貝と羊の中国人 (新潮新書 169)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101694

感想・レビュー・書評

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  • 中国の歴史は奥が深い。貝と羊の二本立て。本音と建前の両刀使い。中国人の歴史も流民の歴史。華僑は東洋のユダヤ。そのパワーはすさまじい。
    毛沢東だけが、農民にもわかる言葉でマルクス主義の本質を語った。
    中国人は内陸からの攻撃を防ぐために、海への攻撃にまでは出られなかったし、海からの攻撃には弱かった。だから列強にやられたのだろう。
    中国人の夫婦喧嘩は表に出てきて、相手をののしり、聴衆にどっちを味方につけるかで勝敗が決まるそうだ。外交も同じだな。恐ろしい国と外交、貿易をしなくてはいけないんだな、日本人は。。

  • 中国人の長所と短所の両方を、歴史や社会の深層まで踏み込み、冷静に見つめること。
    中国の民衆に対して、積極的にホワイトプロパガンダを行い、自分達の真実の姿を知らせる努力をするべき。

    外国人には、理解しにくい、中国の本音と建前を、中国の伝統演劇「京劇亅の専門家が、歴史とからめて解説していて面白い。ヒーローと英雄伝観や、貝(ホンネ)と羊(タテマエ)の歴史的な成り立ちの解説がよかった。

  • 私の通っていた中学の社会の先生は、少しかわっており、
    成績はよろしくなかったが、結構好きな先生で、
    いまだに年賀状のやりとりをしている。
    なぜ変わっているかといえば、中2の世界史で半年以上中国史を扱っていたのだ。
    それも大学受験用の山川出版の各国別世界史ノートを使用していた。
    その頃から20年以上経つけれども、いまだに
    「殷周春秋戦国時代、秦漢魏晋南北朝、
    隋唐五代十国時代、宋元明清、民国人民共和国」と
    中国の王朝の変遷をそらんじることができる。
    大学受験で世界史を選択する常識だけど、
    中国史を出題しない大学は無い。
    それを、当時中2の私たちに伝え、ある部分では
    高校の授業より深く勉強した。(けど成績はよろしくない)
    漫画で有名な三国志は、このノートでは3~5行で終わっていたと思う。
    (今はわからないけど)

    ということで、加藤徹著の表題の本である。
    著書によれば、貝は現実主義・本音、羊はイデオロギー性・建前だという。

    意外に今の日本社会と似ているなと感じたのが
    5章の「ヒーローと社会階級」の内容だ。
    士大夫は中間支配階級で、政策を実行にうつす立場だった。
    儒教という忠義の美学を活用して、その士大夫が実権を握る。
    士大夫は、中央からでなく、少し離れたところからの出身者が、
    頭角をあらわし実権を握ることが多い。
    なるほど、徳川幕府でも儒教が官学となっていた。
    科挙・漢字・儒教が士大夫の権威維持のためのセット。
    国Ⅰ公務員試験、漢字ばかりの法令用語もセットだね。

    日中の「羊」の部分でのぶつかりは、
    全盛時代の清の時代の領土意識と、
    明治の頃の領土意識とが、
    現代のそれそれと違う点で違和感があるから。ではないか。
    著者はこの領土意識を「似ている点」と言っている。

    本当は互いに相手国に興味がある日中国民は、
    互いの一部の事象を捉えて嫌中・反日を仕掛ける。
    予め妥協できる範囲やテーマを設定し、
    現実的な接点を積み重ねるのが、よいのかもしれない。

    おまけ
    (それでも第4章の人口の章は、どんでもないエピソードばかりで、
     びっくりすること間違いなし)

  • 中国の歴史や価値観を漢字、地形、ヒーローなど様々な視点から読み解いている。中国の歴史についてもっと詳しければより楽しめただろう。日本との歴史の関係性もなんどか引き合いに出されていて、今まで教わった日本史を新たな視点で見ることができた。やっぱり中国人の領土意識は面白い。

  • 中国という国の二面性を言語、歴史、地理等の視点から解説。分かりやすく、面白い。

  • いつ読んでも漢字の成り立ちの話は怖い。中国の命の軽さが関係しているだろうか?が、漢字のお陰で中国の知識は他国の人に比べより容易に理解できる。
    冊封(朝貢)の国であったために、東アジアにはなじみのある漢字では「中華」と国名に付け、アルファベットでは普通の名前。
    加上説の通り、中国は日本より歴史が古く、韓国よりも歴史が浅い。
    貝の文化(殷人的、農耕民族的、多神教、有形財物、老荘的)と羊の文化(周人的、遊牧民敵、一神教、主義、孔孟的、儒教的)が入り混じった国。
    ホンネとタテマエが入り乱れている国である。
    今まで西洋は競合的協力関係により発展したが、東洋ではあまり見られなかった。今後そのような関係を築きあげ、お互いの発展を望む。

  • 昔、会社の方から借りて読んだ本。あまりに面白くて自分でも買ってしまった。

    貝のつく漢字と羊のつく漢字から、中国人の本質が見えてくるという斬新な切り口。でもそこから「金儲けと共産主義が矛盾しない不思議な国」の謎が解けてくる。中国人の頭の中に興味のある方、必読!

  • 漢字の中の「貝」と「羊」に秘められた中国人の本質。
    「共産主義」と「市場経済主義」が何故彼の国では共存できるのか・・・。
    日本人との違いや共通点も含めわかりやすく書かれていて、興味深い1冊でした。

  • 中国人留学生に薦められて読んだ本第二段.

    これも大ヒットでした.これまでの私の中国に対するイメージが
    180度変わったといっても過言ではないと思います.

    貝の文化と羊の文化が融合した中国

    人口問題に悩まされた中国

    盛塩の起源が中国にあったこと

    などなど,まだまだ私の世界は狭いのだなーと思った一冊.

  • 中国を理解するための良著
    様々な角度から中国人の心理に触れられていて面白かった。

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著者プロフィール

1963年生まれ。明治大学法学部教授。専攻は中国文学。主な著書に『京劇――「政治の国」の俳優群像』(中央公論新社)、『西太后――大清帝国最後の光芒』(中公新書)、『貝と羊の中国人』(新潮新書)、『漢文力』(中公文庫)など。

「2023年 『西太后に侍して 紫禁城の二年間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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