- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652077498
感想・レビュー・書評
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何年か前に著者の『空色バトン』を読んでとてもよかった記憶があり、たまたま本書を目にして、大人になってからは滅多に読まない児童文学作品を手に取ってみた。
結論から言うと、空色バトンの方がよく出来ていて面白かった。
ひたすらに地味で目立たない文芸部員のヒロイン、正反対の不良少女と見なされている傍若無人な金髪少女、大人になることを拒否している心優しい小柄な少年、彼らが対決するたちの悪い連続盗難事件の犯人による物語。
設定された性格とは不均衡に、中学2年生とはいえ、というか、にしてはあまりに無防備な主人公、金髪少女の大学院生の兄がありがちなキャラクターのうえにあまり活躍せずフェードアウト、街中の少年ギャングたちの抗争も物語に絡んでこないまま、とツメの甘い部分がちらほら…。
とはいえ、冒頭の担任教師の横暴さは鋭く描写されていたし、主人公の家庭の状況にもリアリティがあった。
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児童書のような感覚。
ところどころ難しい四字熟語やことわざが出てきて、アンバランス。主人公が中学生なのに…それがいいのかな?
内容は内気な女子中学生が、ヤンキー女子と仲良くなって変わる物語。
劇的に変わるって感じがしなかったのは、よかった。マスコット狩りの犯人を追うっていうのは、少し違和感を持つ設定だったけど、まあありかな。 -
中学2年生 森下ナオミ
文芸部に所属する あまり目立たない少女が
茶髪で大人にも物怖じせず意見を言うアケミと
関わりをもつようになり……
14歳の女の子をみずみずしい描写で表現されていて
さすが児童文学の笹生さん、
読んでいて楽しかったです。 -
こたろうさんのレポを読んで興味を惹かれた1冊です。
文芸部所属、読書好きのインドア派、森下ナオミは中学2年生。
正義感は人一倍強いのに、やることなすことカラ回り
小心者で、学校では存在感の欠片もないのが現実。
たまたま、寄り道した古本屋でバッグを盗まれてしまい
ヘタリこむナオミに声をかけてくれたのは
隣のクラスの手塚くん
ジュースを買ってくれて優しく話を聞いてくれる
ちょっといい感じかも・・・・でもナオミは思い出す
手塚くんはナオミと同じクラスの学年きってのトラブルメーカー
柴咲アサミの彼氏と噂されている男子ではないか
ナオミのかわいい恋の妄想は即効で終わりを告げる
この事件をきっかけに、アサミと、手塚くんと話すようになり
アサミの兄とも親しくなり妙な友情関係が始まった
アサミ達は街の悪者退治に必死だ
スプレーギャングや連続窃盗事件
窃盗と言ってもケータイにつけるアクセサリーや
バックにさげたキーホルダーなど、取るに足らない小物たち
ナオミもバックを盗まれた際にマスコットを取られていた
アサミ達がどうしてそこまで街に入れ込むのか
不思議だったがアサミ兄弟の街への思いれは
ちょっと切なかった。
ナオミとアサミのキューピット的な手塚くんが
とてもいいキャラクターだった
空き地に不法投棄されているダンプカーの荷台で
ワイルドストロベリーやショートケーキイチゴを
育てている。3年目でようやくひとつ実がついたと
言っているのでここでの栽培を3年も続けているのかと
ちょっと驚いたけど
せっせっと畑仕事に精を出す手塚くんは
ちょっぴり変わっていて優しい人だ。
アサミはナオミの事をおとなしいけど芯が強くて
ちゃんと自分の意見を持っている人と見てくれていた
曲がったことが嫌いでぶっきらぼう
ナオミと友達になりたいのに素直に言えず
手塚くんにぶつぶつ言っている所がとてもかわいい
ひょんな事から連続窃盗事件の犯人の情報を
ゲットしたナオミはアジトへ行ってみる
予想外の展開はあったものの事件はめでたく
一応の解決をみる
究極の内弁慶でひっこみ思案
人に自分からアプローチするのが得意じゃなく
友達ができにくい体質だと自負するナオミが
妄想から一歩前に進んだことで
ナオミの隣にはアサミと手塚くんが笑っているという
百パーセントの現実がそこにある
これからもみんなをよろしくと言う
ナオミの気持ちは学校の屋上から見える
青い空と同じように澄んでいるのんだろうな
青春満喫の一冊でした。
この年代の時はとても世界が狭かった事を
思い出します私もナオミのように
一歩前に踏み出す事ができていたら
また違う世界が見えていたのかもしれません。 -
装画/吉田尚令 装丁/池田進吾(67)
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文章がダサい。
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大人でも子どもでもない14歳にできること。
きちんと「自分」を守って生きていくこと。これが結構難しい。主人公森下ナオミは、アサミやヅカちん、シュウスケさん、清水くんなどと関わる中で、「自分」を前面に出して生きていく姿勢を思い出す。それは決してスマートな姿ではないが、確かにいい感じだ。 -
街の裏側、覗いてみたいと思った。
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笹生さんのリズム感ある文体は、本当に音楽みたいにテンポよく読めるから大好き。
妄想ばかりの主人公が、現実でも度胸を身につけていく話。
こういう自分とタイプの違う友人は、付き合っていても面白いし、自分が変わるきっかけにもなるんだろうなあと思った。