- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101315119
感想・レビュー・書評
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戦争と言う狂気の中で犯してしまった罪で、自分の幸せな暮らしを望む事を許せなかったのかなと思いました。けれど妻の事はずっと心にかけていたのでし...戦争と言う狂気の中で犯してしまった罪で、自分の幸せな暮らしを望む事を許せなかったのかなと思いました。けれど妻の事はずっと心にかけていたのでしょうね。3人の少年との出会いで幸せな最後を迎えられて本当に良かったですね。2023/04/24
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秋桜さん、コメントありがとうございます!✏︎
本当にそうですよね、三人に会わなければおじいさんは思いを誰にも打ち明けられなかったかもしれない...秋桜さん、コメントありがとうございます!✏︎
本当にそうですよね、三人に会わなければおじいさんは思いを誰にも打ち明けられなかったかもしれないので……素敵な物語でした(*^ω^*)2023/04/24
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始めの設定にちょっと無理があるような気もしたり、主人公の子供が随分大人びいた考えをするなと。ただおじいさんと交流を深めていき、自分の家族と子供の立場から向き合う姿にはそうそう子供にも悩みはあるし、親に気遣いももちろんしているのだよな、と。子供達はこれからどんな風に成長していくのだろう。特別な夏休みは大人になっても忘れずにいるのかな。
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夏らしい本と言えば、と聞かれると、安直だけどこの本を思い浮かべる。
有名な作品なので、読んだ人も多いと思いますが、ネタバレ注意です。
「夢の中で、オレはそのぬいぐるみとプロレスしてる。でもはっと気がつくと、それはぬいぐるみなんかじゃなくて……おばあさんの死体なんだ」
「それがさ、まるきりぬいぐるみと同じなんだよ。反応が全然ない。オレがけると、ぐにゃってなるだけ。痛いともなんとも言わない。モノなんだ。物体」
再読して、はっとした台詞だ。
ここから三人は、もうすぐ死ぬんじゃないかと噂されているおじいさんの死を、見張りに行くことを決める。
最初は無愛想だった、おじいさんとの交流。
『スクラップ・アンド・ビルド』を思い出した。
身体を動かし、頭を動かすことで、死の匂いからどんどんと遠ざかってゆくおじいさん。
戦争の話、別れた奥さんの行方、花屋のおばあさんとの会話、花火とパチンコ屋の店長。
すっかり忘れていた。
こんなに沢山のエピソードが挟まれていたのか。
おじいさんがいるから、自分にはお父さんがいないのかもしれない、と論理の破綻した愚痴をぼやくシーンがある。
だけど、おじいさんがいたから、三人はそれぞれの抱えていた「難しさ」を克服したのだと思う。
語り手のぼくが「お母さんがいつご飯を食べるか知らない」所から、母親が入院し、父親と下手なオムレツを作る所に至るのは、結構感動するよね……。
また、テーマであるおじいさんの死。
そこには、物体でありながら、物体と見なさない、単なる怖い話を越えた、現実があった。
おじいさんが三人を待っていた、ぶどうの匂い。
でも、三人が見つけて良かったな、と思う。
知らなかったことを、知っていく。
知れば、忘れる以外に知らないには戻せない。
でも、子どもが世界にどんどん触れていこうとする、その勇ましい姿を、知らなくても良いことだって沢山あるこの世界にあっても、応援したい。 -
どこの地域にも、ここって人住んでいるのかなぁ?と思うような古い家があると思う。
そんな家に住む、生気のないおじいさんが気になる…というのはよく分かる。少年たちの心理を的確に捉えて書いている。
おじいさんと少年たちの距離が縮まっていくところが、微笑ましく、またおじいさんが生きる力を得ていく姿もじんわりくる。 -
夏休みのオススメ児童図書として紹介されていて気になり拝読。
3人の少年たちが老人の死の瞬間を観察するという好奇心から始まった物語。遠慮のない生々しいやり取りだったりと、躍動感のある会話が印象的でした。
老人と交流を交わしていくうちに、大きく心の成長をとげていく過程を見せつけられたようで読後感は清々しくなりました。年齢問わずオススメです。 -
小学6年生の男子三人組が、近所の独り身爺様と交流しながら、一夏を過ごし、大人の階段を二、三段登るお話。感想文の課題図書に誂え向き。
家庭で死を迎えることが少なくなって久しい。高齢者と一緒に暮らす子供も減った。そんな現代の冒険物語になっている。
大人が読むと、最初の数ページで「死ぬ瞬間」が見たい子供達の前にぴったりの老人が登場すると、結末が見えてしまいますね。 -
(あらすじ)
町外れの古い家に暮らすひとりの老人を、ぼくらは「観察」することにした。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごとに高まるけれど、不思議とおじいさんは元気になっていくようだ。いつしか少年たちの観察は、老人との深い交流へと姿を変え始めてゆく……。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。
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人が死ぬってどういうことなんだろうという疑問はまだ私も持っています。
物語の終盤、3人が幽霊やお化けの話をしている時に「なんで人間は暗闇がこわいんだ?」という疑問を持ちます。
その際、3人の少年のうち一人がこんな分析ををしています。
「あんなにたくさんの妖怪やお化けを、人間は想像したり、名前をつけたり、絵に描いたりする。それは正体がわからないものがいちばん怖いっていう証拠だよ。はっきり姿を決めて、名前をつけてしまえば、お化けってこういうものだとわかる。わかってしまえば、少しは怖くなくなる。そうじゃないか?」
たしかにそうかもしれないなと思った。
私が「死」が怖いのも得体の知れないものだからなのかなぁとおもいました。私はまだ身近な人が亡くなるという経験をしたことがないので、この小説の3人みたいには割り切れていないところがあります。
小学生の頃、「○○さんところのあの人亡くなったらしいで」と自分の両親か親戚かが話しているのを聞いて、「亡くなる」ってなんだろう。と心細いような不安な思いに駆られたのを思い出しました。
湯本香樹実さんの描く少年たち、少年たちの見る世界、ささいな仕草や行動がとてもリアルで引き込まれました。 -
「生きていく上で大切なこと」が詰まった本だと思った。
男子小学生トリオが話の中心で、小学生や誰でも身に覚えのあるその年頃の感覚だとかの描写がものすごくリアル。
死を身近に感じたことのない小学生が、もうすぐ死にそうだというお爺さんに興味本意で近づく。最初はただ家の外から観察しているだけだったのが、次第に仲良くなり交流を持ち、人生の大先輩から色々なことを教わるようになる。掃除・洗濯・炊事・庭仕事など身近なことから、戦争の時の話まで。
「生きていくこと」とはどういうことか教えてくれたお爺さんが、身をもって「死」とはどういうことかも示してくれたことにより、「生」から「死」を一連のものとして捉えられるようになり、今ある「生」に真正面から向き合えるようになる。
・特に好きだった文章
「ホースの角度をちょっと変えると、縁側からも小さな虹を見ることができた。太陽の光の七つの色。それはいつもは見えないけれど、たった一筋の水の流れによって姿を現す。光はもともとあったのに、その色は隠れていたのだ。多分、この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう。虹のように、ほんのちょっとしたことで姿を現してくれるものもあれば、長くてつらい道のりの果てに、やっと出会えるものもあるに違いない。ぼくが見つけるのを待っている何かが、今もどこかでひっそりと隠れているのだろうか。」