超バカの壁 (新潮新書 149)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101496

感想・レビュー・書評

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  • この本は、東大名誉教授である著者の「壁シリーズ」である「バカの壁」「死の壁」の続編です。
    著者の考え方が、丁寧に書かれており参考になりました。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

  • バカの壁、死の壁の続編、帯にこの「壁」を超えるのはあなた とある

    相談をするときに、具体的な答えを期待する人がある。それはおかしい。自分のことは自分で決めるので、相談とは、根本的には「考え方」についての疑問である。他人に伝えることができるのは、「考え方」だけである。
    人生とはそうした「些細な」体験の繰り返しである。歳をとれば、その「些細」が積もり積もったものになる。

    バカの壁は超えられなくても、超バカな壁は超えることはできるのだろうか。

    読んでいくうちに、著書は結構、極論が好きなのではというところが結構ありました。

    気になったことは以下です。

    ・国民皆労働が常識になったのは戦争のせいではないかと思います。今は豊かになってから、ある程度の人数が働かないで済むようになったのです。
    ・働かないのは、「自分にあった仕事を探しているから」という理由を挙げる人がいちばん多いという。これがおかしい。二十歳そこらで自分なんかわかるはずがありません。中身は空っぽなのです。
    ・会社は全体として社会の中の穴を埋めているのです。その中で本気で働けば目の前に自分が埋めるべき穴は見つかるのです。

    ・そもそも仕事は世襲でもいいのです。世襲というものは一時期、悪の権化みたいに言われていました。封建的だとか何だかという批判です。
    ・医者の世界でも三代目なんてケースは珍しくありません。要するに、地盤、看板が必要な職業は世襲にならざるを得ない面があるのです。「先代が死んだからもう病院を閉めます。さようなら」では、地域が困ります。世襲ならば、設備などのハードの面をスムースに引き継げます。その代わり子供が幼いときから職業のことをたたき込むのです。もし子供がいないか出来が悪いければ、外から才能のあるやつを引き抜いて養子にすればいい。

    ・「秀吉の草履取り」、本気でやることの大切さを教えているものです。秀吉は、草履取りを本気でやた。初めから本気でやれば、あそこまで偉くなれるという話です。だから本気で仕事をしろと教えているのです。

    ・ナンバーワンよりオンリーワン。努力すれば夢はかなうという幻想。
    ・時を中心に考えれば、本当に大切なのは、先見性ではなくて普遍性なのです。その人が普遍性をもっていらいつか時が来る。その人に合った時代が来るのです。

    ・日本人の自分は、西洋人とは違います。西洋人の I ト 日本人の私は実は違うものなのです。
    ・頭とは、いいよりも丈夫なほうがいいことが多いのです。
    ・あなたの考えが100%正しいということはないだろう。せいぜい60%か、70%だろうと言っているのです。

    ・倫理とは個人の問題なのです。
    ・税金はがんで死にそうな人でも収入があれば、取られています。だから「血税」というのです。

    ・生物学的にいうと、女のほうが強い。強いということは、より現実に適応しているということです。つまり無駄なことを好まないということです。
    ・複雑すぎる機械は壊れやすい。だから女というものは、比較的シンプルな作りになっているのです。

    ・都市化ということは、根本的に子供を育てることに反するからです。
    ・子供には個性があるから大事にしましょうというタイプの教育は、戦後すぐには始まっていました。その個性を大事にすることが子供を大事にすることだと思ってしまう。だから、親は子供に教えない。教えるということはある意味では叩き込むことです。
    ・昔に比べると子供は大事にされているというのはウソです。それは甘やかしていることと大事にしていることを混同しているだけです。

    ・私には、戦争責任はありません。本人の記憶のないことについてあれこれいうのはおかしなことです。実感がないから、当時のことなんかわからない。私に責任がないならば、若い人に戦争瀬金があるはずありません。

    ・靖国神社に参拝するのは小泉首相の勝手です。憲法で「思想及び良心の自由」「信教の自由」は保障されているのです。ただし、政教分離なのですから、日本国総理大臣と署名して参拝するのだけはやめればいい。

    ・人間は金以外の動機で動くものなのに、ほとんどの人はそうではないと思っている。金とは単なる権利だということがわかっていないからです。

    ・原則を持つ、原則ができればどんな苦情にも答えられるようになります。

    ・本気の問題。きちんと正面からぶつかる経験をしておけばよかった。

    ・雑用のすゝめ。若いときにはいろんなことをやってみることを勧める。

    目次
    まえがき
    1 若者の問題
    2 自分の問題
    3 テロの問題
    4 男女の問題
    5 子供の問題
    6 戦争責任の問題
    7 靖国の問題
    8 金の問題
    9 心の問題
    10 人間関係の問題
    11 システムの問題
    12 本気の問題
    あとがき

    ISBN:9784106101496
    出版社:新潮社
    判型:新書
    ページ数:192ページ
    定価:760円(本体)
    発売日:2006年01月20日

  • 抽象的であまり響かなかった。著者の本は初めてだが、保守的で攻撃的な印象が強かったと思う。
    しかし、全てにおいて否定しているわけではなく、著者に共感したところも多々あったのは確かである。例えば、最後の章で、自分に戻ってくるような仕事をすること(学べる仕事)と記載されているのはまったくの同感。20代前半のころは自分に合った仕事があるはずといろいろな仕事を経験もしてみたが、やっぱりそういうものはないのかもしれない。
    学べる仕事を見つけるために今は、仕事をしつつ学業に励むのみ。それを、確信しただけでも大きな収穫となった本。

  • バカの壁に続く、著書。
    それぞれの時事ネタに養老先生の考えを混ぜ込み、それぞれ本質とも言えるくらい、バシバシと切っていく面白い本だと感じた。
    中でも、予防と対策という話が印象に残っている。
    物事のうまくいっているときは、振り返らないのに、うまくいかないときはすぐに振り返る。一見普通の考えではあるが、日常的な仕事では、うまくいっているときの振り返りは少ないように感じる。
    そのため、対策で仕事をし、予防には、あまり触れない印象。うまくいっているときも振り返り(予防し、)、問題が起きてから対策する回数を減らす。
    その意識を持って仕事をすべきだと感じた著書だった

  • 旅先のリサイクル本棚でたまたま見つけてお迎えした本。

    「ただの人間」として「社会の穴を埋める」
    自分がやっていることって、社会の穴を埋めているのか、余計な山をつくってしまっているのか、はたまた新たな道をつくっている途中なのか・・・働くということについて考えさせられました。

    いい仕事したなと思えるように生きていきたい。

  • 著者の考えがわかる本。

  • フラクタル理論
    スペインとポルトガルの国境線の長さは、スペイン、ポルトガルそれぞれで違う。
    物差しが違えば、結論は変わってくる。

    世の中わからないことだらけ。科学的根拠があると思っていても、絶対に正しいことは存在していない。

    被害を受けないように、やっかいな人とはつかずはなれずで。

    誤解して文句を言わずに自分で言えばいい話は共感。

  • 「今の日本社会には、明らかに問題がある。どんな問題があるか。私はものの考え方、見方だと思っている。そこがなんだか、変なのである」――フリーター、ニート、「自分探し」、テロとの戦い、少子化、靖国参拝、心の傷、男と女、生きがいの喪失等々、現代人の抱える様々な問題の根本が見えてくる。「バカの壁」を超える方法、考え方は自分の頭で生み出す。そのためのヒントが詰まった養老孟司の新潮新書第三弾!

  • 養老孟司のエッセイです。 若者の問題から老人のこと、憲法9条の捉え方。同感するとこるがおおかったかな。なるほどなって思うところある。かれは考えぬいてるな、彼はテレビの中で時々、難しい顔をしてる時があるけど、深くある問題を考えてるのは間違いない。

  • 「バカの壁」、「死の壁」に続く三冊目。2006年発行。

    著者は、昔ながらの自然の中での暮らしは、「仕方がない」、「水に流す」といった感覚をもたらし、何が起きてもそれを受けとめて平穏に暮らすことができるのだ、という。一方、都市化=全てを人間がコントロールしている(と思い込まされている)世界では、何か起こると人のせいにするクセがついてしまい、人間関係がギスギスしてくるのだという。

    確かに、このところ災害が頻発しているので、自然に対して畏怖の念を持ち続けるとこの大切さを実感する。

  • 読みやすく、私は好きである。
    自分に合う仕事などない。これにつきる。行き着いた先で全力を尽くすと、その先が開けることは同感である。
    偉そうに「自分に合う仕事がない」だの言わず働けということである。

  • 男女の違いの話はなるほどな、と思った。

  • ・6/12 読了.さすがに言われればその通りという話が多かった.様々な知識に裏打ちされた判断による話なだけに、ごもっともで頷ける.どうすればまともに考えられるかがわかるような気がする.さすが養老先生だと思うけど、ベースの知識そのものが間違っていたとしたら判断も狂うよなとちょっと思った.そんなことすら養老先生にはとっくにお見通しだと思うけど.

  • かっこいい・・・。
    言葉の意味そのままに、かっこいいよ・・・。

  • バカの壁と買い間違えて読んだ。
    養老さんの本を読むのは初めてで、講演とかの何かにお世話になった、というわけでもない。

    優しい言葉でガツンと殴られるような感じ。ハッとして頭が冴える、もやもやが吹っ飛ぶ爽快がある。

    本書の流れは12の問題の落とし処をはっきりさせるような短くシンプルな討論の問題集のようなところ。凄く読みやすい。

    職業のことから、教育のこと、政治・人間社会のこと。
    読んで良かった

  • なんだかんだといっても「バカの壁」には影響を受けている。養老さんは人間の特性イコール脳の特性と考えているようだ。もちろん我々には「身体的」な部分もあるし「自然」の部分もあるわけだが、我々が論議をする場合はその対象はほとんど「人間的」な部分だ。意識化というのはどうも人間の脳の特性であるようだ。

    超バカの壁ではそういう考えを捕捉するものがあるかも知れないと思って買って読んだ。内容は軽量なのですぐに読み終わる。しかし私に取っていくつかの示唆が「超バカの壁」にも含まれていた。中でも「人間、自分の前の穴を埋めていればなんとかなる」という表現にはなんだかホッとさせられた。「穴を埋める」というどこか間抜けな表現がまたいい。(養老さんは思想界の「(ビート)タケシ」だ。)そこには「あんたら、そんなに世の中全部ひとりで背負ってる気になってるが、それは脳が暴走してるだけでしょ」というたしなめも含まれている。

    養老さんは少子化の現象を、本来「自然」であるはずの子供を「都市化」してしまったからだと言う。本来の子供の価値が下がったという。とにかく今人々は「自然」に目を向けなくなってきている。これが養老さんの大警句だ。

    何の脈絡でだか忘れたが、この本のなかで韓国と北朝鮮はいっしょになればいいといっている。私も同感だ。二つ混ざれ合えばちょうどいい一つの国になるように思う。

  • 「バカの壁」も読まずに初めて氏の講演を聴いた時にはその言いたいことを言いすぎるほどの直球に椅子から飛び上がりそうなほどでしたが、あれから毎年、1度くらい聴き、慣れてしまったのでこの毒舌は全然マイルド。
    センセイ、命、狙われませんか?というほどだけど身体だけは大事にしてほしい。いや、先生は「人は何で死ぬかわかんないんでしょ?」と言ってるからいいのかな。
    隠居についても書かれていたが、氏こそ隠居できないじゃ~ありませんか?

    このサイズの本(新書)を読むともやもやが増幅することの方が多いけど、氏の主張はほぼ100%賛同してしまう。これって危ない(笑)?洗脳されてるんで?私の目の前にあるバカな壁を見つけてまだまだぶつかっていこう。

    仕事への姿勢として、東大でも助教授でも雑用をちゃんとこなし、何かをするときには覚悟するっていうのが、やっぱり世の中で突出する人は嫌なことをちゃんと責任を持ってしているんだな、と納得させられる。
    「これは俺の仕事だ」とは感動。

    理数系は言葉が下手だと固定観念だからこの言葉への造詣深さがまたスゴイ。

  • 大ベストセラーエッセイの「バカの壁」の第2弾。東京大学医学部出身の医師である著者は、一見ひねくれた偏屈オヤジだが、言っていることは案外やわらかい。
    彼の主張は一貫していて、物事を一元的に見たり判断すると損をするよ、ということ。違う角度から、もしくはファジー(死語)にとらえることによって、様々なストレスを回避することができる。また、都市化が諸悪の根源である。
    たとえば、ニートを非難する声があるが、ニートになれるのはごく一部の特権階級であり、進んで落ちこぼれてくれているのだから感謝すべきである、など。目からうろことまでは言わないが、なるほどね、と思わせる議論がある。
    とても平易な文章で書かれているので、読みやすい。

  • 少子化問題、テロ問題など、様々なテーマについて、養老先生の考え方が紹介されている本。
    基本的には『バカの壁』と同じ主張です。

  • 「バカの壁」に引き続き読了。前作で書かれていた内容に関して、現代の日本に内在する諸問題をテーマに、養老氏の独白を文章にした体でまとめられている。子どもの存在に重きを置かない社会である以上、いくら種々の政策を講じたところで、少子化の諸問題が解決されることはないという主張は、その通りだと思う。現代人が抱える諸問題が「都市化」に起因するという考えも都市に住む自分としては、同意できる点が多かった。

  • バカの壁に続いて読了。
    バカの壁と比べると、具体例が多く様々な事例をもとにものの考え方について主張が展開される。

    養老さんの主張としてよく出てくるのが一元論的な考え方への批判であり、「ああすればこうなる」式が広まることへの警鐘と受け取った。
    日本が都市化することで、かつての日本の多神教的な、自然的な考え方から、一神教的、一元論的な考え方に変化して来ていることで、様々な問題が生じているという主張であり、納得出来る部分が多かった。
    一方で本の中での主張の構築は、自身の経験をもとに「ああすればこうなる」式の論の組み立てが多く見られ、少し矛盾を感じた。(主張を組み立てる以上、この点はある程度仕方ないと思われるが…)
    また、仕事観については道に空いた穴、社会の穴を埋めることが仕事であり、引き受けた以上本気でやることで見つかることがある。自分に向いている穴が空いていると思うこと自体馬鹿げている、という内容であり、非常に共感した。

  • 壁が見えると自由になる、そう思える本です。

  • 本書の購入は2008年。一度読んだ形跡があるが、あまり覚えていなかったため再読した。
    「バカの壁」とは「自意識の壁」、「主観の壁」、「思い込みの壁」ということであろう。現代文明は意識を肥大化させた。ゆえに、現代人は自意識が過剰だ。本書もそれを指摘している。
    本書の「まえがき」が冴えている。
    「相談をするときに、具体的な答えを期待する人がある。それはおかしい。自分のことは自分で決めるので、相談とは、根本的には『考え方』についての疑問である。他人に伝えることができるのは『考え方』だけである。」
    「現代人はその『違い』を『些細な違い』だとみなしてしまう。そこから現代の不幸が始まるのである。それが仮に『些細な違い』なのだとしたら、『大きな違い』はどこから始まるのか。人生とはそうした『些細な』体験の繰り返しである。歳をとれば、その『些細』が積もり積もったものになる。」
    養老孟司を絶対視する必要もない。本書でも一元論を否定している。相対化した方が物事が立体的に見えてくる。例えば日本と中国の関係について。あるいは、日本と韓国の関係について。
    具体的なテーマを示しながら本書は相対化の大切さを述べている。

  • 前のバカの壁のほうが好き。
    とはいえ、読んでよかった。

  • 男性は両極で、女性は安定、というのを染色体から説明しているのは面白いと感じた。

  • 安定

  •  行きつけの図書館2軒いずれも『バカの壁』が見つからないのでこちらを読む。
     タイトルは過激だが内容は文明時評である。たいていの問題に答えを出す養老先生が「わからないことはわからない」とし、その「わからない」ことも一つの気づきだと教えてくれたように思う。

  • 仕事の考え方はうんそうだなって共感した

  • 仕事とは...世の中が必要なことをしてあげることだそうだ。好きなことを仕事にするのは本来なかなか成り立たないことなんですね!

  • 仕事への向き合い方を考えさせられた。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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