当時の状況、生存者からの証言や気象状況、低体温症、運動生理学など様々な見地からその真相に迫る一冊。山に登る人間は是非読んでおきたい本だと思います。すごく登山の在り方について考えさせられます。
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第1章は遭難に至った経緯を生存者の証言等でまとめたドキュメントで、「ドキュメント気象遭難」等の他の遭難ドキュメント本と同じような内容なのですが、これは普段の自分の山行の装備や判断、過去の経験と照らし合わせて読むことで相変わらず興味深く面白く読めます。
第3章、第4章、第5章がそれぞれ気象条件、低体温症、運動生理学についてまとめた論文形式のレポートなのですが、特に第4章の低体温症についてはこれまであまり本などで紹介されていなかった内容で、全ての登山者が知識としてぜひ持っておくべきだと思いました。必読です。夏でも気象条件その他要因によって低体温症となり、適切な対応をとらなければ極めて短時間のうちに死に至るということがよくわかりました。
一緒に山に登る仲間には同知識の共有ということでぜひ「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」を読んでほしいと思いました。 -
遭難 事故 は、惨事。その惨憺たる様は、隠してはならない。後に残された者の轍として、残されねばならない。特に、生き残ったガイドの人の証言が、そのことを端的に表している。
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