墨のゆらめき

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104541089

感想・レビュー・書評

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  • 三浦しをんの墨のゆらめきを読みました。
    主人公はホテルマンで、すぐに頼まれごとをされてしまう性格。
    お客が選んだホテルの筆耕士遠田は登録にメールアドレスしか書いて無く、直接訪問することに。
    書道家の遠田は自由奔放な性格で、主人公の続は代筆の文章を考えさせられたりと巻き込まれます。
    書道家の世界は、最近ドラマにもなったばらかもんもあり、興味深いです。
    なかなか面白かったので、ドラマか映画になって欲しいですね(^-^)

  • 「線路沿いの道を5分」。 
    のメールを頼りにするも、結局、五叉路の道を一本ずつ行きつ戻りつ15分かけて汗だくでやっと辿り着いた『遠田書道教室』
    のっけからおもしろそうなことが始まりそうな予感

    書道教室・筆耕士・代筆屋を生業とする遠田薫と見るからにホテルマンが天職と言わんばかりの続力(つづきちから)のやりとり
    歳は近いもののまるで正反対の二人に芽生えていく友情

    書道教室の子どもたちとの軽妙なやりとりと猫のカネコさんのしぐさもグリコのおまけみたいでこの物語に色を添えている

    ふざけているのか真面目なのかはっきり掴めない遠田ではあるが、一旦筆を持ち紙に向かうと人が変わる
    読んでいても、どこからか墨の香りが漂ってくるそんな描写が美しい

    そして、夏でも作務衣の下に長袖のTシャツを着ている理由、遠田が時折見せる翳りに読者にも不安が押し寄せ
    ついついページを捲る手がはやる

    後半から不穏な空気で胸がザワザワしたが、読者の期待を裏切らないハッピーエンド

    やっぱり三浦しをんさん、おもしろい
    大好きだ





  • 「墨の香りがする小説」とラジオで紹介されてた作品。この作品は「Audibleと出版社による、メディアの枠を超えた新しい取り組みで、オーディオブックとして音声で配信した後、書籍として出版される作品」のようだ。本を読むことも、Audibleを聴くこともどちらも好きな私は、まずはAudibleで。登場人物がとても魅力的で、書道好きとしても楽しむことができました。

  • 三浦しをんさんの文章は本当に読みやすい。

    今作はタイトルと表紙だけ見て、なんとなく暗いお話なのかなと勝手に想像してましたが、真面目なホテルマンと自由な書家の話でした。
    それぞれの仕事に対して、大変そうだなとか面白そうだなと思ったりしてお仕事小説っぽさもある。

    遠田さんはさぁ…ずるいよね。
    最初、あんなキャラだと思わなくて絶対気難しい人が登場すると思ってた。ぶっきらぼうな話し方なのに、子どもに指導するときはそれぞれの個性や感性を大切にしていて、めちゃくちゃいい人じゃん!と思ったら、さらにイケメンだって?!現実にいたら書道教室に通うレベル。
    ホテルマンの続さんも真面目ですごく良い人。この正反対っぽい二人がすごくいいコンビで会話のテンポも良くて、とにかく楽しく読み終えました。

  • 相変わらず面白い

  • あらすじを見て、代筆に関係するバディものかと思ったら、違った。代筆は重要なモチーフではあったけれども。

    軽妙な語り口ですいすいと読んでしまうが、テーマはなにげに重い。異質なものを排除するという考え方には、見せしめとか自業自得とか理由がつけられるだろうが、再出発を許さない社会は息苦しい。

    意識して書を見たことはないが、見てみたくなった。

  • どうということもない話なんだけれど、読ませてしまうのがしをんのうまさだな。

  • はじめの章で遠田薫との初対面書道教室で
    「ほら、これが夏の風だ」
    のくだりで、あぁこれが三浦しをんだぁ!と胸がいっぱいになりました

    書道いいね〜

    「この砂はみんなの水晶だ。中で小さな火が燃えている」を引用して、『銀河鉄道の夜』に満ちる透きとおったうつくしさと哀しみ、と表現しているところとかホントこの作者の丁寧な美しい描写が本当に大好きです。



    三浦しをんさんのお仕事観というか少々レアな職業にフォーカスした話がいつも興味深いです。
    今作で言えばもちろん書道家という職業。またレアではないが老舗ホテルのホテルマン。
    他作品では『舟を編む』の辞書編集者をはじめ、『なあなあ神去日常』の林業や地域性からくる帝王学について、最近では『愛なき世界』の植物関係の研究者など。

  • ホテルの筆耕士を務めることになった遠田と、ホテルマンの続のお話し。

    中盤までは代筆屋さんの色が強く、あれ?『ツバキ文具店』かなっと感じました。
    段々と話しは遠田の過去に流れていくのですが、続編のための布石といった様子で、少し物足りなく感じました。

  • 墨の香りと紙の上を流れるような筆づかい。『墨のゆらめき』というタイトルから、そんなことが思い浮かんだ。

    三日月ホテル勤務の続力(つづきちから)は、話しかけられやすい体質。遠田書道教室の遠田薫は、口は悪く、ぐいぐいくる感じ。ホテルの筆耕の仕事で知り合い、手紙の代書を2人でやることになってしまう。そんな2人の関係がなんだかおもしろく感じられていたので、後半、遠田薫が書道教室をしている理由に繋がる過去がわかったときに圧倒された。

    「他日相思来水頭」会いたい思いが募ったときには、またこの川辺に来よう。つまり、気になるなら会いに行けばいいということ。この漢詩の一節の後押しがよかった。大人になってからの心地よさを感じる関係は、大切にしたいと思うから。

    桜の木の下にチカ(=続力)を導いたネコのカネコ氏が、終始いい味をだしていた。ネコ好きなので余計にそう思ったのかも。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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