ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

著者 : アガサ・クリスティー 三川基好

• 早川書房 (2004年5月14日発売)

感想・レビュー・書評

[シンさんの感想 · 2011年9月20日]

ああこれもいい……。殺人発生までの、なにかが起きそうで起きないこの雰囲気！　ほかの人にはちょっと出せません。
ネヴィルとオードリイとケイの三角関係が緊迫感たっぷりに描かれています。クリスティーのよさってメロドラマのよさでもあるんですよね。

旧版の解説は福永武彦さん。名著『深夜の散歩』からの文章です。福永さんに誘われて、自由きままに散歩している気分になります。
新版の権田萬治さんの解説も悪いわけではないのですが、福永さんのやわらかい散策のあとでは固苦しい印象を受けてしまいます。
旧版の勝ちです。

[ものもらいさんの感想 · 2011年8月31日]

おまえかーーー！！！！

[kaizenさんの感想 · 2011年8月4日]

存在しているだけで価値があることがある。
本文の中で、自殺未遂をした人に対する看護婦の助言の一節です。

人間、存在しているだけで、他の人の役に立つことがあるということが、本書で受けた最大の伝言です。

人間の価値の大きさを感じることができただけで、本書を読んだ価値があったと思いました。

ps.
ある漫画で「異能力ただおる」という、いるだけの能力がある人の話しを聞いたことがあります。
当時は、ピンと来ていませんでしたが、看護婦さんからの助言には、重みを感じました。

[rakukoさんの感想 · 2011年6月22日]

古書フェア。榛野なな恵がマンガ化した「ソルトクリークの夏」のおかげで楽しく読めた。オードリーの描写なんてとくにイメージ通り。
マンガで犯人を知っていたのにも関わらずわくわくできる、クリスティーの名作。

[zabitanさんの感想 · 2011年2月7日]

アガサ・クリスティの1944年の作品。

STAR DRIVERに出てくる「ゼロ時間」はこれを踏まえてではないかと気になったという、比較的安易な動機で手に取りました。

導入部分は色々な人物の事件前のエピソードが描かれており、
追っていくのに若干集中力を要しますが、舞台が
事件の現場となるガルズポイントに移ってからは
事件がなかなか起こらないにもかかわらず、
非常に引きこまれる流れになっているのは流石です。

トリックよりも人間の心理が事件の重要なポイントであり、
それに対応して、事件が起こるまでの各人の描写が充実しているというのは、実に無駄の無い、美しい構成ではないでしょうか。

結末は、自分が英国式ハッピーエンドと呼ぶものに
分類して良さそうなもので、どちらかと言えば蛇足な気はするものの、
綺麗にまとまっていると感じました。

[m'A`tsushiさんの感想 · 2010年8月11日]

「殺人とは、ある一定の時刻に一定の場所へと集中された数多くのさまざまの条件が累積した極点なのです。人々が世界のさまざまな土地から、予測できない理由のために、その地点へとはこばれてくるのです。（...）殺人そのものは、物語の結末なのですよ、つまり、ゼロ時間です」

とてもよく作りこまれた話。最後まで誰が犯人なのか検討がつかなかった。
最後が恋愛モードでキレイにまとまっていたのがおかしかった。

[琉花さんの感想 · 2010年7月11日]

「今がゼロ時間です！」という宣言にぞくーっとくる。
いいぞいいぞ、本格ミステリの醍醐味。
ゼロ時間の意味が判明すると同時に、それまでの価値観が反転する。

[kurarabooksさんの感想 · 2010年7月10日]

２０１０．６．１６　紹介
２０１０．７．９　紹介

[kawa3さんの感想 · 2010年5月14日]

人物が集まり、徐々に状況が整い、最後に殺人が起こる、
という展開を目指した作品。殺人は最終点であり、事件はその前から起こっている、との主張に基づいているが、小説にするにはやや失敗した感も。
老婦人が殺され、親族の中から容疑者が浮かぶが、バトル警視は逮捕せず、慎重に捜査を続ける。
内容が濃く面白い。

[sanaさんの感想 · 2010年4月26日]

事件が起きる地点に向かって…
雰囲気のある異色作。