変愛小説集 日本作家編 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062939140

感想・レビュー・書評

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  • 期待通り、いや、期待以上に
    変な作品がつぎつぎとびだしてきた。
    「変」と一口に言っても、こんなに様々で豊かなのだなと
    感心しきり。

  • 変な恋愛話がいっぱい。どれもこれも違うふうにへんてこで、違うふうにおもしろい。

  • 恋愛ではなく「変」愛を集めたアンソロジー。 
    どこへゆくやら全くわからない。
    予想も付かない展開、意味さえわからなくなるけれど、なぜか読むのを止められない引力。
    奇妙な、強烈な印象を残す読後感です。
    面白かった。

  • いくつか読んだことがある作品も収録されていましたが、今までの愛に対する見方を思いっきり揺さぶられる一冊であることは間違いなし。
    どれもこれもお勧め?
    「韋駄天どこまでも」は漢字遊びの要素なので、編者も書いているように翻訳は超絶技巧が必要だなぁ。
    単行本にしか収録されていない作品があるそうなので、単行本も読まねば。

  • 単行本を持っているので再読。
    文庫化で収録されなかったものがあるのと、文芸文庫の『群像短篇名作選』3巻とのダブりがあったのが残念ではあるのだが、このアンソロジーは面白い。『韋駄天どこまでも』や『藁の夫』は何度読んでも好きだなぁ。

  • 一瞬、見間違いそうになるけれど「恋愛」ではなく「変愛」小説集。海外版のほうは読んでいないのだけれどこちらは日本作家編。好きな作家さんの名前が目白押しだったので迷わず手に取る。まったく知らなかった作家は深堀骨くらい。

    多和田葉子「韋駄天どこまでも」と村田沙耶香「トリプル」はそれぞれの作家の文庫で既読だったけど、漢字を分解する言葉遊びから始まって予想外の地平に疾走していく「韋駄天」は何度読んでもとても好き、カップル(二人組)ではなくトリプル(三人組)での恋愛が若者の間に流行する「トリプル」は何度読んでもいろいろと強烈。

    川上弘美「形見」は食料も子供も工場で生産される不思議なディストピア、本谷有希子「藁の夫」は文字通り藁で出来たシュールな夫との結婚生活が描かれており、夫が藁人形という不条理ファンタジー設定でありながら、藁のくせにいっぱしにエラそうな口を利く夫のリアリティのバランスが面白かった。

    吉田知子「ほくろ毛」、小池昌代「男鹿」は、見るからに変なことはおこらないにも関わらず日常がちょっとズレていく感じがさすがのベテランの余裕と安定感。「ほくろ毛」とはカラス繋がりの星野智幸「クエルボ」も、定年退職後居場所のない男のカラスへの共感が終盤で思いがけないことになり、なんというか、あちら側とこちら側の境界、ちょっとねじっただけでごく自然に移行してしまう不安定さを思わされた。

    「梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる」は、電球交換士という職業や、風景画を吐き出す病気の女性という設定がいかにも吉田篤弘らしい。津島佑子「ニューヨーク、ニューヨーク」は、亡くなった元妻の思い出を辿る男の哀愁が良い。

    安藤桃子は作家というより映画監督の印象なので(妹・安藤サクラ主演の『0.5ミリ』は見た)どういう小説が出てくるのか全く予想がつかず、なんだかつかみきれないまま読み終えてしまったのだけど、南米文学風?なのかしら。

    異色だったのは私にとっては未知の作家だった深堀骨「逆毛のトメ」。とにかく奇人変人のオンパレードで、しかも主人公は、可愛いフランス人形風の顔立ちでありながら股間にワインのコルクを抜くための螺旋ネジをしこまれた人形、その名も「逆毛のトメ」という突拍子もない話。作風に馴染んでしまえばかなり楽しかった。

    ※収録作品(単行本には収録されていた木下古栗「天使たちの野合」は何か事情があり再録されなかったもよう)
    川上弘美「形見」/多和田葉子「韋駄天どこまでも」/本谷有希子「藁の夫」/村田沙耶香「トリプル」/吉田知子「ほくろ毛」/深堀骨「逆毛のトメ」/安藤桃子「カウンターイルミネーション」/吉田篤弘「梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる」/小池昌代「男鹿」/星野智幸「クエルボ」/津島佑子「ニューヨーク、ニューヨーク」

  • 前代未聞の純愛アンソロジー

    藁でできている優しい夫。男女三人で行う正しいセックス……。豪華執筆陣が、奇妙で純粋で狂おしい愛の形を綴った11の物語。エッセイストとしても著名な翻訳者が編んだ伝説のアンソロジー、待望の日本版!

  • 岸本佐知子先生が現代小説の国内作家で特に好きなのがこの作家陣っていうの、分からみが深いな…。

    川上弘美、最近SFだな…昔もなんかSFと言われればSFだったけど、分かりやすくSFSFしてる気がする…。うん…。
    村田沙耶香の「トリプル」ってこのために書き下ろされた短編だったんか…なるほど納得…。そうだったんか…。
    何度読んでもやばみがやばい…。

  • 夜に読むには、刺激の強い、エロスな本。
    物、事、実親だった、近所のマダム
    作者の想像力、創造力、妄想力はきっとたくましい

  • 12編のアンソロジー。
    どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
    その中でも特に好みだった2つについて書きたい。

    『藁の夫』
    2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。

    『逆毛のトメ』
    シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚かな人間の頭に邪鬼の形相のトメがいることを想像してそのコミカルさに取り憑かれる。気づけばトメのことが好きになっていた。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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