うつくしい子ども (文春文庫 い 47-2)

著者 :
  • 文藝春秋
3.46
  • (415)
  • (781)
  • (1691)
  • (149)
  • (31)
本棚登録 : 6162
感想 : 744
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174057

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主人公の弟が殺人者となる少年犯罪のお話。共に中学生。
    こういった話は現実でも架空でも、怒りや悲しみといった感情がぐるぐると渦巻き、複雑で、読み進むにつれて苦しくなります。
    途中、読むのが辛いと思った時もありましたが、文体は読みやすいのでサクサク読めます。

  • 神戸の猟奇殺人事件に対するアンサー的な作品。
    4TEENとか池袋ウエストゲートパークはぶっちゃけつまんなかったけど、
    (池袋~のドラマ版は普通に好きですけどね)これを書いた石田衣良は普通に推せる。
    序盤には特筆すべき様なエピソードは無いけど、ラストのまとめ方が秀逸。
    これこそ映像化して欲しいけど絶対無理だよね。

  • ミステリー小説の嫌いな所は寝不足になる所。今回も読み切るまで眠れず。殺人犯の兄が弟について調べていくうちに、真相が見えてくる。最初はよくありがちな、加害者の家族のどうすることもできない虚しさの話かと思ったけど、そうでもなく、中学生が大人よりも人間らしく事件に向き合っていて、深く考えさせられる。

  • 石田衣良の作品、続けて手に取ってみました。
    裏表紙に犯人は弟と書いてあった、その弟の心に、気持ちに寄りそおうとするストーリー。

  • ミステリと言うには、犯人は最初から分かってるし...
    と思うと、実は「陰の犯人」が別にいたりして。
    なのでミステリと思って読めはするのですが、
    それよりも主人公の心の葛藤に主眼を置いている印象。

    ...と思うと、ちょっとサイコホラーっぽかったりも(^ ^;
    後半、ちょっとゾクゾクしながら読んだ(^ ^;

    ただ「事件の解決」が、やや強引すぎるか?
    もの凄いテンポで話が進んでいくが、
    よくよく見るとツッコミ所満載な気が(^ ^;

    ...と思うと、最後の最後がまたちょっと
    「ゾクッとする怖さ」を感じさせたり...(^ ^;
    一粒で三度も四度もおいしい感じ(^ ^;

  • 初めて読んだ石田由良さんの本。
    中学校?の夏休みの読書感想か何かで読みました。
    あまり覚えていないのですが、あまり主人公一家に感情移入できなかった。確かに可哀想ではあったけど、少し違う世界のお話だな~と何となく一歩ひいて読んでた気がする。
    結婚したらもう一回読みたいです。

  • 引き込まれた

    もうずいぶん経つが
    ニュータウンで起きた少年による殺人事件を題材にしたもの

    弟が殺人をおかす

    その後の周りの変化や
    その理由を解き明かそうとする
    主人公の果敢なものがたり

    最終的にはノンフィクション的ではなくフィクション的なカタルシスにおわる

    最近 ビブリオバトル 大学の教育 子供が小学校に入ったことなどを通じて

    教育現場の閉鎖性に由来する問題に遭遇する

    教育現場の持つ特有の難しさはいろいろある

    最近子供が小学校で何を経験しているのか、これほどまでに親は知らなかったのかと逆の立場になって驚いたりもしている

    フィクションを通じてすこしだけあるかもしれない世界に触れた気がする

  • 中盤までは何故新聞記者とのスイッチングが必要なのか、よくわからなかったけれど、なるほど、最終的な収束へ向けて必要だったし、あるいは事件のふくらみ(報道被害や倫理に対する発信側の葛藤)を持たせるためにも必要だったと感じた。
    神戸の事件をモチーフにしながらも、重点はもっと外にあって、それは少年の成長物語でもあるし、友人との熱い友情の物語でもある。何より「罪を犯した人間を人間として受け止め続ける」という大きなテーマが印象的だった。
    石田衣良の人間への暖かい眼差し。IWGPシリーズも読まなくちゃ。

  • 東野圭吾の手紙のような作品。
    けど、それよりも、人の心の闇にフォーカスを当てている点で、異なっていると思う。あんなに凍てついた、心の闇は、誰にでもあるのだろうか。

  • 少年犯罪ものなので、残酷性や特異性も含まれるが、主人公をはじめとする3人組や新聞記者の人間性に救いがあり、好感が持てる。善悪のはっきりした作品。

  • 痛ましい事件を描いている割には、語り口が軽い。
    とはいっても、内容は悲惨だし、深刻。

    神戸の酒鬼薔薇事件や和歌山毒カレー事件を彷彿とさせる、田舎のニュータウンで起こった少女殺し事件。
    犯人としてつかまった少年は、弟だった…
    何ゆえ弟は少女を殺さねばならなかったのか、”ぼく”は真相究明に乗り出した。

    実際の事件なら、こうはいかないだろう。
    主人公の行動にリアリティを見出せないが、瑞々しく感情豊かな少年を描かせたらピカ一だな。

    残された家族達の心がひとつになっていること、支えあう親友との気持ちがちゃんと繋がっているので、そこがせめてもの救いだった。

  • 以前に書いたレビュー間違えて消してしまった。中学生って独特な生命体だなーとか書いた気がする。

  • 職場の先輩に借りて読んだ本。はじめて石田衣良さんに触れた時期です。
    衝撃でした。手元にはないんですが、購入したい一冊。

  • 植物の好きな中学生2年生のジャガ。弟が少女を猟奇的に殺したことによって家族が崩壊し、学校生活が嵐に巻き込まれる。そして、弟が殺人を犯した理由を探す中で、真実が明らかになる。ジャガにはるきと長沢くんという真の友人がいて本当に良かった。殺人犯になってしまった弟は可愛そうだけど、人を殺してしまったという事実は変えられない。少年犯罪と家庭、学校、社会を考えさせる一冊。

  • 石田衣良『うつくしい子ども』読了。ニュータウンで起こった児童殺害事件。犯人は「ぼく」の中学生の弟だった。なぜ弟が事件を起こしたのか真相を調べる「ぼく」は弟とある人物の接点に気付く。加害者家族がこうむるであろう苦しみにもがきつつもそれを乗り越えていく主人公と仲間の真摯さに救われる。

  • 弟が9歳の少女の殺人犯として逮捕された、14歳の少年。「なぜ弟があんなことをやったのか。」を知るために、調査を始めた少年の成長とその周囲を描くミステリー。
    解説によると1997年に神戸で起きた酒鬼薔薇事件を別の観点から捉えようという意識を持って執筆された作品とのこと。

    題材も重く、作者のマスコミや社会に対する問題提起が多く見えるが、主人公とその友人たちの強さと潔さを描くことにより、どことなく清涼感を感じる終わりであるあたり、読み物として絶妙のバランスと感じた。
    社会全体が人と同じであることに価値を見出しすぎていると、日頃自分が感じていることをふと思い出した。

  • 私たちは正しさを、刷り込まされるのだろう。形ないものを形づくるために。

  • タイトルとは裏腹に?衝撃的な作品。中学生の犯罪を核に持ってくる作品は多いと思うけど、この作品では、小学生殺しをした中学1年生カズシの1つ上の兄ミキオが、なぜ弟がそのような犯罪に走ってしまったのかを、陰湿ないじめや、学校側の自己保身の体制、マスコミの過剰な反応の中で、追求していくという攻め方で描いている。
     ミキオが植物観察が好きだというバックボーンが効いているし、とにかく、石田さんの描く中学生は芯が強くて、世の中の不合理を知っているという点で、すくわれる部分が多いと思う。3人の中学生が自分自身の裏の部分とも向き合いながら犯罪者となってしまった弟カズシの想いを探る。結末は、決して後味のよいものではない、問題提起された形であるかもしれないが、解説にもあるように、「程よいスピード感」で読め、とてもよかった。

  • 読み終わって、最初に頭に浮かんだのは、

    少々きれいごとすぎるかも…
    という思いだった。



    少年 幹生は、中学2年生。
    ある日、殺人事件の加害者の兄となる。


    本作は、その彼、幹生の視点(僕という一人称)と
    殺人事件を追う新聞記者 山崎側からの視点
    の2点から描かれている。


    加害者少年を生み出した家族としての責任
    という免罪符を振りかざし、苛烈していく報道という嵐に
    加害者家族はなぎ倒され、崩れていく。


    それでも、
    逃げてもしょうがない。弟なんだ。

    と、加害者となった弟がなぜ事件を起こしたのか
    について調べようとする兄 幹生。


    ぶつけられる悪意を受け入れ、
    彼の弟を受け入れ、
    彼の未来に待つハンデを受け入れ、、、、

    事件を通し、
    彼が急激に大人となっていく姿が、
    痛々しく悲しい。



    本作を読んで、最初に頭に浮かんだのが

    少々きれいごとすぎるかも…
    という思いだったと先に書いたが、

    それは、幹生の物分かりの良さ
    ともいうべきものだったように思う。


    命を失うことなく、改心の余地を残してもらった
    という前向きな思いからだったのだろうか。
    いや、すべてを受け入れた彼にとって、
    当たり前の心の動きだったのだろうか。

    どちらにしても、どちらでもないにしても、
    彼を待ち受ける未来を憂えたゆえに感じた思いだったようだ。



    本作は、重苦しい内容一辺倒になりがちな
    題材であるにも関わらず、非常に読みやすく、
    サラリとした軽い印象を与えてくれる作品である。

    ラストも、諦めない幹生の姿に希望がもて、
    後味の悪さはない。


    つまり、反対に
    重厚感や厚み、リアリティの追及…
    といった要素は、本作にはあまりない。

    そういったものを求める方には、オススメできないが、
    重苦しさを嫌う方には、もってこいの作品だろう。


    また、報道被害の受け手側の状況を知る
    手掛かりやきっかけとして、
    本作を活用するのもアリなのではないかとも思う。

    そういった意味で、小中学生に本作を読んでもらいたい。

  • ラストがどうもしっくり来なかった。
    初めて彼の作品を読んだけどサクサク読めて面白かった。

  • きっかけはジャケ買い。
    でも
    今となっては私が本を好きになる

    きっかけ

    になった一冊だと思う。
    残酷で苦しい子供たち。

  • 石田衣良の初期の頃の作品

    題材は有名な神戸で起きた事件らしい

    彼らしい一人称と三人称がうまい感じで噛み合っている

    著者の作品を多く読んでいるので、今と比べると文章やかみ合わせにちょっと違和感を感じるが、良い作品だとお思う

  • 子供って残酷だ。純粋な子供は導く人によって何色にでも染まる。
    怖くて考えさせられて、それでも「お兄ちゃん」であろうとする主人公に涙した。

  • やっぱりえぐいよ、石田衣良・・

    最初はなかなか進まなかったんだけど、2章あたりからはまっちゃいました。

    事件の展開のしかたはさすがで、
    池袋ウエストゲートパークを感じました!

  • 弟が犯した殺人事件。周りの変化に戸惑いながらその事件と向き合う。

  • 惹き付ける内容でぐんぐん読める。
    なだけに、最後の展開が残念。
    こういう結末でしか話は終わらせられなかったのかしらん。

  • 神戸の事件を題材にしているため、途中までは、以前に読んだ実際の加害者の父母の手記とほとんど変わらないと思っていましたが、途中から兄が動き始めるあたりから話にのめり込んでいきました。

  • 石田いら先生の長編処女作、らしい。
    「サカキバラセイト」(漢字わからん)事件がモチーフ。

    ぐいぐい引き込んで読ませる描写力はさすが。
    でも終盤の展開はえぇーって感じ。
    オチも…あらら。

    あの当時は衝撃的事件だったけど、
    いまや少年犯罪なんて珍しくもないもんなあ。
    物騒やのう。

  • 私の中学校には廊下に本棚があった。
    装丁が破れたり、ページが汚れてしまったり、人気がなかったりして、本来廃棄処分になる本を廊下に寄せ集めていたらしい。要するに、図書室から島流しされてきたがらくた本の寄せ集めだ。

    私はよく、そこから本のたまり場から引っ張りだして授業中読んでいたりした。ぼろぼろでくたくただから、気兼ねなく読めるし、貸し出し手続きがないのもいい。


    さてさて、本の感想にうつろう。
    ええと。読み終わって。
    「お前はこんなところにいるべきじゃないだろ!」
    私は激怒した。

    いい本だった。私は初めて石田衣良を読んだのだけど、こんなエッジのきいた文章を書く人物を見逃していたなんて、と悔しく思った。
    本当にこの本は多分装丁がなかったために島流しされてきたのだろうが、本当に本当に宝石みたいにすてきな本だった。
    石田衣良の本のなかでは一番好きだ。

  • 猟奇殺人を犯した弟(少年A)の兄の生き様。

    猟奇殺人の内容については、酒鬼薔薇聖斗事件を模しているようだ。

    単純に加害者が悪い、被害者が可哀想という視点ではなく、被害者家族の苦しみ、加害者家族の苦しみ、そして加害者の心の動きまでもが繊細に描き出されている。

    弟は何故犯罪を犯したのか?
    少年Aの兄が弟の心の闇を探すなかで、少年少女たちの大人になりきれない、不安定な心と、成長していく様を描く。

    少し残念なのはラストシーン。
    現実の事象という外部の視点よりも、心の葛藤という内部の視点を繊細に少しずつ描いてきたのに、ラストシーンだけは2時間ドラマのラストのような大ざっぱさを感じた。

    教育、いじめ、少年法、マスメディア報道等、本書が問題提起している点は多いが、本書はそのような社会風刺的小説として読むよりも、単純に少年少女たちの心の動き、弱さを感じて読むことを著者も望んでいるように感じる。

全744件中 91 - 120件を表示

著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石田衣良の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×