潮騒 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 954
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050072

感想・レビュー・書評

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  • 初三島作品がこれでした!
    三島由紀夫、きっとすごい小説家なんだろうな~とは思っていながらも、難しそうだな~と思ってこれまで嫌煙しておりました。。
    この作品を読んで反省です。。。

    本当に風景描写がキレイで、行ったこともない土地だったけれど、すぅーっと目に浮かんできました。
    読了したすぐ後に、実際に神島に行ってきましたが(というか神島に行こう!という話が決まってから、そしたらこの作品を読まねば!!と思って読んだ作品でした。笑)、60年たった今でも、「ここ、あそこに描かれていたまんまだ!」と思える景色がいっぱいで、さらにこの作品が好きになりました。

    都会暮らしにつかれたら是非お勧めしたい場所です!!

    こんな恋愛してみたかったな笑

  • 初めての三島作品。
    純愛を絵に書いたような展開が読んでいて新鮮。
    それが最後の最後の一行で全然違う印象になる…そこがすごい。
    日本語の美しさを実感しながらも漢字の難しさも実感!読み慣れていないから時間がかかった…

  • 潮騒。
    三島由紀夫29歳、金閣寺をかく2年前のときの作品。新治と初江の初々しい恋の物語である。三島由紀夫にしては血や暴力の匂いを消した、磯臭い純粋な青春を描いた作品であった。村の漁師や海女たちの生活は、労働こそ生であり、豊穣な自然の中で、自然と闘い、委ねる喜びに満ちていた。新治が世話になっている灯台の家にヒラメや鯛などを届ける際のその魚たちの生々しい獲物としての描写は、古来より他の動物の命を搾取していきてきた人間としての誇りと自覚と感謝を喚起するものであった。後半の、初江と手をつなごうと思ったが鯛により手がつなげず、帰り道では無事つなげた、という描写が気になった。これは、小説最後の部分での、新治が沖縄での冒険を切り抜けたのは初江の力ではなく自分の力だという確信とも関連があるのではないか。一見して恋愛小説だが、この作品の裏のテーマとしてはそもそもの人間の生活があり、そこには生と死がある。人間は二人で生きる以前に一人で生きなければならず、そのためには己の意思で汗水たらして働き、自然の恵みから食事をいただかねばならない。小さな島で力強く生きる新治の若い輝きこそ、この作品を青春小説たらしめている光なのかもしれない。
    荒れ狂う海とそこでの新治の海の男としての戦いの描写は、読者も激しい波にのまれて息苦しくなる錯覚を覚えるほど圧巻であった。三島由紀夫の魅力は、暴力的な強さのなかの緻密で計算された表現であると再確認させられた。

  • 三島由紀夫が1954年に発表した10作目の長編小説。三重県鳥羽市の歌島(神島)を舞台にした、そこで暮らす漁夫と海女の恋愛を綴った作品です。他の三島作品と比べて、どこまでも爽やかに2人の姿が描かれています。ここまでベタな内容の恋愛小説も書けるのかと、失礼ながら逆に感心してしまいました。ただ、普通の恋愛小説と違うのは日本語の美しさ。これが作品に気品を与えていると思います。島の情景の描写も素晴らしく、目の前に鮮やかに蘇ります。ぜひ、舞台となった歌島に行ってみたくなりました。

  • 三島にしては珍しい王道恋愛小説。文章は非常に読みやすくて分かりやすいので初めての三島にはオススメ。
    何度読んでも「その火を飛び越して来い」のシーンにはときめきます。純愛ね。

  • 思っていた以上に爽やか、かつ清らかな純愛物語。複雑な恋愛模様の物語で溢れている昨今、特にドキドキハラハラするような展開はないが、純愛物語の王道中の王道、という感じでむしろ新鮮に感じた。
    情景描写も綿密で、自然にイメージが湧いてくる。
    真夏の炭酸水のようなすっきりと爽やかな読後感がある素敵な作品。

  • 爽やかな青春恋愛小説。それでも三島らしいねっとりした人間臭いエロティシズムも健在。

  •  おいおい、ハッピーエンドかよ。今時(といっても、昭和29年の作品だそうですが。)、こんなお気軽な話、そうはお目にかかれないよ。しかも、携帯小説でもなんでもなく、あの三島由紀夫の作品というから驚いてしまう。

     途中で、深夜に安夫が初江を待ち伏せる場面で、思わぬ邪魔が入ります。そう、蜂です、蜂。3回もチクリとやっています。くまのプーさんですか? アニメじゃあるまいし。

     その割には、小説の語り口はかたいというか何というか、彼の作品はまだ2つしか読んでいませんが、女性に対する扱いが冷たい印象があります。しかも、自分勝手にどんどん話を進めてしまう、この作品も読んでいてそんな感じがしました。

     と書いてきましたが、別につまらない作品というわけではありません。大人が忘れてしまったような、若者らしい一途さがあふれていて、読後の余韻は悪くないです。

     5回も映画化されているそうですので、堀ちえみ以外のバージョンを一度観てみたいです。やっぱり吉永小百合かなあ。

  • 再読。
    漁師と海女が自然と共に生活する歌島。
    新治は一人の見慣れない少女に出会う。
    それは島の金持 宮田照吉の一人娘 初江だった。
    ふたりは互いを慕うようになるが、安夫により流された噂でふたりは引き裂かれることとなる。
    ある日船員の修行として歌島丸に乗り込むこととなった新治は、そこでの勇気を認められ、めでたく初江との仲を認められる。

    全体に漂っている清涼感。素直な気持ち。
    千代子の仕打ちも、なんだかんだすっきりしている。
    島の暮らしだからなのか時代がらなのか、純粋な物語。

  • あまちゃんの影響で読みたいと思っていたので、読めて良かったです。

    最後の一文がなかったら、この物語はただ綺麗なだけの純愛小説であったと思います。
    彼は男の中の男ですね。

    2014.02.09

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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