犬の力 下 (角川文庫 ウ 16-5)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年8月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042823056
感想・レビュー・書評
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書評blog「わたしが知らないスゴ本はきっとあなたも読んでいる」の、”怒りながら戦きながら読め”<http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2012/05/post-f826.html>に触発されて手にとった作品。ほんと、単純な善玉悪玉なんて色分けなんて意味が無い。人間臭い悪玉から悪辣な善玉までとりそろえて。そして、そこまでして掴み取ったものが、次の瞬間、なんと色あせて見えることか、虚しさ。だからといって手をひく、という選択肢はあり得ないのだけれど。取り締まれば取り締まる程、価値が稀少になって、麻薬の値がつりあがって儲かるという皮肉。あるグループを壊滅させても、それに変わるグループが台頭するだけといういたちごっこ。/神は汝を許したもうp.116/「金のある状態とない状態。力のある状態とない状態。この世はそれがすべてでしょう。」(アダン・バレーラ)p.218/「いつの日か、きみも、すべてが政であることを知り、財布ではなく心の赴くままに行動するだろう」(ティロフィオ)p.219/アート・ケラーは優秀な兵士だが、優秀な兵士は戦場で死ななくてはならない。それが公理であり、真実でもある。p.443
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上巻ラストの神がかった怒濤の展開をどう収束させるのか、ワクワクしながら読んだ。期待以上の読みごたえに大満足。悪の思惑が複雑に絡み合う駆け引きの描写も間延びするどころか緊張感を増していく。風呂敷を盛大に広げながらも最後まで人間ドラマに徹したところも良い。
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先の読める展開とステレオタイプの登場人物で、ハリウッド映画のような大雑把な味わい。
それでも娯楽小説として結構読ませる。 -
凄い物語だった。ドン・ウィンズロウの作品はデビュー作しか読んだことなかったが、もっと読後感はスカッと軽いもので、こんなにハードコアではなかったはず。時にコーマック・マッカーシーを思わせるほど、文体にも無情さが漂う。
物語は、メキシコの麻薬戦争を舞台にした数十年。終わりのない、血で血を洗う争う戦争。正義はどこにあるのか、見失いつつあるなかで、悪と立ち向かう怒りに似た犬の力が暴走する。
麻薬捜査官と、高級娼婦、殺し屋、カルテルのドンが絶妙に絡み合いながら物語は進む。
面白すぎて、止まらなかった。 -
物語はDEAのアート・ケラー、麻薬カルテルのバレーラ兄弟との戦いをメインに据え、殺し屋のカラン、売春婦のノーラ、バラーダ枢機卿のエピソードを絡めながら濃厚に展開する。とにかく面白い。特に戦闘の描写は非常に映画的。キャラクターの設定も秀逸で、登場人物への愛着もわいてくる。
東江一紀の翻訳も素晴らしい。登場人物の性格、生立ちの把握が完全に出来ていないと、これだけの翻訳はできないと思う。
お勧め、必読の犯罪の大河小説。 -
史実を大なたで裁断しながら大風呂敷を広げた上巻は五つ星の面白さだった。しかしながらこの下巻では、「ああ、ドン・ウィンズロウね、ドン・ウィンズロウ」という、ドン・ウィンズロウおきまりのやさぐれセックス物語へと全てが収束、回収されて行く。壮絶な失望と失笑だけが残った。ドン・ウィンズロウ作品では異色の出来でたいへん面白く、上下巻まとめると星3つ半。
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手に「桃缶」を握りしめ食べながら読んだが、面白くてこぼしてしまった。
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1112 報復による報復で話が進みラストまで存分に楽しめました!暴力的表現は多いですが読みごたえ十分!