蹴りたい背中

著者 :
  • 河出書房新社
3.07
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感想 : 1319
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  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309015705

感想・レビュー・書評

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  • 本を読んでいて、最初の1ページとか2ページ目で引きつけられる、
    その世界の中に入り込んでしまえることを、私は「吸引力の強い本」
    だと感じるわけですが、この本の冒頭

    さびしさは鳴る

    たったこの7文字に引きつけられてしましました(笑)

    余りものと表現された、友達のいない主人公私と、
    やはりクラスの余り者のにな川。
    でも、この私は友達はいなくてもその世界は外に向いているのに対して、にな川は、オリチャンというモデルに向けられている。
    というかオリチャンにしか向いていない。
    似ているようで似てない二人。
    そこには素直に表現できない恋愛感情が隠されてるのかな。
    それで思わず蹴ってしまったのでしょうね。
    そんな二人を、簡単に恋愛というジャンルでくくろうとする友達、絹代。

    ばらばらなんだけど、なんとなくその世界が成り立っているような
    不思議な人間関係。

    この作品は2作目だという作者は、なんと19歳!ぉお(゚ロ゚屮)屮。
    小説の技巧とかテクニックという点では、物足りないかもしれないが
    19歳でこの表現力はものすごいことだと思います。
    只者ではないです。

    普通の高校生だったら、なんかウザいとか、だるい。と
    表現するところを、こと細かく書くと、こういう風になるのかしらね~?


    小説を書くというのは、絶対人生経験豊富な年配の人のほうが
    有利だと思っていた私の考えを、ちょっと軌道修正しなければ、と
    思わされましたね。

    若い感性に、
    この作者のような表現力、それにテクニック
    これがそろえば最強かと・・・(*⌒∇⌒*)♪

    他の作品も読んでみたくなりました

    • koshoujiさん
      「蹴りたい背中」お気に召されたようでよかったです。
      是非、ほかの作品もお読みください。
      講談社で見た彼女の生姿は、ほんとうに美しい方でし...
      「蹴りたい背中」お気に召されたようでよかったです。
      是非、ほかの作品もお読みください。
      講談社で見た彼女の生姿は、ほんとうに美しい方でした。
      あの美貌で、このような作品を書く感性を持っているというのが、
      俄かには信じがたいほど、神々しいまでの美しさでした。
      京都弁が、また何気に可愛くて。
      その様子は、大江健三郎さんとの対談感想ということで、
      下記のレビュー(群像2012年5月号)に書きましたので、ご覧いただければ幸いです。
      http://booklog.jp/users/koshouji/archives/1/B007NLU55E

      仙台は毎日のように雪が降り、寒い日が続いております。
      それでは、よいお年をお迎えください。
      2012/12/29
    • 深雪美冬さん
      初めまして!
      こんな私のレビューにコメントしていただいて、
      本当にありがとうございました!
      びっくりして何度も読み返してしまいました。

      綿...
      初めまして!
      こんな私のレビューにコメントしていただいて、
      本当にありがとうございました!
      びっくりして何度も読み返してしまいました。

      綿矢りささんの本は、おっしゃる通り
      独特な感じですよね。でも私はそれ以外
      どういう表現をしたらいいのかわからず
      中途半端なレビューになってしまいましたが
      このレビューに書かれていらっしゃることは
      まさに私の言いたかったことです。

      「吸引力の強い本」という表現も素晴らしいですね。私も使わせていただこうかな…。

      こちらこそ、ぜび読書を通じて交流させて
      いただけたらとても嬉しいです。
      全体的に下手な文章ですみません。

      勝手ながらフォローさせていただきました。

      またレビュー読ませていただきますね^^
      2013/01/21
  • 高校生の微妙な心の揺れの表現がすばらしい。

  • にな川くんのキャラは良かったし読みやすかったけど、私にはそれほど深くハマる要素がなかったのであまり印象に残りませんでした。

  • 決して蹴られたいんじゃないですよw

    ってな事で、綿矢りさの『蹴りたい背中』

    西加奈子さんの匂いもする様な人間模様。

    周りから孤立させられても自我を貫き通す事が出来るのがある意味、強さじゃないかと。

    19歳の時に醸し出す最後の一文『はく息が震えた』にわしが震えたw

    2018年3冊目

  • 感想記録なし

  • 無印の話だったことは覚えていて、中学時代の淡い思い出とあいまって好きな作品。これ以降の綿矢作品とは映画で出会うことが多くなり、たぶん映画化されていないこの作品はいまだに頭の中で想像した景色で再生できる。

  • 文章が上手。

  • 実は中学生?位の頃に読んでいたのにさっぱり忘れていて……(苦笑)
    ちょっとした懐かしさもありながら、読みました。
    敢えて仲間を作らないハツ(主人公)
    自分では納得してそういうものを選んでいるはずなのにきっと心のどこかにある劣等感があるのでしょうね。
    そのストレス発散に……ということなのかなって思いました。
    「結局何なんだ???」とも思う部分もありましたが、芥川賞の作品では私的にあるあるなので、予想通りではありました(苦笑)
    それにしても、なかなか難しい内容をよく中学生の私は読んだものだ(笑)←因みに『蛇にピアス』や『GO』等も同時期に読んだものの、記憶からは抜けております(苦笑)

  • 誰もが思い当たるような学校生活での心情。
    常にクラスや学校内でのカーストを気にして、自分のランクを気にするところが嫌だったが、自分よりも下の人を探して安心したい気持ちをすごくよく表してる。

  • アイドルのオリちゃんが読んでいて引いてしまうほど好きな、男の子のにな川。
    そのにな川が困った表情や嫌がる表情が好きな女の子のハツとの変わった青春のお話だった。
    個人的には読み終わって変わった2人だがお似合いだと思った。

  • クラスで余りもの2人、主人公のハツとにな川のふれあいを描く。

    文章自体は読みやすいが、内容があまりよくわからなかった。
    ハツはにな川に対して恋愛感情を持っていると自分では感じておらず、背中を蹴りたくなるという表現がされている。
    学生時代に、余りものになってしまう孤独さが嫌で表面的な繋がりだけの友達の輪に入ること、それを考えてしまう人もいたと思う。共感する人はいると思う。

  • 主人公が高校生なだけに同世代の人が読むと共感する作品だと思う。
    クラスに馴染めない主人公のハツとアイドルオタクのにな川が親交を深めていく話。
    思春期特有の友人関係の悩みや異性に対する興味の芽生え等、懐かしいなーあったなーという気持ちで読んだ。

  • 余り物の高校生2人のものがたり。
    コミュニケーションが苦手で、読みながら一見面倒くさいと感じてしまいがちである。しかし、多感な高校生というのはすべからく皆面倒くさい内面を持っているものだったと、思い出した。

  • “とり残された”高校一年生の男女ふたりを中心としたお話。主人公・陸上部所属の長谷川初実(ハツ)は、理科の授業で向かいの席だった蜷川(にな川)智が女性向けファッション誌を読んでいる姿をみて、にな川に対し、雑誌に掲載されているモデルを見たことがある、と言う。にな川は、以前ハツが無印良品のカフェで見かけた モデル「オリチャン」の熱狂的なファンだったのだ。

    ハツに当時のオリチャンの印象について聞きたいとにな川は自身の部屋にハツを招き入れる。そんな絶妙な距離感のまま、にな川の部屋にあるオリチャン関連グッズが収納された箱の底に隠れていたアイコラを発見したハツは目の前にあったにな川(オリチャンのラジオに没入している)の背中を蹴る。
    .
    比喩表現が上手すぎる。たまらん。

    校内での新入生の肩身の狭さが
    巧妙に表現されていて、
    思わずあの思い出したくもない記憶が蘇った…

    ハツは、にな川への嫌悪と愛情が絡み合った末
    相手の背中を蹴るという行動に至り、
    また、にな川が見世物になっていると一種の喜びを感じているようにも思える。

    だが、上述のような行動を起こしたり、
    にな川の唇を舐めたり、
    にな川が一線を軽く越えてしまったとき、無意識的に哀しみが溢れてしまったり。

    第三者の目線でないと気付けない「自らの本音」が私にはいくつあるだろう。

    自分を最も理解していない存在は
    自分自身なのかもしれないし、
    それ以前に 真の自分 はとっくの昔に道端かどこかで落としてきたかもしれない。

  • う〜ん、すっきりしない。高校生の複雑な気持ち?

  • この本がヒットしたってことは
    主人公の気持ちがわかる〜と共感した人が
    たくさんいるってことだと思う。

    残念ながら、学生時代は遠く過ぎ去った今読んでも
    そんなに共感はできないけれど、
    いたなぁ…こんな子、と思いながら読んでいた。


    学生時代に読むべき本だと思う

  • 何一つ覚えてなかったな。

    その居場所のなさ、息苦しさ、分かる気がした。
    痛めつけたい感情も。
    認めたくないから、自分の方が上だと強がる気持ちも。

    さびしいね。

  • ◆荒々しくも繊細な、この感情の正体は?◆
    この作品は当時19歳の著者が芥川賞を史上最年少で受賞したことで、大きな話題となりました。甘酸っぱい恋愛小説かと思いきや、あまりにリアルで心に突き刺さる心理描写に、ページをめくる手が止まりません。思春期に誰もが感じたことのある焦りや苛立ち、そしてときめき。それらが美しく繊細に表現されています。クラスの余り者同士の奇妙でもどかしい関係。そんな二人の青春の甘さと苦さを、ぜひ味わってみてください。

  • 学生時代に特有の自意識のあり方を、とても豊富な比喩表現や語彙で的確に表現されていて、自分にも身に覚えがある気持ちをすごく新鮮な目線で再確認したような気分になった。
    高校時代に読んでいたら更に衝撃が大きかったろうな..,。

  • 図書館のリサイクル本。話題になった作品読むのはなんだか気恥ずかしいー!とか言いつつ、これからはこんなんもいっぱい読むからね!!芥川賞だしそんなに好みから外れてないはず…!

    学校のグループの女子らの立ち位置とかやりとりとか、なかなかリアルで面白かった。若い人に勧められそう。
    孤独さってたったひとりでぽつんと居るときに感じるものじゃないのよね。周りにたくさん人がいて、自分が際立ってはじめて独りやと思うのよね。

    あとメインキャラ二人に関しては、もっとかわいそうになれとか、好きなことだけならいくらでも喋れるとか、字面だけなら共感できることがあった。わたしはかわいそうだと愛おしくなっちゃう!もっともっとかわいそうになればいいのにと思って、そんなかわいそうな人をニヤニヤしながら見下ろしたい。そうなってようやく好きじゃわあとなる。へんたいじゃ。(今のところ二次元限定ですが)
    長々と気色悪いことを書いてしまったが、みんなへんたいなんだよ。へんたい。

  • クラスでどのグループにも属していないハツとにな川の話

    教室にも部活にも自分の居場所がなく、周りの人間をよく観察していて、自分の立ち位置などもすごく気にしているハツが、クラスに居場所がなくても、全く気にせずに自分の好きな「オリちゃん」を追い続けているにな川を少し羨ましいと思っている。
    にな川が好きなオリちゃんにあったことがある自分の中に「新しい自分の居場所」を作ろうとしていたと思う。

    最後のページのハツがにな川の背中を蹴るシーンは、ハツなりのにな川に対する愛情表現?

  • この本は一冊使って、蹴りたい背中とはどういう背中かを説明した辞書である

  • 話の内容は全然違うんだけど、芥川賞を同時受賞した金原ひとみの『蛇にピアス』と雰囲気が似ているなと思いました。
    彼女達は当時同じ年齢の19歳。表現の方法は違うけれど同じ様な空気、感情を感じました。

    高校生という子供でもない大人でもない微妙な年頃の、どこか冷めた気怠い気持ちがよく表現されていると思います。
    周りから一歩引いて、自分は皆とは違うんだと何もかも分かった様な態度をとってしまうけれど誰よりも孤独になるのを恐れているハツ。
    それとは対照的な絹代の皆に溶け込もうとしている行動は、私からみたらとても自然な事で彼女を愛おしく思えました。

    10代の頃に感じた感情や友達との距離感は理解できますが、もうそういう時代を通り過ぎてしまった私はあまり共感する事ができませんでした。

  • 再読。大人になればハツのにな川に対する感情に相応しい名前を付けられると思っていたのだが、どうやら無理そうである。でも、やっぱりこの小説が持ってる青春のもやもやしたフラストレーションとか、ちぐはぐな感じとか、学校という狭い空間に流れる生温い空気感とか好きだな。表現の生々しさが絶妙。人間関係を溶液に例えてしまうなんて。昔は周囲の言葉がハツの居場所をぎゅっと狭くする場面が印象に残ったけど、今は二人で桃つつきながらクラスメイトについて語るシーンが印象的。

  • さくさく読める青い春でした。学校・にな川ん家・絹代で展開され、主人公の社会に対する棘だらけの心を描いた作品。毎日一緒にいた親友が裏切ったという場面から始まるわけだけれど、誰しも、環境が変わっても関係はそのままだなんて経験ないと思う。どちらが先に現状況に応じてゆくかで、残された側は疎外感を感じるものだ。何気なく大人になっていくことなんて絶対ない。今わたしたちの周りにいる友達も、その場その場の環境で掴んできた友情だ。取り残された感覚を拭えないまま高校生活を送るハツに対して、絹代の順応能力は高い。さっそくグループにハツを招き入れようとするところから、ハツにかける言葉ひとつひとつをとっても、大人だと言える。それゆえにハツは一層幼く映る。
    青い春。自分の醜い心に気付く春。それと同時に、芽吹く種の種類も多いからやっかいだ。どうにもならない「人を思う気持ち」は、愛しているとも憎んでいるとも捉えられる、そんな季節の真っただ中。
    わたしたちが一途に人を愛せるようになったのは、こんな濃いまでの青い春を経験したからだと言える。

  • 思春期の人間関係。周囲になじめない気持ち、でもグループに属していないと居心地悪い、感情。女性モデルにのめり込む同級生に、興味しめすも、気持ち悪い人と上からみる目線と、同類であることを認めざる得ない同感してしまう気持ち。さまざまな思春期の感情がみずみずしく描かれている・・・といえば好意的な感想なのだが、小説の特殊な非日常設定を日常感覚で話がすすんでいくのだが、ストーリー自体にはドラマチックな展開が希薄なように感じる。
    ここがミソで、普通な出来事に感じるのだが、結構変なおはなしである、そこが旨い・・・ということなのだろう。

  • 周りの同級生たちをどこか冷めた目で見ているところは、わたしもそうだったなと共感しました。ただわたしとこの主人公の違いは、主人公は自分を通して自ら一匹狼でいたところ。わたしは怖くていつも誰かに媚びていたような気がして、主人公のプライドと行動力に憧れました。

  • この方の本、なんか好きだなぁ

  • 大人になったら恥ずかしくなるかんじの 考え方をする主人公。でもなんだかリア ルな高校生の感性。ひとりでいたいのに 独りは嫌みたいな。共感はしなかったけ どすんなり読めた。

  • 高校生のハツはクラスメイトに馴染もうとしない。理科の実験でグループを作るときも余ってしまう。そんなこと気にしないふりを続けるハツの前に現れたのは、ファッションモデルのオリチャンに固執するにな川。
    ふたりは教室では誰とも話さない。もちろんふたりも話さない。
    にな川に興味をもったハツに対し、にな川はオリチャンのライブにハツを誘う。

    ----------------------------------

    距離感の話だと思う。
    主人公のハツは中学から一緒の絹代にしか心を許せないが、絹代は高校生だからと男女混合グループに参加してしまう。ひとりでいることの恥ずかしさみたいなものとの葛藤で、授業間の休み時間10分を過ごすハツはどこにでもいる思春期少女。自意識すぎて他人との距離が測れない。他人との関係がうまく築けない。

    一方、にな川は自分がいる現実に何も求めていない。自分に価値がないこともわかってる。その点ではハツより大人なのかも。にな川の興味のベクトルは雑誌ラジオTVの世界のオリチャンにしか向いていない。自分に何も求めず、憧れの対象だけをただただ求める毎日。だから、遠すぎる存在だったオリチャンが目の前に現れたとき、彼のなかで何かが崩壊したんだと思う。憧れとの距離がなくなったのに、その瞬間、一番遠く感じてしまった。

    中高生のころの気持ちのベクトルは本当に大きい。そのベクトルが運動や恋愛みたいなものに向けられれば輝かしい青春が送れるんだと思う。けど、そのベクトルが自分に向けてしまって、どうしようもないほどの自尊心を育ててしまったり、雑誌の向こう側のモデルにベクトルを向けてしまって、その欠片を集めることだけが生活のすべてになってしまったりする。そういうひとたちもいる。輝いてはいないけど間違っているわけじゃない。

    にな川はオリチャンに恋したり、性的対象として見てたんじゃなくて、純粋に憧れていたんじゃないだろうか。好きすぎて、その人になりたい的な、そういう憧れ。
    (それだとハツがにな川の部屋で発見した自作アイコラ写真の説明できないけど)
    にな川の部屋に泊まった夜、ハツは距離がわからないから、にな川を蹴ったんだと思う。恋だ。輝かしい。

    何回も読んだけどやっぱり思う。
    これはすごい。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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