うつくしい子ども (文春文庫 い 47-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174057

感想・レビュー・書評

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  • 内容(「BOOK」データベースより)
    緑豊かなニュータウンを騒然とさせた九歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは、ぼくの十三歳の弟だった!崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校…。殺人者のこころの深部と真実を求めて、十四歳の兄は調査を始める。少年の孤独な闘いと成長を痛ましくもみずみずしく描く、感動のミステリー。

  • ミステリー小説にもかかわらず第1章で早くも犯人が誰なのか明かされ、その後は主に犯人の心情を理解しようと努める主人公を描く点が斬新。主人公の視点(一人称)と新聞記者の視点(三人称)が交互に描かれ、それらが徐々につながっていく。石田初の長編小説。

  • 少年犯罪がテーマのミステリー。

    13歳の主人公の弟が殺人を犯すところから話がスタートします。

    心の歪みがなぜ生まれなにを生むのか

    大人が机上で議論したところでなにもみえてこない部分を

    14歳の兄は弟を理解するために彼なりに彼のできる方法で突き止めようとします。

    皮肉にも事件を通し成長していく主人公の姿が切なかったです。

  • 推理かと思ったらそうではなかった。実はこれが石田衣良デビュー。全体を通して淡々としていたもののさくさく読み進められた。中学生ってまだ子供だけれど、色々なことを考えているんだなあ。

  • 中2の推理力
    行動力
    精神力

    すごい!

    悲惨な殺人事件がお兄ちゃんを精神的にすごく成長させる☆
    個性って大事だけれど、どれが個性でどこまでいったら異質になってしまうんだろうか。
    個性がない人間は誰かの思い通りに支配されてしまうのか。
    お兄ちゃんの弟を思う、優しさにすごく暖かい気持ちになりました[e:811]

  • 操り人形に殺されたからといって、そのその痛みや悲しみが減じるわけではない。
    操り人形の操り手の背中には、やっぱり人形と同じ操り糸がついていて、永遠に合わせ鏡のようにそれが続いているとすれば、結局、罪は、「社会」とかそういった巨大なものにしか向けることができなくなる。

    でも、操り人形の側でも、被害者側でもないこの視点は、とても、新鮮でした。

    その立場に、主人公は、否応なしに立たされてしまうのだけど、わたしたちや、マスコミからすると、どうしてもその部分は、見えなくなってしまうから。

    見えないものは、ないから見えないわけではなく、見ようとしないから、見えないのだと思った。

  •  事件が重大な割に爽やかすぎないだろうか。それが石田衣良の味なんだろうか。重そうな問題がいくつも提起されるが、なんだか爽やか~にさらりと躱されてしまう感じ。もっと人間の深淵が見たい。

  • ものすごく重い話なのに、最後はちょっと爽やかな気持ちにもなれる。兄である主人公の少年の、まっすぐで正しい強さがすばらしいなぁ。

    中学時代って、こんなにも複雑で繊細で生きづらい年頃なのかな。自分自身は何となくやり過ごして大人になったけど、自分の息子はこの時代をどうやって生きるんだろう。ちょっと心配。
    主人公の少年やその友達たちのように、たくましくまっすぐに成長してほしいなと思った。

    それと、やっぱりこの話は、神戸の事件が下敷きにあるのかな。
    少年犯罪はあれからも後を絶たないけれど、どの事件でも報道されないいろんな深いストーリーがあるんだろうなぁ。やっぱりとても重い話です。

  • 題材は重くて暗いけど、あったかい話だな~っと

  • 少年Aの兄の視点で話が展開していく。加害者の家族視点からの本は初めてだったので面白かった。
    ただ欲を言えば加害者の内面をもっと掘り下げて欲しかった。

  • 石田衣良さんの作品は正直苦手でその先入観でこの本を読むペースが格段に下がった。でも、読んでみると興味深いことをテーマにしているし加害者遺族が主人公の小説はあまりないきがするので、とてもよかった。加害者遺族が白いめをむけられているであろうことはなんとなくわかっていたが、それは本当になんとなくなんだろうな、と思った。真実を伝えなければいけない報道も、我が子を守りたい母親たちも異端者を受け入れられない子どもも確かにいる。それにこの本に書かれていることは現実のほんの一部にしか過ぎないのだろう。本を読んでいる限りでは、自分はこういう風にはならない、と思えるが実際そういう状況に立ったらどうなるかはわからない。

  • あたりまえだけど、

    同じできごと、物事でも視点を変えると
    違うも のにな ってい って

    本当のことってどう頑張ったって本人しか知り得ない。

    答え合わせしたいこといっぱいあるのに。

    できない。

    あたりまえだけど。

    本人だって分からないのかもね。
    分からないんだろうね。
    分からないかも分からないかもね。

    分かんない。

  • 題材は暗いし重いしなはずやねんけど、疲れずに読めるのは、やっぱり主人公が基本的にポジティブやからかな。

  • 弟が殺人事件を犯してしまった。兄は、なぜ弟がこのような事件を起こしてしまったのか、その背景を知るべく転校せずに学校に残り、調査してく。加害者の家族として辛い思いをしながら生活するが、その中でホントの友達に出会い、新聞記者とも関わる。そして、最後に事件の黒幕である学校一の優等生とお互いの想いをぶつけあう。

    1997年に神戸で起きたさかきばら事件をモチーフにした作品。加害者側の視点に立って書かれています。主人公の少年は強く立ち向かっていますが、なかなか現実的だとこうなるのも難しいと思います。実際には優等生との決着がついた後も、加害者の家族として何十年も過ごさなくてはいけないですし。
    マスコミの権力にも改めて考えさせられます。彼らがクロといえば、限りなくクロっぽく出来てしまいます。加害者側がどんなに辛い思いをしていても、被害者側に立ち続けるので正義を振りかざして人権もないような存在にしてしまいます。被害者側だってとても辛いから難しいですけどね。
    私達に「事件の視点の転換」を考えさせてくれる良い著書です。

  • 私は長沢君が大好きです。

  • 面白かったです。


    犯罪の被害者家族の実情やらなんやらが浮き彫りにされていて、且つミステリィみたいな。


    ワクワクしながら読めたんですが、オチはね。


    想像できてしまうとこが若干惜しい。


    でも感じるところはたくさんある。

  • まあまあ

  • ミステリーは苦手ですがスラスラ読めました。
    本当に奥が深い衣良作品。
    石田衣良作品で1、2位を争うくらい好きな作品。
    とても衝撃を受けました。

    子供には一人称が大人には三人称が使われていて書き方も面白い作品でした。

    少年犯罪の心理について考える為にも学校関係の方,大人や子供…
    全ての方に読んで貰いたい作品です。
    衣良さんの作品は必ず考えさせられます!!

  • 弟の起こした少年犯罪で、平和な家庭が崩壊していく様が生々しいですね。

    多感な年ごろの少年を巧みに操る黒い影。

    主人公と記者の視点切り替えがめまぐるしく(実際切り替えがめまぐるしくても不自然を感じない作家は沢山います)小説に集中できないまま前半が過ぎました。

  • 主人公の強さに胸を打たれた。
    少年犯罪が溢れてる今、
    胸が痛かった。

    2010.05読了

  • 子どものころもいろいろ人間関係とかあったなあ。
    中学生なんかたかが知れてるみたいな
    感じになりがちだけど、子どもは子どもで複雑な社会を生きてんだよね。
    それにしても主人公が立派過ぎる。
    大人だってこんなにしっかりしてないだろ。
    むしろ大人だからこの主人公みたいにはなれないのかもしれないけど

  • 読了。所持

  • <要旨>


    <感想>

  • すごくリアルな話でした。加害者の兄と新聞記者と、2人の視点で書かれていて1つの事件を違う立場から見ている気持ちになれます。兄の精神的な成長が話の中で救いでした。

  • 読んでて苦しかった…つらいぜこれは…

  • 悲しかった。

  • 悲惨な少年犯罪の物語なのに、重いだけじゃない何かがある。

  • 読んでいて胸がちょっと苦しくなった。
    今よりもこれからのほうが、色々なことと向き合っていかなきゃいけないみきおと家族はつらいなぁ、と。

  • 少年犯罪の加害者の兄と、新聞記者、二つの視点から書かれる
    ビジュアルが綺麗で母の自慢だった加害者が
    なぜ犯罪を犯してしまったのかを追求していく。

    加害者の家族も、ツライんです。
    もちろん被害者とその家族がツライのは前提として。
    兄の冷静さに驚くけれど
    意外と中学生くらいのほうがオトナより冷静かもしれないと思った。

  • 怖かったけど惹きつけられた。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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