死ねばいいのに

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062161725

感想・レビュー・書評

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  • 2022.5.6

  • 京極夏彦の入門本といった感じ。
    読みやすく、あっという間に読み終わった。
    一人一人の登場人物に苛立ちやもどかしさを覚えるが、主人公が一蹴してくれる。誰が蹴ってんねん、とも思う。

    もっと意味わからない(けどある種の一貫性がある)登場人物が出てくる作品の方が好みではある。

  • タイトルから勝手に、人間のクソみたいな部分に触れてぎったぎたに嫌な気持ちになるぞ!という気持ちで読み進めたら全然嫌な気持ちにならなかった、という本です。この世は生きづらいけど自分のことは大事!大好き!他はゴミ!みたいな気持ちになるくらいなら死んでもいいのでは…と思うけど、それはそれで異常なのかな。人の幸不幸を決めるのは自分ですらないのだろうか等々考えさせられました。私は結構好きです。

  • 夏といえば京極さんかなと思って読みました。

    なんだかあれですね。水戸黄門の印籠みたいでしたね。『死ねばいいのに』笑

    なんとなく犯人はこの人かなと思いましたが、理由までが徹底してタイトルとマッチしていてお見事でした。

    ケンヤくんの話し方、苦手だったわー。こういう子が突然来たら私もイライラしちゃうだろうなと思いました(^^;)

  • イヤミスの範疇の一冊。どの話を読んでもイヤな気分になるばかり。

  • 死ねばいいのに
    もう、このタイトルのインパクトに負けて手に取ってしまったとしか言いようがない本。正直、ものすごくイメージが悪くて、本当に言葉が悪くて申し訳ないのだが”胸糞が悪くなる”話なのかなあと思っていて、気になりつつ、なかなか手に取れなかった。

    読んでみて、、、まあ気持ちの良い話ではなかったけど、そこまで最悪な読み心地でもなかった。そもそもの自分の予想が違っていたから。
    この「死ねばいいのに」は、亡くなった『亜佐美』について語っている人達に向けて『無礼な男』がそう感じている、言っている言葉だと思っていたのだ。でも、読んでみると少し違うな、と。
    いや、男がそう感じて、相手に向けて放っている言葉ではあるのだけど、それは、私が思っていた、そう言ってやらないと気が済まない位、相手を軽蔑し憎悪して放った言葉と言うよりは、何と言うか、もっと軽い、まるで”提案”のような、「え、じゃあ死んじゃえばいいんんじゃない?」みたいな言葉なのだ。
    だからと言って、この言葉をそんな簡単に言葉に出して良いわけがないし、ましてや、もし現実世界にこんなことを『ケンヤ』のように口に出す人がいたら、ドン引きでしかないのだけど、相手に対する憎悪からくる、お前みたいな屑、死ねばいいのに、とは違う、と言う意味で予想とは違ったし、
    何より亜佐美が、そこまで自分は不幸で生きているのが辛くて死にたかったとか、周りの人達を恨んでいて、それこそ「死ねばいいのに」と思いながら生きていたのではないことに救われたのだ。

    ケンヤに訪ねてこられた人達は、皆不満があって、文句を言い、自分のことは正当化したり建前や言い訳でごまかしたりしていて、読んでいてイライラさせられるし、ケンヤの言動によって、どんどんボロを出し、追い詰められていく様子は、正直ちょっとスカッとするところもあるのだけど、じゃあ、すっかりケンヤ側になって、責められるのかと言うと、そうでもなくて、、、
    さすがに、亜佐美の母親や佐々木のような人には共感はないのだけれど、組織や上司や部下に不満を持っていたり、男性に可愛がられている女性社員を妬ましく思ったり、自分なりの正義を持って動いてるつもりなのに伝わらない悔しさだったりは、
    誰の心にもあることだと思うから。深刻な時には、自分を冷静に見つめることなんてできないし、周りのせいだと思うし、もうどうにもならない、と思うことだってある。
    それなのに、じゃあ「死ねばいい」じゃん、と言われるのは違う。そうじゃないじゃん、と思ってしまう。

    最後に、ケンヤが「人間って、みんなダメで、屑で、それでも生きてるもんすよ。あんたの言う通り、生きるために生きてるんすから、死にたくなんかねーよ。」と言っている。けれども、亜佐美は違った、それが怖かった、死ぬのを本当に嫌がらないなんて人じゃない、と。
    それを聞いて、最後の最後に、少し救われた思いになった。醜い気持ちを抱いてしまっていても無様でも仕方ないじゃないか。人なんだから。「生きてればいい」。

  • 「亜佐美」というヒロインを巡る連作短編集なのでしょうか。
    「亜佐美」あるいは「アサミ」は、語られるだけの存在で一度も登場しません。
     最初から死んじゃってますし。誰が殺したんだって話なんですが。

    一貫して登場するのは「渡会」っていうチンピラっぽいのに、
    どこか誠実そうな人物で。
    最初、コイツは死神かなにかで、アサミの復讐めいたことをやりにきたのかと
    思ったんですが。

    そうではなかったっす。

    まるで聖女のようなアサミ以外は全員「死ねばいいのに」ていうか
    「もう死ねや」っていうくらいの、何か唾棄すべき人たちばっかなんですけど。
    でもでも、きっと自分もそうなんだわ、たぶん。

    誰かのせいにして、自分は悪くないって、アサミのこと訊いてるのに
    自分語りばかりする。

    軸が自分の中にないと、周りまで不幸にしてしまうのかもね。

  • 京極作品の中では読みやすい。

  • 1人1話短編のよう。
    亡くなったアサミに生前関係が深い人達を
    ケンヤが訪ねてまわる。
    …が最後怖かった〜完全にサイコパスじゃん。
    何となく途中でラスト予想ついて楽しめなかった。

  • ◆最後の2ページで怖くなりました◆
    礼儀知らずのケンヤという若者が、殺されたアサミという女について関係者に尋ね回る話です。関係者たちは自分のことばかりを語り出し、自己正当化しようとします。対するケンヤの物言いは率直で、自分に向けられているようでドキリとします。「死ねばいいのに」というそれだけで強烈な言葉が、どう使われているかが見どころです。徐々に明らかになっていくアサミの人物像と犯人に貴方は何を感じるでしょうか? 私は怖くなりました。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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