歴史とは何か (岩波新書 青版 447)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004130017

作品紹介・あらすじ

歴史とは現在と過去との対話である。現在に生きる私たちは、過去を主体的にとらえることなしに未来への展望をたてることはできない。複雑な諸要素がからみ合って動いていく現代では、過去を見る新しい眼が切実に求められている。歴史的事実とは、法則とは、個人の役割は、など歴史における主要な問題について明快に論じる。

感想・レビュー・書評

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  • どのような歴史を紡ぐのかは歴史家次第であり、歴史を把握する上で、歴史家の背景を考慮しなければならないことは、いかなる時代にも当てはまる普遍的な喝破であると感じた。しかし進歩の概念については、やはりカーが社会主義者であったことが関わっているのか、今の常識には当てはまらないように感じられ、新鮮でもあった。

  • 【電子ブックへのリンク先】
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  • 現代史の扱いは難しい。何故なら出来事に利害や未練を有する人たちがまだいるからである。
    歴史を決定論として捉える説、偶然の連鎖として捉える説がある。いずれにせよ歴史家康とは因果経過を選択し価値観に基づき体系化する。
    過去に対する建設的意見を持たぬ者は、神秘主義かニヒリズムに陥いる。
    進歩史観は幻想である。唯一の絶対者は変化である。優れた歴史家は狭い視野を乗り越え、未来から過去を深く洞察する。
    歴史家は勝利を占めた諸力を前面に押し出し、これに敗れた諸力を背後に押し退けることによって、現存の秩序に不可避性という外観を与えるものである。

  • この人は理性原理主義ですね。ヘーゲルの精神世界もぶった切るし理性の奸計も否定する。意識の外の存在すら認めないし、偶発性や蓋然性は理性の解釈が入り込めるに際しては認めない。したがって、歴史とは科学であり、理性による事実の選択と解釈があってはじめて歴史が紡がれるとする。そこには徹底的にナイーブなアカデミズムしか存在しないように思われる。歴史にロマンを求めることはカー博士にとってとんでもないことのようです。ただ、何事にもロマンを求める余地を与えないと、たとえばシュリーマンによるトロイ遺跡発掘もなかったかもしれないし、古代文明の研究は進まなかったかもしれませんね。それにしても、カー博士は辛辣で嫌味な物言いをされます。これは、英国上流社会におけるエスプリというかウィットを効かせた話術なのかもしれませんが、日本語使用世界の住人にとってはちょっと反発心が頭をもたげます。ストレートな和訳でなく、もう少し考えた訳が望まれるような気がします。

  • 歴史とは現在と過去との対話である。現在に生きる私たちは、過去を主体的にとらえることなしに未来への展望をたてることはできない−。歴史的事実とは、法則とは、個人の役割は、など歴史における主要な問題を明快に論じる。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00148376

  • 歴史とは、過去から続いて未来へ向かう時間の動的な動きの中で、ある目的に関連し且つ重要と思われる出来事を前後の関係性と共に並べた物であり、すべての事実が歴史になるわけではなく、また無闇に抜き出した事実が歴史になるわけでもない、というのが本書の主旨だと思うが、いやー、冗長。
    この講演がなされた時は新奇な発想であり、劃期的な発見であったのかも知れないが、現代を生きる人には正直「何を今更」という感想しか湧かないと思う。
    その内容を個別個別の歴史家や神学者、哲学者を挙げて甲はこういった、乙はこういった、丁はこいった、と挙げていって、批判するのかと思ったら、しない。いや、もしかしたら原文ではもっとはっきり批判しているのかも知れないが、少なくともこの訳本はすごくらわかりにくい、個人的に。そのため、読んでいて「私はトマトがすきであるが、甲は嫌いと言っていた。乙はトマトの赤がきになるようだ。丁は……」みたいなどうでもよい紹介文が延々続くようにしか思えず、大層疲れた。
    興味深い話もあるにはある。個人的には第四章が面白かった。そのほかの章にもところどころおもしろい話はあったが、割合的にはそうでもない。そもそも英国人のアイロニーみたいなのも期待していたが、翻訳の時点で削がれたか、原文になかったか、自分が気付かなかったのか、みつけられなかった。
    概して、名著として学校の授業でも紹介されたその理由がよくわからない。学校の先生、特に歴史の先生は読んだことあるのだろうか。

  • 歴史とは、歴史家と事実との相互作用の不断の過程であると説く本。
    今の歴史観は今の社会感を反映している。現代文の問題っぽい。

  • 20世紀のイギリスを代表する歴史家の1人であるE・H・カー氏が1961年の1月~3月にかけてケンブリッジ大学で行った連続講義「歴史とはなにか」が書籍になったものです。本書を読んだ私の理解は、一貫して「相対性」「相互性」が強調されていることかなと思いました。例えば過去と現在、未来の相対性。個人と社会の相互性などです。また歴史を語る歴史家自身も、少なからず自分の生活している環境に影響を受けているので、純粋に客観的な存在としての歴史家など存在していない、と断言しています。絶対的な存在としての歴史家はいない。「まず歴史家を研究せよ」というのは非常に重要なメッセージだと思います。彼はどんな時代のどんな国で育った人間なのか、その時代はどんな価値観が重視されていたのか、などの背景情報です。歴史を専門的に勉強していないと難解な箇所もありますが(特に19世紀、20世紀の歴史家の名前と思想がたくさん出てくるのでなじみがない)、全般的には普通のビジネスマンでも教養として読めるのではないかと思います。時間をあけてもう1度読むとさらに味わいが出るような本だと思います。

  • ここに書かれている内容が歴史を勉強するうえで大事なのはなんとなく分かりますが、自分がまだそのレベルにいきついていないこともはっきりしました。
    結果的に読破するまでには至りませんでした。
    これからも歴史関係の本を中心に多くの本を読み、再度この本の読破に挑戦したいですし、読破するだけでなくより多くのものをこの本から吸収したいです。

  • 難しい。もう1回いつか読む

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