国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 (文春新書)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166610693

感想・レビュー・書評

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  • 一気に読了。自衛隊ではないが、似たような組織に身を置く者にとって、同感できる点多数。どんな組織も多かれ少なかれこんなもんなのだろう。その中で、自分がどのようにふるまうべきか考えさせられた。国家も個人も、譲れない矜持というものは大切なのだろう。

  • 元自衛官の自伝。
    体育教師予定から自衛隊幹部になり、特殊部隊創設に関わった後、退役しフィリピンへ。
    かなり熱い方なのだろうと思われます。
    本番を想定した訓練の難しさを感じました。

  • 能登沖に北朝鮮の不審船が現れ、当時海上自衛官である、後に自衛隊初の特殊部隊を創設する事になった方の著書。
    読んでいると、この国に対してまた考え直すきっかけになった本であった。
    今の日本は命を賭けてでも守るべき国なのか、他国に決められた憲法を未だに守り続けている国。
    ぜひ若い世代に読んで欲しい本

  • 平成11年3月におきた能登半島沖不審船事件。北朝鮮の不審船による日本領海侵犯事件だが、なぜか、というより当然のように詳細は報道されていない。その時現場はどうなっていたのか。
    当時、不審船を発見・追尾したイージス艦みょうこうの航海長であった著者が振り返る。
    船には拉致された日本人がいると思われていた。
    しかしみょうこうとともに不審船を追っていた海上保安庁巡視船は、なんと残存燃料に不安ありと途中「ありがとうございました」と言い残して引き返していった。
    残されたのは工作船に乗り込み立入検査する権利のない自衛官だけ。
    初の海上警備行動が発令し、立入検査を自衛官が行えるようになったが、誰も停止した不審船への立入検査のやり方を知らなかった。
    しかも、不審船に乗り込む下士官が持つのは触ったことも撃ったことすらもない拳銃。
    防弾ベストは装備になく、代替のように少年週刊誌をガムテープで胴体に巻き付ける始末。不審船は重火器で武装し、必ず自爆装置を備えている。
    検査隊員たちは、不審船に立ち入った瞬間、全滅確実だったのだ。

    開いた口が塞がらない、の一言に尽きる。これが国防の最前線での話である。日本という国の状況が凝縮されたエピソードだ。
    しかし本書のテーマはもっと別のところにあるので、ぜひ手に取って一度読んでみていただきたい。

    「国のために死ねるか」というこのタイトルの裏には、おそらく『この国は命を懸けて守るに値するか』『命を懸けて守るに値する国民か』という、有事の際には国と国民を守るために戦わなければならない、真摯に働く自衛官たちの問いと、国の在り方、国民の在り方に対するわたしたち、「平和主義」という言葉を、そこに含まれる本当の意味も知らずに使っている人々への問いが存在している。

  • 元特殊部隊自衛官の方が愛国心、憲法論などについて
    かたい感じで語られた本なのかと思って読み始めたが
    ハードボイルド小説みたいなところもあって読みやすい。

    自衛隊は命を懸けた仕事なんだと改めて感じました。

    ミンダナオ島でのラレインとのやり取りがもっと詳しく
    書かれてました。 おすすめ↓
    http://www.yobieki-br.jp/opinion/sukeyasu/Mindanao1.html

  • すごくおもしろかった。読んでて夢中になりました。
    伊藤さんの思想にはとても共感するけれど、「右でもなければ、左でもない」と帯にもあるように、その思想や信条を読む人に押し付けていないのがいい。

    多くの人に読んでほしいですね。

  • 元海上自衛隊の自衛官で、特殊部隊の創設チームだった、伊藤氏による硬派な本。著者は、目の前で北朝鮮の不審船に何もできなかった後悔から、また心の準備ができていない自衛隊員に命の危険を冒させることへの疑問から、非常時の戦闘を目的とした特殊部隊を海上自衛隊の中に作ろうとした。
    理路整然と書いてあるので、一般人にもわかりやすい。自衛隊という特殊な組織の強みや弱みも見つめている。
    自分の命と引き換えにしても守りたいものがある。それが日本という国である人が特殊部隊の隊員である。死にたいわけではない。著者は、日本という国が、命を懸けて守に値する国であってほしいと願っている。「国のために死ねるか」というタイトルは彼が答えを追い求める、人生をかけた問いである。
    自衛隊に入る人は正義感が強いだけでなく、純粋で、筋を通すことを好む人たちだと思った。著者は、特殊部隊員はたまたまそういう資質を持って生まれただけなので感謝する必要はないというが、一般の日本人は、こういう人たちに日々の安全を守られているのだと感じた。

  • 1999年の能登沖不審船事件をきっかけに創設された自衛隊初めての特殊部隊「特別警備隊」の先任小隊長として、足掛け8年にわたって部隊を率い、国防のまさに最前線にいた筆者が、「国のために死ぬこと」の意味をとことん突きつめた一冊。
    なかなかに衝撃的かつ大胆な本です。日本の防衛最前線にいた筆者の迷いや信念が伝わってきて、生半可な気持ちで見て見ぬふりをする自分を含めた日本人って情けないなと思う。第9条云々が話題となっている近年ですが、現実を目の前にしてどれだけ本気で国を愛している国民がいるのだろう、と考えさせられる。ラレインという女性の話、生き方は自分が生涯出会うことのないものでひたすらすごいなとしか言えない。どれだけのんきに自分が生きているか、そしてそれは誰かの覚悟や思いで成り立つ平和であることを心に刻む。

  • 日本初の自衛隊特殊部隊の創立メンバーである伊藤祐靖氏の著書。

    特殊部隊創立のきっかけとなったのは、1999年に起きた北朝鮮による能登半島沖不審船事件なのである。なんとなく大昔から自衛隊には特殊部隊があるものだと、勝手に勘違いしていた自分には少し意外だった。作品の中では、伊藤氏が創立メンバーとして経験した厳しい訓練の様子や、退官後に渡航したミンダナオ島でのエピソードなどが紹介されている。

    伊藤氏によると特殊部隊の隊員になるためには、生まれ持った資質のようなものが必要なのだそうだ。体が丈夫なのはもちろんだが、その資質とは相手の心情を察する能力であり、いざという時には自分が犠牲になるという、伊藤氏の言葉を借りれば「特異な本能」なのである。

    自分には特異な本能もなく全く別世界のお話しなのだが、せめて特殊部隊の隊員が命を賭して助けるにふさわしい人間でありたいなと思った。

  • 能登半島沖不審船事案をきっかけに創設された特警隊。その創設者の一人による、普通に生きている私たちにとってはあまりにも壮絶な問いかけ。
    冒頭が、不審船を追跡するみょうこうの場面から始まって、最初からクライマックス状態。読み物として非常に面白い。著者のお父さんの話とか、ミンダナオ島で出会った弟子の話なんかはフィクション入りまくってる気はするが、いちから特殊部隊作っちゃう人のことだから、本当のところはわからないね。
    憲法がどうとか、思想的な話も若干無いではないが、この本の本質は、自分が理想とする生き方をどんな代償を払っても貫きたいか、という、右とか左とかとは無関係の、人間の生き方についての問いかけである。
    自分自身、公共心が高い人種とは思わないが、それでも多くの人が小さく憧れのように持っている「人の役に立ちたい」という気持ちを、偽善と貶す訳でもなく、偉いと褒めるわけでもなく、そういうものだと肯定してくれる本にあまり出会ったことがなかったので、とても新鮮だったし、この部分はすっと心に入ってきた。

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著者プロフィール

伊藤祐靖(いとう・すけやす)
元海上自衛隊特別警備隊先任小隊長。昭和39(1964)年、東京都生まれ。日本体育大学卒業後、海上自衛隊入隊。防大指導官、「たちかぜ」砲術長等を歴任。イージス艦「みょうこう」航海長時に遭遇した能登沖不審船事件を契機に、自衛隊初の特殊部隊である特別警備隊の創隊に関わり、創隊以降7年間先任小隊長を務める。平成19(2007)年、退官。拠点を海外に移し、各国の警察、軍隊などで訓練指導を行う。著書に『国のために死ねるか』(文春新書)、『自衛隊失格』(新潮文庫)、『邦人奪還』(新潮社)などがある。

「2023年 『日本の特殊部隊をつくったふたりの“異端”自衛官 - 人は何のために戦うのか! -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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