紙の月 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 4164
レビュー : 584
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438452

感想・レビュー・書評

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  • 心臓に悪すぎるストーリーだった。思わず自分が銀行で手続きした商品の資料を確認してしまった。事件を遠くで知ることになる昔の友人や恋人の語りは出て来ても、一番近くにいた夫と若い恋人のモノローグが一切無いので、二人の本音が全く分からず、敢えて読み手に想像を委ねる作りが面白かった。

  • 主人公と、かつて交流のあった3人の視点で、梨花について描かれていく。
    どれもほんとうに梨花にあった出来事だろうけれど、それが梨花のすべてかというとそうではない。
    梨花の一部でしかなく、また、一時のことであったりする。
    そうして登場人物の、女性も男性も独身も既婚者も犯罪者もただの同級生たちにも、自分自身を重ねててしまったりするのだ。
    誰かを小さな型に嵌めながら、自分も誰かに嵌められている。
    「本当に、いったいだれが梅澤梨花を知っているというのだろうか。私にだって自分がどんな人間なのか、ちっともわかりはしないというのに。」

  • お金のことについて考えさせられる

  • 映画も面白かった

  • 2019/6/12読了。角田さんは、別段社会派作家ではないと思うが、作家がテーマを考える時例えば主人公の梅澤梨花がその犯罪に手を染めた一瞬の分岐点はなんだったのか?
    人生のどこかに起因する起点があたのか?人のお金をだまし取った結果、それはただ好きになった男に貢ぐためだったのか?梨花を取り巻く人達の生活だって梨花とは変わらない発火点をいたる所に持っているかも知れない。そんな問題意識を感じていたのでは。
    そう、我々の生活も振り返ればあれがあったから、あれがもしなかったら…。そんな分岐点の繰り返しの中で生きてきたように考えます。言ってみれば、自己嫌悪の繰り返し。ああ、いやだいやだと。
    かなりボリュームある文体で、読み上げるには少々疲れました。あとは、想像力。その後の梨花は?梨花の夫の正文はどうなたんだろうか?しかし、この手の犯罪は少なくなることはあっても無くなることはない。また、身近なところでの事件は尽きない。そんな、一線を越える日常に潜む危険を感じさせる小説でした。

  • ただ前の日をなぞるような生活に途方も無い虚しさを感じる梨花の気持ちは誰しも共感するような気持ちだと思う。登場人物が持つ、お金で人を動かせる、物事を思い通りに出来る、という無意識な感覚を自分自身も潜在的に持っていることに気づき、ハッとさせられた。

  • 主人公に共感しそうになり我に帰る

  • 主人公の危うさや脆さがあまりにも生々しく感じ取られて、読み進めるのが苦しかった。

  • 手が止まらないほどおもしろかった。全能感も焦燥感も窮屈な感じも息苦しさも、全部全部うっすらとわかる気がした。働きだしたら/結婚したら、もっとわかるようになるんだろうなと思った。
    むちゃくちゃおもしろかったけどむちゃくちゃ落ち込みもした。梨花も、木綿子も、亜紀も、みんな自分になりうると思った。わたしはブランドものとかデパートに売っているものを買うことに関して関心がないけれど、年齢を重ねてそうなっていくかもしれない。あるいは働くようになることによって。
    わたしもアルバイトの数万円の変動でだって(先月は8万円だったのに、今月は6万円、、、)と、以前は6万円でも十分に暮らせていたはずが、収入が増えたことにかまけて余分に美容や買い物にお金を掛けたせいで、なんだか物足りなくなることがある。貯金もパーっと使ってしまいたくなることがある
    お水で働いてたくさんの稼いでいる友だちは、辞めた後きちんと暮らしていけるんだろうか、、、みたいなことを少し考えてしまった。一度の贅沢はその後の窮屈さを生み出してしまうんだろう、牧子のつらさもなんとなくだけどわかる。木綿子の子どもは締め付けたことでもっとお金に貪欲になるし、亜紀の娘もきっともっと貪欲になるだろう。「お金」というただの紙(生活に必要なのでされど紙でもあるけど)に踊らされず、収入水準に見合った生活を過ごしていかなきゃいけないな、と思う、その点わたしはデパートのコスメを買っているわけでもないのにどうしてこうなっているのか不思議だけど、、、

    これは「きみはいい子」を観たときと同じ感じのような気もするな、「わたしもいつか子どもを叩いてしまうかもしれない」、「節約に狂ってしまうかもしれない(今は持ち家へのこだわりはないが)」、「いつかブランド物の服やコスメやアクセサリーに狂ってしまうかもしれない(今はこだわりはないが)」、そして「いつか将来の夫が自分を対等な存在として認めてくれなくなる/抱いてくれなくもなる時が来るかもしれない」、すべて"そちら側"に陥る可能性が平等にあり恐ろしい、本自体にそういう意味で漂う不安感や窮屈さが充満していて、とてもおもしろくもあり感じの悪い本だった(いい意味で)

  • 映画の方が好きです♡
    宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、小林聡美みんな良かった♡

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著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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