猫語の教科書 (ちくま文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480034403

感想・レビュー・書評

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  • 猫による猫のための人間とのつきあい方の教科書ですね。
    実にユニークな本です。
    作者のポール・ギャリコ(1898~1976)はアメリカの作家で『ポセイドン・アドベンチャー』が代表作ですね。

    ある日玄関にタイプしたぶあつい原稿が届けられた。
    それが暗号文のようでもあり、解読に時間がかかったが、どうやら「猫語の教科書」で、猫が自分の体験をもとに後身に人間とのより良い生活を営むための教科書だった。
    という、奇想天外な本です。
    ポール・ギャリコは無類な猫好きで、猫を観察しているうちに様々な「気づき」を得たようで、ユニークかつユーモアに溢れた涙ものの猫の本です。
    とにかく、よく観ていますね。
    こうすれば、人間は、猫のわがままを受け入れてしまうという手練手管を、猫に成り済まして綴られています。
    子育てや、猫通しのつきあい方までありとあらゆる猫生活に及びます。それも理路整然と、自信をもって語られるので、実際に猫から聞いたのかと思うほどです。
    スザンヌ・サースさんの写真も効果的です。猫の魅力を良く伝えてくれます。
    訳者の灰島かりさんも、語り言葉で呼び掛けるような文章が良いですね。
    猫好きには、読み出したら、うなづきの連続だろうと思います。
    良い、猫とのつきあい方の教科書ですね。

  • 「どうすれば人間の家を乗っ取ることができるか」を猫のために猫が書いた本。

    本当に猫が書いたんじゃないかと思うほど、猫飼いさんだったら「そうそう!」と笑えることがたくさん書いてあった。
    そして『通い猫アルフィーの奇跡』でもアルフィーが同じようなことを語っていた(^o^)

    我が家も2匹の猫達に完全に乗っ取られてしまった。うちの猫達も絶対にこの本を読んでいるに違いない(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧

  • タイトルだけ見ると、飼い主さんのための本だと思うでしょう?
    ところがこれは、大人猫が子猫のために書いた本なのです。
    何しろ、我が家の子猫も読んだくらいですから。。(嘘ですよ)

    先ず前書きからして意表をついています。
    ある日著者ポール・ギャリコが、大手出版社の編集者である友人から、暗号を並べたかのような不思議な原稿を受け取ります。
    話によると、友人宅に突然届けられたものらしいのです。
    数ヶ月かかって解読したのがこの本で、どうやら猫がタイプライターで打ったものだというのです。そしてその内容はと言うと…

    驚くことに、猫の行動パターンは全て計算ずくで、いかにして人間に上手く取り入って「快適な暮らし」を手に入れるかに重点が置かれていると言うのです。
    曰く、人間の家をのっとる方法。
    どんな家が良いか、どんな表情や仕草が効果的か、何に注意をはらうべきか、
    獣医さんにかかるときはどうするかなどなど。
    そのためには人間というものを理解しなければ、とこの大人猫は語りますが、そこの描写が実に心に痛い。つまりこうなのです。
    『人間の愛情に対しては、用心深くしていなくてはなりません。
     なぜなら時として、ムチで打たれるより痛い思いをさせられることがあるからです。』

    一度飼って(この表現は好きではないけど、便宜上使います)おきながら、こちらの都合だけで突然見捨てたりする人たちが、後を絶たないというのが現実です。捨てた経験などない私でも胸が痛む箇所があちこちにあり、苦労してこれを書いた猫の努力は、無駄ではなかったと思いますね。。

    読んでいる途中、何度も我が家の猫たちを観察しては、君たちはこんなことを考えていたの?その椅子は私が譲ったんだよね、君たちが乗っ取ったものだったの??
    まさか、よその飼い主さんと二股かけてないよね?ねぇねぇ。。
    不安になったり、くすくす笑ったり、悲しくなってきたり、と大変忙しい思いをさせられました。
    皆さんもきっと、思い当たるエピソードがいっぱいありますよ。
    ページの合間に掲載されている猫の写真も、愛らしいものだらけ。
    巻末の「大島弓子さん」の漫画も、深い味わいを残します。
    すべての飼い主さんに、心からお薦めの一冊。

    • nejidonさん
      アテナイエさん、こんにちは(^^♪コメントありがとうございます。
      こんな古いレビューがタイムラインに上がっただけで驚いていたら、コメントま...
      アテナイエさん、こんにちは(^^♪コメントありがとうございます。
      こんな古いレビューがタイムラインに上がっただけで驚いていたら、コメントまでいただけてすっかり喜んでおります。
      ペットロスは辛いものがありますね。何年たっても、可愛い子はずっと可愛いままで。
      我が家もこのレビューの中に書かれた子たちは、今はひとりもおりません。
      とても楽しく読める本なので、ぜひお時間のある時にお読みくださいな。
      実は私もアテナイエさんにコメントしようと思っておりました。
      「プリズン・ブック・クラブ」という本を読んだときに、無性にアテナイエさんにお話ししたくなったのです。
      刑務所読書会のノンフィクションなのですが、課題図書に「すべての美しい馬」があったせいかもしれません。
      でも一方的にお話するのも変なので、控えておりました。
      今ようやく機会が巡ってきて、都合よく利用しています・笑
      お好みに合うと良いのですが、もしよろしければどうぞ。
      ええと、変な締め方になりました(+_+)
      笑っていただけたら嬉しいです。ありがとうございました!
      2020/07/30
    • アテナイエさん
      こちらこそ楽しいコメントにニンマリしています。ありがとうございます(^^♪
      道を歩いていると、多くの猫に会えるので楽しいですが、なぜか散歩...
      こちらこそ楽しいコメントにニンマリしています。ありがとうございます(^^♪
      道を歩いていると、多くの猫に会えるので楽しいですが、なぜか散歩中の犬には唸られます(わたしは猫の匂いがするのかしらん?)

      『プリズン・ブック・クラブ』のレビューを拝読しました。いつもながら流暢にまとめられていますね♪ 面白そうなノンフィクションです。しかも課題図書に『すべての美しい馬』があったようで、びっくりしました。馬の描写が妖艶かと思いきや、メキシコのすさまじい刑務所が出てきます(笑)。コーマック・マッカーシの国境三部作の第一作目にやっと手がつけられました。ずっと積読状態で古漬けになっていかない心配でしたが、いやいや、美しくみずみずしい、とても味わい深いです。今晩にでも読み終えそうなので楽しみです。さらに『プリズン・ブック・クラブ』の課題図書には、『怒りの葡萄』もあるようですね!?(違っていたらごめんなさい)、なんとおもしろいセレクションでしょう!
      2020/07/30
    • nejidonさん
      アテナイエさん、再訪して下さってありがとうございます!
      犬には警戒されるのでしょうか。私と同じです・笑
      きっと猫にしか見えない人間なのか...
      アテナイエさん、再訪して下さってありがとうございます!
      犬には警戒されるのでしょうか。私と同じです・笑
      きっと猫にしか見えない人間なのかも!!

      プリズン・ブック・クラブのレビューまでお読みいただいて嬉しい限りです。
      そうそう、怒りの葡萄もありました。
      まさかと思うような読み応えのある選書で、しかもそれをしっかり読み込んでくるのですよ。タトゥーを入れたいかつい人たちが。
      「すべての美しい馬」は、私は映画の方を先に見ました。また本だと違うのでしょうね。
      刑務所読書会の選書がとても魅力的で、読みたいと思う本がずいぶんあったのです
      アテナイエさんなら、その辺りも興味を持って読んでいただけるかと思います。
      ああ、お薦めしてみて良かったです。
      今後の読書計画の中の一冊に入れてみてくださいませ(^^♪
      今夜は可愛い子たちの夢を見られますように。にゃん・にゃん。
      2020/07/30
  • ポール・ギャリコ氏の元に持ち込まれたのは、タイプライターで打たれた暗号のような原稿です。
    この原稿、どうやらある1匹の大変賢い猫によって書かれたようなのです。
    しかも、内容は人間の家を乗っ取る方法!?
    そう、本書は猫によって書かれた、世の猫たちがよりよい暮らしを送るための指南書なのです。

    猫好きのどツボにはまるこの1冊に、もう夢中になってしまいました。
    人間は「猫を飼っている」と思っていますが、どうやらその真相は猫に手玉に取られているみたい。
    肉球の上で、ころころ転がされている人間の姿が目に浮かぶよう…。
    我が家の家族も、うちのにゃんこにまんまとしつけられてるのかもしれません。
    そう思ってもなお、猫への愛おしさは増すばかりなのだから不思議なもの。
    猫の魔法はとっても強力みたいです。

  • 猫が書いたということになっている(?!)、とても可愛らしく楽しい本だった。
    「うちのねこもこんなこと考えてるのかな」とか「そうそうこういうことするよね」とか猫が身近な人にぴったりの本。ツィツァの写真も可愛かった。

  • うちの猫さま達と暮らすようになってから,徐々に「しつけられているのは私なのではないか」という疑念を抱かざるを得なくなってきました.

    そんな中読んだこの本は,メス猫が書いた原稿が話の主軸となっています.猫が猫のために書いた指南書のようです.うちの猫さま達もたまに使う「声を出さないニャーオ」いわゆるサイレントニャーの使用のアドバイスもありました.絶大なる効果があることを知って,使ってたんですね...

    「とはいえやはり人間は,自分たちこそが猫を飼ってやり,いっしょに住まわせてやっていると信じている.この常識をくつがえされ,すべてはさかさまで,念入りに仕組まれたすじがきにのせられていたのだ,ということを知るのは,たいへんなショックにちがいない.」
    ここに書いてあるように,私もちょっとショックを受けてます.薄々感づいてはいたのですが.そして「しつけられているのは私」疑惑が確信に変わったとしても,猫さま達へのご奉仕の気持ちは変わらないばかりか,悔しいけれど,ますます愛しくなるでしょう.これが猫が長い歴史を人間と共に生きてきた理由でしょうか.

    本の最後にも書いてありましたが,この本は人間も使えそうなアドバイスがあるような気もします.さすがに「声を出さないニャーオ」はできませんが,猫から学ぶことはまだまだたくさんありそうです.

  • 猫が、子猫のために「人間のしつけ方」を執筆した本。人間の家の乗っ取り方に始まり、人間との付き合い方が丁寧に説明されている。特に人間のタイプ別の考察が面白い。ふむふむ、人間のオッサンは、猫からはこう見えるのか。猫の写真がたくさん掲載されているのも実にあざとい。まんまと虜になってしまった。猫のようなかわいい本だ。

    「声を出さないニャーオ」で人間を落とすなど、具体的なノウハウがたくさん詰め込まれている。ただ、あいにく私は人間の男だ。そのまま実践できないのが残念でならない。その上、猫アレルギーなので、猫を飼ってこの本の内容を確認することすら困難だ。将来、猫に生まれ変わることがあったらこの教えを役立てようと思う。

    全体の構成のなかで、少し異質なのが、「愛」についての考察。人間との打算だけではない関係を大事にしている点が微笑ましく感じた。

  • 猫語の教科書(ちくま文庫)
    著作者:ポールギャリコ
    発行者:筑摩書房
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    飼われているのは人げだった。

  • 賢い猫さんによって書かれた、
    「猫による人間のしつけ方」の本。
    鋭い観察眼で
    人間の本質を見抜く本でもあるんだけど、
    なんか小難しいことは全部抜きにして、
    ひたすら楽しい本でした!

    実家にもうすぐ9歳になる猫がいるのですが、
    確かにそんな行動してたかも、とか、
    ぼんやりした顔して、
    あいつも結構頭脳派のやり手だったのか……!?
    みたいな気持ちになったので、
    猫を飼っている人や身近に猫がいる人は
    なおのこと楽しく読めると思う。
    (この本を読むと
    「飼っている」ってのは人間の勝手な思い込みで、
    猫に手なずけられてるだけって
    気がしてきますが!)

    楽しいだけじゃなくて
    グサッとくる考察も結構あって、
    男と女の違いとか、人間の虚栄心についてとか、
    孤独についてとか、確かにそうかもしれない。
    本当のマナーについては猫世界だけじゃなく
    人間世界でもそうあるべきだなと思った。
    愛についてはなんだかちょっと
    じーんときてしまった。

    『吾輩は猫である』しかり、
    『猫の事務所』しかり、
    猫と文学は相性がいいらしい。

    猫を主人公にした作品も
    犬を主人公にした作品もあるけど、
    犬だと『犬と私の10の約束』みたいな、
    飼い主との絆や忠誠、優しさみたいなものが
    テーマになりやすいのに対して、
    猫は少々偉そうで利口で、飼い主との関係も
    対等かそれ以上になりやすいのもおもしろい。

    あと、ニャースも『ニャースのうた』で
    満月の夜にギターを弾きながら哲学していたけど、
    猫と哲学ってのも相性が良さそうだ。

    何にも乱されない超然とした様子や
    あの大きくてきれいなガラス玉みたいな目は、
    なんでも知っているように見えるし、
    小さな口を引き結んで西日を浴びて
    毛が金色に光っている横顔は
    神々しくもあるもんなあ。

    猫の魅力を再認識して、
    実家の猫に会いに行きたくなる本でした。

  • ある賢い猫による、猫が人間の家を乗っ取るためのハウツー本。家猫として快適に暮らせるように人間をしつけるためのコツが書いてある。「そうだったのか」「そうだよね」と納得するところあり、笑ってしまうところあり。猫好きなら楽しく読める。猫目線の人間観察も面白い。
    筆者は無類の猫好きだったそうだが、それがよく分かる。

  • 小さなときに母を失い、しかし持ち前の観察力である一家を「乗っ取り」、子猫を育てたという、経験豊かなマダムによる、いかに人間を篭絡するかの指南書。

    ああ、我々人間は、猫に底の浅い自尊心、虚栄心をくすぐられて、彼女たちの掌、もとい、肉球の上で転がされていたとは(笑)
    それでも、この本で赤裸々に人間を篭絡する手管を知ってしまっても、私たちは膝に猫を乗せて、この本を読んでいたいと思わずにいられないのだ!

  • 賢いねこちゃんによるねこの教育本。
    ねこが家にいる人にはぜひ読んでもらいたい一冊。

  • 子育ての終わった母猫による、
    子猫や他の猫に向けた
    人間の家を乗っ取る方法をまとめた指南書。

    猫のかわいくて計算高い面が
    絶妙にキュートでユニークに書かれていた。

    男の主人の心をつかむ方法、
    女の人は猫と似ているから
    男の人と同じアプローチは効かない。
    声を出さないニャーオ。

    また読み返したいと思える一冊。

  • 2015.6.7読了。
    そうか、私の人生は初めから乗っ取られていたのだな。この本を読んで一つの謎が解けた気がした。
    この本はとある雌猫が若い猫や捨て猫野良猫のために猫が人間を扱う為の教科書として書いたものを人間の作家が訳したものらしい。つまり猫が人間の家を乗っ取る為の教科書。そして私が生まれる前にすでに我が家は猫に乗っ取られていた。その家庭で生まれ育った私は猫を中心に回る家庭と人生に違和感を覚えることなくここまできてしまったのだ!しかも今や猫屋敷…なんということだ‼︎
    ツィツァという作者と思われる雌猫の写真が時々出てくるのだが、ツィツァはとても美しく可愛らしくそして賢そうな猫だと思った。実家の菫に雰囲気が似ている。そういえば菫は胸パットを運ぶのを趣味としていたが、お客が来る時は見える所に運ばなかった。マナーのある子なのだと気付かされた。そして人と猫は頭脳戦なのだとも改めて思った。
    訳者によるあとがきである「終わりに」にある通り、確かにどの猫の飼い方を述べた本よりも猫のキモチがわかる本かもしれない。そして読む限りでは訳者も猫に人生を乗っ取られているようだ
    この本を読んだ飼い主がどう思うか?目を覚ます?とんでもない!
    むしろ猫とのより良き関係を結べるだろう。もちろん猫が王様で飼い主は良き家来だ。飼い主はより良き家来を目指すはずだ。もしやこの本の真の作者はこのことも意図していたのではないだろうか?
    ところでこの本の作者は海外に住んでいたようなのだがマキロンやバンドエイドは海外にもあるのだな。

  • 猫が猫のために書いた教科書。人間の家を乗っ取り、人間たちをしつけるためにどうしたらいいか、を若い猫たちに説く。
    (という設定の本。観察眼と猫愛はもちろん、センスあるなあ)
    著者はメス猫さんだが、オス猫さんの意見も聞いてみたい。

  • 猫による猫のための「快適な生活を確保するために人間をどうしつけるか」という本
    すっごいおもしろかった!
    そうか!ネコを飼ってるのではなく、ネコに家を乗っ取られているのか!
    野良が我が家に入って来た時、おいしいものをねだる時、うふふ、したたかだけど、かわいいんだよね
    我が家の猫たちもこの本を読んでいたんだね
    ≪ねこたちの 気持ちよい家 めざしたい ≫

  • 猫好きにはたまらない

  • 4年ほど前に読了していますが猫好きさんに出会うとよくオススメしています。
    全て自分に当てはまるそうです(笑)

  • 猫が書いた猫語の教科書!?

  • 素晴らしい

著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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