プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫 白 209-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003420935

感想・レビュー・書評

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  • 私たちが生きている世界は、どうして、こんな姿をしているのか。一つの社会が共有している暗黙のルールを探る本書は、古びず、いまを照らします。

  • 難解なうえ時間的制約で拾い読みのみで正確な理解はできなかったが、以下のようなことか。
    プロテスタンティズムの予定説から生じる内心の不安を払拭するため、天職としての絶え間ない職業労働に打ち込むことで、救われているという確信が与えられる。これが利潤追求という資本主義の精神の推進力になった。

  • ライフワークやキャリアデザインという言葉がもてはやされている。少し違和感があったし、日本と西洋の企業の職務分担がどうしてこうも違うのか不思議だった。
    本書では宗教改革により、腐敗した教会・修道院に反する立場から世俗の労働が尊重されるようになり、カルヴイニズムでは救済されていることを常に自己審査し証明するために労働が信仰の手段として組織化・合理化をたどった説く。
    富の追求を目的とすることは邪悪だが、敬虔な労働に勤しんだ結果富を成すのは神の恩寵だという!

    西洋の労働観がどのように生まれ資本主義に組み込まれ現在に至るのかその源流を紐解いてくれる。そしてアメリカでこの禁欲的労働観は救済の証明という宗教的・倫理的側面を削ぎ落とし強力な秩序を形成する。

    大変興味深かった。さらに、世界でも異常なぐらい時間に厳しくもっとも成功した社会主義国と一時は呼ばれた日本は戦争に破れ文化的・伝統的指針から切り離された所に、アメリカからのプロテスタンティズムが真空状態で完全に宗教から切り離されて流れ込み、それゆえに資本主義国家として成功できたのではないかと思ってしまう。良質で勤勉な労働力を持つことに成功した、という意味で。

  • 11/8/11
    スミスの書棚 山田五郎

  • 資本主義がむしろ資本に徹底的に反対する経済思想の文化圏から生まれた

    資本主義は資本家主義ではなく、労動者にも宿ることで成立している
    天職義務 Berufs pflicht

    私はプロテスタンティズムが近代の資本主義文化をつくったとか、そういうことを絶対に言おうとしているのではない。彼らはただ、意図せずして資本主義文化の発達を促進するという役割を果たしたに過ぎなかった

    ベンジャミン フランクリンの資本主義の精神への言及
    42

    本文で撃沈

  • 素人としては、訳者解説だけ読めば良いような気がする。

  • 2017/09/16

  • 近代資本主義の出自を、
    カトリックからプロテスタントへの転換、ピューリタニズムへの先鋭化から表出した
    世俗的禁欲からの発露だと主張する名著。
    丁寧、多角的に分析・批判され導出される論理にはやはり説得力があり
    いわゆる儲け事などは良しとしない禁欲的精神から逆説的に資本主義が発達していったというのは大変興味深い。

    私にとってはかなり難解であり、また本文と注釈の頻繁な交代は読むことへの忍耐力を試されているようにも感じた。
    が、先に巻末の解説(これがとても端的で理解しやすい)に目を通していたためどうにか少しずつ理解を深め通読することができた。

  • 我ながらもうそんなに働きたくないので、勤勉、労働の美徳は自明なことではないという論拠を求めてこういうのを読むんだろうか。

    中国・インドやユダヤのように、営利を否定しない社会ではなく、禁欲精神に支配されるキリスト教社会において資本主義が生じた、というのが第一の主張である。メディチ家なんかが苦労したように、カトリックでは明確に金利は禁止されていて、下手したら来世を棒に振ることになる。
    カトリックは世俗外の精神活動に重きを置いたが、プロテスタントとくにピューリタニズムにおいては、与えられた天職を生活の中で全うすることを重視しつつ、享楽すなわち再生産を伴わない消費を否定したため、財の蓄積や資本主義の精神が発達した、というのが第二の主張だ。であるから、本質的な資本主義の精神は貴族や地主階級にではなく、小店舗経営者や労働者に宿るのである。プチブルの誕生である。
    二章の宗教教義のところは正直よく理解できなかったので誤読してるかもしれない。
    とにかく、プロテスタントの国は飯がまずいのがいけない。

    現代でも、就活時に仕事による自己実現がどうのとか聞いたような気がするが、何百年も前の天職倫理概念の二番煎じでしかないし、キリスト教会の方が救済をからめてくるあたりずっとあざとい。

  • 自分のプロテスタントとカソリックの理解はこの本の内容で止まっている

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著者プロフィール

1864-1920。ドイツ、エルフルトに生れる。ハイデルベルク、ベルリン、ゲッティンゲンの各大学で法律学を専攻し、歴史、経済学、哲学に対する造詣をも深める。1892年ベルリン大学でローマ法、ドイツ法、商法の教授資格を得、同年同大学講師、93年同助教授、94年フライブルク大学経済学教授、97年ハイデルベルク大学経済学教授、1903年病気のため教職を去り、ハイデルベルク大学名誉教授となる。1904年Archiv für Sozialwissenschaft und Sozialpolitikの編集をヤッフェおよぴゾンバルトとともに引受ける。同年セント・ルイスの国際的学術会議に出席のため渡米。帰国後研究と著述に専念し上記Archivに論文を続々と発表。1918年ヴィーン大学教授、19年ミュンヘン大学教授、経済史を講義。20年ミュンヘンで歿。

「2019年 『宗教社会学論選 【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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