夏目漱石を江戸から読む: 新しい女と古い男 (中公新書 1233)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121012333

作品紹介・あらすじ

近代日本文学を代表する作家で、英文学者でもあった漱石。その作品は、英米文学の受容とともに論じられることが多かった。本書は漱石作品を、人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世草子、人情本、読本のような江戸期の文学と西洋文学との交点に生まれたものとして捉え、比較文学の手法を用いて分析、『坊つちやん』の武士的精神が『虞美人草』以降、恋愛の世界と交錯し、同性関係と異性関係の絡み合いとして、『こゝろ』が生まれる過程を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 『虞美人草』と合わせて読んだ。『虞美人草』は勧善懲悪orお家騒動?

  • 20051001

  • 資料ID:C0018296
    配架場所:2F新書書架

  • 感銘をうけた1冊。
    疑問に思っていた『こころ』の乃木大将の殉死が、なぜ、登場してくるのかということなど、江戸と明治を区別して考えてみると読み解ける鍵になる感じました。
    読んでいて歌舞伎の丸本物について学びたくなりました。
    個人的に好きな『三四郎』の解説も流石と納得してしまいました。
    小谷野敦氏の著書は、全てキレが良いですね。

  • [ 内容 ]
    近代日本文学を代表する作家で、英文学者でもあった漱石。
    その作品は、英米文学の受容とともに論じられることが多かった。
    本書は漱石作品を、人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世草子、人情本、読本のような江戸期の文学と西洋文学との交点に生まれたものとして捉え、比較文学の手法を用いて分析、『坊つちやん』の武士的精神が『虞美人草』以降、恋愛の世界と交錯し、同性関係と異性関係の絡み合いとして、『こゝろ』が生まれる過程を考察する。

    [ 目次 ]
    第1章 『坊つちやん』の系譜学―江戸っ子・公平・維新
    第2章 「お家騒動もの」としての『虞美人草』
    第3章 女性嫌悪のなかの「恋愛」 ―『三四郎』
    第4章 「メタ=恋愛小説」としての『それから』
    第5章 惚れる女、惚れられる男―『行人』
    第6章 『こゝろ』は「同性愛小説」か?
    第7章 幻の「内発性」―『明暗』

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    [ 参考となる書評 ]

  • 「それから」や「こころ」に対する世間の「恋愛小説」としての評価に違和感を感じるところから始まって、漱石作品に江戸時代的な感性の存在をたどる。例えば「『こころ』は同性愛小説か?」と題される章では、少女マンガにおける少年同性愛を引き合いに出しつつ、漱石および漱石愛読者における「女性の美化」以前の「女性の無化」を指摘するのだが、いずれにせよ挑発的な各章章題に耐えうる立派なオチをつけているとは言いがたい。

  • 著者は江戸文学や比較文学の研究者。

    内容は興味深いものだったが、読み通すのに時間がかかった。

    それにしても彼のような研究者をして「われわれが考えるべきことは、すべて漱石が考えてくれている」と言わしめる漱石の大きさよ!




    作成日時 2008年04月06日 10:44

  • この本を読んで「こころ」について長年抱いていた疑問が氷解。かなりスッキリした。「漱石は外面的には新しい衣装を着ているが、内面的には滝沢馬琴や浄瑠璃の世界における男女関係や衆道の理念にとらわれている、という。「坊っちゃん」は江戸時代よりさらに前、東国武士の倫理観を体現している、とも。
    ただ、自分的には「道草」や「虞美人草」や「二百十日」好きなんだよね。

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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