犬の力 下 (角川文庫 ウ 16-5)

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042823056

感想・レビュー・書評

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  • 全てが実話。

    麻薬を巡る壮絶な謀略と殺戮。
    とてつもないスケールの30年の長きに渡る復讐劇。
    その展開が圧巻で、私は何度も息をのむ。

    米国政府、CIA、麻薬カルテル、マフィア、バチカンの、それぞれの思惑。
    次々と暴かれる裏切り。そして、裏切りの裏切り。
    信じていた味方は敵だった。

    用意周到綿密に練られた作戦のシナリオが、いつしか出たとこ勝負にぶち当たる。
    主人公達はもはや全員が一匹狼状態。

    麻薬捜査官、殺し屋、マフィア、娼婦、
    4人の主人公全員に感情移入をしてしまう程、
    誰もが熱く、それぞれの道に命掛けだ。

    そして容赦なく展開する想像を絶する地獄絵図におぞけを震う。

    麻薬戦争の、マフィアの、男の、世界に引き込まれて、
    完全に戻れなくなっている。・・・ちなみに私は女ですが。

    一気読み。
    といいたいところだけれど、1000ページ以上の長編の
    ラスト10ページが、どうにも勿体なくて、1ページずつ戻りながら読んだ。
    ラスト数ページを数えても、一体誰が生き残るのやら、ハラハラドキドキ。

    読後、衝撃を何日も引きずるなんてことは、
    多感な時期に読んだ『風と共に去りぬ』以来かもしれませぬ。

    興奮冷めやらず、日を追うごとに改めてドン・ウィンズロウの凄さに感嘆。

    これは、間違いなく、過去最高のヒットです。
    これを読まずして、あなたは死ねるか。。。。
    男の世界にどっぷり浸りたい人、お薦めです。

    ===

    『犬の力』とは、旧約聖書の詩篇22章20節『わたしの魂を剣から、わたしの愛を犬の力から、解き放ってください。』から来ている。
     22章は、苦難と敵意にさいなまれる民がその窮地からの解放を神に願うくだりだ。
    『剣』も『犬の力』も民を苦しめ、いたぶる悪の象徴という意味合いで使われている。
    (訳者あとがきより抜粋)

  • 書評blog「わたしが知らないスゴ本はきっとあなたも読んでいる」の、”怒りながら戦きながら読め”<http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2012/05/post-f826.html>に触発されて手にとった作品。ほんと、単純な善玉悪玉なんて色分けなんて意味が無い。人間臭い悪玉から悪辣な善玉までとりそろえて。そして、そこまでして掴み取ったものが、次の瞬間、なんと色あせて見えることか、虚しさ。だからといって手をひく、という選択肢はあり得ないのだけれど。取り締まれば取り締まる程、価値が稀少になって、麻薬の値がつりあがって儲かるという皮肉。あるグループを壊滅させても、それに変わるグループが台頭するだけといういたちごっこ。/神は汝を許したもうp.116/「金のある状態とない状態。力のある状態とない状態。この世はそれがすべてでしょう。」(アダン・バレーラ)p.218/「いつの日か、きみも、すべてが政であることを知り、財布ではなく心の赴くままに行動するだろう」(ティロフィオ)p.219/アート・ケラーは優秀な兵士だが、優秀な兵士は戦場で死ななくてはならない。それが公理であり、真実でもある。p.443

  • 上巻ラストの神がかった怒濤の展開をどう収束させるのか、ワクワクしながら読んだ。期待以上の読みごたえに大満足。悪の思惑が複雑に絡み合う駆け引きの描写も間延びするどころか緊張感を増していく。風呂敷を盛大に広げながらも最後まで人間ドラマに徹したところも良い。

  • たくさんの登場人物と組織を整理しながら読むのが面倒臭かった
    結局30年たってもコカはなくならず、どこかで誰かが儲けている。
    最後に、アート・ケラーは法に守られて生きているが、それは「余生」にすぎない

  • 先の読める展開とステレオタイプの登場人物で、ハリウッド映画のような大雑把な味わい。
    それでも娯楽小説として結構読ませる。

  • 凄い物語だった。ドン・ウィンズロウの作品はデビュー作しか読んだことなかったが、もっと読後感はスカッと軽いもので、こんなにハードコアではなかったはず。時にコーマック・マッカーシーを思わせるほど、文体にも無情さが漂う。

    物語は、メキシコの麻薬戦争を舞台にした数十年。終わりのない、血で血を洗う争う戦争。正義はどこにあるのか、見失いつつあるなかで、悪と立ち向かう怒りに似た犬の力が暴走する。
    麻薬捜査官と、高級娼婦、殺し屋、カルテルのドンが絶妙に絡み合いながら物語は進む。

    面白すぎて、止まらなかった。

  • 物語はDEAのアート・ケラー、麻薬カルテルのバレーラ兄弟との戦いをメインに据え、殺し屋のカラン、売春婦のノーラ、バラーダ枢機卿のエピソードを絡めながら濃厚に展開する。とにかく面白い。特に戦闘の描写は非常に映画的。キャラクターの設定も秀逸で、登場人物への愛着もわいてくる。
    東江一紀の翻訳も素晴らしい。登場人物の性格、生立ちの把握が完全に出来ていないと、これだけの翻訳はできないと思う。
    お勧め、必読の犯罪の大河小説。

  • 史実を大なたで裁断しながら大風呂敷を広げた上巻は五つ星の面白さだった。しかしながらこの下巻では、「ああ、ドン・ウィンズロウね、ドン・ウィンズロウ」という、ドン・ウィンズロウおきまりのやさぐれセックス物語へと全てが収束、回収されて行く。壮絶な失望と失笑だけが残った。ドン・ウィンズロウ作品では異色の出来でたいへん面白く、上下巻まとめると星3つ半。

  • 手に「桃缶」を握りしめ食べながら読んだが、面白くてこぼしてしまった。

  • 1112 報復による報復で話が進みラストまで存分に楽しめました!暴力的表現は多いですが読みごたえ十分!

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著者プロフィール

ニューヨークをはじめとする全米各地やロンドンで私立探偵として働き、法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ。

「2016年 『ザ・カルテル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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