- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635140140
感想・レビュー・書評
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夏の山で低体温症になるほどの気温が低くなることを知らなかった
さまざまな悪いことが重なって起こった事故だということがわかる
ただ体力があるだけではなく、気象のこと、体温計温存の知識や、条件が悪ければ戻るなりのタイミング、行動食の摂り方、睡眠や脚力、などさまざまな知識と判断が必要となる
トップの指示が適切なのが本当は良いが、自分で自分の身は守らないといけない詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トムラウシ、素敵な山。自分が登った時は天気もよく、本当に綺麗な山だった。自然と言うのは天気が少しでも崩れれば別世界となる。そんな世界では人間の力なんて無力となってしまい、準備や計画その場の判断がとても大切だと改めて考えさせられる。
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2009年7月、北海道 大雪山系トムラウシ山でツアー登山のグループが遭難し、18名中8名が亡くなった。
遭難の経緯、低体温症について、安全な登山のために、ツアー登山の問題点等についての考察の一冊。
低気温、雨に濡れること、風、疲労、摂取カロリーの不足で日本の夏でも低体温症で人が亡くなる。
複数の判断ミスや、悪い状況が重なってこの大きな遭難事故が起きたようで、引き返すポイントもいくつかあったけれど、生き物としての人間は厳しい気候や環境に対して、なんと弱いものかと言う感想を持ちました。
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遭難グループの当事者で生き延びた方々の貴重な記録が記載されている。低体温症について、なんとなくは分かっていても、どういう状況でどのような症状が現れるか、生死を分ける行動の違いとは何かを知ることができる。 登山ツアーといえど、結局は自己責任。山に臨むための知識と準備が必要であることを再確認することができる。
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多角的な検証がよくなされていて興味深く、読み物としてもよくできている。山は原則自己責任であり、ツアー登山の盲点がありありと記されている。
本格的な登山をする人はもちろんのこと、登山ツアー関係者、趣味で低山ハイキングを楽しんでいる人も必読の書。夏山でも、低体温症による遭難事故は状況により起こることがよく理解できる。 -
遭難ルポを読むたびに結局のところ運次第だなと思う。後から色々原因考察は可能だがその場で判断出来るかというと…
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2009年7月、北海道のトムラウシ山で15人のツアー登山パーティのうち8人が死亡するという夏山登山史上最悪の遭難事故が起きた。その登山の全貌(生存者の証言による)、ガイドの証言、気象遭難、低体温症、運動生理学、ツアー登山の観点から、テーマごとに分析、検証されている本。
どのテーマも興味深いが、職業柄特に低体温症の章は、そのメカニズムが気になるところ。登山中に低体温症になると筋肉繊維が壊れ(今回CKの上昇は100kmマラソンと同等またはそれ以上の筋肉負荷がかかっていた)、肝臓の機能が低下し、免疫機能が低下し、低血糖、低タンパクになる。最も重要な変化はアシドーシスに陥ることであり、その悪化は生命に直結すると考えられる。低体温症の最も恐ろしい点は、意識レベルが下がるので自分の意思で防御する動作さえできなくなることにある。低体温症から回復する絶対安全限界温度は34℃。ここで体温下降を止める処置をすれば回復することができる。
「この環境なら低体温症になるかもしれない」という認識を持つことが重要。低体温症を知識として知っていること。そのリスクを意識すること。きちんと保温をすること。栄養を補給すること。登山における行動中のエネルギィ消費量の推定式から算出される必要エネルギィ量が予想以上に高くて驚く。
ツアー会社やガイドへの批判だけではこの事故を教訓として生かせない。この事故の事実は一つではなく、事故に直面した18人それぞれに事実がある。そのことを意識して、できるだけ客観的に記そうとした誠意が感じられる。
いろいろ為になった。この本を読んで良かった。これを読んだことはとても価値があると思う。山に登る多くの人に薦めたい。
161119 -
トムラウシの遭難事故があったことは記憶にあったが、当時あまり注意しておらず、たまたま知人から勧められて借りて読んだ。第一章の遭難時のドキュメンタリーが生々しく、怖いながらも一気に読み進めた。山登りにいく者、やはりこういった過去の事例から学ぶことは多い。改めて身が引き締まる思いだった。山に登る全ての人に読んで欲しい。
2015.11.18 -
2009年7月にトムラウシ山で起きたツアー登山の大量遭難時間についてのルポルタージュ。
当時報道されていた内容と、事実とのギャップについて詳しく知ることが出来る。遭難に至った経過について、生還者の証言は生々しく恐ろしい。
私自身は、登山には行かないが、身内に山岳ガイド(日本山岳ガイド協会公認)がいるので他人事ではなく、山を目指す人たち皆が、自然への敬意を忘れず、自分を過信せず、常に安全第一であってほしいと感じた。