偶然の祝福 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 306
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043410057

感想・レビュー・書評

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  • よかった。
    小説家の私と息子と犬のアポロの、静かで、ときに残酷で、優しくもある不思議な空気を纏った連作短編集。
    各短編の時系列は違うけれど、読了後にもう一度最初に戻って読み直したくなる。
    いちばん好きなのは「失踪者たちの王国」。
    さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王国。
    客観的なフリをしながらもどことなく失踪者たちの王国に惹かれているような“私”の不安定さと、空気感が、絶妙。

  • 良質な短編集でした。キリコさんの失敗が良かった。

  • 小川洋子の小説は、博士が愛した数式しか読んだことがなかったけど、この人のほん。面白い。

    ほんの少しの非日常をこんなうふうに淡々とミステリアスに、そして、ささやかな幸福に、ほんの少しのラブストーリーに、不思議なホラーに、少しづつ姿を変えて読ませてくれる、身近によくある話のようで、なかなかないんだけど、なんか自分でも経験したような気になるような日常風景の中に取り込まれる世界。

    ふとした瞬間に、今の自分と本の中の主人公が簡単に入れ替われるほど普通の日常の出来事が、どんどん読ませてくれます。

    ゾクっとしたり、え!?そうくる!?って思ったりオチも完璧なのに、なぜかとても日常的。

    そんな不思議なもう一人の自分の人生のような一冊です。

    ハマるかも。小川洋子!

  • 不気味だけど懐かしい。キリコさんの失敗のパンの届くところ、盗作、失踪者。静謐は十分だったが、つながり、掘り下げがイマイチだったか。
    現実と創作が混じり合ったエーデルワイスの感じは好き。

  • 性愛の描写が無い著者の作品ばかり読んでいたので、少し意表を突かれた。

  • その人にだけ見える存在。

  • 短編連作、なんだけど。最果てアーケードとどことなく似た感じの作品。書いた時期は結構違うんだけどね。割と好き。

  • ああ、エッセイかと思って読んでいたから!
    すごいハラハラしちゃって。
    いまも、ほんとはエッセイ?とちょっと思ってる。
    作品と現実の境界線をいい意味で曖昧にしちゃったすごい作品だ。

  • 『涙が落ちて、それが宝石になる』

    わかっていることと理解していることは違う。このままじゃダメだと思っているのに、手を繋いだまま崖に向かっていってしまう。視野を、視野を広くしなくては。物語は誰かの視界を介して複雑に移り変わっていく。見ているものは一つなのに。それは赤く、丸く、重く、薫。リンゴを見てあなたはなにを一番に思い浮かべるのか。

  • 作家をめぐる弟、犬、子供、恋人にかかわる7つの短編。
    どれもが、適度な湿り気とざわざわした感じと、少しの光を兼ね備えた小川洋子の世界。
    航空会社の嘔吐袋を収集していた伯母さんと失ったものをあるべきところに戻してくれるキリコさんが印象的だった。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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