- ラビット病 (新潮文庫)
- 山田詠美
- 新潮社 / 1994年10月28日発売
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巻末の解説でおかざき真理(漫画家)が書いているように、いつもの山田詠美とは雰囲気が違う作品だと思う(とはいえ、そう多く著者の作品を読んではいないが読んだ範囲内では)。
面白いし、なんら難解なところのない200余ページなので、すぐ読める。1日かからず読了。
が、まあ、若年層向けだとは思うかな。山田詠美だから、というのもあって最後まで読んだけれど、著者が違えばまた違った評価はあるのかも。まあ、とにかく甘いラブストーリー、という感じ。こんなのいつまでも続くわけないじゃん、というリアルな感覚はひとまず脇において読むが良いだろう。
最後に、まあどうでもいいことかもしれないが、アメリカで生活をしたかそれに近い経験のある人にしか通じないのでは?という表現がいくつか気になった。私が編集者なら、注釈入れまくっちゃうだろうなぁ…。
2015年3月7日
- あい: 永遠に在り (ハルキ文庫 た 19-13 時代小説文庫)
- 高田郁
- 角川春樹事務所 / 2015年2月14日発売
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久しぶりに、高田郁氏の作品を読んで、やはり上手さと独特の温かさや人間味に感動。
幕末から明治時代にかけて蘭方医として活躍しただけでなく、70歳を過ぎてから北海道の開拓事業に転身した関寛斎を、妻あいの視点から描く物語。
私自身は、こういった歴史的な読み物が実は苦手であるうえに、関寛斎にも興味がなかったが、それでも物語として十分楽しめるので、ほぼ一気読み。
本作とは直接関係がないが、個人的に(本作に出てくる)濱口梧陵に強い興味を持ったので関連書籍を簡単に探してみたが、イマイチ読みたいと思うものに出会えず、残念。
2015年3月7日
- アスクレピオスの愛人 (新潮文庫)
- 林真理子
- 新潮社 / 2015年1月28日発売
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2/19 読了。
平成の『白い巨塔』を書きなさい、と出版社の方に言われて書いた、というようなことが、巻末の謝辞から読み取れるが、当然のことながら『白い巨塔』とはだいぶ雰囲気も作風も違う。なぜ、医療を題材にしたかったのか、わかりづらい。
あくまで個人的な感想だが、医療に寄ったせいなのか著者らしさみたいなものを感じづらかったのも確か。
たとえば渡辺淳一氏なら、このテーマにまったく違和感はないが、んー…。
読ませる文章と展開はさすがで、ほぼ一気読みに近かったが、読後感がどこか中途半端だったのが残念。
日本や世界の医療問題、主人公の恋愛遍歴、そのふたつがメインの流れだったのは良いが、最後に東日本大震災をもってくるのもあまり好感が持てず、もう少し違った終わり方ならもっと良かったように思った。
ちなみに、島清恋愛文学賞受賞作品ということだが、同賞受賞作である江國香織の『がらくた』とはあまりにイメージが違うので、気になって歴代の受賞作を調べてみた。ほとんど読んだことのある作家ばかりだったが、林真理子氏のこの作品と同年に受賞している千早茜著『あとかた』は、もしかしたらまだ読んでいないかもしれない。
2015年2月19日
- 夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)
- 連城三紀彦
- 宝島社 / 2014年9月4日発売
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2015/2/15読了。
やっぱりすごいなあ、と感嘆。短篇はあまり好きではないし、しかもミステリーで短篇なんて読み応えなくてイヤ、と思っていたけれど、連城作品が好きなのであえて手にとった一冊。期待を裏切らない。
初めて出会った連城作品も短篇集で、ミステリーではなかったが、とにかく上手いと思ったものだった。上手いだなんて私が言うのもおこがましいが。
ちなみに、一昔前にたしかTBS系列で放映されていたドラマ『恋文〜私たちが愛した男』がとにかく良くて、今でも印象に残っているのだが、この原作となった短篇が連城作品だったことがきっかけで出会った作家。
しばらく連城作品を掘り下げて読んでいこうかと思案中。
2015年2月17日
- 心はあなたのもとに (文春文庫 む 11-6)
- 村上龍
- 文藝春秋 / 2013年8月6日発売
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久しぶりに、どっぷり恋愛小説が読みたくなって手に取った本。これまた久しぶりの村上龍作品。男性心理の描写はさすが。ただ、女性側は…うーん、と思わなくもなかったが、男性視点のストーリーなので、もしかしたら敢えて?
再読はないかな。
2014年5月28日
- マリアビートル (角川文庫)
- 伊坂幸太郎
- KADOKAWA / 2013年9月25日発売
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「グラスホッパー」を読んだのがかなり前で、なぜこちらを読まずにいたのか覚えていないし、内容もほとんど思い出せないけれど、「マリアビートル」単体で十分に面白い。”グラスホッパーの続編”的な立ち位置の作品なのだろうが、伊坂作品でキャラクターがリンクするのはよくあることだし、個人的には1作品ずつ独立してお勧めしたい。どちらを先に読んでも問題ないし。
久しぶりの伊坂作品だったのだが、やはり面白い。うなるくらい面白い。シニカルで緻密で、テンポもいい。ほとんど一気読みだった。
2013年10月7日
- ([は]1-6)秘密のスイーツ (ポプラ文庫 日本文学 ([は]1-6))
- 林真理子
- ポプラ社 / 2013年8月2日発売
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なるほど、児童文学だったのか。知らずに手に取ったけれど、楽しめた。ただ、やっぱりメッセージが子供向け、という感じはしたけれど、物語自体は大人でも楽しめるのでは。
ちなみに、私が手に取ったのは文庫本だったが、単行本ではいくえみ綾さんがイラストを描かれているようで、そちらを最初に見ていれば、児童書だということは一目瞭然だったかも。
まあ、でも出会えてよかった作品でした。
#たまたまこの直前に、「星のかけら」(重松清・著)を読んだので、なんとなく子供の話が続いた感があったのは、個人的な事情…。
2013年10月7日
- 白いしるし (新潮文庫)
- 西加奈子
- 新潮社 / 2013年6月26日発売
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2013/7/7読了。七夕の夜に読み終えるのも、なにかの『しるし』なのか…?
それはともかく、こんなに激しくて痛々しい恋を、しばらくしていないな、と思う。作中で、塚本さんが言う、羨ましい、という言葉。その人のそばにいて、狂おしいほど愛してしまわずにいれる、その平静が羨ましい。何度、私も過去にそう感じたのだったか。今はもうそんな恋には出逢いたくない。いや、今まで一度も望みはしなかったはず。
でも、こうして物語として読むには、悪くない。きっと著書も、身が切られるような恋をする体質なのかも?
2013年7月7日
- 田舎の紳士服店のモデルの妻 (文春文庫 み 43-1)
- 宮下奈都
- 文藝春秋 / 2013年6月7日発売
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これは、久しぶりに良い一冊だったのではないかと思う。著者の作品は今まで数冊読んでいるが、これほど印象に残ったものは、他になかった。いや、他の著者の作品を含めたとしても、大好きな一冊にあげる。
最初はまあ、ありがちな穏やかさと怠惰に満ちて、そこそこ憧れられる程度の話かと思っていたが。もっと力強い。帯にある、辻村深月の解説の引用、「この小説は光だ」は、事実だ、少なくとも私には。儚げなのに確かに明るく、何より強い光だ、たぶん。
2013年6月10日
- ベッドの下のNADA (文春文庫 い 67-4)
- 井上荒野
- 文藝春秋 / 2013年5月10日発売
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江國香織より、最近は井上荒野のほうがよく読むものの、たぶん著者名隠されたらどちらの作品か分からないだろうな。
この作品もそう。でも、ある一時期から、タイトルに惹かれるのは、井上作品が多くなった。そして、タイトルからイメージする、これを読んだらこんなふうだろうな、こんな気持ちになりたいな、という無意識かもしれないがたぶんそこにあるはずの期待を、いい意味で裏切らない。と思う。
だから、まあ安心だし、満足もするけど、何が強烈に心に残るってわけでもないので、ワイン片手に無声映画を観るように読みたい一冊。
2013年6月9日
- つばさものがたり (角川文庫)
- 雫井脩介
- KADOKAWA / 2013年1月25日発売
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2013/1/29読了。精神状態のせいか、ちょっとウルウルきてしまったが、内容としては結末が見えていたところもあり。
でも、元気はもらえたような。へたに解説だの書評だのあらすじだの読まずにまっさらな気持ちで読みたい一冊。
2013年1月30日
- FOR RENT ―空室あり― (幻冬舎文庫)
- 森谷明子
- 幻冬舎 / 2012年10月10日発売
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11/4読了。背表紙が言うような、感動のミステリー、という感想もなく。可もなく不可もなし、あえていえばでぃては細かな描写が丁寧ではあるが、パーツが多すぎて散漫な感も。
まあ、読中は楽しかったので特に否定もしないけど、心に何かが残る、ということもなく。
ちょっと残念。
2012年11月5日
- 情事の終わり (実業之日本社文庫)
- 碧野圭
- 実業之日本社 / 2012年8月4日発売
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2012/9/11購入•読了。終わり方はあまり納得できないけれど、物語としてはこのクロージングが正しいような気もする。
ただ、個人的には一方的な終わらせ方はリアルな世界ではしたくないしされたくないし、それが相手のため、という気持ちのうえにあればあるほど納得しがたいのも事実(笑)。
二人で始めたことは、どういう形であれ二人で一緒に終わらせたいのかな、私は。まあ喧嘩別れならそれもひとつの形だけども。
でも、映画や小説なら、都合よく真意を伝えてくれる第三者がでてくるか、ナレーションや文章で補えるからね、これでいいのかと。
リアルだと、身をひく行為がただの心変わりだと思われたりする可能性もあるけどね(笑)。
作品に関しては、まあよくあるダブル不倫の話で、男性側の立場もありがちにドラマティックだけど、二人の心情は丁寧に描かれている感じがしたし、やや物足りないとはいえイッキ読みさせる何かがあったのと。ただ、再読はないかな。
2012年9月12日
- BE-TWINS (小学館文庫 お 32-2)
- 越智月子
- 小学館 / 2012年8月3日発売
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2012/8月中旬読了。もっと少女っぽい作品かと思ってなかなか食指が動かなかったーではなぜ購入したのかも謎だが、まあそれも出会いーのだが、思ったよりずっと良かった。
少女の葛藤、嫉妬、羨望、大人になってもなお持て余しがちな感情が、キレイなだけでなくリアルに繊細に描かれている。
主人公たちがまだ学生なので書かれているストーリー自体はそう複雑ではないが、懐かしさと憧憬、いや、憧憬というほどでもないかもしれないが、高校生時代に戻りたいような、そんな気持ちになった。
同じ著者の、もう少し年齢が上の女性が主人公の作品があれば、ぜひ読んでみたい。
2012年9月1日
- デパートへ行こう! (講談社文庫)
- 真保裕一
- 講談社 / 2012年8月10日発売
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2012.8.18読了。エンタメ小説としてなら、テレビの2時間スペシャルドラマ感覚くらいで楽しめるかな、と。
2012年8月19日
- あるキング (徳間文庫 い 63-1)
- 伊坂幸太郎
- 徳間書店 / 2012年8月3日発売
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2012/8/31読了。まあ、伊坂っぽくないという評判のようだけれど、そうかなあ。シニカルなところは、まんま伊坂作品だと思ったが。
読中はとても楽しかったけれど、読み返しはしないかも。理由は、まあ野球が、試合を観にいくのは好きとはいえそこまで好きではないのと、長さも含めてちょっと物足りないから。
なんとなく、終わった感じがしない終わり方に感じたのもあるかも?まあ、王求の一生の話だとおもえば、あれはあれで終わりなんだとしても、王の話は続きがありそうな感じも。
2012年9月1日
- ショートソング (集英社文庫)
- 枡野浩一
- 集英社 / 2006年11月17日発売
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2012/07/22読了。ついでに短歌も作ってみた(笑)。
まず、感想。まあ、たくさん読もうとは思わないけれど、たまに読むなら楽しめるのかも。若年層向きだとは思うが。
それより、作中に出てくる短歌がみなオリジナルではなく、実際の歌人のものだというのがすごい。物語を書きながらそれに合う歌を探したのか、それとも先に歌ありきで物語を構成したのかわからないが、どっちにしても結構大変なような…。まあ、前者のほうがまだ書きやすいかもしれないが、それにしたって手間がかかるような…?
で、短歌に触発されたわけではないがひとつ詠んでみました。
ひとりでに 道端に咲ける草花の 強さを願う七夕の日に ー
お粗末さまでございました(笑)
2012年7月23日
- 書店ガール (PHP文芸文庫)
- 碧野圭
- PHP研究所 / 2012年3月29日発売
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6/24頃読了。本が好きな人にオススメ、というのは帯の言う通りで、まあ安直だけれども確かにそうなのかも。
若者向きな内容ではあるとは思うけれど、この著者の別の作品も読んでみたいかな、とも思った。
良くも悪くも、起承転結がはっきりしていて、「ああ、そろそろ“結”だよねぇ…」みたいになんとなく見えてしまうところはあったけれど、それなりに楽しめた。
2012年6月30日
- きみはポラリス (新潮文庫)
- 三浦しをん
- 新潮社 / 2011年2月26日発売
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2012/8月下旬読了。本屋大賞のせいか、やけに三浦作品が平積みされている気がするが、ともすれば直木賞受賞の時よりも?
まあ、恋愛小説で短編集、これは私には物足りないのは仕方ない。にしては、甘すぎず楽しめたので☆みっつ。
でもしばらく恋愛短編集はいいや…。
ちなみに、猫の話は、べつの恋愛アンソロジーで読んだことがあったので、ちょっと残念。
そして、この方、本名なのね…著者名が少女趣味すぎると思って敬遠していた時期もあったのだけど、ちょっと反省m(_ _)m。
2012年9月1日
- ウサニ (小学館文庫 の 2-5)
- 野島伸司
- 小学館 / 2012年6月6日発売
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12/6/13読了。んー、読後涙が止まらないラブストーリー、ねえ。。。どうだろうか。背表紙の言葉だけど。
野島作品でもっと泣けるのは他にあるし、そもそも泣けるのがいい、というのかも分からないが、まあ泣くほど心動かされる、ということは、この作品にはなかった。あくまで個人的には。
うーん、若者ターゲットなのかな、それにしては性的なことをテーマにしているようにも感じたけど。
個人的には、どうした!?、野島さん、と思ってしまった。まあ、それでも最後まで読ませた何かがあるのだろうし、ということで、☆ふたつで。
※あくまで個人的な感想やシュミの問題なので、この作品が好きな人をどうこう言うわけではありません。私が、「心のなかの透明なお水」をすでに濁してしまって、そこにいる「お魚」が死んでしまっているだけなのかもしれませんから。
2012年6月14日
- それもまたちいさな光 (文春文庫 か 32-8)
- 角田光代
- 文藝春秋 / 2012年5月10日発売
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6/7頃読了。終盤にさしかかったあたりで、「ダメな男女の話を書こうと思った」と何かのインタビューで読んだのはこれだったか?と考えてみたが、同じように幼なじみの男女を描いた、江国香織・辻仁成の「左岸」「右岸」だったことを思い出した。
うん、ドキドキしない、欲情しない、そんな相手と結婚できるものか、と悩む主人公の心境は共感できる。淡々と語られる、ともすれば平たんにも感じる物語のなかに、共感できるふたりの男女がいて、ふたりを取り巻く温かい家族がいて、作り物すぎないからこそ心のどこかにちょっと触れる何かがある、そんな話…かな?
2012年6月12日
- ヘヴン (講談社文庫)
- 川上未映子
- 講談社 / 2012年5月15日発売
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6/9読了。救いがない感じが続くので何度か本を置いたものの、先が気になって読み続けさせる何かがあるとはしても。
やっぱり救いがないように思うなあ。芸術選奨文部科学大臣新人賞はともかく、紫式部賞受賞作品ということで読んではみたが、今までの紫式部賞受賞作品てはなにかが違うような。結局、なんの本なの?と聞かれたら、中学生が苛められる話、としか答えようがないような…。
2012年6月10日
- すき・やき (新潮文庫 や 70-1)
- 楊逸
- 新潮社 / 2012年4月27日発売
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12年5月末頃読了。うーん、読んでいるあいだは楽しいし、テンポもいいし、登場人物も魅力的だけれど、起承転結の「結」がないまま終わるような、「え?これで終わっちゃうの?」という感じが残る。
2008年芥川賞を受賞されたそうだし、その作品も含めて他の著作も読んでみて、というところか。これを読む限り、芥川賞というよりはどちらかといえば直木賞な感じもしたし。
結局、もう一度読んでみたいと思わせる何かがある作品ではあったのかもしれない。
確かに、これを読むとすきやきは食べたくなるね(笑)。
2012年6月13日
- モンスター (幻冬舎文庫)
- 百田尚樹
- 幻冬舎 / 2012年4月9日発売
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2012年5月下旬?6月初旬頃読了。まあ、読みごたえはあるし、女性としては整形手術のくだりなど興味深く読めたりもした(けど、ほんとに整形ってああいうものなの?)。
エンタメ作品としては十分楽しめると個人的には思う。ま、なんとなく結末はあっけない感じがしなくもなかったけれど。
百田尚樹といえば、「永遠の0」を買ったまま読まずにどこにやったか…。映画化もされるそうですね。
2012年6月30日