小惑星探査機 はやぶさの大冒険

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838721030

感想・レビュー・書評

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  • 【概要】
    話題になった「はやぶさ」の歴史を振り返り、はやぶさプロジェクトのメンバーとの対談もついている本です。
    プロジェクトメンバーが自分のプロジェクトについて語って本になるなんて、誇らしいでしょうね・・・。
    平たく言うと、飛行機に乗りながら宇宙の本が読みたかったんです。

    【よかった点】
    はやぶさプロジェクトの最後で印象的だったエピソード。
    はやぶさは、ぶっ壊れながら、地球に戻ってくるわけです。通信もままらなず、物理的にふらふらだった状態です。
    そんな中、プロジェクトメンバー達は、「最後にはやぶさに地球を見せてあげよう」ということで、はやぶさのカメラで地球を撮影することを計画します。

    プロジェクトの目的は、「小惑星イトカワの物質を取って来る」というものですから、この地球の撮影は目的には全く関係ない。無駄なことなのです。
    それが無駄ということは、プロフェッショナルのメンバー達にはわかっていたはず。でも、撮影を実行しました。結果、3回試した最後の1枚に、はやぶさの故郷・地球が写っていたと。

    宇宙開発のプロジェクトは、私達がいつも携わっている業務よりも、コストも時間も超過してしまう(ことを許されているような)イメージがあります。だからこんなことが出来たのかもしれません。
    でも、それだけメンバーがプロジェクトを愛していたのだなあという事実が、羨ましくて仕方のないサラリーマンなのでした。

    (やま)

  • 小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げから帰還までの7年間を綴った本。

    感動。
    プロマネ川口さんの『「はやぶさ」、そうまでして君は』は特に。

    もう少し早くから興味が湧いていれば、はやぶさ帰還、ラストショット等はライブで楽しめたのに・・・。本当に残念。

  • 2010年6月に地球に帰還した「はやぶさ」の物語です。ニュースなどでも大々的に扱われたからご存知の方も多いと思います。現在マスコミおよび世間の注目は、持ち帰ったカプセルにサンプルがあるかどうかに集まっており、仮にサンプルが採取できていなければ、はやぶさ計画そのものがまったくの無駄だったというような雰囲気に充ち満ちています。実は日本の「はやぶさ」はサンプル採取以外にもたくさんの偉業を達成したことを、この本は分かりやすく説明しています。それ以外にも、小惑星イトカワのこと、7年間に起きたトラブルとそれを乗り越えたスタッフみなさんの努力のことなど、ドラマチックに分かりやすく書かれています。特に地球に帰還する場面は「はやぶさ」と言う機械が生きているかのような錯覚をし、思わずウルっとしてしまいます。

  • ハヤブサのことを知ったのは恥ずかしながら地球生還のときですが、
    この本をよんで、エンジニアの根性ともいうべき熱意が良くわかりました。
    いつかこの映画も見たいですね。サンプルリターン、とても夢のあることです。

  • 電車内の広告に惹かれて読みたくなった本。そのうちに。

  • 100910 読了
    【若干のネタバレあり。注意】

    最高に面白かった。ワールドカップで盛り上がる中、耳には届いていたが関心が向かなかった工学実験機「はやぶさ」。その打ち上げから再突入までの7年間にも亘る宇宙での大冒険を詳細に記してくれている本書。
    まるで興味を持っていなかったが、TVで見た「はやぶさ再突入」映像の美しさがきっかけだった。

    イトカワへ向かう往路は順調な航海だったが、イトカワでのサンプル採集前後から故障に次ぐ故障。そして45日間の行方不明期間…。こんな絶望
    的な状況を打破しながらサンプルリターン任務を全うするためにボロボロになりながら進むはやぶさの姿を想像するだけで、感極まってしまった。

    本書の中には、イトカワの実際の映像。イオン推進エンジン、サンプル採集ホーン、RH等のはやぶさの構造についての資料、特に「はやぶさ再突入時の美しい写真」は必見かと思います。

    生で体感できなかったのは残念でならないが、今後時間をかけてイトカワから持ち帰ったサンプルの解析していくとのことなので、ワクワクしながら見守ろうと思います。

  • まさか僕が科学本にはまるとは思わなかった。
    でも、「はやぶさ」プロジェクトがどれだけすばらしい、情熱をかけたプロジェクトだったかということがよくわかる一冊です。
    「はやぶさ」の偉業と同時に、自分が何か情熱を傾けられるプロジェクトがあるといいなぁとうらやましく思いました。

  • はやぶさが世間から注目されるずっと前からの、地道な取材が有ってこその、裏話・苦労話は一読の価値があります。

  •  ノンフィクション作家山根一眞さんが、「はやぶさ」がまだ「MUSES-C(ミューゼス・シー)」と呼ばれていたころからの取材をもとに書き上げた七年がかりの一冊。
     入念な取材はもちろん、「JAXAはやぶさチーム」の方々に深く寄り添った文章は「なかのひと」でないとわからない心の動きまで伝えてくれる一冊。


     随所に「はやぶさチーム」へのインタビューが収録されているのだけれど、その雰囲気は他の「はやぶさ」関連書籍とはかなり違う。著者の山根さんは打ち上げから七年も取材をしているわけで、もうほとんど「はやぶさチーム」のメンバー同然だろうからインタビュー相手もリラックスして話している。
     それは親密でぶっちゃけていて、なんというか、仕事が終わったあとの打ち上げの席でビールでも飲みながら「あの時はこうだったよね」と話している感じなのだ。

     こういうのって、いちジャーナリストしては公正を欠く姿勢なのかもしれないのだけれど、でも僕は好きだな。だってさ、世界でトップクラスの頭脳と技術を持ったオヤジたちがみんなで「うちの子」の話をしているのだから。
     こんなインタビュー、他では聞けない。


     「はやぶさ」が宇宙で迷子になったときは数ヵ月ものあいだ毎日ずっと呼び続けて返事をまっていたし(本書第八章「行方不明の冬」)、旅の無事を祈って神社へ行ってお札をもらってきたりした(九章「そうまでして君は」)のだけれど、……これってカンペキに我が子への態度じゃないか?

     デパートで子供が迷子になったら親は大声で名前を呼んで捜し回る。見つからないからといってあきらめる親はいない。
     子供が夏休みに初めてひとりで遠い親戚のおばさんの家に行くとなったら、見送った親はもう神様に祈るくらいしかできないだろう。
     ほら。いっしょじゃないか。


     一部では、「探査機を擬人化して『はやぶさチーム』の功績を無視するのは良くない」という意見も聞かれるのだけれど、本書を読んで僕は「べつに擬人化してもいいんじゃない?」と思えてきた。だって「はやぶさチーム」の方々自身がすでに擬人化して話していらっしゃるんだから。
     親だったら「お宅のお子さん、すごいですね」と言われたら素直に嬉しいんじゃないかな?
     僕はそう思う。

    http://loplos.mo-blog.jp/kaburaki/2010/08/newton_1f16.html

  • 専門的な説明もわかりやすくわかりやすく書かれていて、とても面白かったです。はやぶさすごい。要所要所でプロジェクトスタッフのインタビューが入っているのも良かった。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1947年東京都生まれ。獨協大学経済学部特任教授、宇宙航空研究開発機構(JAXA)嘱託、理化学研究所相談役、福井県文化顧問、月探査に関する懇談会委員(内閣府)、生物多様性戦略検討会委員(農林水産省)、日本生態系協会理事、NPO子ども・宇宙・未来の会(KU-MA)理事などを務める。日本の科学者・技術者を取材した20冊を超える『メタルカラーの時代』シリーズ(小学館)、『環業革命』(講談社)など著書多数。山根一眞オフィシャルホームページ http://www.yamane-office.co.jp/

「2017年 『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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