女体についての八篇 晩菊 (中公文庫 あ 84-1)

  • 中央公論新社 (2016年4月21日発売)
3.38
  • (2)
  • (6)
  • (15)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 234
感想 : 16
4

「晩菊」
1年ぶりに昔の男が自宅にやって来るも、目的が金だとわかるとさっさと見切りをつけて男を帰らせようとする。ここでの会話に、きんの経験の豊富さと肝の太さが現れている。借金の申込みをのらりくらりとかわしながらもどんなに頼み込まれても絶対に首を縦に振らないであろう強い意思が伝わってくる。
結局は酩酊した男を泊めてしまうのだが。ダメ男に少しは情が残っているのか。ちょっとせつない。しかし決して気を許した訳でなく、きんは眠らないように覚醒剤を飲む(用意していたアルコールにはほとんど口をつけていない)。
酔った勢いで…てなことにならぬように、そのへんは抜かりがない。さすが百戦錬磨の恋愛戦士きん。女ひとりでも生き抜かんとする気概と潔さよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月19日
読了日 : 2023年10月19日
本棚登録日 : 2023年10月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする