カエルの楽園 (新潮文庫)

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著者 : 百田尚樹
  • 新潮社 (2017年8月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101201924

カエルの楽園 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 百田尚樹『カエルの楽園』新潮文庫。

    久し振りに読む百田尚樹。何とあからさまな日本の国政批判的な小説を創作したものだ。面白いことは面白いが、内容については両手を挙げて共感できるものではなかった。一種の洗脳小説と言っても過言ではない。

    楽園のナパージュはジャパン、すなわち日本で、三戒は日本国憲法の第九条か。さすがに、ここまであからさまだと下品な感じがする。もう少しオブラートに包むなり、婉曲的な表現であれば、受け入れられる可能性があったかも知れない。

    平和を求め、ナパージュにたどり着いたアマガエルのソクラテスとロベルトは難民なのだろう。ヌマガエルは在日韓国人で、スチームボートがアメリカなんだろうな。

  • 読了。
    表紙を見て、イギリスの児童文学のThe Wind in the Willowsみたいな本かなと思い手にとって読み始めたら、何が何がさらに風刺が効きすぎて、良い意味で期待を裏切られた。
    政治的なことはさて置き、物語としても面白く最後は少し背筋がゾッとする。今だからこそ、この本は日本という国について考えるキッカケになると思う。今一度、平和について考える機会を与えてくれる本。
    なにより解説を櫻井よしこ氏が多くの頁を執筆されている。百田氏が織りなす寓話の謎解きがここに書かれてあるわけですが、本文を読んで分からなかった人は解説を読んだ後、再度本文を読み直すとよい。気づかなかったことが見えてくるかもしれない。
    おそるべし百田尚樹。

  • この本は3つの理由でヤバイ。
    1.話の展開が分かるのに小さく現実感ある意外性で飽きずに読めるヤバイくらい面白い小説である事。2.日本の現実を適切に捉えてる一方読後の感想として逆に軍国主義に流れるのが救いになりそうと思わせる事。3.結構流行っているが仮にこれを読んで世の中の人が反応しなかったらどこまで理解のない国民なんだと絶望してしまいそうな事。
    すっげぇ面白い。だからこそ禁書にしても良いんじゃないかって思える毒を孕んでて、それで世の中に問いかけてるこの問いかけ、すごくゾクゾクする。道徳の時間で取り上げてみんなで色々考えられると良いなぁ。

  •  世の中には二元論で割り切れないことばかりなのに、政治には右か左かしかないようだ。
     それ以外の選択肢は、もっと右か、もっと左か。
     本書は右翼視点の現代日本の寓話化である。


     様々な国で迫害を受けてきたアマガエルの二匹がたどり着いたのは、三戒を堅持するツチガエルの国ナパージュだった。 
    「カエルを信じろ。カエルと争うな。争うための力を持つな」
     ツチガエルたちは三戒がナパージュを守っていると信じている。
     
     しかしナパージュに危機が迫ってくる。
     国境の崖の下からウシガエルが登ってきた。
     三戒が国を守る。
     声高な主張にもかかわらず、ウシガエルたちは次第にナパージュの中央に侵入してくる。

     
     つまり、憲法九条をめぐる現代日本の縮図である。
     憲法九条を固辞するがゆえに、中国が攻めてくるというストーリーだ。

     憲法改正しないと日本は武力攻撃されても反撃することができない。それは分かる。
     戦後の憲法が現実に即していない部分もあるから改正は必要だろうとは思うが、そう言うと左翼からは「そんなに戦争がしたいのか!」と右翼のレッテルを貼られる。

     でも、憲法改正は国全体のことだ。
     しっかり国民の深い理解を得ようと説明がなされないまままに憲法改正を急ぐのは疑問だが、そう言うと右翼からは「今すぐ中国が攻めてきて占領されてもいいのか!」と左翼のレッテルを貼られる。

     施策に対して賛成か反対かしかない。
     反対するために存在するだけの左翼、危機を扇動する右翼。
     もし日本がカエルの国だったら、俺は大きい声の聞こえないところで冬眠していたい。 

  • 天敵に襲われず平和に暮らす国の話
    その国には三戒という絶対平和主義という決まりがあり、三戒があるからこそ楽園が維持されるという。
    そんなある日楽園の片隅に天敵のウシガエルが現れた!
    三戒は楽園を守ってくれるのか?

    日本とそれを取り巻く東アジア諸国と米国の関係と憲法九条と集団的自衛権と憲法改正を寓話化した小説!

    本書は改憲勢力に属するカエル達が少し可哀想に描かれており、米国はスチームボート程立派ではない。また、護憲派のカエル達が非常に残忍に描かれている。
    寓話化されている以上多少の匙加減と言ってしまえばそれまでかも知れないが、読後感としては護憲派に対する多少の嫌悪感が芽生えてしまうのではないか?と思えてしまう。

    しかし、どちらかと言うと護憲派の私でさえも本書は面白いと思えてしまう。



    何れにしても、推測だけで物事を進めたり、何かを守るためにデマカセや言葉の置き換えで翻弄する人を信用してはいけないと改めて思った。



    蛇足ではあるが櫻井よしこさんの解説は本書の格を貶めている気がします。星マイナス2

  • カエルの楽園

    正直に言って、面白くないわけではないが下品だと思った。これは、直前に百田尚樹の新書「戦争と平和」を読んだからということもあるかもしれないが、著者の政治信条が如実に透けて見えてしまい、小説としての、フィクションとしての良さが感じられなかった。作中に出てくる「ハンドレット」というカエルはまさしく百田自身の化身であるのは明らかで、自分の小説に自分を登場させてええかっこしいするのはなかなかサムい演出ではある。しかし、自分自身、百田尚樹の政治信条に関しては完全に反対なわけではないので、小説の様な状況はいずれ日本に起こりうるということは想定できる。結局のところ中止になってしまったが、自分の大学の学園祭に来て、講演することはそれなりに楽しみではあった。それはそれとして、「海賊と呼ばれた男」や「永遠の0」を読んで感動した自分としては、この小説には、小説という範疇としてみれば、少しばかり失望した。自分はジョージ・オーウェルの「動物農場」がオールタイムベストというほど好きではあるが、同時代人にとって動物農場はどのように映ったのかは気になる。時間というフィルターを通さずに読む現代風刺、歴史風刺は、この本で味わったからこそ、それは気になる。

  • 戦後のWGIPの中で20〜30代を生き抜いてきた私は、正しい戦後史観を持ってきたのだろうか?戦争を起こし、残虐な行為を繰り返し、敗戦した国であるため、もう二度と戦争を起こしませんと自ら戦争を放棄したと、40代半ばまで疑問を持ちつつもしんじてきました。
    三戒を、守り抜くことで、ツチガエルは幸せに暮らせたのでしょうか?スチームボードを追い出し、ハンニバル三兄弟を殺しては、ウシガエルに対抗できないのがナパージュです。三戒があればあらゆる武器に優るというマスコミに言いたい。もっと公平なニュースを提供することが本来の公平ではないのでしょうか!

  • 入院中にお見舞いにいただいた本です
    サクサクと読めました
    百田さんの「殉愛」を(買う気すら起こらず)立ち読みした時は、なんてつまらん本を書くようになったのかと絶望すら感じたけれど、この本はなかなか面白く、私の中の百田さん株復活です。
    比喩がわかりやすすぎるけど、わからなすぎても困るからなぁ…

  •  日本を寓話化するとこんなに後味の悪い元気の出ない話になってしまうんだな。三戒が憲法九条のことであるのはすぐにわかる。北朝鮮のミサイルが射程圏内であることを考えれば、まさにいまの日本はツチガエルたちと同じ論争を繰り返している。憲法九条は守られえるべきだと思っていたオイラは安部内閣がやろうとしていた真意にやっと気が付いた。マスコミの操作にまんまと乗っていたのかもしれない。ツチガエルは性善説的な考え方をする、ほんとはそうじゃないことに気が付いているくせに。オイラにもそういうところがある。そんな時はちょっと自己嫌悪だ。他者との衝突や交渉を避ける臆病者だからだ。
     物語はヴィジターであるソクラテスとロベルトの言葉で語られるんだけど、途中でオイラはソクラテスにイライラしていた。他のカエルに比べて冷静でいい意味で懐疑的だけど、お世話になったナパージュに対して具体的なアクションがないからだ。ナパージュにたどり着くまでの経験は活かされず、ウシガエルに占拠されしまい、ローラひとりを助けることもできなかった。後味が悪いのはこのためだ。

  • なんだこれ。捻くれてる。

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カエルの楽園 (新潮文庫)の作品紹介

国を追われた二匹のアマガエルは、辛い放浪の末に夢の楽園にたどり着く。その国は「三戒」と呼ばれる戒律と、「謝りソング」という奇妙な歌によって守られていた。だが、南の沼に棲む凶暴なウシガエルの魔の手が迫り、楽園の本当の姿が明らかになる……。単行本刊行後、物語の内容を思わせる出来事が現実に起こり、一部では「予言書」とも言われた現代の寓話にして、国家の意味を問う警世の書。

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