- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167174057
感想・レビュー・書評
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2005年6月14日読了。私はこんな本を探していた。少年事件の話で、今までは大人から見た視線、犯人の少年から見た視線まではあったんだけど、家族側からの視線を描いた本がなくて、やっと見つけた本でした。しかし、最初はいらない。新聞社の編集部に事件が持ってこられるまでが長い!最後は猛スピード。無我夢中で読みました。特に、少年の兄が主人公ですが、この子がすごくいい。弟が犯罪を犯して警察に捕まった後でも、弟がなぜ犯罪に手を染めてしまったかを考えるんですよね。そして最後には悲しい結末が待っています…。
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「二重人格にならないと中学生やってられない」のような台詞が妙に刺さった。本音でいきることは難しいけど、自分を晒せる誰かがいたり、理解が得られる環境があるならば、こんなに窮屈に生きる必要はなくなるかも?わかんないけど。
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滅多に遭遇しないテーマの話だけど,周りの人間もこんなに滅多にいない人が集まるものかなと途中から話に入り込めなくなってしまう.
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『うつくしい子ども』でした。
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いくつか不満が残ります。
担任の先生の名前が、最初だけ遠藤先生と書かれていて、その後ずっと美佐子先生になっているので複数担任制だと思いながら読んでしまった憤りはさておき。(でも、ミステリーなんだからさ、表記の問題は大事なのよ。)
細かな不満は置いておいて2つだけ。
山崎は、最後の事件を結局握りつぶしてしまったわけで、報道しない自由というのがマスコミにあるのだとしても、ではいったい山崎は何を報道したくてマスコミ業界にいるのか?
中学生には中学生の理屈がある。それはわかる。
でも、大人が同じ土俵にのってしまうのはどうか?
私は少年犯罪に限らず実名報道の必要性には疑問を持っているけれど、真実を報道する義務はあると思うんだよね。
誰が起こした事件かという個人の問題に収れんしない、大局的な視点でどういう事件があったかの報道はしてほしい。
記者個人の判断で揉み消すにはあまりに重大な事件だったではないか。
中学生の理屈に乗っかって事件をもみ消すのではなくて、大人の理屈を話すべきだったのではないかと思う。
もみ消すことによって傷を負わずに済む人は確かにいるけれど、でも、事実を知る権利を奪われる形になった被害者遺族は?加害者家族は?
どうするのが最善の方法なのかは、今はまだ私も整理できていないけど、実名報道の被害者が可哀そうと思うのと、報道自体の是非は混同しない方がいいと思う。
報道方法について考慮する必要があるにしても。
もう1つ。
事件の幕の引き方。
こんなにこんなに大きな闇をかかえてしまったのに、結局そのことについて親子が正面から話し合うことなく、一方的に終わってしまったこと。
これは犯人の心の救済にはならないだろう。
闇をかかえたまま、終わらされてしまった心。
加害者でもあり被害者でもある、その心。
突然放り出されて終わってしまった。
それでも、一気に読みました。
止められませんでした。
子どもを持つ親として、読んでいてつらい部分もありましたし、自分だったらどうするのだろうと思い悩むところもありました。
でも、〈ぼく〉のことを心から大切に思い、支えてくれる友達がいて、〈ぼく〉が大きく成長したこと。
〈ぼく〉の両親が、意外とたくましく生きて行ける誠実な人たちであったこと。
〈ぼく〉の弟が人として心の成長を遂げるには、これからたくさんの時間が必要だということがきちんと書かれていること。
など、読んでいて安心できるところもありました。
ものすごく重たい内容だったので、まだこれからいろいろ考える余地があります。
けれど、読んでよかった本。損はありません。 -
【本の内容】
緑豊かなニュータウンを騒然とさせた九歳の少女の殺人事件。
犯人として補導されたのは、ぼくの十三歳の弟だった!
崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校…。
殺人者のこころの深部と真実を求めて、十四歳の兄は調査を始める。
少年の孤独な闘いと成長を痛ましくもみずみずしく描く、感動のミステリー。
[ 目次 ]
[ POP ]
弟が人を殺した。
主人公はそれを自分で認め、弟を理解するために事件の真相を探る。
さわやかな風はソワソワと話の中ではどこでも吹くのに、設定が設定だけにただではすまされない、大きなしこりがズンと心の底に残る。
幼い頃から知っている、自分ひとりだけの大好きな場所。
うっそうとした森にひっそりとした巨木が空を目指す、誰も知らない静かで木洩れ日の輝く場所。
神聖な地。
底に投射された、醜く歪んだヘドロみたいな、成長の澱。
全てはここから始まる…。
いろんな意味でおもしろい印象深い作品だった。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
最初から犯人が分かっているという風変わりなミステリー。妹の友人を殺害するという残忍な犯行に及んでしまったミキオ。その理由を探るため、兄が動き出す――
進学校を舞台に、リアルな描写で綴られた新感覚のミステリー。思春期らしい清々しさも感じられる作品。 -
気になって徹夜で読みきってしまった
すごい惹き付けられる本でした
徹夜とゆうか、あとがきとか読んでそこからサカキバラ事件調べだしてこわくて寝れなくなった -
中盤から後半の展開はすごくよかった。
それだけに最後がそれでいいのかと少し感じました。
とにかく、成長を続け主人公がいい。
そして、それぞれ秘密を抱えながら協力しあう同級生もまたいい。 -
重いテーマなんだけどさくさく読めた。
ひとりの少年の成長と、自分の力の及ばないことに立ち向かう強さ。
石田衣良、こういう作風が好きだなぁ。 -
最初微妙かと思ったけどめっちゃ面白い
お兄ちゃんあたまよすぎる -
ドブにゴミを捨てるような正義。犯罪者の人権について考えさせられた。
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もう読まないけど衝撃だった
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13歳の犯罪者を持つ兄を中心とした物語。
主人公ジャガは美形でも秀才でもないが、優しい心を持ち、友達にも恵まれ、賢い人物だと感じた。
加害者と被害者。もちろん悪いのは絶対に加害者であるが、両者のにはほんの少しの違いしかないのかもしれない。どちらも同じ人間なのだ。
夜の王子の最後は納得いかない気持ちもあるが、結末としてはきちんと纏められている。 -
1997年に起きたあの神戸の児童連続殺傷事件を彷彿とさせるニュータウンでの大事件、それをベースとして加害者の兄がどのように成長して行ったかを丁寧に描いた佳作だと思います。
綺麗事かもしれないけど、最後はちゃんと一つの結末が用意されていて安心して読めます。 -
13歳の弟カズシが殺人事件を起こした・・・
主人公はカズシの兄 ニックネームはジャガ。
ジャガの由来は もちろんニキビ面。
ジャガは母親いわく「うつくしい子ども」のカズシとカズシが殺した少女と同学年の妹と父親の平凡な5人家族。
弟の殺人により、両親の離婚、学校でのいじめ、マスコミの過剰反応。
事件の当事者よりもまわりの人間が一番、過酷な状況に追い込まれる。状況描写や心理がわかりやすく読みやすいです。
弟がなぜ殺人に至ったのか・・謎を調べるジャガ。ジャガは物語が進むにつれ、真の友情、世間の厳しさをどんどん吸収し、ラストはかなり成長。友達の存在っていうのは 最大の勇気・生きる喜びになるんだなぁ・・
「うつくしい子ども」っていうのは決して 外見だけではない。ジャガは見た目が悪いが 美しい。 -
初めて読んだ石田衣良の作品。
これきっかけで他も読んでみたいと思った。 -
殺人犯として逮捕された弟の兄が、弟と事件の詳細に迫るお話。作中に登場する男の子の創作小説『夜の王子』が印象的。ガラスで出来た星に住む王子さまがどんな子供か、最初に気付けたのはジャガだった。
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再読。
文庫本で出てすぐ買って読んだんだけど、内容をかなり忘れていた。
こんなに衝撃的な話だったのに…。
主人公のミキオの心がうつくしく、途中何度か泣いてしまった。
私には無理だ。彼はとても強い。
仲間もいて、相談できる大人もいて、だから悲惨な話なのだけどそれが救いで、読んでいて辛いけど落ち着いて読めました。
最後の事件解決法は、賛否両論なんだろうな。
後味がいいものではないし、完全には納得できないところもあるけれど、でも、もう一度読んで良かったです。 -
こうしたむごい女児殺人事件は、書き方が何通りもある。石田衣良作品として読むことができて、よかった。
加害者の兄と友達の心のあゆみが入ること、それを受け入れるさまざまな大人がいることで、希望が持てる内容になっている。最後ももちろん、裏切らない。 -
挫折
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石田衣良作品で、初めて手に取った作品。
タイトルに惹かれて購入したのですが、なぜ『うつくしい子ども』なのだろう…?と思っています。
ストーリーは、未成年犯罪者の家族に焦点があたっているので何とも言えない読後感なのですが、薄暗いだけではない印象です。
忘れた頃に、また読み返してみたいと思っています。 -
石田衣良の恋愛小説は好みじゃないけど、これの最後の最後は凄いと思った。ぞわっとした。事件自体は終わったように見えても、まだ始まったばかりなんだなって。一方で人間て結局変わらないんだなとも思った。
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平和な町で起こった猟奇殺人、補導されたのは弟だった―。
弟はどうしてこんな事件を起こしたのか...少年は報道に囚われず独自の目線で弟を理解しようとする。
石田衣良の作品の中では少し重めの作品かもしれない。
初めて読んだのは多分10年くらい前、神戸児童殺傷事件の衝撃を思い出して心が痛かった。
加害者の兄で「うつくしくない」子どもの、真っ直ぐでかしこくて強い「うつくしさ」に心を掴まれた。 -
最後の署長の自殺の終わり方がちょっと納得いかなかったけど、それ以外はすごく読んでいてざわざわする話。
どんなにいい子をやっていても、人に言えない秘密はある。
誰かに影響されて生きている。
愛することは支配することって言うけれど、あながち間違いじゃないよね。
私も、子育ては洗脳だって思ってるし。
ただ、兄ができすぎていて、大人すぎて、その分辛かった。 -
どんどん惹きこまれてったいった。夜の王子様。でも人って気づかないうちに誰かに操られてるものなんじゃないかなって思う。決められたレールを歩くのはすごく楽で、誰もが自分自身に不安を持ってるから強い人に惹き込まれてしまう。
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児童殺人を犯した弟の動機を探る14歳の兄の成長物語。ミステリーとしても面白いがいろんな事を考えさせられる良作だった。弟の施設での発言はぞっとする。加害者サイドを描いた作品の中では著者の描くラストは優しすぎるくらい。