特捜部Q ―キジ殺し― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 エ 7-2)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151794520

感想・レビュー・書評

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  • 「ユッシ・エーズラ・オールスン」の長篇ミステリー作品『特捜部Q ―キジ殺し― (原題:Fasandraberne)』を読みました。

    「ユッシ・エーズラ・オールスン」の作品は、今年の2月に読んだ「特捜部Q」シリーズの第1作『特捜部Q ―檻の中の女―』以来ですね。

    -----story-------------
    【人気シリーズ第2弾、文庫化! 解説:恩田陸】
    いったいこの書類はどこから送られてきたんだ?
    いつのまにか特捜部Qのデスクに置かれていた20年も前の事件の書類。
    18歳と17歳の兄妹が惨殺された事件だが、その後犯人は自首して服役中。
    つまり未解決ではない。
    なのになぜ未解決事件を調査する特捜部Qに?
    興味を抱いた「カール」と「アサド」、それに新メンバーの「ローセ」は再調査に取り組むが、当時の容疑者たちはいまや有力者になっていた。
    度重なる妨害に耐えながらも事件のカギを握る女を追うが…
    -----------------------

    ここのところ、スウェーデン作家の作品が続いていましたが、久しぶりにデンマーク作家の作品… 北欧ミステリが続いています。

    未解決の重大事件を専門に扱うコペンハーゲン警察「特捜部Q」シリーズの第2作、、、

    前作が面白かったので期待して読んだのですが、本作品は期待を超える面白さ… 「特捜部Q」に新たな仲間(助手)「ローセ・クヌスン」が加わり、面白さがパワーアップ!600ページを超えるボリュームでしたが、テンポが良くて愉しく読めたので、長いなんて感じなかったですね。

    責任者の「カール・マーク警部補」(正規な警察官は彼だけ)、助手の「ハーフェズ・エル・アサド」と「ローセ」の三人が、強烈な個性を活かしつつ、協力して過去の未解決事件を解決に導く展開が愉しめました… 署内で厄介者の三人、ちょっとヘンで職場にうまく適応できない「アサド」と「ローセ」が意外な活躍を見せるところがイイんですよね、、、

    虐待や暴力、惨殺のシーンは目を覆うほどの残忍さなのですが、物語全体に醸し出されるコミカルな雰囲気… 現実離れした雰囲気が、それを中和して和らげている感じがします。


    前作で「ミレーデ・ルンゴー」事件を解決し、一躍知名度をあげた「特捜部Q」が、今回扱うのは何故か事件ファイルに紛れ込んでいた20年前に無残に殺害された10代の兄妹の事件… でも、この事件は、既に犯人「ビャーネ・トゥーヤスン」が自首しており解決済みの事件のはず、、、

    「特捜部Q」が扱う未解決事件のファイルに何で解決済みの事件のファイルが紛れ込んでいたのか… 「カール」たちは資料を調べるだけでなく、当時の関係者を訪ねたり、現場となった廃屋に出向いて調査を進めるうちに、兄妹の殺人が一人ではなく複数人による犯罪であったことや、その犯人と思われる人物たちがエリート階級の子弟で、現在は、それぞれ事業で成功し、親から譲られた以上の名声を得て、社会の上層部に大きな影響力を持つような存在になっている事が判明。

    しかし、さらに事件捜査を進めようとしたところ、上層部から捜査を取りやめるように圧力がかかる… 「カール」は、ノルウェーから視察団が「特捜部Q」を訪ねてきた際に機転を利かせ、この事件に取り組んでいることを公にして、既成事実を作り、後に引けない状況を作り出す、、、

    当時の事件に関わったメンバで現在も付き合いが続いている「ディトリウ・プラム」、「トーステン・フローリン」、「ウルレク・デュブル・イェンスン」を追う「カール」と「アサド」… そして、当時の事件に関わったメンバだが、仲間に犯されて妊娠し、その後、仲間に暴行を受け流産した恨みから、ホームレスとなり身を隠し、仲間を狙っている「キアステン・マリーイ・ラスン(キミー)」の、それぞれの視点から物語が展開し、終盤で世界規模で集めた猛獣や鳥などを放して狩りを行う「ウルレク」の屋敷に集結し、クライマックスを迎えます。

    本昨も、前作に続き終盤はドキドキハラハラが続き、テンポの良い展開で一気読みになりましたね… 「カール」と「アサド」は危機一髪の状況でしたが、「ディトリウ」、「トーステン」、「ウルレク」への復讐を実行した「キミー」に助けられた感じですね、、、

    まさか、冒頭のシーンで追手から逃げていた人物が「カール」だったとは… 衝撃でしたね。

    エンディングは切ないけど、過去の「キミー」の悪事のことを考えると妥当な結末かな。


    やはり、このシリーズの魅力のひとつは、個性的な脇役たちですねぇ、、、

    新たに「ローセ」が加わりパワーアップした感じです… 早く次作以降も読みたいな。





    以下、主な登場人物です。

    「カール・マーク」
     コペンハーゲン警察殺人捜査課警部補。特捜部Qの責任者

    「ハーフェズ・エル・アサド」
     カールのアシスタント

    「ヴィガ」
     カールの妻
     
    「イェスパ」
     カールの義理の息子

    「モーデン・ホラン」
     カールの同居人

    「ローセ・クヌスン」
     カールの新人アシスタント

    「ハーディ・ヘニングスン」
     カールの元部下

    「アンカー・ホイア」
     カールの元部下

    「マークス・ヤコプスン」
     コペンハーゲン警察殺人捜査課課長

    「ラース・ビャアン」
     コペンハーゲン警察殺人捜査課副課長

    「モーナ・イプスン」
     心理学者

    「ヨハン・ヤコブスン」
     カールの同僚

    「キアステン・マリーイ・ラスン(キミー)」
     ホームレスの女性。寄宿学校の元生徒

    「ディトリウ・プラム」
     病院経営者。寄宿学校の元生徒

    「トーステン・フローリン」
     人気ファッション・デザイナー。寄宿学校の元生徒

    「ウルレク・デュブル・イェンスン」
     株取引会社の経営者。寄宿学校の元生徒

    「クレスチャン・ヴォルフ」
     船舶会社の元経営者。寄宿学校の元生徒

    「ビャーネ・トゥーヤスン」
     「ラアヴィー殺人事件」犯人。服役中。寄宿学校の元生徒

    「フィン・オールベク」
     私立探偵

    「ティーネ・カールスン」
     麻薬中毒者。キミーの友人

    「カサンドラ・ラスン」
     キミーの継母

    「コーオ・ブルーノ」
     寄宿学校の元生徒。キミーの元ボーイフレンド

    「カイル・バセット」
     寄宿学校の元生徒

    「クラウス・イェスベン」
     寄宿学校の元教師

  • 映画とここまで違うとは知らなかった。
    しかし、映画よりもはるかに悪質で複雑で
    大した読書経験になった。
    この話を映画は、なぜあんなに安直な恋愛で終わらせたのか疑問に思えるほどだ。
    キミーの抱えた本物の闇は誰にも救えなかった。
    北欧ミステリーの凄みを感じた

  • シリーズ第2弾。
    快楽のためだけに他者を傷つけ、
    命をも奪ってしまう邪悪な者たち。
    しかも彼らには
    社会的地位と財力があるからより一層タチが悪い。
    でもそれだけに社会の敵としては申し分ないわけで、
    冒頭から彼らの悪行三昧が語られます。
    スピード感のある展開で、
    最後まで緩むところがありませんでした。
    エンターテイメント小説だとわかって読むから
    とても面白かったけど、
    でもこういう人たちとは、
    絶対に関わりたくないものです。




    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 残酷すぎる。
    特捜部のカールやアサド、ローセの軽妙なやりとり、そして活躍に救われるけど、それにしても悪魔のようなキミーも、不幸な生い立ちに少し可哀想と思ってしまった。最後が酷すぎる。

  • コペンハーゲン警察が舞台のミステリー。20年前の殺人事件を再捜査することになったカールとアサド。経済界のエリートたちと、仲間だった女にたどり着く。残酷な展開ではあるが、ストーリーに引き込まれる。ローセ登場の回。

  • ローセ登場
    嫌々受け入れたけど、絶対必要だからね
    これでQの体制が整った

    本より先に映画見ていて・・・
    読んだ後再度見てしまった

    やっぱり本だわ!!!

  • 特捜部に新しいメンバーの女性が入り、コンビからトリオに変わったチームで国の大物達のはんざいに挑む。途中で妨害に合うもより闘志を燃やすカール。そしてかつて大物達の仲間だった女性。3つの視点で事件で物語が進む。
    事件は最後は後味悪く終わるが、それを受けてカールは
    ある決断する。最後は元嫁が全て持っていった

  • 順を考えないで読んでいるが、2作目ですでにきつい衝撃。前作スポットライトで出ていた「癒し系❓ローセ」が採用され、驚くまでに活躍している。カールとアサド、2人の刑事のコンビ感・・浅田は辟易しつつもカールをサポートしているものの、カールの場当たり・衝動的破滅キャラでお互い 絶体絶命的危機に会わせられる⇒読み手を引っ張る狙いか?!

    ギミーの破壊性もそう。。小説とは言え、こういった人格っているのかと思いつつ、全く共感感ぜずに筋を追うが吐き気すら。
    警察の上層部・・課長らの無能というか放置ぶりに呆れると言うよりこれが小説だと思うほどに閉塞孤独なカール達。デンマークの警察ってなんだ!

    人類の歴史からすると日本よりはるかに文明が早く進んで行った欧州‥そこは金の文明哲学・も成熟しているからだろうか・・こういった犯罪が萌芽して行くのは・・なんて感じた。

  • 映画のほうがよかった。

  • 映画を先に鑑賞。

    出てくる女性が皆美しい被害者に見えた映画と比べて、小説では女性登場人物が遥かにやっかいでしたたかで性格が悪い。逆にアサドは映画の方が扱いが良く、カールと対等の立場のように見える。
    映像化の際にそういう改変が入るのはどこの国も同じという事か。
    もしかしたら作者は女性と移民があまり好きではないのかもしれないと読んでて感じるレベル。

    映画を先に見たため少し違和感や不満はあるものの、それでも丁寧に描写された話が面白いことに変わりはない。
    他の小説なら端折られてるようなくどく細かい場面描写が多いので、カールや事件に感情移入せざるを得ない。
    情報を多く与えられる事によって読者も事件と捜査に巻き込まれてる感じ。
    正直長い。はよ先進んでくれと思う。でもしっかり読んでしまう。

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