水の眠り 灰の夢 (文春文庫 き 19-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167602024

感想・レビュー・書評

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  • 劇中に漂う空気感は楽しめるのだが、、

  • ミロの父親、村野の若かりし頃の話。東京オリンピック開催直前の東京という舞台設定。個人的に村野さんのファンなので、ミステリー要素には不満がありますが面白かったです。

  •  著者である桐野夏生が生み出した名キャラクター村野ミロの父親である村野善三が活躍するハードボイルド・ミステリー。舞台は東京オリンピックを間近に控えた東京。週刊誌記者である村野は、連続爆弾魔事件と女子高生の殺人事件を追いかける。そして、人間の欲望うずまく真相にたどり着く…。
     男が主人公だからか、いつもの桐野作品にみられるような陰湿な感じはあんまりない。でも、決して乾いたハードボイルドじゃない。人間の心の機微を丁寧に描いた、しっとりとしたハードボイルドだった。
     

  • 村野ミロシリーズだけど、3作目にしてお父さんの話。早くね?若かりし頃の村善。ミロは村善の娘ではなかった。時代設定が昔のせいか、ちょっと読みにくかった。しかし人形にするとは。若い娘はいつも搾取される。兄の性的虐待もやっぱり、って感じ。親の暴力から逃れるために、自分の身を売るなんて。本末転倒だと思うけど、そうまでして逃げたかったんだなぁ。ますます、若い娘は搾取されるのだ。息子もそうかもだけど。しかし後藤の死は気の毒だった。あんな不運な死に方があるだろうか。あんなに派手なかっこいい男だったのに。

  • 「グロテスク」「OUT」に続いて三冊目の桐野夏生かな?グロかったり気持ちの悪い描写はなく読みやすい作品ではあるけど・・時代背景や周辺知識が無さすぎて登場人物にも感情移入できないまま最後まで読み終えてしまった。週刊誌創刊期、トップ屋、梶山季之、アイビーファッション、石津謙介、銀座の道路、高度経済成長期。他作品にも出てくる登場人物もいるんだけど、その本も読んだことないし・・何だか残念な読後感。

  • 雑誌記者の村善が関わった少女が殺害された。
    容疑をかけられ、自力で事件の真相を追う。
    また巷を賑わす爆弾魔・草加次郎の犯人探しもするうち、意外な関連性が…、というお話。

    時代背景がかなり昔で少し読みづらかった。
    昔って携帯無かったなぁ、とか思ったり。
    便利な世の中になったもんだ。

  • 芸能ネタやスキャンダルではない、
    汚職や社会の巨悪を暴くが、トップ屋の矜持。
    それを踏みにじられたがゆえの熱さが主人公の熱。

    ところがその一番のトップ屋の矜持に反応できなかったので、
    まったく入り込めなかった。

    文豪の息子がちやほやされるとか、
    薬をやらせて死んだ事件を総会屋(?)にもみ消させるとか、
    なんか。。古い?

    あたしにはダメだった〜。

  • 女性は生々しくかわいそうなくらい痛めつけられているが、男性の方は格好良さが先にたって書かれているような。
    オチも用意されている風でいまひとつ。
    逆隔世の感で時代背景に共感できないせいか。

  • OUT、柔らかな頬など対策と比較するとかなり見劣りする

  • めっちゃネタバレしてます。ご注意ください。

    何を持ってこんな訳あり風なタイトルをつけたのでしょう。
    どうもこの話、主人公である週刊誌のトップ屋、村野に都合よく事件が回ってるような気がしてならない。
    連続爆弾魔、草加次郎が爆弾を仕掛けた地下鉄に乗り合わせたり、別件でたまたまかかわった女子高生が殺され、その容疑者にされたり、と事件に巻き込まれるも、取材をしていくうちに結局女子高生を殺したのは彼女の兄、そしてなんと草加次郎はその父親だったと解明する。そんなにうまくたまたまが重なるものかよっ。できすぎですっ。

    まぁストーリーはさておき、舞台は昭和38年9月、オリンピックを目前にひかえた高度成長期の東京。うれしなつかし、古き良き時代の文化がそこかしこにちりばめられている。

    スポーツでは首位打者を巨人長嶋と広島古葉が争い、大相撲千秋楽で柏戸と大鵬の一戦、海老原博幸がチャンピオンベルトを獲得する。社用車は日産グロリア、刑事はトヨタコロナ、遊びに使うのはMG1600。ファッションはアイビーで、犯人が使用していた整髪料はバイタリス。酒はダルマ(オールド)、金がない時はトリス。タバコはいこいかハイライト。映画はヌーヴェルバーグ以前のフランス映画でマルセル・カルネ「危険な曲がり角」やルイ・マル「死刑台のエレベーター」等。行きつけのバーの女はイヤミ(おそ松くん)のまねをして「ミーはいやざんす。」などと言う。アリナミンの広告では三船敏郎が微笑み、亡くなった女子高生の日記には弘田三枝子の「悲しき片想い」の歌詞が綴られる。草加次郎は吉永小百合に脅迫状を出し、村野が芸能記者に転職してから請け負った仕事が「美しき十代」でデビューする三田明だ。
    昭和30年代生まれの私にとっては感涙ものです。

    そしてこの小説の中で、村野の同僚後藤が殉職するが、村野も思いを寄せていた女との間に子供を残している。その名もミロ。
    あの村野ミロの誕生です。私はミロシリーズにあまりなじめないんですけどね。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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