0能者ミナト (メディアワークス文庫 は 2-1)
- アスキー・メディアワークス (2011年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048701389
感想・レビュー・書評
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「0能者ミナト」
科学が隆盛を極める時代の片隅にひっそり息づく異形のものたちがいた。それは怪異。怪異とは人の世の理から外れたものの総称。妖怪じみたものから念の淀みのようなものまで千差万別な異形なものに共通するのは、残虐であること。怪異は人の理解を超える力で人を喰い殺す。そんな怪異を倒せるものは法力僧、修験者だけではない。九条湊も異形を相手にする。しかし、彼は霊力、法力、神通力を使わない。彼が使うのは何なのか?
主人公は怪異を相手にする九条湊という男。彼は同じく異形を相手にする退魔師から零能者と揶揄されていた。しかし、彼は退魔師達が考えつかない手段で怪異を滅殺する。そんな彼の欠点は傍若無人で掴み所が無く飄々と毒舌を叩く所。そんな九条湊に助けられる山神沙耶と行動を供にすることになる赤羽ユウキは彼の欠点に悩まされ、振り回され、そして次第に慣れていく。
私はこの湊を知ったとき、八雲(「心霊探偵八雲」の主人公)に似ているなと思いました。この赤目の男は霊が見えるが、霊を滅却させる特殊な能力は無く、誰にも本心を見せずに飄々とした態度を保ち(しかし、なんだかんだで優しい一面を持つ)、それでも周りの影響を受けながら自分自身を成長させていく人物。さらに言ってしまうと、作品の表紙で描かれる八雲は美形で、文調から見ても恐らく美形と想像出来る立ち振る舞いと口調。そんな八雲の特徴を湊も備えているように思えます(恐らく湊も八雲と同様に自分で背負い続けている過去がありそうですが)。彼ら2人の違いを強いて挙げると、八雲は「下ネタ系の毒舌は吐かない」ということでしょうか。湊はバンバン吐いていきます、大人の毒舌を。
また、湊と八雲の事件の解決の仕方も似ています。2人とも特別な力で解決するのではなく、知力と洞察力で地道に解決策を見つけ、真相を明らかにしますが、湊はより狡賢い一面を持ち、どんどん相手を罠に嵌め、挑発して自分の範疇に周りを引き込んでいきます。そんな一面はダークヒーローのよう。
しかし、この「ミナトシリーズ」の肝はしっかりと練られた怪異の事件だと思います(まだ第1巻での感想ですが)。他の登場人物である山神沙耶と赤羽ユウキ、そして湊が挑む怪異が起こす事件は一見怪奇現象そのものですが、実は背景にはしっかり練られたものがあり、そこが面白い。
いざ第2巻へ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
取り敢えず湊さんイケメン。
友達から紹介された一冊。
表紙のイケメンに期待を抱き
読み始めました。笑
口は悪いし変態で汚いけれど
いざという時の冷静な判断
そして、さりげない優しさ。
なんと言ってもSなとこ。
ハートもってかれました。笑
2巻も読みますとも! -
悪くない。
けど続きが気になるか、と言われると、困るな。
怪異とか、幽霊とか、呪いとか、
こういう題材の小説は沢山あるし
解決方法(主人公のタイプ)や文体が自分の好みかどうか、がポイントになるかと思います。
私は文体が好みでなかったので
続きは、他に読みたいものがなかったら、かな。 -
第1巻を読破。
電撃文庫で「9S〈ナインエス〉」を読んでいて、そういえばメディアワークス文庫でこの人の作品あったよな……と思って気になっていました。
で、読んでみたのですが――
おもしろかったですー(*´▽`)
霊力も法力も神通力も持っていない九条湊。
持っているのは毒舌とそういったアレとは違った方面の知識(悪知恵とも言う?)で。
巫女さんである沙耶と、天才少年のユウキくんとのやり取りもいいですね。
主人公である湊は他人を小馬鹿にしたような、一癖も二癖もあるような人物で。
そんなわけでまじめな巫女さんと天才少年くんとは意見がぶつかってはケンカして。
うん、確かに付き合いの短い人たちだとそうなっちゃうだろうなあ、と思うくらい湊は偏屈な人ですよね。
それぞれの個性や能力を補うようにして怪異事件を解決する三人組がすてきです。
湊もただの詐欺師崩れというわけでもなくて。
怪異専門の探偵、みたいな感じですかね。
霊力や神通力とかないけれど、非科学的な出来事を科学的に見て解決する、といった感じでしょうか。
御神木に封印されていた怪異〈嫉〉もあるものを使って退けてしまうし。
ある呪術師にかけられた呪詛もある方法で祓ってしまうし。
しかも口ではなんだかんだ言っていても、年少組をきちんと気遣っているとか、ね。
この人はあれかな。
妖怪〈天の邪鬼〉ですか?
笑
年少組には余裕綽々、上から目線を貫くけれど、年少組の保護者たちにはやや翻弄され気味で。
巻末の閑話はおもしろかったです。
0能者・湊の意外な一面を見れましたし。
巫女さんと坊さんに囲まれる若者。
ああ、確かに神父さんが登場したら向かうところ敵なし、な感じになるかなあ。
本当におもしろかったです。 -
「怪異」を修験者、法力僧、呼ばれ方は様々だが、その中でひと際変わった青年、九条湊―どこか斜に構えたクセのある青年だが霊力、法力、神通力、彼はそんな力を一切持っていない。それにもかかわらず怪異を倒すという。その手腕は驚くべきものだった。紹介文抜粋・・・。
陰陽師みたいなバトルはない・・・。
この本の読みどころは、ミナトの俺様的発言とその言葉の裏腹な思い・・・。 -
怪異を相手に戦うラノベ、というとありきたりのようだが、この主人公ミナトは霊力や法力を一切持たない。にも関わらず妖怪や呪に立ち向かい、それを倒すというのが面白い。巫女や少年僧の王道妖怪バトルもあり。
ラノベはキャラ萌えで読む方だが、この本はストーリーに引き込まれて一気読みだった。事件の本質を見極めてそれに対応する頭脳戦がミステリチック。 -
1巻読み終わったら勢いで3巻まで一気に読んじゃった。キャラクターが魅力的。主人公は下品で毒舌で傍若無人だけどきっちり事件を解決してくれるから安心して読める。現代の妖怪退治モノで主人公が必ず勝つので一般の小説好きにはおすすめしない。ラノベです
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科学が隆盛を極める現代。だが、その片隅にひっそりと息づく異形のものたちがいた。存在を知る一部の者たちは、それを「怪異」と呼んだ。当然、怪異を相手にする生業もある。修験者、法力僧、呼ばれ方は様々だが、その中でひと際変わった青年がいた。
九条湊――どこか斜に構えたクセのある青年だが、彼が同業者から疎まれているのはそこではない。霊力、法力、神通力、彼はそんな力を一切持っていない。それにもかかわらず怪異を倒すという。その手腕は驚くべきものだった。