応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
3.47
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感想 : 289
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024015

感想・レビュー・書評

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  • なぜかこの難しい本がベストセラーになったらしい。
    なかなか理解が不足していると感じているが、中央の幕府の力が弱まって、地方の力が相対的に強くなったことで戦国時代が始まったとも言えるという側面は良く分かった。
    何度か読み返して、理解を深めたいと思うのと、大河ドラマ「花の乱」は出来が良かったらしいので、いつか見てみたい。

  • 複雑。戦乱に直接関係はないと思われる経覚と尋尊を軸に語っていることが、読者にとっても幸いしているのかもしれない。客観的に見れたし、二人の物語りに若干の興味を持てたので、何とかダラダラとしつつ、複雑な、この戦いの顛末を最後まで読むことができた。
    内容としては大満足。昔読んだ専門書ではない、一般読者向けの応仁の乱の記述に対する自分の記憶がかなり誤っていたのがわかった。自分の記憶だけでなく、当時の記述自体もあやしかったものだと思う。
    実質東軍の勝ち、というとは勉強不足で知らなかった事実。また、足利義視が徹頭徹尾西軍だった訳ではないことも、記憶の修正対象案件。

  • 複雑な関係性を持った応仁の乱を非常にわかりやすく解説してくれている。長期戦を誰も望んでいないのに、泥沼にはまり込む様は今も通じる話。昔の大河ドラマ「花の乱」をまた観たくなった。

  • 数年前に話題になった中公新書の応仁の乱。これをきっかけに中公新書は歴史実証的な著作が増えていく。
    本書については、個人的な知識の問題で登場人物がビビッドにイメージできずにやや字面を追っていたところがある。とはいえ、メインのストーリである管領家をめぐる対立がきっかけとなって天下の大乱に至り、和平交渉もステークホルダーの多さから落とし所をつくることができずにまとめることができなかったこと。すなわち、幕府の力が低下し大名をまとめられなくなっていたこと、加えて将軍義政が日和見的でどっちつかずになっていたため、各勢力がお互いの利益を主張しあった結果、いくさにもなり和平もできなかったという点は理解できたんだろう。結局、幕府の力が落ちていてもはやまとめる力を持ち得なかったということなんだと思う。室町幕府のこのどうしようもない弱さはある意味興味深い。鎌倉・江戸と比べて何がいけなかったのか・・・。
    加えて、応仁の乱によって京都が荒廃したこと、守護大名が地元で直接統治しないと統治が難しくなったことなどを背景として、京都の文化が各地に広まったということは興味深かった。越前や周防などの小京都と呼ばれる文化を花開かせたことを、多大な被害をもたらした応仁の乱の副産物として見ることもできるわけで、ありきたりだけれど歴史は一筋縄ではいかないなとも思う。
    それにしても、現代の基準で見てはいけないことは当然ながら、いくさばかりで庶民はどうやって暮らしていたんだろうという点、そして代替わり時には徳政令を出すのが当たり前とされていて商売人はどうやって対策していたのかという点は素朴に疑問に思う。現代において徳政令なんて出したら金融が成り立たなくわけで、デットファイナンスはなくなってエクイティファイナンスだけになったりするのではと思ったりするけれど、それでも金融業は続いたんだろうし。

  • 20220329

  • ロシア文豪による長編小説のような複雑さと面白さ。多くの人がしているように、登場人物とその相関図をメモしながら読んだ。800年も前なのに、こんなに詳しいことがわかっているなんて驚き。日本人って昔からほんとに筆まめ。

  • 再チャレンして完読
    人名が出るたびに ノートにメモ
    人間関係を 見ながら 読んだ
    引き込まれる内容 最高

  • 歴史の本は登場人物が多く、状況の推移を追うのには根気がいる。本書はよく整理されていて読みやすいのだが、やはり根気は必要。手っ取り早く応仁の乱とその後の見取り図を得たいならば、終章および後書きを読むだけでも十分勉強になるし、そこだけでもかなり面白い。

  • 古本屋で見つけたので、ついに読んだ。

    読んでみると、深い学識とあっさりした読みやすい文体が印象的。経覚と尋尊に注目するという視点も斬新で、これまでの「応仁の乱」イメージを覆してくれる。細かいところを理解しなくても、なんとなく全体像がつかめる構成も巧み。それは注目する人物を定めて話の構造を明確化することで達成されているのだろう。加えて、既存の歴史研究(階級史観、下剋上史観)を叩いて覆す、という基本線がはっきりしていることもあるかもしれない。そういった要素が爆発的ヒットになった理由かどうかはわからないけれど、とにかく専門的な内容なのに読みやすい、ということは間違いない。

    著者は『戦争の日本中世史』を「軽薄な文体」と批判されたので『応仁の乱』は硬めのものにしよう、と考えていたそうだが、僕はどちらも読みやすい文体のように感じた。簡単というより、構図がわかりやすい、という意味で。

    ただ、社会全体をとらえる見方みたいなのは感じられなくて、そこはもう歴史をどういう風に描くのか、という根本的な方法論の問題なのだろう。階級史観を否定して別の史観を出すのではなく、「史観」による歴史叙述そのものを否定するような感じだろうか。

  • 応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書) 新書 – 2016/10/19

    馴染みの無い登場人物が多すぎる為に途中で挫折する可能性高し
    2017年6月24日記述

    呉座勇一氏による著作。2016年10月25日初版。

    1980年(昭和55年)東京都生まれ。
    1999年3月 海城高等学校
    2003年3月 東京大学文学部国史学科卒業
    2008年3月 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学
    2011年6月 「日本中世の地域社会における集団統合原理の研究 領主の一揆を中心として」で博士(文学)
    2012年4月 東京大学大学院 人文社会系研究科 研究員
    2014年4月 東京大学大学院 総合文化研究科 学術研究員
    2014年10月 角川財団学芸賞
    2015年4月 国際日本文化研究センター 客員准教授
    2016年10月 国際日本文化研究センター助教

    昨年から異例の売上部数を誇っており、気になった為読んでみた・・
    2017年6月23日(金)の読売新聞朝刊の広告には38万部とあった。

    しかしである。本書を途中まで読み進みあまりの登場人物の多さに辟易した。
    購入された方々も読んできちんと内容を消化しきれているのかどうか疑問だ。
    別にマルクスの資本論のような訳のわからないレトリックや修飾語が使われている訳では無い。
    本当に知らない人物が多すぎるのだ。
    しかも殆ど馴染みの無い人物ばかりだ。
    数ページおきでは無く数行おきに出てくる感じだ。
    (池田信夫氏もTwitter上で登場人物が多すぎで途中で読み止めたと指摘している)
    あと奈良の地名や地理についてある程度把握していないと
    土地勘も無い為イメージがわかない部分も多い。
    地図が多く載っていれば問題ないが、本書にはそれが無い。

    自分自身、大学受験で日本史Bを使ったし歴史は好きだし得意だと思っていただけにまさか歴史の本で途中で読むのを諦めるとは予想も出来ず驚いている。
    途中からじっくり読み込むのは止め経覚、尋尊の記述部分のみさっと読んだ。
    ただ客観的事実の羅列で本書から何か今の時代に通じる何かを読み取るのは難しいと思う。
    *もっと知識があれば本書から多くの事を吸収できるとは思う。
    しかしそんな読者が何人いるのやら。

    個人的に非常に参考になった部分は下記の内容だ。
    尋尊が経覚が死ぬ前に経覚の謝金が興福寺に及ばないように尋尊が経覚の弟子ではない事を証明する文書を集積し理論武装していた。
    この危機管理、危機回避能力は凄い。
    ビジネスパーソンも是非見習うべき点だ。

    突き詰めると井沢元彦氏や磯田道史氏のような一般人レベルに伝える、伝わる記述スキルが
    現在の呉座勇一氏には欠けていると言わざる得ない。
    結局、難しい専門的な話を、格好つけて難しく書いても一般大衆には伝わらないし、
    影響力は持ち得ない。
    しかし呉座氏は多くの人に届けたいからこそ新書で世の中に出したのではないか。
    学術論文ではないのだから、もっと多くの工夫、編集が本書には求められた。
    本書のヒットは残念ながら一過性のもので継続性はないだろう。

    ただ本書には巻末に人物索引が付いている。
    これは高く評価できる。なぜなら索引をつけることは編集の最後になってしまう為に
    非常に面倒で索引が無い専門書が多いのだ。
    この索引のない専門書は本では無いということを野口悠紀雄氏は常々指摘している。
    本書はその意味で紛れもない専門書である。
    *ただし一般人には敷居が高い。

    願わくば本書の入門的な情報を網羅したものが必要だろう。
    (というかたくさん出てる)
    池上彰氏が本書を紹介するとしたらその点は指摘するであろうと思われる。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター助教
著書・論文:『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中央公論新社、2016年)、「永享九年の『大乱』 関東永享の乱の始期をめぐって」(植田真平編『足利持氏』シリーズ・中世関東武士の研究第二〇巻、戎光祥出版、2016年、初出2013年)、「足利安王・春王の日光山逃避伝説の生成過程」(倉本一宏編『説話研究を拓く 説話文学と歴史史料の間に』思文閣出版、2019年)など。

「2019年 『平和の世は来るか 太平記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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