女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.50
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本棚登録 : 1352
感想 : 201
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800235473

作品紹介・あらすじ

「女王はかえらない」は降田天さんが書かれたミステリー小説です。第13回このミステリーがすごい大賞受賞作品です。片田舎の小学校に東京から転校してきたエリカ。エリカは今までクラスの女王として君臨していたマキの座を脅かすようになる。そしてクラスメイト達を巻き込んで少女達の権力闘争が巻き起こる。残酷な学園ミステリー小説です。

感想・レビュー・書評

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  • クラスの女王様として君臨していた"マキ"、東京からの転校生"エリカ"の存在で、スクールカーストのバランスが崩れだす…。

    ミステリー小説。
    "イヤミス"と聞いていたので最初はどきどきしながら読み進めたが、どんどん引き込まれた。
    前年から、マキがクラスの貧乏な子や幼い子に対していじめをしていた…という背景があるからか、マキにあまり同情できない。エリカに対しても、親のことをバカにするなど先に越えてはいけない一線を越えたのはマキの方なのではないかと思ってしまう。マキがスクールカーストのトップから転落しても、語り手・オッサンやいじめの被害者の一人であるモックが「ざまぁみろ」というような思いを持つのも当然ではないかと感じる。そのため、第一部の最後に起きた事件(事故?)の顛末に関してもそれほど嫌な読後感を抱かなかった。
    第二部で描かれる教師・真琴。なかなかこんなふうにクラスの子どもたちに対応できないよなぁ。真琴は悩んでいるけれども、なんだかんだで子どもたちの心や様子を把握できている感じは、真琴は教師に向いていると思う。
    第三部で明らかになる事件(事故?)の真相。マキとエリカの親の様子には悲哀を感じはするけれど、時が経った4年1組の元子どもたちに対してはやっぱり嫌な感じはしない。
    それだけ、マキとエリカのそれぞれの悪役っぷりが強かったからか。
    最後まで一気読みしてしまう面白さだった。2人の"女王"の対立。小学生という閉じた世界がよく描かれている。

    物語とは直接の関係はないが、表紙に描かれた二人の少女。(大槻香奈さんが描いた装画?)
    向かって左がエリカで向かって右がマキだろうが、物語中で描かれている特徴のまま描かれた絵がすごく良い。
    マキのハートのTシャツやパッチン留め、髪型などに"片田舎の女子ガキ大将感"の微妙な垢抜けなさがよく出ていて、対照的なエリカのお嬢様ファッションと共に、物語中の2人がそのまま抜け出してきたみたいで感心した。

  • 片田舎の小学校、3年1組には女王様がいる。女王の顔色を伺いながら過ごす子供たち。4年生になり東京から美しい少女が転校してきたことから教室のパワーバランスが崩れ始める…。
    三部構成で描かれる話のうち、第一部は、子どもって残酷。人間が一番怖い。を煮詰めたような展開。その後は、さすがミス大賞受賞作。どんでん返し。あっという間に読み切ってしまった。

  • 序盤のいじめら辺はどうなるのか気になって頁をめくる手が止まらなかった。結末の更に何年後かにオッサン達の罪が裁かれる話もあってもいいなと思った。因果応報。

  • よくこんな学校に通えるなぁ……と最初の章を読みつつ思いました。
    あんな性格の悪い女子がいるなんて、私なら耐えられない……
    兎に角、怖い女達。
    そしてモックが気持ち悪い……
    でも私の小学生の頃にもモックみたいなのいたな……と思ったり。
    仕掛けとしては私がよく驚かされるタイプ←ので、もう驚きが沢山でした。
    推理や予想しないタイプの本好きさんは私同様にビックリしまくるでしょう(笑)

  • 田舎の小学校と言う、狭いコミュニティーの中で自分の地位を確立する小学生。都会からの転校生の登場によって、それまでの女王の地位が、揺がされていく。
    死因だけでも充分なのに、思ってた性別と違ったり、実は大人になってからの話で名前だけ同じだったり、伏線が本線とあまり関係なく、その驚きいる?と本線への衝撃が薄まってしまった。

  • 「このミステリーがすごい!」大賞を受賞したデビュー作。

    小学生女子のスクールカーストによるいじめをきっかけにして、起こる事件の顛末を描いた物語です。

    ミステリを読み慣れた方なら、ある程度はトリックの見当がつけられるかもしれませんが、最後に明らかになる真相は、残酷で衝撃的なものでした。

    幼稚さと陰湿さが合わさったいじめの描写もリアルで、読み進めるたびに息苦しさを覚えます。
    その歪んだ作品世界は、イヤミスと呼ぶに相応しいものがありました。

  • 三部構成。第1章では、美しい転校生・エリカが現れたことから小学4年生のスクールカーストのバランスが崩れていく。女子ならではのいじめ方が、どいつもこいつもといった感じになります。第2章のどんでん返しは何となく想像つきました。が、第3章になって本気のどんでん返しがあり、あまりにもミスリード過ぎるでしょ!と思いましたが楽しく読みました。

  • このミステリーがすごい大賞に輝いた作品だが、いまいちだった。
    正直ネタバラシ、伏線回収される所で興醒めした。

  • 作者のミスリードにまんまと嵌められて、読者が「はい!見切った!」と思わせてからのオーバーキル。超必殺技方式かな。

    ただ、第一部の長さよ…必要なのはわかってるけどそれにしても…
    ページ数的にはそんなに長くはないから単純に私が内容的に読みにくかったのかもしれないけど。

    まあでも終盤の畳み掛けは素晴らしかった。

  •  読み終わった時に鳥肌がたった。ものすごい作品だと思う。主人公の「ぼく」のクラスは女王様がいた。しかし、東京から転校してきたエリカのせいで、クラスの女王と女王の対決が始まった。

    転校。そんなたわいもないキーワードからの伏線だらけのミステリー小説。

    ここからネタバレです!
    驚いた。主人公の性別だけで5回も勘違いするなんて。これはまさに伏線しかない!

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著者プロフィール

(ふるた・てん)プロット担当の萩野瑛(はぎの・えい)と執筆担当の鮎川颯(あゆかわ・そう)による作家ユニット。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。「小説 野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同作を収録した短編集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』を2019年に刊行した。他の著書に『匿名交叉』(文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題)『すみれ屋敷の罪人』がある。

「2021年 『朝と夕の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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