おめでとう (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 253
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292328

感想・レビュー・書評

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  • ☆5つは付け過ぎなんですけどね、色々と考えるネタを貰った作品なので、ちょっとサービスです。
    川上さんは多彩な作品を書く人のようですが、この短編集でも幾つかのパターンが出て来ます。
    「センセイの鞄」を思わせるちょっと不思議な主人公の恋愛を描く「天上大風」、「蛇を踏む」のようにファンタジックで寓意的な「運命の恋人」、そして男女の一場面を見事に描く「川」など。それぞれが見事だと思います。
    しかしいずれにしても、緩やかにうねり、決して白波の立つことの無い瀬戸内の海のような、どこかゆったりした流れがこの人の持ち味という気がします。

  • 男女の恋愛、不倫、同性の恋愛、いろんな形があるけれど根底にあるのはとても普遍的なものであるように思えた。
    失ってしまう不安や、先の見えない未来。それらと静かに闘っている人たち。
    決して幸せな物語ばかりではないのに、幸せな気分になるのはどうしてだろう。

  • 「運命の恋人」と「どうにもこうにも」がお気に入り。女性らしさ、というよりも、人間らしさという風に例えることがしっくりくるような感覚。卑怯なところも含めてこそだよなあと思う。女性らしさや男性らしさの定義は人によって違うし、だからこそ色んな人同士が惹かれ合うのかもしれない。どうあるべきなのか、よりも、どうしたいのか。

  • ほんのり寂しいような味のする短編集。

  • 何だか読みにくい。
    舌足らずの大人が一生懸命に聞いてもらいたいことを伝えているような感じ。なんだけど、解説を読んだらちょっと印象が変わったかな。

  • 短編集。
    いろんな二人(女同士だったり別れた男女だったり)が出てくるのだけど、なんとなくテンポが快い。

  • 12篇からなる短編集。
    いったいこれは、現実世界なのだろうか、と惑わされてしまう。
    小説なのだから現実ではないのは当たり前で、それは百も承知なのだが、そういったことではなく、この人たちは誰だ?これはどこの世界の物語だ?とクラクラしてくるのだ。
    かと思えば、突然、逢瀬のあいだ、子どもを近所の人に預かってもらっているだのと至極現実的な側面を見せてくる。
    どれも薄ーく切り取られた一場面なのに、読んでいるといろんな感情におそわれて油断できない。

  • キメの細かい砂のようなサラサラとした文章と、空気感。
    やわらかさとサバサバした感じの両方があるよう。
    そしてちょっとひょうきん。
    やっぱり好きだな、川上さん。
    人との距離感の描かれ方や、言葉のすき間にチラッと見え隠れするさみしさも。

    幽霊にたたられて復讐する「どうにもこうにも」、ちょっと異界の「運命の恋人」、未来の話「おめでとう」を含め
    私の読んできた川上さんらしさの感じられる短編集だった。
    心地よかった。

  • 2014/06

  • 15/12/16
    ぽっかり明るく、深々しみる、まさにそれ。『夜の子供』がたまらなくすき。ちなみに子供はでてきませんよ。イチゴミルク~~


    P60-61 『春の虫』
    「もらったからあげたのかな、あたし」
    「もらった?」
    「うん、もらった、いろんなもの」
    「どんなもの」
    「目に見えないいろんなもの、目に見えないけどなんだかほかほかするもの」
    「もらったのかあ」
    「うん、たしかにくれたような気がする」
    (中略)
    「ショウコさんがあげたのは、何?」
    「お金と時間」
    「なるほど」
    「つまらないものよね、あたしのほうは」

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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