墨のゆらめき

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104541089

感想・レビュー・書評

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  • 意外にコミカルでした。
    三浦しをんさんの小説は文が綺麗だし
    ちょうど良い頻度で知らない単語が出るので
    広辞苑でひいて勉強になるのも良いです。

    最後、考えてしまいました。
    嫌いな人と離れるのではなく、
    相手のために
    あるいはいろいろ状況を考えて
    距離をとった方が良いと思ったら
    どういう方法が良いのか。

    最近両方の立場(距離をとりたい、あるいは距離をとられているようだ)を複数経験しているもので
    実際小説のようにはうまくいかないものだと感じています。

  • ホテルが宛名書きを依頼する筆耕士として登録された、書家で書道教室をやっている遠田の人品骨柄を見定めるべく、三軒茶屋そば線路沿い五差路の道にホテルマンの続力(つづきちから)はいた。遠田は二代目。誰もまだ彼に依頼していないのに、ホテル上得意様が登録された筆耕士宛名見本ファイルの中から遠田を指名したからである。そこから過去が謎に包まれた(動物園に行ったことないとか)遠田と、しょっちゅう道を尋ねられたりする、人に警戒されない親しみオーラ特技の続のかかわりが始まる。
    仕事の内容も新鮮だったし、何といっても続(チカ)の一人語りの文が面白すぎた。電車で読んでいてぷーと吹き出しそうになったり、にやにや顔になったり、かなり怪しい乗客になっていたはず。そして、遠田の過去が語られるときにはほろりときます。どんでん返しあったりとかびっくりする展開とかはないですが、人情味あふれたあたたかい本を読みたい人におすすめ。代筆でチカが思いつく文章がまた、最高でした。あー、エピソード思い出してもニヤついてくる。
    遠田の過去が小学生には向かないので中学校から。よく読む小学生個人になら渡しても大丈夫かな。

  • 図書館で半年待ちでした。表紙がちょっと得体の知れない雰囲気で、躊躇してしまい予約に出遅れてしまいました。

    都内の老舗ホテル勤務の続力(つづきちから)は、招待状の宛名書きを依頼するため書家の遠田薫を訪ねたところ、なぜか副業の手紙の代筆を手伝わされるはめに…。

    いやぁ〜おもしろかった。実直なツヅキと奔放な遠田と、二人の会話や関係性もよかったし、代筆の手紙も漢詩もよかった。

    私は字が下手で書道は大の苦手だったので、字の上手い人をみるとそれだけで尊敬してしまいます。

  •  主人公の続 力(つづき ちから)は、西新宿にある小規模なホテル、三日月ホテルのホテルマン。
     古く、こぢんまりとしてはいるが、客室にはゆとりがあり、眺めもいい、水まわりのリフォームもなされていて、人気のホテルである。
     宴会や結婚式などで筆書きの招待状や案内状を書く人を筆耕士といい、三日月ホテルでは外部の書道教室の先生や書道の段を持っている人を登録している。
     その筆耕士のうちの一人、遠田 薫(とおだ かおる)氏は先代の康春氏から代替わりし、一度訪ねる必要があった。
     下高井戸から狭い暗渠の道を少し歩いたところに、その遠田書道教室はあった。
     この遠田薫氏、書道教室だけでなく代筆業までやっている。力はその代筆業の手伝いなどで、薫に巻き込まれることになる……。

       ◇

     書や手紙を通じ、ビジネスだけでなく人としての温かいつながりが感じられる。
     男子2人の友情ものは三浦さんは多く書かれているけれども、今作も心のつながりを感じる。
     書に対する真摯さも、書から滲み出る人柄もあるのだなあと読んでいてワクワクした。

     読んだのは紙の本だったが、AmazonオーディオブックAudibleのために書き下ろされているので、耳で聞いてみるとまた違う感じ方になるのか興味がある。

  • 三浦しをん節が楽しく弾んでいた。Audible用に書き下ろされたと知り、Audibleが羨ましくなった。

  • 久し振りに男女の話ではなく男と男の友情が始まる物語。

    ガタイと顔がいい遠田薫がが出てきたときにBL展開もあるな(ニヤリ)と思ったがそうはならず、書の美しさと男同士の友情の物語であった。

    恋愛がらみも良いがこういうのも美しくて良いなぁ。

  • かわいいふたりのおじさんの、遅れてやってきた友情の話って感じ?
    微笑ましく読ませていただきました♪
    書道の凛とした空気感が物語の根底に張り詰めていて、心地よい時間でした。
    後ろ数ページのカネコ氏の肉球落款印がたまらんっ!

  • 読みやすい。
    すいすい読めてします。

    西新宿の昭和感があるが、接客、料理といいホテルである、三日月ホテルの勤続15年のホテルマンの主人公とホテルから筆耕士として仕事も一部得てる書道家と遠田。
    2人はひょんなことから代筆屋として、悩みや葛藤を手紙や文章ななよって解決したい人のために、2人で仕事をしていく。
    タイプやバックグラウンドの真逆な2人がなぜか、足りない部分を支えるように息を合わせていく。
    かなり大きな事件が起こるとかではないが、メリハリが効いていて面白い。

  • 面白かった。
    今まで知らなかった世界なのに、会話や情景が浮かんできて楽しかった。
    良い友達だなと思った。、

  • 三浦しをんさんの作品は特殊な世界を描きながら平坦なタッチが多くて好きです。
    けれど今回はもう少し深掘りしてほしかったかな。主人公が親しみやすく、変わり種の人との交流、という点では
    『愛なき世界』『船を編む』と同じ感じですが、薫さんがつきつめる書までを描いてほしかったです。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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