森宮優子、十七歳。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作

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数年ぶりの五つ星!
とにかく温かな読後感がたまらない。「身近な人が愛おしくなる」という帯に惹かれて買ってみたけれど、こんなにアタリだとは。
五つ星は、ただ面白いだけでなく、目が覚めるような発見や、もう一度読んでみたい、という本につけたくなる。

現実はこんなに愛にあふれていることは奇跡みたいなものだと思うけれど、自分もこの登場人物の一人でありたいと思えるほどに、みんながみんなのやり方で、子どもを愛している。それが不自然でも偽善でもない空気感が素晴らしい。
できるなら、ずっと浸っていたい。

最後の最後まで、嫌みも苦みもなく、いつまでもこの世界にいたい、読み終わりたくないと思える素敵なお話だった。

瀬尾まいこさんは、もっとライトでただ温かいだけのイメージだったけど、深みが加わった印象に変化だ。

2018年4月25日

読書状況 読み終わった [2018年4月25日]
カテゴリ 瀬尾まいこ

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
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だいぶ前から話題になっていた本。
軽めでサラッと読める内容だった。
主人公の特殊さが自分にないので、そこが興味深くて読み進めてしまう。

途中で出てくる婚活目的の新入り男性の気持ち悪さがザラッとしたが、結末があっぱれ。タイトルのコンビニ人間ってそういうことなのね。という納得感。

ありえないような、ありえるような、現実に近い知らない世界をのぞけたようで面白かった。

2018年4月25日

読書状況 読み終わった [2018年3月21日]
カテゴリ 村田沙耶香

鏡の世界で謎を追う不登校児 大人と子どもの目が共存する救いの物語

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本屋大賞にノミネートされたり、ダヴィンチやブランチの王様でも話題になりすぎて、逆に期待を持たずに読んだ一冊。
中学生の不登校の話なんて、アラフォーの自分には遠いよなと思いながら。

ただ、読めば読むほど引き込まれていくのは書評通り!
ストーリーを超えた波を与えてくれるのは
辻村さんならではのかもしれない。

大げさないじめではなく、でも不登校になってしまう主人公の心の動きがここまで共感できるのは、文才力なんだろう。

孤城の秘密がすべて明かされていく終盤は驚きの連続。まさに一気読みしたくなる。そんな本に久しぶりに出会った。

救いや救われる、というキレイゴトにはハマらなかったけども「こうきたか!!」感が強くて、読んでいてとても面白い一冊だった。

2018年3月13日

読書状況 読み終わった [2018年3月13日]
カテゴリ 辻村深月

子育ての疲れもイライラも思わず吹っ飛ぶ、見れば見るほど笑えてクセになるイラストや一言日記。

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何気ない日常を残した読みやすさ満点のコミック?エッセイ。
イライラすることももちろんあるけど
根本にある愛おしさが伝わってくる。

何より子育て中としては共感力が半端ない!!!
自分の子育ても、なんとかこういう形にして残せたら素敵なのに!!!!
客観的に残そうとすれば、毎日はもっとイライラせずに笑って過ごせそう。

2018年3月13日

読書状況 読み終わった [2018年3月13日]
カテゴリ エッセイ

ピアノの調律に魅せられた一人の青年が調律師として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った長編小説。
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もうまさに、本紹介通りの静謐な物語。
ストーリーにアップダウンや起承転結があるわけではなく
一人の青年の成長を、美しく平坦な文章で淡々と表していく。

読後感もよかったけれど、
今の私には少し退屈だったな。
音楽やピアノに興味のある人にはハマるのかもしれない。

2018年2月18日

読書状況 読み終わった [2018年2月18日]
カテゴリ 宮下奈都

レシピ集ではなく、インスタグラマーさんとブロガーさん24人による、お弁当写真日記。

ただ眺めているだけでも幸せな気分になる1冊。
レシピじゃなくて、こんな本が見たかった。

みんな、品数が多かったり、彩りが豊かだったり、
こだわりがあったりと面白い!
私も自分なりに工夫したお弁当を作りたいな。
特に夫にも。

2018年1月20日

読書状況 読み終わった [2018年1月20日]
カテゴリ エッセイ

母ちゃんドクターの「笑える」「泣ける」子育てエッセイ最新刊。
■朝着替えをする前に敵が無数に現れる
■出勤前は母ちゃんの反省タイム
■私、仕事やめますといった日
■やめられるなら夫に感謝。続けられるなら家族と職場に感謝
■子どものしつこさに負けるな
■寝る前は大運動会 ・・・ほか。
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飾らない日常生活の数々に、
共感と尊敬を覚える1冊。
男の子2人って、すごいんだな、と。
筆者の暴言や横暴も、その後の反省も、
手に取るように浮かんで、こちらもしんどくなるくらい。

でもこうやって本を書いて、
自分の勉強もして、
時間を捻出してるのはすごすぎる!

何事も、自分のことも、家族のことも、
あきらめないって大切だ。
最初からセーブせずに、
一度壊れるくらいぶつかってみることもありなのかも、
と、
「無理しなさんな、私」という
本のメッセージとは逆の感想を抱いてしまった私。

2018年1月20日

カテゴリ エッセイ

ママの声の声に応える形で、
兄弟との接し方のポイントや悩み相談に乗っている内容。
特に具体的な解決法はなく、
なぜそうなるのか、なぜそうするのかという
原因部分の解説が多かった。
参考にするには、具体案が少なかったが、
兄弟の問題の例が多く、
「あーそれ分かる」という共感を得るにはいい本かも。

2018年1月20日

読書状況 読み終わった [2018年1月20日]
カテゴリ 実用書

本書で紹介するのは、そんな「少ない服で素敵にみせる」強いワードローブの作り方です。
キャリア30年超のスタイリスト地曳いく子(旧姓・渡辺いく子)が、
今すぐ捨てるべき服と、残すべき服を、分かりやすく指南します。

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少ない服で素敵に見えたら…と手に取ってみたけれど
本気のおしゃれさん向けの本だった。

「ワンシーズンで、最低トップス10着、ボトムス3〜4着くらいあれば大丈夫!」と言われても、私の3軍まで合わせてもやっとそのくらいの数…。
「ファストファッションはワンシーズンものとして上手く使う」と言われても、もう5年は着てるものもある…。
「靴にはお金をかけて。5〜10万」なんて無理。

と言った感じ。

普通のお小遣いの主婦には厳しいものがある内容だった。

ただ、「気分のあがる服を着る」「一軍しか着ない」「気に入った似合うコーディネートは週何回でも」といった部分なんかは参考になりました。

2017年12月10日

読書状況 読み終わった [2017年12月10日]
カテゴリ 自己啓発

男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

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アッコさんシリーズの軽快な感じではなく
ナイルパーチのような、
女性の重い部分を描いた作品。

読むほどに暗い気分にはなるが、主人公の気持ちもわからなくはない、という共感は、作者が上手だからだろうか。

2017年12月10日

読書状況 読み終わった [2017年6月10日]
カテゴリ 柚木麻子

愛する人を思う気持ちが生み出した、
不器用で優しい4つの「嘘」。
「過去にいられるのは、コーヒーが冷めるまでの間だけ」の続編。
第1話 22年前に亡くなった親友に会いに行く男の話
第2話 母親の葬儀に出られなかった息子の話
第3話 結婚できなかった恋人に会いに行く男の話
第4話 妻にプレゼントを渡しに行く老刑事の話
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前回の「コーヒーが冷めないうちに」よりも数段よかった。
それは、物語自体がよかったというよりは、
親子や夫婦の話で、共感できる部分が増えたからのように思う。

久しぶりに、本で大泣きをしてしまった。

2017年12月10日

読書状況 読み終わった [2017年6月10日]
カテゴリ 川口俊和

とある街の、とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという
第1話「恋人」結婚を考えていた彼氏と別れた女の話
第2話「夫婦」記憶が消えていく男と看護師の話
第3話「姉妹」家出した姉とよく食べる妹の話
第4話「親子」この喫茶店で働く妊婦の話
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コンセプトは面白く、コーヒーが好きな私にとっては
とても手に取りやすい本。

内容もほどほどだけど、
先が読める部分もあり、わざとらしい部分もあり、
予想外の満足が得られるほどではなかった。

2017年12月10日

読書状況 読み終わった [2016年12月10日]
カテゴリ 川口俊和

卵、肉、乳製品なしでも無理なく続けられる、豆、野菜、ちょっと魚の私流バランスごはん。
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マクロビご飯の絵日記。オシャレで無理してる感じじゃなくて、素朴でおおざっぱにマクロビご飯を楽しんでいる感じが素敵な1冊。イラストも素朴で雰囲気にぴったり。

2017年1月21日

読書状況 読み終わった [2017年1月21日]
カテゴリ エッセイ

鎌倉の山のふもとにある、
小さな古い文房具屋さん「ツバキ文具店」。
店先では、主人の鳩子が、手紙の代書を請け負います。
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空気感がとても好みな小川糸さん。
今回も大好きなエッセンスだらけ。
生活を丁寧に送る主人公に、こだわりの文房具達、
ユニークなご近所さんとの交流や、過去を悔やむ主人公が迎える爽やかなラストなど。
私もこんな生活を送ったり自分の住む土地のお店や風景を愛して行きたいなと思った。

2017年1月17日

読書状況 読み終わった [2016年12月17日]
カテゴリ 小川糸

ブログでファンになり、予約して取り寄せたサイン本。
ブログほどのハマリはなかったけれど、読んでて楽しくなるエッセイ集だった。後半は真面目な話も出て来て、共感できる部分も多くて。自分を良く見せたり繕ったりしていないところがとても好きで、本というより人柄にファンになった。

2017年1月17日

読書状況 読み終わった [2017年1月17日]
カテゴリ エッセイ

想像通りの自己啓発本。
ノートルダム清心学園理事長が書いただけあって、清い文章で書かれている全編。言葉はどれも納得できるものばかりだけど、心にゆとりがあるときでないと、素直に受け止められないかも。どれも真面目でキレイで正論で。自分の心がぐじゃぐじゃになっているときは、まぶしさがしんどいかもしれない。

2017年1月17日

読書状況 読み終わった [2017年1月17日]
カテゴリ 自己啓発

タイトルと精神科医の著書ということで期待して読んでみたけれど、がっかりな1冊。
「比べてしまうけれど、みんなが幸せとは限らないし、悩みは人それぞれだから、気にしてもしょうがない」ということに終止結論づけられていて、精神科医的な論理的な原因や解決法がまったくなかった。
私としては、比べてもしょうがないというのは分かってるから、それでも思わず比較してしまってマイナスになる気持ちをどうしたらいいか、解決法的なことを知りたかったけれど、残念だった。

2017年1月17日

読書状況 読み終わった [2017年1月17日]
カテゴリ 自己啓発

一人の女性の一生を、3歳、16歳、28歳、34歳、47歳、63歳のそれぞれ一日を描いた6編を連ねて構成する長編小説。
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タイトルと帯に惹かれて読んだけれど、
「自分を好きになる方法」は結局わからなくて
期待とのギャップが大きかった。
本谷さんらしい切り取り方なのかもしれないけれど
ベタな啓発を求めて読むものではなかった。

2017年1月17日

読書状況 読み終わった [2017年7月29日]
カテゴリ 本谷有希子

タイトルに惹かれて読んでみた1冊がヒット。
伊能勢さんの幼い頃からのエピソードを綴った食と家族にまつわるエッセイで、自然体の内容がとても気持ちがいい。
思わずタルタルたっぷりの海老フライやロールケーキを作りたくなる。
気持ちよく生きるためのヒントのようなものもあり
見栄を張ったり、肩肘を張ったりした生き方をしなくていいよと思い出させてくれる1冊でした。

2016年3月1日

読書状況 読み終わった [2016年3月1日]
カテゴリ エッセイ

女子中学校の頃から仲良し四人組の友情は、アラサーの現在も進行中。ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子は、それぞれ容姿も性格も違うけれど、恋に仕事に悩みは尽きず…稲荷寿司、甘食、ハイボール、ラー油、おせちなど美味しいものを手がかりに、無事に難題解決なるか!?
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女性4人がそれぞれ主人公になる短編で1冊に。
環境も性格もまったく違うのに、それぞれを大切に思って友情が続いて行く様がバランスが取れていていいなと。それに食べ物が絡んでいるので、読んでいてなお好み。
「その手をにぎりたい」「ランチシリーズ」等、柚木さんあ食べ物を絡めた物語が多いな。

2015年8月27日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2015年8月27日]
カテゴリ 柚木麻子

恋と仕事とお鮨に生きるバブル期OL大河小説!
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バブル前後を舞台にして、まさに恋と仕事とお鮨に生きたOLの物語。お鮨に出会って、そのお寿司を食べるために東京で生きて行くと決め、バブルの波に飲み込まれながら、はじける泡を予感しながらも、自分の決めた道をまっとうし燃え尽きた女性の物語。
何よりお鮨が美味しそうで、カウンターのお鮨を食べに行きたくなってしまった。恋がメインではなく、女性の覚悟を持った生き方がメインのお話で、読んでいて楽しかった。

2015年8月27日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2015年8月27日]
カテゴリ 柚木麻子

ブログがきっかけで偶然出会った大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子。互いによい友達になれそうと思ったふたりだったが、あることが原因でその関係は思いもよらぬ方向に―。女同士の関係の極北を描く、傑作長編小説。
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「女って怖いっ!」と思った1冊。バリキャリ女性と専業主婦という対極の立場の女性それぞれが、「友達」を求めて執着していく様が、現実でもあり得そうで、自分にもあるかもしれないと思えて、怖かった。人間は「共感」を得たくて得たくてしょうがない生き物で、自分が正しいと思うことがみんなも正しいと思ってしまう愚かさがよく描かれていた。
どちらの立場の心理も詳細に描くことができる柚木さんはすごいなと。作家とはそういう能力を持った人なんだなと改めて思った。

2015年8月27日

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読書状況 読み終わった [2015年8月27日]
カテゴリ 柚木麻子

アッコ女史ふたたび! 大人気の「ランチのアッコちゃん」に、待望の続編が登場!!澤田三智子は高潮物産の契約社員として、シャンパンのキャンペーン企画チームに入っているが、会議は停滞してうまくいかない。そこに現れたのが黒川敦子女史、懐かしのアッコさんであった。
表題作ほか、「メトロのアッコちゃん」「シュシュと猪」「梅田駅アンダーワールド」を含む全4編。
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ランチのアッコちゃんと同じく、軽くサラッと読める作品。「そんなに人生うまくいかないって」と思いながらも、「たまにはそんなことがあってもいいかも」と思えるような気分転換のお話。メトロのアッコちゃんの仕事につぶされそうになっている主人公の気持ちが分かりすぎてリンクしてしまう。日常って、ほんのちょっとで変わるけど、継続するって難しかった時代を思い出す。

2015年8月27日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2015年8月27日]
カテゴリ 柚木麻子

1年5組の塚原マチは、図書室で一冊の本を手に取った。パラパラとめくると本から一枚の紙が滑り落ちる。そこにはていねいな文字で「サクラチル」と書かれていた。計三編。
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辻村さんが中学生向けに書いた連載だそう。
確かにいつもより爽やかテイストが強いような。
ちょっと物足りなさは残るけれど、若者が読むにはちょうどよい青春小説だ。

2015年8月27日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2015年7月24日]
カテゴリ 辻村深月
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