- Amazon.co.jp ・電子書籍 (468ページ)
感想・レビュー・書評
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有名になる前の林芙美子自身を題材にした精神の放浪記録。長いし何のオチもない気がするけど、心臓がごっとんごっとんいったので★五つ。読んでいると林芙美子が降りてきて、バスケットを持ってここではないどこかへ出奔したくなる。
主人公は二十代前半で、それなのに女の子っぽさがまったくなく、「女」としか言いようがない。自分のことは自分でなんとかするしかないことを腹からわかっているから、だろうか? 自分がらちもない未熟性から抜け出せるのはいつなのか、その契機は何なのかを思うとため息が出る。林芙美子のように生きたいわけではないのだけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うん。
これがリアルというものだ。
泣くも笑うも怒るも諦めるも頑張るも全部ひとくくり、
生身の女。
セックスでも恋でもない、ただただ「毎日を生きる」ことのみ最優先でなければ「生きてゆけない」リアル。
こんちくしょうといいながら生きてゆくリアル。
めそめそ泣き続けたりしない強さが明るさとなって救いとなる。
話らしい話はない、女の生き様を読む、というのかな、
こういう小説が喝采を浴び、瞠目された時代もまた
懐かしい。 -
作者自身の、貧しくみじめだった生活。雑然と並べられた日記だからこそ、感じられる真実味。それを乗り越えて生きる強さ、そしてやさしさ。
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昭和初期の作家はあまり読んだことがなくて、林芙美子もそんな作家の一人。いつか読んで見たいと思っていたのだが、先日、尾崎翠を読んだので、その勢いでまずは初期の代表作『放浪記』から。林芙美子と言えば時代の寵児、頭に超がつく売れっ子作家というイメージだったのだが、これはまだ売れる前の貧乏暮らしを赤裸々に綴った日記文学。詩、金、男、文学、酒、肉親に対する内心の吐露は、今読んでもドキリとするところがあるくらいで、当時はどれだけセンセーショナルだったのか想像もつかない。
新版と題されているのは、発表時期の異なる「放浪記」、「続放浪記」、その後の発表作をそれぞれ一、二、三部として収録しているため。時期的な重なりなどを無視して繋げられているため、作品としての完成度は低いし、冗長だが、生々しい息遣いはそのままに伝わってくる。つい先日まで新宿、林芙美子旧宅近くに住んでいたこともあり、抜弁天、余丁町、若松町など親しんだ地名が登場するのも楽しい。 -
この人の生き様は、私には憧れる、とか素晴らしい、とか思える類のものではないが、どうしたって生きていける、というある種の勇気をもらえた。
人はこんなに、自分を晒け出せるものなのか。 -
いやあ、こんなにおもしろいものだとは思わなかった! やっぱり残るものには、それなりの意味があるのだ。これがなんとゼロ円、無料、タダで読めるというのだから素晴らしいことだ。
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時系列不揃いの無駄に長い自伝的アンニュイ日記。転職転居と「金無い男欲しい…」のほぼ繰り返し。だらしのない生き様に自分は全く共感できなかった。
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日記文学、というものなんだろうけれど、読んでいて退屈この上なくかつ一つ一つのアネクドートが乖離しすぎていて脈絡がない感じがした。読後感も悪くて、元気がでるといったストーリーでもないと思う。