君が電話をかけていた場所 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048653923

感想・レビュー・書評

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  • 前編としての本書を読了。
    生来、顔に醜い痣を抱えていた主人公・深町陽介は、ある日、謎の女から電話で"賭け"を持ちかけられる。それは、痣を消すかわり、初恋の人・初鹿野唯と両想いになってみせろというもの。そのときは痣を消すことなどできないと信じなかった陽介だが、翌朝になると確かに痣は消えていた。コンプレックスだった痣が無くなったことで、友人もでき、陽介の生活は一変する。しかし、陽介の痣が消えた一方、なんと初鹿野の顔には昔はなかった痣が出現していた。初鹿野の行動も正確も昔とは変わってしまい、さらに陽介は彼女との再開を果たすも拒絶されてしまう。はたして"賭け"の行方は。

    風景の描写の仕方や、高校生の割に大人びた心情の描写など、とても好物。
    なにか大きな悲しみや破滅が起こりそうな予感に満ちていて、しかし、それらはなかなか姿を現さず。
    後編がとても楽しみ。早く読みたい。
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    物語はまだ続くけど、前編を読み終えて、今後の展開の予想など、備忘録的に。
    ・前編『君が電話をかけていた場所』の終章が「僕が電話をかけていた場所」で、後編はその逆という構成。ループものなのか?
    ・そうであるなら、本書最終盤で陽介と話した初鹿野は「今の」初鹿野なのか?だが、話している様子からは、かつての(たとえば中学2年の)初鹿野であるというような様子はない。
    ・初鹿野は見知らぬ駅にいる。一方、陽介も夏休み初めに電車で見知らぬ駅に行き温泉に入ったことがある。関連は?
    ・初鹿野は陽介を拒絶する理由を自らの弱さと話すが、それでは、痣の出現当初は普段通りに振る舞っていたことの説明がつかない。空白の4日間に何があったのか。
    ・陽介以外の「人魚」であり、陽介の前に「泡と消えてしまう」のは荻上だろう。そして荻上にとっての陽介は、陽介にとっての初鹿野と同じ位置づけなのだろう。では陽介と荻上の最初の出逢いはいつだったのか?そして荻上が賭けに応じることで得たもの(あるいは失ったもの)は何だったのか?「身体に問題を抱えていた」の意味とは?
    ・電話の女は、八百比丘尼的な存在、陽介のような人間の魂を吸って寿命を永らえている存在?
    ・初鹿野と荻上が同時に現れる場面がない。意味があるのか?
    ・そもそも荻上の存在感が何となく薄い。陽介に対しては強烈な印象を与えているし、他の人にも認識はされているが、家族も登場しないし、何かあるのだろうか?
    ・幽霊を探す女の子の意味は?

    これらの伏線とか、ひっかかりポイントにちゃんと後編で答えてくれることを期待!読み返したくなる本になりそうな予感。

  • この作者特有の雰囲気が漂った作品だった。人魚姫の話にリンクしているところがいいと思った。見た目が大切なのか、中身なのか、深く考えさせられる。特に千草のキャラがしっかりしていて読んでいて楽しかった。なぜ初鹿野の顔に同じ痣ができたのか?電話の向こうの女は誰なのか?色々と謎が残っているので、後編に期待したい。

  • 顔に大きな痣を持つ少年は、ある日電話向こうの女性に賭けを持ちかけられる。それは、「痣を消した時、好きな女の子の心を射止めることができるか」というもの。けれどその女の子とは、小学校を卒業してから3年も会っていないし、そもそも痣が消えるわけもない。そう思いながら賭けに乗った次の日、少年は鏡を見て立ち尽くす。ーーー痣が、なくなっていたのだ。
    (上下巻の上巻です。)

  • 上下巻構成の上巻。げんふうけいの落ち着いた語り口が秋の夜長に合い、その文体、表現がまた美しい。

  • 三秋さんの作人には毎回,人としての生を考えさせられるものがあります.この作品では,人の心の醜さを思い知りましたし,逆に心の綺麗さを思い知りもしました.私たちなんて外見だけで,本当は中身は同じなのに,その外見によって大きく生き方は左右され,その人の一生は決まってしまいます.『人は見た目が9割』て本もあるくらいですから,私たちが如何に偏見というフィルターを変えて判断をしているのかと思い知らされます.そんな問題と真っ向から向き合い,時に目を逸らし,迷いながらも一途な思いを貫く主人公には頭が上がりません.

    描かれている描写は,現実離れしたようなところもあります.しかし,それが美しい.夜空を見上げるところには心を奪われ,うっとりしてしまいます.

    三秋さんで続編があるのは初めてなので期待が膨らみます.

  • あらすじ(背表紙より)
    「賭けをしませんか?」と受話器の向こうの女は言った。「十歳の夏、あなたは初鹿野さんに恋をしました。しかし、当時のあなたにとって、彼女はあまりに遠い存在でした。『自分には、彼女に恋をする資格はない』。そう考えることで、あなたは初鹿野さんへの想いを抑えつけていたのです。…ですが、同時にこうも考えていました。『この痣さえなければ、ひょっとしたら』と。では、実際に痣を消してみましょう。その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです」。

  • ブクログから献本でいただきました。生まれながらにある顔の痣のせいで暗い小中学生時代を過ごす羽目になった主人公、深町、に突然かかってきた電話(それも帰宅途中の公衆電話)に出てみたら 見知らぬ女性からの賭けをもちかけられる。それは想いを閉じ込めていた痣は消してあげるので、痣のせいで淡い恋心を抱いていた小学生時代のマドンナ初鹿野との恋を実らせればか賭けは深町の勝ちだという。
    実はこの卷は、続編の「僕が電話をかけていた場所」の前哨戦のような一冊なのでこれだけではオチがないので注意。最後の最後で思いの丈を初鹿野にぶっちゃけた深町に男気を感じないでもないけれどオチは何か欲しかったかな?

  • 8月25日発売の『君が電話をかけていた場所』は、9月25日発売の『僕が電話をかけていた場所』と上下巻構成になっております。

    ということらしいので、楽しみです。

  • 【暗闇に鳴り響く公衆電話のベル。受話器を取ってしまったその瞬間、不思議な夏が始まる。】

    「賭けをしませんか?」と受話器の向こうの女は言った。
    「十二歳の夏、あなたは初鹿野さんに恋をしました。しかし、当時のあなたにとって、彼女はあまりに遠い存在でした。『自分には、彼女に恋をする資格はない』。そう考えることで、あなたは初鹿野さんへの想いを抑えつけていたのです。……ですが、同時にこうも考えていました。『この痣さえなければ、ひょっとしたら』と。では、実際に痣を消してみましょう。その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです。初鹿野さんの気持ちに変化が起きなければ、賭けは私の勝ちです」

  • ふいに公衆電話にかかってきた電話に出て、謎の女と「顔から痣を消すから、初鹿野をお落とさなきゃいけない」って賭けをして翌朝実際顔から痣が消え、その痣が初鹿野に移動しなきゃならないんだ?後半が気になります。

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著者プロフィール

WEBで小説を発表していた作家

「2015年 『僕が電話をかけていた場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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